海外書き人クラブ新会員の翔です。今回はカメルーンの首都から車で1時間程離れた村に住む私が知る、この国ならではの常識を5つ紹介したいと思います。
日本の常識はカメルーンで通用するのでしょうか。……はい、通じません(笑)
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まずはカメルーンのおさらい
アフリカ大陸の中央に位置するカメルーン共和国。サッカーが好きな方なら聞き覚えのある国ではないでしょうか。
2002年にサッカーワールドカップ日韓大会で大分県の旧中津江村をキャンプ地としたことから、メディアに取り上げられていました。
公用語はフランス語と英語で、日本から飛行機で丸1日以上、時差マイナス8時間と物理的距離があるため、日本人にとっては身近ではない国であっても仕方がないのかもしれません。
では、いよいよ、そんなカメルーンの「常識」をお伝えします。
1 挨拶は必ず1人1人に
皆さんはどのように普段挨拶をするでしょうか。目上の人にはお辞儀、フランクな関係性なら軽く手を挙げたりでしょうか。
カメルーンでは挨拶から始まるコミュニケーションを大切にしています。初対面に限らず、町で出会えば固い握手を1人1人にします。
先日、カメルーン人の友達5人と一緒に町を歩いていると、前から共通の知り合いが現れました。当然のようにしっかり固い握手をしていました。人数が多いと握手するために列を作ったりすることもあります。
相手が家族など身内でもしっかり握手をします。日本人の感覚だとちょっと照れくさいと避けてしまいがちですが、カメルーン人にとって握手はコミュニケーションの始まりなのです。
私も今では握手をしながら挨拶することに慣れてしまい、先日、目上の初対面の日本人に何気なしに固い握手をしてしまい、少し気まずい空気を感じました。
握手以外にも、「bise」(ビズ)と言われる親しい間柄で使われる挨拶があります。フランス語で直訳するとキスという意味になりますが、実際にキスをするわけではなく、肩を寄せ合い、お互いの頬を軽くくっつけるといったものです。
回数は地域によって異なるようですが、私の地域では4回だそうです。男女や女性同士の挨拶でよく用いられるそうです。他にも、握手で手を離す瞬間に指で音を鳴らすようなくだけた挨拶もあります。
2 スリル満点! カメルーン交通事情
実はカメルーンにもTOYOTAなど日本車が数多く走っています。しかし、交通事情はまったくと言っていいほど日本とカメルーンとでは異なります。
一番顕著なのはタクシー。車のミラーが外れている、フロントガラスが割れている、車内が鉄板剥き出し、酷い車はそもそも扉がついていないなんてことも。物を大切に使うと表現すれば聞こえはいいですが、日本なら整備不良で一発アウトのボロボロの車がたくさん走っています。
信号無視も当たり前。隙間があれば車線関係なしで突き進んでいきます。
そんな車に乗るカメルーン人は乗り方もワイルドです。
基本的にタクシーは相乗り文化なのですが、その乗り方も隙間を一切許しません。日本の定員5人乗りの乗用車に運転手含め8人は平気で乗ります。運転席2人、助手席2人、後部座席4人。
運転手からするとできる限りたくさんの人を一度に乗せたいという合理的な考えに基づいているのでしょうが、私の価値観が大きく崩れた瞬間でもありました。
3 水シャワーが当たり前
そもそもシャワーが完備されている家のほうが少ないため、基本的に井戸や水道から汲んだ水を使用します。その姿は行水のイメージに近いでしょう。
またシャワーがあっても水圧が日本のように安定しているわけではなく、また断水も日常茶飯事。
しかしカメルーンは1年を通じて25℃~28℃と安定して暖かであるため、慣れてしまえばお湯か水かどうかは、さほど重要な問題ではなくなります。水があるうちに溜めて断水に備えよう。そんな意識が自然と根付いてくることでしょう。
首都から離れれば離れるほど水道の普及率は下がりますが、その代わり井戸は日本人である私たちが飲めるほど清潔な水が確保できるようです。子どもたちが朝から水の入ったバケツを頭にのせて運んでいる姿も珍しくありません。
4 「5分前行動」ってなに ?
日本の電車は分単位で時間通りに動くのが当たり前ですし、比較的時間にきっちりしていると世界的に見て感じると思います。日本以外の国は比較的ルーズという話を耳にしますが、カメルーンはその中でもかなりな部類に入るのではないでしょうか。
そもそもカメルーンでは、日本のように外出先で目に付く場所に時計があることが少ないです。腕時計を持っていればいいですが、持つ人は多くみられませんし、携帯も持っていますが、停電で充電ができていない。そんな光景をよく見ます。
そんな外的な要因もあってか、彼らと待ち合わせをするときは少し注意しなければいけないかもしれません。当然日本のように5分前、10分前行動のような文化はなく、むしろ30分~1時間の遅刻はザラにあります。
カメルーン人は待ち合わせや何かの約束で向かうときに頻繁に使う言葉があります。それは「J’arrive」(ジャリーブ)。直訳すると「私は到着します」という意になります。
待ち合わせに1時間経っても来ないカメルーン人に電話で催促したときの話です。当時まだ私はこの「J’arrive」の本当の意味を理解しておらず、もうすぐ到着するのだと勝手に思い込んでいましたが、ふたを開けると彼が到着したのはその1時間後、なんてこともあります。
個人的な解釈をすると、「J’arrive」とはきっと日本でいう「行けたら行く!」に当てはまるのではないかと私は考えています。つまり来てくれればラッキー! 今ではそんな心がけで彼らと待ち合わせをするようにしています。
5 オーダーメイドの服でオシャレを楽しむ
アフリカと言えばコーヒーやチョコレートなどカカオ産業が有名。でも実は民族柄を取り入れたアフリカ布も見るべきものがあります。
カメルーンでも町を歩けばアフリカ布で作った民族衣装をオシャレに着こなしています。
しかもこの民族衣装、既製品として販売しているお店もありますが、カメルーン人は布を仕立て屋さんに持ち込み、自分の好きなデザインをオーダーメイドするのが一般的です。老若男女問わずオシャレに敏感なカメルーン人は、毎日色々なデザインの民族衣装を着こなしています。
日本だと周りの目を気にして派手な服を避けてしまうなんて話も聞きますが、カメルーンにはそのような空気間はありません。着たい服を好きなだけ着ればいいのです。オシャレを心から楽しんでいるカメルーンの素敵な文化ですね。
ちなみに民族衣装を作る場合、布屋さんと仕立て屋さんは別です。まず布屋さんで自分の好みの布を選び、購入した後それを仕立て屋さんに持ち込み注文するといったシステムです。
布は物によって差はありますが、約4000fc~10000fc(約800円~2000円。※通貨はフランセファー)。仕立て料も約5000fc(約1000円)で、約1週間程度で完成します。
日本人にとってはかなりお得な値段ですね。布屋さんや仕立て屋さんはたくさんあるため、自分のお気に入りのお店を見つけるのも楽しみの1つです。
私たちにはとっては馴染みの薄いアフリカ・カメルーンですが、また日本とは違った独特の文化や魅力があります。離れて暮らすと、日本って独特な国だと感じる一方で、より祖国を強く意識して今まで気づかなかった魅力や文化に気づくことがあります。
多様性のあるこの世界。文化を「良し悪し」で判断するのではなく、「多様性の1つ」として寛大に受け入れていくことが大切なのだと思います。
(文・写真 翔)
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