オーストラリアのケアンズといえば世界遺産「グレートバリアリーフ」でのシュノーケリングやフィッシングが有名。でもそれだけじゃない一味違った観光地もたくさんあるんです!今回はそんな「知る人ぞ知る穴場」を、現地在住の海外書き人クラブ会員の森いおながご案内いたします。
1 「バビンダボーダー」の超透明な水で川遊び
世界で最も古いと言われる熱帯雨林の雄大な森を抱えるケアンズ。それだけに滝や渓谷、河川は非常に多いです。ただ、美しい川や渓谷を見て、その魅力にうっかり足をつけると、実は獰猛なワニが潜んでいることもあるんです!
でもバビンダボーダー(BabindaBoulders)なら大丈夫。ケアンズ中心部から車で約50分。冷たくて透明な水を湛える「天然のプール」で、泳ぐことも可能です。海やスイミングプールとは一味違う川での水泳。散策道やバーベキューエリアもあるので、お一人でも、大人数でも楽しめますね。
近くには、Babinda Bakeryというとっても美味しくて、地元では有名なパン屋さんがあるので、できればパン屋さんが開いている曜日と時間を狙って行くのがお勧めです。
さらには、幹線道路であるブルースハイウェイから分岐する道路に入り、名もない小川を追ってみるのもお勧めです(ただし、足を踏み入れないようにしてください。クロコダイルに遭遇する恐れももちろんですが、手つかずの自然のバランスを壊す恐れもあるからです)。筆者は先日、こんな美しい小川に出会いました。
2 「エティベイ」の白い砂浜を散歩
ケアンズに限らずですが、オーストラリアのビーチは広く、砂は白く海は真っ青で、正に「海外のビーチに来た~!」という感慨がありますよね。
でもケアンズから車で約1時間20分の、ここエティベイは規格外。規格外に大きい!のではなくて小さいのです。入り江だからなのでしょうが、端から端まで楽に歩ける距離です。水はとても温かく澄んでいて、小さなお魚が泳いでいるのが見え、寒がりの方でも楽しめるのがポイントです。
海にはネットが入れられていて、エイが入って来られないようにされています。またエイの目撃があった際には、複数の監視員さんがやって来て危険がないように誘導してくださるので安心です。
さらにこのエティベイはカサワリバードCassowary Bird(ヒクイドリ)という体高2メートル近くに及ぶ、世界最大級の鳥の出現ポイント。筆者は遭遇したことはまだありませんが、周囲の人は複数人が遭遇しています。ちなみにここから車で20分ほどのコケットポイントCoquette Pointという場所では、ヒクイドリの雌が抱卵しているのを見掛けました。
またエティベイからは、映画「天空の城ラピュタ」のモデルになったとも言われる、パロネラパークParonella Parkが、車で約20分の場所にあります。広大な土地の中には、かつては城や劇場、ダンスホールなどであった廃墟があり、ラピュタファンでなくても、ぜひ訪れてみたい場所です。
3 「イノットホットスプリング」で硫黄温泉につかる
オーストラリアには火山がないから温泉もないという印象を持たれていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。でもじつはあります。
ケアンズから車でおよそ2時間20分。長旅ですね。でも大丈夫。宿泊施設も完備されていますので、疲れたらそのまま宿泊するのも手です。
こちらの温泉は面白いところは、この辺り一帯に硫黄泉が湧いているために温泉施設に入場せずともそこに流れる川自体がもう温泉。自分の好きな温度の地帯を見つけたら、そこの砂利を掘り、体を沈めます。水の温度は徐々に変化しますので、適温を探してウロウロするのもまた一興(非常に熱い地帯もあるので、いきなり足を踏み入れるのは厳禁)です。
近場のパブから流れてくる音楽を聴きながら、川から湧き出る硫黄泉に体を浸すという贅沢は、なかなか味わえるものではないと思います。
またここでは、河原でモモイロインコなどのインコや小鳥が休憩しているのを見られることもあり、動物好きの方にとっては思わぬプレゼントだったりします。
イノットホットスプリングから車で更に1時間少々、アサトンテーブルランド Atherton Tableland や、タリーゴージ Tully Gorgeといった風光明媚な場所へと、足を延ばしてみられるのも良いでしょう。
4 「キュランダバードワールド」で、鳥と触れ合う
最後は、ケアンズ観光スポットの王道かもしれないキュランダ。ケアンズ中心部から車で約30分です。キュランダスカイレイルKuranda Skyrailという崖っぷちを走る観光列車が有名かもしれないですね。
でも今回紹介したいのはそちらではなくて「キュランダバードワールド」という巨大な鳥かごの中へ人が入っていく体験型の施設。映画「ジュラシックパーク」と言えばわかりやすいでしょうか。ただあれほどの規模ではもちろんありません。数々の種類のオウムやインコ、他の鳥たちが飛び交う中を歩いては餌をせがまれ、あまり素敵ではない落とし物をされ、眼鏡や髪留めを盗まれそうになる……。といった、鳥好きさんには堪らない楽園。
鳥好きである筆者はどれほど頭の上にコンゴウインコ(大型インコ)が乗ってこようと、肩の上でワカケホンセイインコとウロコインコ(中型で咬む力が非常に強いインコ)たちが餌を巡って喧嘩を始めようとただただ微笑ましい姿にしか映りませんでしたが、両親に連れてこられた2歳くらいの男の子が、頭上にコンゴウインコが飛んできて、両親が笑う中その男の子は号泣というシーンには、ちょっと胸が痛くなりました。
入場料は20豪ドル(約1800円。2023年現在)とお手頃で、時間制限もないので「鳥と満足いくまで触れ合いた~い!」という方には超が付くお勧めのスポットです。
以上4つのあまりメジャーではない観光スポット。やけに車での移動時間が長いなと感じる方もいらっしゃるとは思いますが、オーストラリアそのものが日本の国土の約20倍の大きさ。一つのコンパクトなエリアを徹底的に遊び尽くすのもありですし、車で移動しながら、オーストラリアの様々な自然を感じるのもありでしょう。
オーストラリア旅行を計画中の方はぜひ上記の観光スポットもプランの中に入れてみられてはいかがでしょうか。
(文・写真(トップのコアラの画像を除く) 森いおな)