「グランドキャニオン」で有名なアメリカ・アリゾナ州。でも他にも大自然の宝庫で見どころいっぱいです。そんなアリゾナ州の隠れた名所を、海岸書き人クラブ新会員・ロサンゼルス在住の角谷剛がお伝えします!
レッドロックと呼ばれる奇岩と緑が織りなす優美な景色とボルテックスと呼ばれる癒しのパワースポットとして有名な「セドナ」。
コロラド川が大地を馬の蹄のように削ったインスタ受けする奇観で近年人気上昇中の「ホースシューベンド」。
今回はアリゾナ州北部にあるこの2つの名所を巡るドライブ旅です! 近くにある「グランドキャニオン」のような世界的な知名度はありませんので、やや「渋い」と言われるかもしれない選択肢ですが、大自然が好きな人にはきっと気に入ってもらえると思います。
日本からのルート
セドナに近い大きな都市はフェニックス。ホースシューベンドに近いのはラスベガス。どちらも日本からの直行便はありませんので、ロサンゼルスやサンフランシスコなどの西海岸にある大都市のハブ空港から国内線を経由することになります。
旅の起点はこのどちらかの都市になるわけですが、私はフェニックスをお勧めします。なぜならラスベガスは言わずと知れたギャンブルとエンターテイメントの街。別世界と呼んでも差し支えないほど魅力的な観光地ですが、大自然を堪能することが目的の旅とはあまりにも趣を異にしています。その点、大いなる田舎のようなフェニックスならば、落ち着いて旅を始めることができます。
ちなみにフェニックスはメジャーリーグの春季キャンプとオープン戦が行われる土地でもあり、かの大谷翔平選手やマイクトラウトが在籍するロサンゼルス・エンゼルスの施設もあります。
ベストシーズン
セドナやホースシューベンドはグランドキャニオンのように世界的に有名な観光地ではありませんが、それでも夏休みのシーズンは観光客が押し寄せ、かなり混みあいます。ホテルを予約することも難しくなります。
またアリゾナ州の夏は非常に暑くなります。40度を超える日も珍しくありません。
もし旅行時期を選べるなら、3月から5月までの春か、9月後半から11月後半までの秋をお勧めします。それでも日中は充分暑くなりますが、この時期はホテルも比較的取りやすく、安くもなります。ゆっくりと観光を楽しむことが出来るでしょう。
日程
- 1日目:フェニックスからセドナへ (走行距離約200km、運転時間約2時間)
- 2日目:セドナで滞在
- 3日目:セドナからホースシューベンドへ(走行距離約250km、運転時間約3時間)
- 4日目:ホースシューベンドで滞在
- 5日目:ホースシューベンドからフェニックスへ、あるいはラスベガスへ
1日目:フェニックスからセドナへ
フェニックスでレンタカーを借りたら、インターステート17を北上してセドナ方面に向かいます。なるべく朝早く出発する方がよいでしょう。この砂漠の中にある人工都市を抜け出すと、すぐに高速道路の両側は見渡すばかりの大地になります。
フェニックスからセドナまでは2時間ぐらいのドライブです。この日はセドナで宿泊することをお勧めします。なぜなら、セドナの景観は夕日が落ちる時間と朝日が昇る時間が最も美しいからです。そしてセドナにはゆっくり歩いて景観を楽しむトレイルが無数にあります。車で見て回るだけではなく、ぜひ歩いてみて下さい。
セドナでホテルにチェックインしたら、まずは近くにあるトレイルを探してみてください。私のお勧めは「デビルズ・ブリッジ・トレイル」です。
2日目:セドナで宿泊
この日はセドナに泊りますが、朝はぜひ早起きをして、セドナの奇岩に朝日が昇るところを見逃さないようにしましょう。まさにご来光と呼ぶべき、荘厳な景色を目の当たりにすることができるでしょう。
セドナ市内には「ボルテックス」と呼ばれるパワースポットが何ヵ所もあることで有名です。ボルテックスとは、本来は『渦』という意味で、「セドナ4大ボルテックス」と呼ばれるのがエアポート・メサ、カセドラル・ロック、ベル・ロック & コートハウス、ボイントン・キャニオンです。このうちとどれかを選んでも良いですし、セドナはそれほど大きな街ではありませんので、4つすべてを回ることだって可能です。
3日目:セドナからホースシューベンドへ
セドナからホースシューベンドへ向かいます。距離は約250㎞ほどですので、一気にドライブすることも可能ですが、私は途中のフラッグスタッフに立ち寄ってみることをお勧めします。
フラッグスタッフはグランドキャニオンへのゲートシティの1つですが、別に高地トレーニングの名所としても知られています。高名なマラソンランナーがここでトレーニングしますし、水泳の日本代表チームもこの地で合宿を行います。特に大きな観光スポットはありませんが、落ち着いた雰囲気の静かな街で、ここにもちょっとした散歩に最適のトレイルがたくさんあります。気に入ったら、この日はフラッグスタッフに1泊してもよいですし、もっと足を伸ばしてホースシューベンド近くの町(ページ)に入ってもよいでしょう。
4日目:ホースシューベンドと周辺の名所
ホースシューベンドでも夕日が落ちる時間と朝日が昇る時間は見逃せません。自然が織りなす大ページェントを堪能してください。
ホースシューベンドがあるページはホテルとスーパーマーケットぐらいしかない小さな町ですが、その近くには他にも有名な観光地がいくつかあります。
そのひとつは1966年に完成したグレンキャニオン・ダムです。コロラド川の水をせき止め、パウエル湖を作っているダムです。ダムには歩道が設けられていて、この雄大な眺めを楽しむことが出来ます。
ページの近くにはアンテロープ・キャニオンもあります。赤い奇岩が曲線を描く幻想的な景色は他では見ることは出来ません。ここも一見の価値ありです。
そしてもちろん、グランドキャニオンまで足を伸ばすこともできます。ページから国立公園北側(ノース・リム)までは約200㎞の距離。およそ2時間半のドライブです。
5日目:帰路はフェニックス経由、あるいはラスベガスへ
最終日はフェニックスに帰るか、あるいはラスベガスに向かうか、好みに応じて選択してください。ページからはどちらへも約4~5時間のドライブになります。途中で休憩や食事を入れると、もう少しかかるかもしれません。
あくまで大自然に親しむ旅を続けて、静かな穏やかな気分を求めるならフェニックスに戻りましょう。旅の終わりは賑やかに盛り上がって締めくくりたいのならラスベガスです。
(文・写真 角谷剛)