お正月といえばご来光。特に山の上から見るのは格別です! でもたとえ低山で寒いだろう? いえいえ、南半球のオーストラリアはただいま夏! ということでご来光を眺めるには最高の季節なんです!
こんにちは。海外書き人クラブ所属、オーストラリアアウトドア部のユッキーです。今年の年末年始はブリスベンで迎えています。寒いのが嫌いな私は、たぶん「TUBE」級の夏好きなんですが、やっぱりお正月は日本のほうが風情がありますよね。……と認めるのが悔しいので、何かお正月らしいことで日本よりも快適にできることがないかと考えて……そう、ご来光にたどりつきました。まあ、東京でも高尾山くらいなら冬山装備なしでご来光は楽しめるんでしょうけど、ブリスベンでは半袖短パンでOKです!
というわけで、今日は行ってきたばかりのオーストラリアのご来光、「豪来光」のレポートです。
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1 目的地選びは足許優先で
どこでご来光を見るか悩んだのですが、市の中心部から西に6キロのマウントクーサにしました。ゴールドコーストやサンシャインコースト方面の山も考えたのですが、どこも「ほぼ垂直に切り立った崖」があったり、矢印頼りに岩登りしたり。ヘッドライト装着の夜間登山ということを考えると、やっぱりちゃんとした登山道があるところがいいかな。夜間登山初めてだし。
それから街灯がない道をヘッドランプ頼りに長時間ドライブするのもどうかな。
ということで、マウントクーサルックアウト(展望台)を目的地にしました。登山口までわが家から車で10分。標高287メートルの低山で、家族連れなんかもよく登っています。「ブリスベン市民の裏山」っていう感じです。
これが登山口にある標識。左端を見てください。フクロウと月のマークです! 「夜間登山の聖地」感がハンパないです。……ちょっと心配なのは夏の富士山みたいな大渋滞にならないかということです。
2 マウントクーサならHoneyeater Trackが近道
マウントクーサのメインルートというとLookout Trackになるんですが、登山口のそばの駐車場に行くまでのいくつかゲートが夜間は閉まっている可能性があるので、今回は裏ルートとでもいうべきHoneyeater Trackにしました。
「裏ルート」だと大渋滞もないだろうという読みもありました。
実際に行ってみると、このHoneyeater Trackの起点となる駐車場のゲートも閉まっていたので、Lookout Trackも同様なんじゃないかと思います。
というわけでHoneyeater Trackの起点から少し先にある道路脇の駐車スペースから合流するルートを取ります。下にあるのは朝になってから撮った写真ですが、このフレミングロードにグリーンフォードストリートがぶつかるT字路のところです。他に駐車している車はなく、これならば大渋滞もないだろうとホッと一安心したのですが……。
3 単独行きは避けるべし
半袖短パンなので虫よけを露出部分にかけて、3時40分、いよいよスタートです。日焼け止めは要りません。
夜空を見上げるとまだ新月から日が経っていないので、天の川が見えました。
目的地はこの看板の一番下にあるSummit Lookoutです。正確にはSummit(山頂)ではないのですが、ブリスベンの中心部の高層ビルなどがよく見える展望台です。……っていうか、マウントクーサの山頂ってどこなんだろ? たぶんブリスベンに生まれ育っても99パーセントの人は知らない七不思議のひとつなんじゃないかと思います。
最初はこんな風に広い道です。ここは登山者とマウンテンバイクと乗馬が共用する道です。
300メートルほど行くとこんな表示ができます。これから先はマウンテンバイクと乗馬は禁止で、犬の散歩と杖をついたお年寄り専用になります。……いや、これはハイキングスティックを表現したのか。紛らわしいですね。とにかくここから歩行者専用です。
いや、専用なのはいいのですが……「夏の富士山並みの大渋滞」どころか「人っ子一人いない状態」です。
こんな風に道は細くなって、気持ちのほうも心細くなります。……またうまいこと言う心の余裕があります。
不気味な橋なんかも出てきます。いや、昼間見たら全然不気味じゃないんですが。ここのところ雨は降っていないので、下に水は流れていません。
不気味なベンチなんかもでてきます。形容詞がすべて「不気味な」になっています。だけどこのベンチ、座ってみると……。
特に景色がいいわけでなく、目の前は雑木林です。どうでもいい話ですが、雑木林には積年の恨みがあるんです。あれは忘れもしない中学一年生の一学期。「ざつもくりん」と読んで、教室内に爆笑・哄笑の怒涛の渦を巻き起こしたのは、他でもない私です。
アホなことを思い出して、心細さを紛らわします。
こんな感じで結構歩きやすい道ですが……このあたりでは「ここで心臓麻痺とか脳溢血を起こしたらヤバいなあ」とかそんなことばかり考えていました。そんなことが気になるなんて、若いつもりでいるけどやっぱりオヤジなんだなあと、つくづく実感。
じつは今回の夜間登山とご来光、つい9時間くらい前まで長男も同行予定だったのですが、年越しそばの湯切りに失敗して、ほんの少しやけど。家を出る前も起きてきたのですが「やっぱやめておく」とのことで、単独行(ぼっち行)となりました。
「まあ、単独でもかわいいギャルとかたくさん登っているだろう」と高をくくっていたのですが……結局登山道では最後まで誰とも会いませんでした。
心臓麻痺と脳溢血の次に襲ってきた心配事は毒ヘビ。だけど下草はないから、ヘビに急に噛まれることもないでしょうね。
そんな悲しき「ぼっち君」の慰問に出てきてくれたカエル。
……っていうか、驚かせてゴメンね。こんな真っ暗な中、突然光が現れたらビビるよね。というわけで、この後しばらく「ヘビに睨まれたカエル」状態が続きました。
ときおりまわりの藪から「ザザッ」という何かが動く音が聞こえてきてビビるのですが、大きさからしてたぶん七面鳥だろうな……と能天気に解釈して進みます。
このゲートのところで登山道は終了。あとは車道の脇の歩道を通ります。30分強の道のりなので達成感とかいうよりも、ホッとした気持ちのほうがずっと強かったです。
じつは目的地であるSummit Lookoutは車でも来られるんですね。なんでそんなところを選んだのかというと、「さびしくなさそう」と思ったからなのですが、やっぱり徒歩でしか行けないところにしたほうが良かったかなあ。
でもあれやこれやで不安になるので、特に夜間登山は単独行は避けたほうがいいと思います。
4 三脚を持って行くべし
日の出予想時間の40分前、4時15分に到着。ここで問題発生です。「ちゃんとした三脚持ってくるの面倒くさいなあ」と出発直前に億劫になって、百均で売っている高さ10センチくらいの3本足の「カメラスタンド」と入れ替えたのですが……手すりが細くて立てられない! 結局、支柱に体を預けて固定して何とか撮りました。だけど……。
東の空の地平線の上にガスが発生していて、なんともご来光感のないご来光でした。……っていうか、よくよく考えたらブリスベンの東って海なんですよね。水蒸気が漂うのは構造的欠陥なのかも。……いや、地球にイチャモンつけたらダメですね。
これで上空に雲でもあれば朝焼けが楽しめたのでしょうが、そっちのほうはドッピーカン。まあ、「ご来光っていうのは美しさに意味があるんじゃない。それを見に行くことが重要なんだ」という言葉もあります。言っているのは主に私ですが。
さて、このところ暑くて運動不足だったので、マウントクーサのメインルートであるLookout Trackを下まで往復してみることにしました。すれ違う人も駐車場の車もほとんどなかったのは、やっぱりゲートが封鎖されていたからかもしれません。
そして明るくなってからしょっちゅう見たのが七面鳥。マウントクーサってこんなに七面鳥、多かったかなあ。クリスマスが過ぎて安心して出てきたのかもしれませんね。
車を停めたところに戻ってきました。ちょうどこの角のところです。
だけど今日は本当に暑くて、汗ダラダラでした。帰ってきて朝風呂というか朝水風呂に入って、ひと寝入りして、9時前に目覚めたら気温31度の体感気温34度。こんな猛暑が続くようだと昼前までに帰還する登山でも大変なので、また夜間登山にチャレンジしたい思う私でした。
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【文:海外書き人クラブ ユッキー】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
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