トルコの青空市場で夏場にバッタリ姿を消す意外なものは何?

食料自給率が100%を超えるトルコ。トルコ料理は世界三大料理に数えられ、人々も食べることが大好き! そんなトルコ人の生活を支えているのがパザル(青空市場)です。

そのバザルで5~8月にまったく売られなくなるものがあります。さてそれは? 海外書き人クラブ新会員のエロウル千恵が紹介します。

もちろん「冬野菜」なんていう単純な答えではないですよ。

あんなものからこんなものまで。あれこれ揃うパザル

クイズの答えをお答えする前に、トルコのバザルをザッと紹介しましょう!

パザルは地区ごとで週に1度決まった曜日に開かれます。開催時間は季節によって違いますが、だいたい朝9時〜夕方18時というのが一般的。平日でも老若男女多くの人で溢れ、各店のスタッフは大きな声で歌うように客引きします。

駐車場など屋根がある場所で開かれることもありますが、青空の下のほうが主流。屋外の場合はテントが張られ、その下に店が並びます。

トルコの青空市場

売っているのは青果をはじめとした食料品だけではありません。とはいえ衣類や靴、鞄、雑貨、花などは想像がつくかと思います。

私が驚いたのは、掃除機のホースのみ! いまだにお買い上げの場面に遭遇したことはありませんが、需要があるから置いてあるのでしょう。いつかその現場に出会いたいものです。

規模の大きいものになると、カーペットを売っていることもあります。トルコの家ではカーペットをたくさん敷くので(我が家も大小合わせて10枚敷いています)、パザルで買えるのは便利かもしれませんね。持ち帰るのは大変でしょうけれど……。

 

量り売りが基本!

トルコの青空市場

パザルでは食料品は基本的に1キログラム単位で価格設定されています。たまに「1 ADET」という価格表示がありますが、これは「1個あたり」という意味です。

トルコの人たちは1週間分の野菜をここで一気に調達することも少なくありません。ですから「じゃがいも3キログラムちょうだい!」「トマト2キログラムちょうだい!」という「大人買い」する声もよく聞こえてきます。

店のスタッフから洗面器のような容器やビニール袋を渡された場合は、自分で青果を選んで買うことができます。容器や袋を渡されない場合は、スタッフに欲しい分量を量ってもらいます。価格表示が1キログラム単位になっていても、500グラム、300グラムといった少量にも対応してくれますから、フルーツを少しずつ買って宿泊先で食べることもできますね。

余談ですが以前のパザルは現金オンリーでした。ところがここ数年のインフレによる物価高騰のためか、クレジットカード対応の店もちらほらと見られるようになりました。店頭に「KREDI KARTI」とある場合はクレジットカード対応店です。


小腹が空いたらふわふわシミット!

トルコの青空市場

規模の大きいパザルだと軽食を売っていることもあります。写真左下のカートに入っているのは「シミット」というゴマつきのリング状のパン。ベーグルのような外見で硬めに見えますが実はふわふわの食感で、一度食べたら癖になるおいしさです。

イスタンブルではスルタンアフメット地区など主要な観光地には写真のようなシミットを売る露店があります。また海沿いではシミットを満載した籠を頭にのせた男性が売り歩く姿を見ることができます。チェーン店もあります。街角でシミットに出会ったらぜひお試しください。

冬季に登場するのがホクホクの焼き栗(ケスターネ・ケバブ)。トルコの焼き栗は皮に切れ目を入れて専用の器具で焼きます。

皮に焦げ目がつくまで焼くので、香ばしさが際立つ仕上がりになります。こちらもぜひお召し上がりいただきたいです。焼き栗も観光地で買うことができますよ。

 

なんと「全面禁漁期間」があるトルコ

さていよいよ、冒頭のクイズの答えです。そう、じつは「魚」なんです!

地図でトルコを見ると北は黒海、西はエーゲ海、南西は地中海と、三方を海に囲まれています。黒海ではカタクチイワシをはじめとした小魚が、エーゲ海・地中海ではやや大きめの白身魚が中心に獲れ、食卓を賑わせます。他にもタコやイカ、ムール貝など、多くの魚介類が流通しています。

トルコの青空市場の魚

また黒海では魚の養殖も盛んです。海に近い地域では魚介類が食卓にのぼることも少なくありません。

ですが実はトルコでは禁漁期間というものがあります。毎年5〜8月がそうで、この期間は漁船を出すことができません。ボスポラス海峡やガラタ橋の名物ともいえる釣り人は、漁船を出しているわけではないのでお咎めなしなのだとか。禁漁期間があるため、パザルに魚屋さんが出ているのは9〜4月の期間限定です。

 

トルコ語で「ジャポン」ってどういう意味?

トルコの野菜や果物

トルコのパザルでは、日本ではあまりお目にかからないものもあります。写真中央上に写っている桃はそのひとつです。

これは平らな桃で、日本語で蟠桃(ばんとう)といいます。日本では収穫量が少ないためあまり流通していませんが、トルコやヨーロッパ諸国では5〜6月に市場に出てきます。

通常の桃と比べると甘みが強く、ジューシーです。蟠桃の季節を心待ちにしている在住日本人は多数います。

この蟠桃、トルコ語で「ジャポン・シェフターリ」といい、訳すと「日本の桃」という意味になります。トルコではいいものに「日本の」とつける傾向があります。

街中で「ジャポン・パザル(訳すと「日本パザル」)」というお店を見かけることが多々あるのですが、これは「いいものが揃っています!」という意味なのだとか。この蟠桃も、通常の桃よりもおいしいということで「日本」とつけられたのだと思うとうれしくなります。

他にも黄色いさくらんぼや皮ごと食べられる洋梨など、日本では見られないものがたくさんあります。

 

おすすめのパザルはここ!

トルコの青空市場

パザルは毎日どこかで開かれています。おすすめはイスタンブル新市街の「イェニレヴェント・サル・パザル」。360度見渡せる展望台をそなえる「イスタンブル・サファイア」というビルから1キロメートルほどに位置するスポルジュラル公園周辺の路上で開かれます。

このパザルは大規模なので軽食を売る店やカーペット屋さんも出店しています。開催日は火曜日です。

おしゃれさはありません。ですが観光地だけでは見られない人々の日々の暮らしや色鮮やかな品々を目にすることも海外旅行の醍醐味ではないでしょうか。

日本とはまったく異なる風景を見て、実際の雰囲気を味わうことは楽しい体験となり得ることでしょう。イスタンブルにお立ち寄りの際、ご都合がよろしければぜひパザルへいらしてください。

※写真中の価格は2022年夏のものです。

(文・写真 エロウル千恵)

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