移住や駐在、留学やホームステイなど、初めてのオーストラリア生活を前に不安を抱えているあなた!
オーストラリア旅行前に現地の事情を知りたいと思っているあなた!
何回かにわけてお届けする「オーストラリア生活の注意点」シリーズ。今回は「外出編」をお届けします。
こんにちは。在住17年を超えた海外書き人クラブ所属、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
今回は「外出編」なので、家またはホテルを出るところから順を追って説明します。……と思ったのですが、最初に書こうと思った花粉症は、関係ない人にとってみたらまったくどうでもいい話なので、最後に持っていくことにします。
で、まずは駅の話から。
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1 無人駅または無人になる駅が多い
私が住むブリスベンは人口約100万の都市なのに無人駅が結構あります。わが家の最寄駅は、市の中心にある中央駅まで10駅未満、所要時間も20分未満なのに、夕方には無人駅になります。
それで何が不便かというと、両替できないこと。というのも、券売機はお札を受け付けてくれないのです。両替機もないので、小銭がない場合は通りすがりの人に両替してもらうしかありません。
日本同様磁気カードがあるので、購入しておくと便利です。しかも日本の場合、磁気カードを使ったからといって運賃が劇的に安くなるとこありませんが、少なくともブリスベンやゴールドコーストといったクイーンズランド南東部の場合、紙の切符を購入するよりも3割安いです。使わない手はありません。
それから無人駅や、時間によってはそうなる駅には改札がありません。ではどうやって出るのかというと、磁気カードをタッチする機械があります(日本のバスの中にあるような感じですね)。
監視カメラも見張っていますし、行く先となる市の中心部の駅ではちゃんと改札もあるので、きちんとタッチしてから入ったり出たりしてください。
2 電車のダイヤはあまりあてにならない
東京や大阪のような過密状態ともいえるダイヤではないのに、乱れることは日常茶飯事。というわけで外出の際は、時間に余裕を持つことをおすすめします。
またドアは、自動では開かない場所もあります。その際はドア横にあるボタンを押す必要があります。日本では地方に行くと見かけますが、都会育ちの人には慣れていないシステムですよね。
また女性専用車両は今のところ見たことがありません。まあ、日本の通勤・通学電車ほど混雑しているわけではなく、死角みたいなものはないので、こっそり痴漢されるということはないと思います。
ちょっと恐怖を感じることがあるのは、混雑時ではなく逆にひとけが少ない時間帯かもしれまん。ガラが悪い人間に絡まれたらどうしよう、とか。
そうならないためには車掌が乗っている車両がオススメです。とはいえ日本では最後尾があたりまえですが、真ん中あたりの車両に乗っていることが多いので、チェックが必要です。写真の青い服に黒のパンツの二人が、車掌さんです。
3 タクシーのドアは自動で開かない
日本でタクシーを停めると運転手さんが自動で後部左側のドアを開けてくれますが、そういう設備はないです。というわけで自分で開けてください。
よく「オーストラリアでは助手席に乗るのが常識」と言われます。確かにそうする人が多いのは事実ですが、男性ドライバーの横に座るのも気持ち悪いと思われる方は、後部座席に座っても一向に構いませんし、実際オーストラリア人女性でもそうしている人を見かけます。
4 自転車はヘルメット着用が義務
「自転車専用道路」で街の中心まで行けたり、車道に「自転車連用レーン」があったり。日本の都会よりも結構自転車に乗りやすい環境にはあります。
ただしヘルメット着用の義務があります。
5 スーパーが土曜日は夕方5時、日曜日は6時に閉まる
日本の都会だと週7日間、夜の9時とか11時くらいまでオープンしているスーパーマーケット。ところがオーストラリアでは、平日は9時閉店というのが一般的ですが、土曜日は夕方5時、日曜日は6時に閉まるところがほとんどです。
買い物の真っ最中どころか、夕飯用の買い出しに行ったら閉まっていたなんていう経験を、在住者なら1度や2度はしていることでしょう。……いや、私だけ?
そのかわり朝は8時から開いています。
6 店舗やショッピングセンターのエアコンが効きすぎ
とにかく冷やすのがサービスだと思っているようなところがよくあります。「省エネ」という概念もあまりなさそう。
またレストランでアウトドア(オープンエア)席に案内されることもありますが、寒いこともよくあります。
「外出するときは羽織るものを忘れずに」くらいの気持ちでいたほうがいいと思います。
7 バーなどで酔っぱらいの喧嘩が多い
「殴り合いで意識不明の重体」といった報道がときどきあります。アルコールが入って気が大きくなってしまう人が多いのでしょうか。
とにかく巻き込まれないように気をつけてください。
8 ウォシュレットと「音姫」がない
アルコールが入るとどうしても行きたくなるのがトイレ。
日本では公共ビルなどでも普及しているウォシュレットですが、オーストラリアのトイレにはありません。洗わないと気持ちが悪いという方もいるでしょうが……こればかりは慣れていただくしかないです。昔はみんな拭くだけでしたし。
それから「音姫」もないです。男性の中には「なにそれ?」という方もいるかもしれませんが、女性では知らない人がいない「トイレ用擬音装置」です。女性は排泄音を周りに聞かれるのが嫌なので、それを消すために水を流していた。だけどそれでは水資源の無駄遣いということで、スウィッチを押すと「流水音」が鳴る機械が設置されたらしいです。
ただオーストラリア人のみならず、そういうことを気にする人は少ないようで、たぶん日本以外では存在しないようです。
トイレがらみでいうと、日本より便座の位置が高いのが一般的。それから男性が「小」のほうをする「朝顔」がなくて、溝に向かって横一列になってという公衆トイレも結構あります。
9 公衆トイレや駅のトイレが少ない
「駅の構内にトイレがあるのはあたりまえ」と思っていたりすると痛い目に遭います。
やっと見つけたと思ったら、公園のトイレなどは夜になると鍵がかかっていることがほとんど。犯罪の温床になるのを防ぐためでしょうね。
それから飲食店で、店内にトイレがない場合、共用のところに行くときに鍵を借りるところがあります。
10 花粉症がほぼ一年中ある
症状がない人にはまったくなんともないのに、ある人にはとてつもなく悩ましい花粉症。じつはオーストラリアにもあります。
「オーストラリア免疫学・アレルギー学協会(ASCIA)」のサイトには、様々なアレルギー源となる植物とその花粉飛散時期が載っています。
この中で特に注目していただきたいのが上から二番目の「Australian Pine/She Oak」(オーストラリアパイン/シー・オーク)。
NSW(New South Wales)はシドニーのある州ですが、なんと12月を除いて一年中花粉が飛散しています。
ACT(Australian Capital Territory)は首都キャンベラのある地域ですが、6月を除いて一年中。
QLD(Queensland)は州都ブリスベンの他、ゴールドコーストやケアンズなど日本からの旅行者にもなじみの多い街がいくつもある州ですが、11月と2月と3月を除いて一年中です。
しかもこのオーストラリアパインという木、その名前からも想像できるとおり、もういたるところに生えている……というか植林されています。というのは、建築用の木材として適しているんですね。
このあたり、日本の花粉症の親分的存在であるスギとよく似ていますね。
症状も個人差はあるでしょうが、「涙と鼻水だらだら」という感じはあまりなく、私の場合は「咳と痰」が中心なので、日本のスギ花粉の時期ほどつらいという感じはないです。
また日本でスギ花粉症がある人が、必ずしもすぐにアレルギー症状が出るというわけでなく、私はこっちに来てから5年後くらい、同居人に至っては15年くらい経ってから出ました。
ただ放っておくと「頭痛」「微熱」「関節痛」「下痢」も伴うこともあります。「高熱以外はほぼインフルエンザ」という状態です。
というわけでこのオーストラリアパインに花粉症がある人は、ほぼ一年中抗アレルギーの薬を飲まないといけません。
まずはGP(General Practitioner=一般開業医。言ってみれば「街のお医者さん」ですが、内科だけでなく外科や皮膚科の症状もまずはこの先生に相談してから、専門医への紹介状を書いてもらうのが一般的です)と相談することをおすすめしますが、おそらく推奨されるのは「クララタイン(Claratyne)」。日本ではクラリチンと呼ばれている薬です。
ちなみにこれは製品名で、一般名は「ロラタダイン(Loratadine)」でジェネリックス(最初に開発された薬の特許が取れてから、他社が同じ成分で出したもの)も手に入ります。
サイトを調べたら日本での薬価は一錠80~90円台のようでが、オーストラリアでは1円もしない薬です。はい、タイプミスではなく、本当に1円以下です。
眠くなるなどの副作用もほとんどなく、すごくいい薬ですが……私の場合10年以上飲み続けたせいで効かなくなり、別の薬に変えなければならなくなりました。
以上、【3分でわかるオーストラリア生活の10の注意点(外出編)】でした。
【3分でわかるオーストラリア生活の10の注意点(家屋編)】もぜひご覧ください。
【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
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