移住や駐在、留学やホームステイなど、初めてのオーストラリア生活を前に不安を抱えていませんか?
今回は「家屋編」、つまり家に関する注意点をあれこれお伝えしたいと思います。
こんにちは。在住17年を超えた海外書き人クラブ所属、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
いきなりいたずらに不安を煽るのもなんですから、まず安心材料から。
ご存知かもしれまみせんが、オーストラリアの各州の州都は、様々な機関が発表する「世界の住みやすい都市ランキング」といったもので、上位を占めています。
つまり、基本的にはものすごく住みやすい国です!
そうはいってもやはり外国。日本とはいろいろ違うところがあります。
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1 シャワーしかない家もある
「どんなに疲れて帰ってきてもシャワーだけではものたりない」という方。
「睡眠時間を削ってもお風呂に入りたい(お風呂で寝落ちしたことがある)」という方。
お風呂っていうのは一家に一つある日本人の「心のふるさと」ではないでしょうか。
ところがオーストラリアにはバスタブがない家がかなりあるんです。つまりシャワーだけの家ですね。
一軒家はそうでもないですけど、2〜3階建てのフラット(日本風にいうと「低層マンション」ですね)では結構見ます。
しかもクイーンズランド州のブリスベンやゴールドコースト、ケアンズといった温暖な亜熱帯都市はまだしも、温帯のシドニーやメルボルンでもシャワーしかない家が見受けられます(ホテルなどでむしろバスタブがあるは高級なところに限られているとも言えます)。
家を買うときや借りるとき、よく気をつけてください。
ホームステイなどでは……なかなか事前に確認はデキないかもしれません。でも「そういう家もある」と前々から理解しておけば、いざそんな状況になっても慌てたり驚いたりせずに済むと思います。
またバスタブがあっても、「洗い場」はありません。
バスタブの前にシャワーがついている場合は、そこでシャンプーやボディーソープをつけて一気に洗い流します。「湯船につかってから頭や体を洗う派」の人はこれでいいかもしれませんが、「頭や体を洗ってから湯船につかる党」の方は、宗旨替えが必要になります。
一方、バスタブとは別にシャワーブースがある場合は、先に湯船の方も、先に洗う方も、満足できると思います。
ただし!
バスタブがあるからといって、まだまだ油断は禁物です。というのは……。
2 バスタブに追い焚き機能がない!
そうなんです。バスタブに追い焚き機能がないのです。
だから冷えてきたお湯を温かくするには、熱いお湯を足すしかないのです。
まあ、日本でも風呂釜がなくて、湯船の中の温度を上げるには、お湯を加えるしかないいうタイプのお風呂も見受けられます。
一軒家でもありますし、ワンルームマンションのユニットバスなどはだいたいそういうタイプですよね。まあ、あれと同じです。
ご自宅やご実家がそういうタイプであれば慣れているでしょうが、初めての方はとまどうかもしれません。
3 シャワーがすぐに水になる
これもオーストラリアで生活を始めて驚く人が多いポイントです。
それまで十数分間、ずっと快適に暖かいシャワーを浴びていたのに、突然水になるという症状です。
この原因、じつは「電気で温めたお湯を溜めたタンクが空になってしまった」からなんです。
タンクの容量は家の大きさによって様々ですが、私が以前住んでいた家では240リットルでした。
TOTOのサイトによるとシャワー1分間で使う水の量は世界平均で9リットル、オーストラリアも同様に9リットル。
寒さをしのぐために髪や体を洗うときも熱いシャワーを出しっぱなしにする人もいると思いますが、15分使うとして135リットル。タンクの容量が240リットルだとしたら、二人めの途中でお湯は尽きて、水になってしまう計算になります。
お湯はガスと違って非力ですから、一度タンクが空になってしまったら再び熱いお湯が溜まるまでしばらく時間がかかります。寒い冬なんかだと濡れたまま待ってたら風邪をひきますから、冷水シャワーでとっとと洗い流して出なければなりませんね。
そんな風にならないために、電気でお湯を沸かしている家では「シャワーは一人5分以内」「髪や体を洗っているときは水を止める」というルールを課していることが多いです。特にホームステイとかシェアハウスする場合は、気をつけてください。
「ちょっと待て。なんで非力な電気なんかでお湯を沸かすんだ? 強力なガスで沸かせばいいじゃないか!」
はい。それはごもっともなのですが、できないのです。というのは、オーストラリアの家庭では都市ガスが通っていないし、プロパンガスも使用していないところが多いのです。
具体的なデータは見つけだせなかったのですが、家探しで何十軒も見てきた感覚からすると、私が住むブリスベンの都市ガス普及率はせいぜい20パーセントとかそんなもの。都市ガスが通っていない家のほうが一般的です。
じゃあ、プロパンガスが主流なのかというと、そうでもない。
つまり都市ガスもプロパンガスもない家がほとんどです。
まるで『北の国から』の舞台、富良野の麓郷ですね。……あっ、あそこは電気も通っていないのか。
4 クックトップも電気
「クックトップ」とは台所でフライパンで炒めものをしたり、鍋で煮込んだりする部分です。日本では一般的に「ガスレンジ」と呼ばれている部分ですが、「ガスレンジも電気」だと無茶苦茶な日本語になるので、ここでは英語風に「クックトップ」としました。
これもオーストラリア生活を始めてビックリする人が多い点です。
「ウチのガスレンジ、火が出ない!」と。
それはガスではなく、電気だからです。
「いやいや、それじゃあ調理できないだろう。なんたって電気の熱じゃ、火よりもずっと温度が低いし」
確かにごもっともなのですが、一般的なオーストラリア人(つまりはイギリスから移住してきた人たちの子孫)はこれで充分なのです。というのは彼らがキッチンで火を使うのは、オーブンでのロースト料理か、鍋でコトコト煮込むスープやシチューだからです。
「ちょっと待て。オーストラリアといえばオージー・ビーフ。そしてビーフといえばまずはステーキだろ?」
はい。そのとおり。そういうときには、アウトドアあるバーベキューコンロを使うなんですね。
ただ日本人もそうなのですが、オーストラリアで増えている中華系の人たちも中華鍋をつかった炒めものが欠かせません。だから都市ガスが通っていないエリアに住む場合は、やはりプロパンガスを取り入れるようです。
5 トイレに手洗い栓がない
トイレを済ませたあと、便器の中身をジャーと流しながら手洗い栓で手を洗う。これはもう日本人にはデフォルト的に「一連の流れ」に組み込まれていると思うのですが、じつはオーストラリアのトイレには手洗い栓がないんです。
じゃあ、どうするのか。
はい。終わって、便器の中身を流したあと、トイレから出て、たいていの場合そばにある洗面所に行って手を洗うのです。ところがその洗面所にシャワーがあることも多く、誰かが使用中だったりすると……。
キッチンのシンクでトイレのあとの手を洗うという、「なんだかなあ」な展開があなたを待ち受けています。
6 タイルの床が多い
これはもしかしたら私が住むブリスベンやゴールドコーストなど、亜熱帯を中心にした傾向かもしれません。
タイルはひんやりしているので、暑い時期には快適です。
とはいえ寒い時期には足元が冷えますから、特に冷え性の方は、足首までカバーするようなルームシューズがオススメです。
7 洗濯物はひもに吊るす
いろいろな洗濯物干場はあるのですが、どこでもいわゆる「竿竹」は使いません。
直径三ミリ程度、ワイヤーの周りをビニールで包んだひもに吊るします。
布団はどうするのか。これじゃあ干せないだろ?
ウチではベランダに掛けて干しています。 まあ、マンションなんかでもこのやり方は多いですね。
あっ、それと一つ大切なポイント。
オーストラリア、特にブリスベンやゴールドコースト、ケアンズあたりは紫外線が強く、色物を外干しするとすぐ色落ちします。
室内干しがオススメです。
8 「プール付きの豪邸」が維持が大変
これも亜熱帯エリアならではの特徴かもしれませんが、プールのついた家が多いです。ウチもプール付きの「豪邸」です。
この場合の「豪邸」っていうのは「豪州にある家」ってだけなんですけどね。
土地代の高い東京でそんなところに住むのは夢のまた夢なので、移住してきて「プール付きの豪邸に住みたーい」と思って買ってしまったわけですが、結構維持費が大変です。
塩素をつくるポンプなどの機械も壊れて買い換えるとかなり高いし、水質を保つための塩や薬品も定期的に投入する必要があります。
機械が壊れたのに気づかなくて放っておくと……上のように鮮やかなエメラルドグリーンのプールになります。……はい、やっちまったのは私です。
まあ、子どもが小さかったときは、夏場毎日入って遊びましたけど。今では無用の長物です。
つまりプールっていうのは……「水物」なんですね。すみません。
9 庭が芝で、芝刈りが大変
これが結構重労働で……。特に芝の成長が早い夏場などは2週間に1回くらいの頻度で刈る必要があります。
郊外のよほど広い庭(というか「敷地」)だとトラクターみたいな乗車式の芝刈り機を使いますが、普通はエンジン搭載または電気のコードをつなげる手押し式のものを使います。
こんなもの暑い盛りに脇目も振らずに押していると熱射病一直線なので、普通は夕方涼しくなってから。近所のあちこちから芝刈り機のエンジン音が聞こえてきて、私は「芝刈り協奏曲」と呼んでいます。
まあ、「おまえも刈れっ!」っていう合図でもあるんですが。
10 都市部だって「野生の王国」
ちょっと見ない間にアシナガバチが巣をつくっていたり。
ヤモリなんかが平気で家の中にいたり。
苦手な人は気をつけてください。……いや、気をつけてもヤモリは入ってくるんですが。あれを素手で捕まえられるひとが羨ましいです。
あとわが家では太さ4センチ、体長2メートルくらいのヘビと、ポッサムというネコくらいの大きさの有袋類が、芝刈り機などを置いている物置部屋に侵入していたことがありました。はい、彼らです。
かっわいーいっ!
という黄色い声が聞こえてきそうです。
かわいいといえばかわいいのですが、物置部屋とはいえ屋内が遭遇するとビビります。あと、おしっこが臭くて……。
とにかく一般的にいって、オーストラリアの家というのは隙間が多くて、「野生動物フレンドリー」です。
以上、今回は「家屋」に関する「オーストラリア生活の10の注意点」でした。
【まとめ】
海外で暮らすんですから、いろいろなことがあります。
「違いを楽しもう」という気持ちが大切かな、と。
【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
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