【オーストラリア在住ライター直伝】カカドゥ国立公園(世界遺産)8つの見どころ

口を開けた獰猛そうなイリエワニ

「オーストラリアでいちばんオススメの場所はどこですか?」

在住17年になる私はよく聞かれるのですが、答えるのがむずかしい質問です。人それぞれ好みが違いますからね。

でも私個人の好きな場所トップ3に間違いなく入るのが、今回紹介する世界遺産「カカドゥ国立公園」です。

こんにちは。海外書き人クラブ所属、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。

今回は私が何度も訪れているお気に入りの場所、カカドゥ国立公園の魅力を全部お見せしちゃいます! ちなみにここでお見せするのは全部私のオリジナル写真です。

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ダーウィンから車で3~4時間の自然の宝庫かつ野生の王国

まずはカカドゥ国立公園についてざっとおさらいをしておきましょう。

世界遺産であるカカドゥ国立公園があるのはオーストラリア・ノーザンテリトリー(北部準州)。拠点となるのは州都のダーウィンです

ダーウィンには国際空港もありますが、今のところ日本からの直行便はありません。オーストラリア国内だとケアンズやブリスベン、国外だとマニラやシンガポールでの乗り継ぎになります。所要時間は最低でも13時間以上。そんなに時間をかけて行く価値が……もちろん大アリにあるんです!

ダーウィンからのアクセスは車のみ。およそ3~4時間で入り口に到着。ちなみに途中のハイウェイはドイツのアウトバーン同様「速度無制限区間」になります! この「黒い円に黒い斜め線」がその標識です。

オーストラリアの速度無制限の標識

 よっしゃーっ! レンタカーを借りてディープパープルの「ハイウェイスター」なんかガンガンに鳴らしながら時速200キロ、250キロの異次元を体験するぞ~。

そんな声も聞こえてきますが、悪いこと言いません。

やめときなはれ!

理由はまず片道一車線の対面交通である点。それから日本の高速道路ほどメンテナンスされていなくて、しかも日本では見られないような超大型重量級トラックが走るので、アスファルトがはがれて直径50センチほどの穴が空いているなんてことも。

さらなる障害としては……このあたりにたくさんいる最大体長7メートルに及ぶワニくんたちが道路で昼寝……というかカラダを温めたりしていることがあるんですね。

オーストラリアの「ワニの飛び出し注意」の標識。四角い黄色の標識に黒くワニのイラストが描かれています

はい。ちゃんと「ワニ注意」の標識も出ています。

というのもオーストラリアでは都市部を除いてハイウェイといえども柵がないのです。だからカンガルーたちもよく飛び出してきます。……まあ、カンガルーは最高で高さ2メートルの跳躍力があると言いますから、1メートルくらいの柵なんて屁とも思わないでしょうけど。

とにかくそういうわけで、カカドゥ国立公園までのハイウェイはマリオカートもビックリの障害物競走状態。ちょっとハンドル操作を誤ったら、この世の楽園に到着前にあの世の天国に直行です!

バスの中で昼寝をできることも考えると、やはりツアーに参加するのがラク。とはいえ今回おすすめする場所のいくつかはツアーバスではおそらく回らないところもあります。またツアーによって行くも場所がかなり変わるので、よく内容を検討してください。

では、いよいよおすすめスポット第8位から発表です!

 

第8位 マムカラ湿原(ウェットランド) 白い蓮の花

鳥がいて、花があって、とにかく「楽園」という言葉が似合う場所です! 双眼鏡をお忘れなく。それと一眼レフカメラをお持ちの方は望遠レンズをぜひ!

 

第7位 アリ塚(シロアリの巣)

高さ6メートルほどのアリ塚群

カカドゥ国立公園に入る前に、道のすぐそばにアリ塚がたくさんある場所があって、どのツアーでもたいてい休憩を兼ねて停まってくれると思います。

アリ塚と呼んでいますが、これはシロアリの巣。高さは最高で7メートルくらいで、それ以上になると倒壊するそうです。

 

第6位 グバラプール

車を停めて遊歩道をてくてく歩くこと約40分。

グバラプールへの遊歩道の入り口にある看板。「グバラプールまで3キロ」と書かれています

グバラプールにいたカップルの後ろ姿

目の前に現れるのはこんな天然のプールです。なんだかこういうところでのんびりすると、すべてを忘れてしまいます。

じつはカカドゥ内の川や滝壺は基本的に遊泳禁止です。理由は……。

「危険。ワニの生息地」と書かれた看板

はい。人を襲うイリエワニという種類のワニがいるからです。「水辺にも近寄るな」と書いてますね。

ただここは岩に囲まれていてワニが出入りできないので、だいじょうぶなのです。

水の中には小さな魚がいるので、水中メガネは大げさにしても、普通のゴーグルがあるだけでさらに楽しめます。

あとカカドゥは熱帯で暑く、一日の終わりにもホテルのプールに入りたくなると思うので水着はお忘れなく

ただ片道40分歩くので、日程に組み込んでいるツアーは少ないかも……。

 

第5位 ジャンピング・クロコダイル・クルーズ

つりさげられた餌に向かって、水辺からほぼ垂直に顔を出しているワニ

ここも厳密にいうと、カカドゥ国立公園に入る前です。

なんでクロコダイル(ワニ)がジャンプするかというと……こうやってエサで釣ってジャンプさせるんですね。

水面にいるワニの目の前につりさげられた肉の塊

乗る船はこんな感じで、一階からはガラス越しに、二階では上からワニがジャンプする姿を見ることができます。

ジャンピングクロコダイルクルーズで乗る2階建ての船。船着場から撮影

 

第4位 ウビアーのアボリジニの壁画と絶景

人間を描いたアボリジニの壁画

カメを描いたアボリジニの壁画

先住民であるアボリジニの壁画。これがこのカカドゥが自然遺産だけでなく文化遺産も含んだ複合遺産になっている理由ですが……。

言っておきますが、そんなに巨大なものではないです。正直者ですみません。だーけーどー!

ウビアーの巨岩を下から。 登っていく人たちが豆粒のように見えます

こんなところを一生懸命上がって行くと……。

ウビアーロックの上に立つ人。背景は大平原

目の前に広がるウビアーの絶景はオススメです! ここから大平原を見ると、なんだか原始の血が騒ぐというか、頭の中に『ツァルトゥストラはかく語りき』が鳴り響くわけです。そう、映画『2001年宇宙の旅』の冒頭シーンのイメージですね。

いちばんのオススメの夕刻なのですが、暗くなると岩から下りるのも大変になるので、慣れたガイドさんといっしょのとき以外は避けたほうがいいでしょう。

ウビアーロックの夕景 ウビアーロック。登ってきた方向の景色

アボリジニ壁画ノーランジーロックも有名なのですが、絶景度ではウビアーの圧勝。限られた日程で2度アボリジニ壁画を見るのもどうかと思うので、よほど興味がある人以外はそっちはパスしてもいいと思います。

正直者ですみません。

 

第3位 ツインフォールズの滝の上

ツインフォールズを下から眺めたところ

ツインフォールズというのは有名な滝。画面左下に小さく見えるのが人間です。

このようにすごい迫力があるのですが……残念ながら他の滝壺や川同様、遊泳禁止です。はい、理由は先ほど書いたワニです。

じゃあ、ここまで行ってただ滝を眺めるだけなのか?

いえいえ。この滝の上にあがることができて、これがオススメです。小一時間の登りですが、そこから見る絶景と、ほてった体を天然プールに浸ける気持ちよさといったら……。

ツインフォールズの上にたまった天然のプールに足をつけようとしている人々

ただし! オーストラリアの景勝地一般に言えることですが、ご丁寧な柵など一切ついていません。そして滝の上ですから断崖絶壁。写真撮影や自撮りに熱中して落下すると、かなりの確率でご昇天です。

それから子どもがいっしょのときも目を離さないようにしてください。

ツインフォールズの上からの絶景

 

第2位 ヘリや軽飛行機での遊覧飛行(シーニックフライト)

 遊覧飛行からの風景。緑と水

これまた絶景度が「ハンパない」状態です。巨岩群を上空から眺めたり、緑の木々と青い氾濫原のコントラストにうっとりしたり。

 あっ、今「氾濫原」という聞きなれない言葉が出てきましたね。この記事の最後に重要な解説を入れるので、忘れないでください。

遊覧飛行からの風景。巨岩群

 

第1位 イエローウォータークルーズ

イエローウォータークルーズの船

イエローウォーターというのは湖みたいなものです。ここの50人乗りくらいの船でのクルーズが超絶対オススメです!!! ……このビックリマーク3連発で、オススメ度合いがわかっていただけると思います。

 このイエローウォータークルーズに参加しなかったら、なんのためにカカドゥ国立公園まで来たのかわからないとまで言い切ってしまいましょう。

数々の鳥がいて、「地上の楽園」という言葉がピッタリの絶景。一方、獰猛で人間を襲うこともある最大体長7メートルのイリエワニもうようよいる「野生の王国」。このアンバランスな感じがなんともゾクゾクする場所です。

水面から目のあたりだけを出しているワニ 枝にとまる青色の小鳥。おそらくカワセミの一種 紫色の蓮の花 夕焼けの鮮やかなオレンジ色が水面にも映りこむ

ここでは近くの「カカドゥ・ロッジ・クインダ」に宿泊して夕方最後(日の入り直前)のクルーズと翌朝早朝のクルーズに参加してください。日の入り前は退廃的、早朝は幻想的と、2つの顔を見せてくれます。

夕方と早朝の2回行くべし!

 

雨季と乾季で別の顔!  行ける場所も違う

さて、最後にもうひとつ注意を。じつはカカドゥ国立公園にははっきりとした雨季(11月から4月くらいが目安)と乾季(5月から10月くらいが目安)があります(いつ雨季が始まったり終わったりするのかは年によってずれます)。

しかもその雨の量がこれまた半端じゃなくて、当然のごとく川は氾濫してあたり一面湖状態になります。そう、これが先ほど書いた「氾濫原」です。

水没するところもあちこち出てきます。たとえばウビルー自体はかなり小高い丘なので水没することはないですが、そこまでいく道路がすべて水の底。つまりたどりつくルートがなくなります
完全に冠水している道路。前を走る車のタイヤがまったく見えない

この画像は雨季が開けた直後、政府職員であるレンジャーの方が運転する車の中から、ウビアーへの道を撮ったもの。

前を走る車のタイヤがまったく見えません

シュノーケルという装置で吸気口を屋根の上につけて少々の冠水道路なら通れるようにしたもの四輪駆動だったのですが、レンジャーの方も「到着できるかわからない」とのことでした。

そうですよね。水が屋根の上まで来るようだったら、いくらシュマーケルがついていても、エンジンが止まりますから。

完全に冠水している道路。脇に水深を図る柱が見える

左上に見える水深計によると、水深60センチ。四駆でもシュノーケルがないと無理ですね。

なんだかもう「ジャングルクルーズ」の世界です。

 

とはいえ雨季には雨季にしかない良さもあります。それがシーニックフライトで「氾濫原」を眺めること!

でもせっかくカカドゥまで来たのにシーニックフライトだけじゃなあという方。ごもっとも。だからねらい目は雨季の直後です!

だけど雨季の終わりは齢によって変わります。日程に余裕がないときや早めに予約する場合は、やはり乾季がオススメです。

 

ひとくちに絶景と言っても、イエローウォーターのようなやツインフォールズのようなから、ウビルーから見る大平原や遊覧飛行の奇岩氾濫原表情も様々。そして美しい花。

野生のほうも、獰猛なワニから、美しい昆虫まで。

地上の楽園」とも呼べるカカドゥ国立公園を、ぜひ訪れてみてください。

 

【まとめ】

  • カカドゥ国立公園は「自然の宝庫」兼「野生の王国」
  • いちばんの見どころは「イエローウォータークルーズ」
  • 雨季と乾季に注意すべし。おすすめは乾季

【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】

(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)



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