流行語にもなった「おもてなし」。でも……日本は本当に「おもてなしの国」と言えるのでしょうか?
いつもは日本のいいところを伝えている【世界のコトなら】。今回は趣向を変えて、「日本が全然おもてなしの国らしくない点」を挙げてみたいと思います。
こんにちは。海外書き人クラブお世話係、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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つい先日も日本一時帰国から帰ってきました。この一年は本当に日本に行くことが多くて、計5回、のべ半年近く滞在しました。
そんなときに気になった「日本のちょっと困った点」を列挙したいと思います。
1 電車に乗るとき、降りる人が済む前に乗りこむ人が多い
よく日本で報じられる「日本人の美徳」というか、「外国人が賞賛する日本」の例として、「電車に乗るとききちんと整列する」というのが挙げられますよね。
まあ確かに整列はしています。だけど東京の各線で様子を見ていると、全員が降り終える前に我先にと乗り込む人が多いです。特に気になったので観察してみたのですが、列の先頭に立っている人の半数がそんな感じでした。中高年もいれば、小学生くらいの子どももいました。
で、そういう人は空いている席に突進!
おかげで降りたい人がなかなか降りられずに、時間がかかり……。これではせっかくの整列乗車をあまり意味がないですよね。整列乗車は乗り降りの時間を短くして、時刻表通りに運航できるようにするためなのに……。
2 「歩きスマホ」をしている人が多い
これも駅のホームなどで特に目立つ行為で、すでにみなさんも気づかれていると思います。「歩きスマホは危険です」みたいなキャンペーンもありますよね。
じつはこの「歩きスマホは危険です」というフレーズもすごく気になります。これだと「私は注意しているからだいじょうぶ。危険じゃない」とタカをくくる人もいるでしょう。
でも危険を感じているのは歩きスマホを「している側」ではなく、「されている側」です。
健康な壮年だとなかなか気づかないかもしれませんが、ご年配の方や身体に障害がある方にしてみたら、「歩きスマホ」をしている人は「スマホ運転」をしている人と変わらない恐怖の対象であり、動く凶器なんじゃないかと思います。
……と偉そうに言いながら、私もときどきやってしまうんですけどね。でもだからこそいっそのこと「スマホ運転」と同様、罰則の対象にしてしまったほうが、やる人が減るんじゃないかと思ったりもします。
歩きスマホ根絶キャンペーンのフレーズも「歩きスマホは危険です」ではなく、「歩きスマホはまわりに大変迷惑です」としたほうがわかりやすいと思います。
3 信号のない横断歩道では、歩行者が待っていても停まらない車がほとんど
これも本当に目立ちます。しかも「えっ、何が問題なの?」と思われる方もいるかもしれませんね。「信号がない横断歩道では車は停まる必要がない」と思い込んでいる人もいるような気がします。
「横断歩道に歩行者がいたら自動車は停まる」。これは日本でもルールとしてあります。「マナー」ではなく「ルール」です。
道路交通法第3章第38条にも「横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない」 と明記されています。
ご年配の方や身体が不自由な方、そして子どもたちにとって本当に危険なので、法律に従ってどんどん取り締まってほしいと思います。飲酒運転もきちんと取り締まってちゃんと減ったわけですから。
ちなみに私が住むオーストラリアでは、歩行者が待っている横断歩道ではほぼすべて車が停まります。
4 合流しようとする車を入れないように意地悪する人がいる
同じく車がらみで。
これは日本で車を運転する人にしてみたら、半ば常識というか、日常茶飯事で体験することですよね。だけどオーストラリアでは、合流してくる車は入れてあげるのが常識です。別にオーストラリアを礼賛したいわけでなく、他の国ではほとんど運転経験がないだけですが……。
とにかく車を運転していると「こんな日本のどこがおもてなしの国なんだ」と思ってしまいます。
5 自転車も歩行者に道を譲らない
歩行者を蹴散らすように、歩道をわが物顔で走る自転車。これも本当によく見る光景です。で、これも「何が問題?」と思う人がいるかもしれません。
「歩行者優先」という原則が知らない、または面倒くさいから守らない人がものすごく多い気がします。
ちなみに警視庁のサイトでも「自転車が歩道を通行する場合は、車道寄りの部分を徐行しなければなりません。歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止しなければなりません」と明記されています。
車ほどではないにしても(「車ほどではない」と思うからついつい走らせる側も慎重さを欠いてしまうのかもしれませんね)、自転車は歩行者にとっては猛スピードで走ってくる凶器です。はねられた人が死ぬことだってあります。
6 スクランブル交差点など繁華街の音がうるさすぎる
東京観光に来た外国人も多く足を運ぶ渋谷のスクランブル交差点。巨大ディスプレイ数台からプロモーションビデオの音楽が大音量で流れてきて……あれ、うるさいと感じません?
日本の大都会は人も車も多いので、話し声やエンジン音が大きくなるのはわかります。だからこそ、それに輪をかけてうるさくするようなことはやめたほうがいいと思うのですが……。
うるさいとストレスたまりませんか? 日本が大好きな私ですが「ああ、もう東京に住めないなぁ」と感じるいちばんの理由が、じつは騒音です。
7 完全禁煙でない、または分煙がいい加減なレストランが多すぎる
今や先進国では「レストランや飲み屋では全面禁煙」というほうが主流だと思います。まあ、そこまでガチガチにしなくてもいいかなあ、少しくらいは喫煙可の居酒屋があってもいいかなあと思いますが、「完全禁煙が基本」ではあってほしいなあとは思います。
喫煙可のレストランや飲み屋の税金を上げれば、うまく棲み分けができるようになると思うのですが……。
8 路上の「スモーキングエリア」の外にもタバコのにおいが充満している
路上でのタバコを禁止するのは非常にいいことだと思います。副流煙の問題だけでなく、下ろした手に持つ火のついたタバコはちょうど幼児の目の高さくらいになって本当に危険ですから(じつはそれで長男がまつげを焦がされたことがあります。あと少しずれていたら失明の危機でした)。
で、「スモーキングエリア」は素晴らしい……と手放しでほめたいところなんですが、つくりが中途半端で外に煙も匂いもダダ洩れ。
あれももう少しなんとかならないかと思います。
9 ゴミ箱が少ない
たぶん地下鉄サリン事件のときに駅などから撤去されたのがそのままになっているのだと思いますが、街にはゴミ箱がほとんどないですよね。あるとしたらコンビニの前くらいでしょうか。
自販機で買ったジュースやコーヒーの缶やペットボトルを、コンビニで捨てるのは申し訳ないし……。で、結局延々と持ち歩くことも多いですよね。場合によっては家まで、とか。
「テロ対策」という観点からすれば仕方がない面はあるとは思うのですが……。
ちなみにサッカーワールドカップのたびに話題になる「ゴミを持ち帰る日本のサポーター」って、この「日本の街にはゴミ箱が少ないから持ち帰らざるをえない」という状況と……あまり関係ないかもしれませんね。
以上、【日本は全然「おもてなしの国」でないと感じる9つの汚点】でした。
大好きな日本がもっともっと素敵な国になるために、少しでも手助けしたい。そんな気持ちで書きました。
今回は私の個人的な意見でしたが、いつか海外書き人クラブの会員やその外国人配偶者の声なんかも集めてみたいと思います。
↓
続編として
各国在住ライターにも訊いてみた。日本は全然「おもてなしの国」でないと感じる9つの点
を公開しました。こちらもぜひご覧ください。
【文 柳沢有紀夫】
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