先日【日本は全然「おもてなしの国」でないと感じる9つの点】という記事を書きました。その続編として、世界各国に住むライターたちにも「日本の気になる点」を挙げてもらいました。
こんにちは。海外書き人クラブお世話係でオーストラリア在住ライター、柳沢有紀夫です。
いやー、本当に様々な意見が集まりました。読んでいて私自身、「いや、それは考えすぎかなあ」とか「要求しすぎじゃないかなあ」と感じる話もあったのですが、すべて載せることにしました。
みなさんにも「そうだ」とか「いや、違う」とか、あれこれ感想を持ちながら読んでいただけたらと思います。
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交通機関での「マナー」に関して
1)電車やバスで妊婦や高齢者に席を譲らない
- 私とアルゼンチン人パートナーが帰国時に一番衝撃を受けたのは、東京の公共の乗り物内で席を譲る人が全くいないことでした。障がいを持つ子や松葉杖をついている人が優先席の目の前に立っていても、誰も席を譲らないとか、もうほとんど信じられない光景を多く目にして毎度仰天します。これはもう、おもてなしどころか、世界のスタンダートとはかけ離れているんじゃないでしょうか。(アルゼンチン在住ライター 山本夏子)
- 妊娠8か月の時に山手線や私鉄に乗りましたが、ラッシュ時でもないのにどなたも席を譲ってくれず、なかなかキツイ思いをしました(ですが、大阪では周囲の方が一斉に立って譲ってくれたので、東京だけの問題なのかもしれませんね)。優先席近くに高齢者が居ても、寝たふりや気づかないふりをする人が多いのには驚きます。(カンボジア在住ライター ナオコ)
- 妊婦の時も赤ちゃん連れで電車に乗った時も、一度も席を譲ってもらったことはありません。(香港在住ライター りんみゆき)
- 日本人は「お年寄りや体の不自由な人に席を譲る人が世界に比べて少ない!」です。特に若い女の子!(中国在住ライター 林由恵)
2)妊婦や子連れがラッシュ時の電車に乗ると迷惑がられる
- 妊婦さんや子供連れは朝のラッシュ時に乗るなとか、赤ちゃんの泣き声がうるさくて迷惑そうな顔をされるとか、とかく東京の交通機関内の空気には違和感と憤りを感じることが多いです。サラリーマン第一主義というか、弱者は迷惑かけるな的な、自分の足で立てない奴は乗るな的な、日本人が大好きな(そして私が大嫌いな)「自己責任論」とも結びついているのでしょうか。(アルゼンチン在住ライター 山本夏子)
「赤ちゃんとお年寄りは、誰もが来た道・向かう道」ということを忘れないようにしたいですね。
3)「整列乗車」するのはいいが、不自由な方を先に乗せてあげるべきでは?
- 私の配偶者が疑問視していたのは、「バスに並んで乗るのは結構だけれど、どうして誰もお年寄りを先に乗せてあげようとしないの?」ということでした。こうした“人間として普通の気遣い”が、意外と“整然としている”日本では消滅しているように思う場面が多かったように思います。(アルゼンチン在住ライター 山本夏子)
4)電車の中では携帯で話せない
- 新幹線や特急などアナウンスで「マナーモードにしましょう。他の人の迷惑にならないようにデッキに出ましょう」というのがおかしい。電車に乗っている人同士は普通の声で会話してもいいのに、携帯で普通の声で話して何が問題なのでしょう。だらだら長話をするならともかく、急用や仕事の電話もできないのは不便だし意味がない。(香港在住ライター りんみゆき)
これは微妙な問題かなあと思います。全面的に「話していい」とすれば、うるさくて仕方がない。ただでさえ電話になると声がでかくなる人、いますしね。でも「通話は絶対にダメ」にしてしまうと不便で仕方がない。デッキのない電車や地下鉄に乗っているとき、大事な要件の電話が来て次の駅で降りてかけなおしたことが何度もありますが、それでアポイントメントに間に合わなくならないか心配になったり……。
個人的には車内で……というか公共の場での普通の会話同様、「まわりの迷惑になるような大声で話さず、小声で」とするべきかなあと思うのですが、そうすると耳が遠くなったお年寄りなどは話せなくなり……。本当に難しい問題です。
その他の公共「マナー」に関して
5)エレベーターの順番を譲らない
- ご年配の方や女性にエレベーターに乗る順番を譲らない。(イラク出身/アラブ首長国連邦在住 バッシャー・アルカッサブ)
6)ドアを持ってあげない人が多い
- あとから誰かが来るときでもドアを持っていてあげる人がほとんどいない。(イラク出身/アラブ首長国連邦在住 バッシャー・アルカッサブ)
- 後ろの人のためにドアを手で押さえない。(カナダ在住ライター バレンタ愛)
7)荷物をぶつけても平気な人が多い
- 駅で荷物がぶつかったりしても、何も言わない人が多くてびっくりしました。(イラク出身/アラブ首長国連邦在住 バッシャー・アルカッサブ)
8)重い荷物を持つ人を助けようとしない
- スーツケースを持って階段を上っても誰一人と助けてくれず。(香港在住ライター りんみゆき)
- 大きな荷物を持っていても、誰も助けてくれない。(ペルー在住ライター 原田慶子)
そういえば日本一時帰国中、大きなスーツケースを下げている日本人に「持ちましょう」とか「手伝いましょう」と話しかけてギョッとされることが多いですね。持ち逃げされるとでも思うのかなあ。
外国人観光客からは普通に感謝の言葉がもらえますが。
そう考えると「日本人は他人に荷物を持たれることに慣れていない」と言えるでしょうね。
コミュニケーションに関して
9)英語が話せない人が多い
- 友人からこんな話を聞きました。先進国なのに英語を話せない人が多く、東京ですらみんな英語が話せなかった。それでも道を聞くべく何人かの人を呼び止めたが「イングリッシュノー(英語だめです)」と話すら聞いてもらえず、逃げられてしまいショックを受けた、と。(スイス在住ライター/元アイルランドライター 小島瑞樹)
- 相手の言ってる事が分からないのに笑って(笑顔で)頷く。(カナダ在住ライター/元オーストリア在住ライター バレンタ愛)
英語で話されたときの「アルカイックスマイル」は、もう何十年も前から言われていることですね。
10)自分や自分の配偶者などの自分に近い人をけなすような言い方をする
- 謙遜してるつもりなんだろうけど、理解されるのは難しい。(カナダ在住ライター・元オーストリア在住ライター バレンタ愛)
これも定番中の定番ですね。
11)過剰な「ありがとうございます」
- こちら側の用事で立ち寄った役所などでも「ありがとうございます」と言われる。ありがとうは、本当に感謝の意味で使うべきで、丁寧さを表すものではないと思う。(インドネシア在住ライター さいとうかずみ)
その一方で「仕事してやってんだ、おまえらために」みたいな横柄な態度を取られると腹は立ちますが……。
設備やサービスに関して
12)英語表記がないところがまだまだ多い
- オリンピックを控え、東京近郊はかなり「おもてなし」に力を入れているが、東京から少し離れただけで、英語表記のない公共の乗り物や駅もまだまだ多くある。(インドネシア在住ライター さいとうかずみ)
13)駅の看板が多言語すぎて見づらい
- (ペルー在住ライター 原田慶子)
14)駅の看板やロッカーの使用法の説明などに、スペイン語がない
- (ペルー在住ライター 原田慶子)
公共機関の外国語表記への指摘がいくつかありました。当然のことながら世界中の全言語で記すことはできないので、「どの言語をいくつ記すか」という問題になると思います。
判断基準は「その言語を理解する観光客数」となるでしょうから、現在多く見られる「英語・2つの中国語(台湾や香港で使われる「繁字体」と中国本土で使われる「簡字体」)・ハングル」というのも妥当な気もしますが、スペイン語も入っていいかもしれませんね。逆にフランス語やドイツ語は、たぶんそれらを話す人は英語も理解することが多いので不要なのかもしれません。
ただ個人的には「自分の国以外に行って単独行動するなら、最低限の英語くらいは理解すべきだろ」と思うんですよね、じつは。別に流暢に話したり本を読んだりする必要はなく、カタコトで充分なので。
日本のねじまがった英語教育の問題点かなと思います。社会人になったあと「英語のむずかしい文献を読む機会がある人の数」と「英語をちょこっと話す機会のある人の数」を比べたら、戦前などはほぼ同数だったのかもしれませんが、現在では後者のほうが圧倒的に多いでしょうから。
14)JRのキオスクなどでクレジットカードが使えない
- 海外在住者はSuicaなど持っていないのに。(ペルー在住ライター 原田慶子)
これは盲点でした。確かにそうですね。海外ではどこでもクレジットカードですからね。日本のスーパーで現金払いの人が多くてビックリします。みんなカードで払えば、レジもどんどん進むと思うのですが……。
ちなみにsuicaやPASMOは使わなくなったら払い戻しをしてもらえるので、海外からの旅行者でも購入するのも手ですね。で、この払い戻しに関して驚くべき事実が判明! 詳細はこの記事で。
【SuicaとPASMO。なんと払い戻し時に大きな違いが!】
15)エスカレーターやエレベーターが少ない
- 駅でエスカレーターやエレベーターのない構内が多すぎる。(香港在住 りんみゆき)
- コインロッカーが地下にあるのに、エレベーターもエスカレーターもなく階段。(ペルー在住ライター 原田慶子)
16)フリーwi-fiなどのネット環境が充実していない
- ヨーロッパではスマホどころかガラケーでも、国境を越えれば自動的に自分が契約している通信会社が提携するその国の通信会社につながるようになっています。そのため、何もせずして欧州内で通信機器を国内のように、普通に使えるのです。ヨーロッパ人はそれが当たり前になっているので、日本でパソコンや携帯を使うのが不便と感じるのでしょう(ぜいたくな考えですが)。(スイス在住ライター/元アイルランド在住ライター 小島瑞樹)
- ここ数年で無料wi-fiもかなり利用できるようになってきてはいるが、少し繁華街から離れると、見つからない。(インドネシア在住ライター さいとうかずみ)
- 通話ができるプリペイドシムが入手しにくい。DATA通信のみのシムがメインで、中には通話ができるシムもあるが、高いと感じてしまう。普段、ネパールや、インド、タイで安いツーリストシムをゲットしているから余計そう思うのでしょうが。ネパールやインド、タイは、レストランやカフェは無料wi-fiであるのが当たり前なので、旅行者はみんなカフェに行く。ホテルで無料wi-fiのところも増えてきたと思いますが、別料金かかると厳しいなあと思ってしまいます。上記特に日本の地方都市は東京よりも大変です。(ネパール在住ライター 宮本ちか子)
仕事柄ネットとつながらないとどうしようもないので、「日本に帰るときはレンタルwi-fiが必須」と思っていましたが……確かにフリーwi-fiの場所は少ないですよね。
ただセキュリティー的なこともあるので、どんなにフリーwi-fiの場所が増えたとしても、私はレンタルすると思いますが……。
それとは別にプリペイドの電話を持ち歩いていますが……確かに言われてみれば面倒ですね。
17)過剰包装
- よく言われることですが、服や雑貨等をお店で買い物した際に、二重三重ラッピングなど過剰包装がデフォルトなのが、とてももったいないと感じます。家に帰って中身を取り出したらゴミになってしまうのに、そこまでする必要はないのでは? プレゼント用で必要な場合等にはお願いしたらラッピングするようにしたら良いのではと思ってしまいます。(カナダ在住 S&K)
- いまだに「贈答」とお願いしたとたん、過剰に包装した上、「新しい手提げ袋を中にお入れしました。」と余分に付け足してくれる。お土産屋さんでは「小分け用袋は何枚お入り用ですか?」と必ず聞かれる。(インドネシア在住ライター さいとうかずみ)
18)日本の電気は眩しすぎる
- 久しぶりに日本に帰る時、買い物はひとつの楽しみでもあります。こんなものもある!あんなものもある!と夢中になっていると、そのうち、目がチカチカしてきて、あ~もういい……という具合がいつものパターンです。店の商品を良く見せるためのライトアップは素晴らしいのですが、ネパールから帰国中の田舎者にとっては、少々眩し過ぎます。停電が日常茶飯事のネパールに住んでいるからでしょうか? 電気はない。薄暗い。電気ピカピカは特別な日。そんな暮らしが普通なので、眩しすぎるでしょ……ニッポン。(ネパール在住ライター shyu)
私は逆にオーストラリアでいつも照明が暗い(特にレストランなど)と感じているので、「日本は明るくていいなあ」と思っています。受け止め方は人それぞれですね。
メンタリティー・その他に関して
19)ルール一辺倒で融通が利かない
- 時には臨機応変に対応すべきものでも、「ルール上NG」とばっさり切られる。人間らしさを感じられない。(インドネシア在住 さいとうかずみ)
- 日本人はマニュアル化されたおもてなし(挨拶とか)はできるけど、自主的にするのは人目を気にしてできないと感じる。(香港在住 りんみゆき)
- 規則やルールが前提にある場合、そればかり優先して、融通が利かないので、もう少し柔軟性があってくれると助かることがあります。(ネパール在住ライター shyu)
20)よくも悪くも旅行者に無関心
- 普段、ネパールなどどいう、愛想が良いというか、馴れ馴れしい民族性の国に長くいたせいでそう感じるのかもしれません。(ネパール在住ライター 宮本ちか子)
21)人目ばかり気にする
- ちょっとでも違うことをすると受け入れてくれない。日本の小学校や大人の世界にもある”いじめ”の理由のひとつなのかもしれません。(ネパール在住ライター shyu)
22)外国人とみると警察から職務質問される
- 主人(カンボジア人)が一人で駅前の歯医者に行った際に、警察に職務質問され、ひどく傷ついていました。日本語が話せるので実家の電話番号や住所を教えて事なきを得ましたが、旅行者で日本語が話せない人であったらと考えると、悲しい気持ちになります。(カンボジア在住ライター ナオコ)
これは本当に悲しい話でした。欧米系の白人なら、たぶん職質は受けないでしょうね。私はオーストラリアに暮らして19年になりますが、路上で職質を受けたことはただの一度もないです。
【まとめ】
あれこれ挙げましたが、いかがでしたでしょうか? 「そうだ」と同意されたのはどれとどれで、「いや、違うな」と思われたのはどれとどれですか?
今回改めて感じたのが、「気配り」とか「親切」とか、かつては普通にできていて「日本人の美徳」とされていたことができなくなっていると感じている海外在住者が多いということ。海外に住む人間は一時帰国するたびにほんの少し「浦島太郎」状態になりますから、昔と今の日本の違いにより敏感になりるのかもしれません。
それともう一つ、「日本は他人のことを考える余裕がなくなってきてるのかなあ」とも感じます。それは「失われた20年」で、経済的に世界の先進国から置いてきぼりを食らっている焦りからかもしれません。自分だけは地獄に堕ちないようにと考える『蜘蛛の糸』の主人公カンダタのように。
ということで「蜘蛛の糸シンドローム」「カンダタ症候群」と名づけてもいいのかもしれません。
こういう記事を発表するのは「大好きな日本がもっと素敵になってほしいので」という理由があるからです。みんなで力をあわせてがんばっていきましょう!
以下の関連記事もぜひご覧ください。
各国在住ライターにも訊いてみた。日本は全然「おもてなしの国」でないと感じる9つの点
【まとめ 柳沢有紀夫】
- ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
- 「海外在住ライターを使ってみたい」とお考えの方。
- 「海外在住ライターになりたい」と思われている方。
- 【海外書き人クラブ】の紹介(公式サイトリンク)が
- このページの下部にあります。ぜひご覧ください!
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