オーストラリアに来てから毎日毎日ステーキばかりで厭きた。だけど魚料理も野菜も嫌い? そんなわがままにもほどがあるあなた! 私にお任せください。といっても救世主は私ではなく、かの「ジェイミー・オリバー先生」です。
こんにちは。海外書き人クラブ会員、オーストラリア在住17年の柳沢有紀夫です。私ももともと「オーストラリアの肉料理ってなんだかなあ」と思っていたクチです。で、結局わが家ではハンバーグや牛肉のたたき、からあげやヒレカツ、手羽先を和風に味付けしてグリルしたものなどが、よく食卓に並んでいました。ハンバーグを除くと、ほとんど日本風の料理ですね。
ところが出会ったのです、「ジェイミー・オリバー先生」の料理に。これが無茶苦茶うまいんです。しかもスーパーマーケットのウールワース(Wooloworths。通称「ウーリー(Woolie)」)でお手頃価格で買えるのです!
そんな料理の数々を紹介する前に、まず「ジェイミー・オリバー先生」に関して、ご存知の方も多いかもしれませんがサッと触れておきましょう。
スポンサーリンク
学校給食を改革したジェイミー・オリバー
イギリスの料理人。日本でも放映された『裸のシェフ』という料理番組で人気を集めましたが、名声をさらに高めたのはジャンクフードばかりだったイギリスの公立学校の学校給食の改革に取り組んだ活動でしょう。確かにひと昔前のイギリスの料理っていうと、「ステーキ+フライかローストかマッシュかなどの違いはあるにせよとにかくジャガイモ料理+ニンジンなどの温野菜」または「フィッシュアンドチップス(魚のフライトとフライドポテト)」みたいなイメージでしたよね。当然イギリス系の人が多いオーストラリアもそうだったのですが。
で、それではいかんと立ち上がったのがジェイミー・オリバーです。ジャンクフード的な学校給食を変えようとしたくらいですから、「栄養」にも気を使っています。さらに学校給食で調理師がつくれるような「手間も時間もかからない」料理を開発しています。
で、そんな健康的で簡単な料理を、肉などの素材と調味料をパックにして売っているのが、今回紹介する「クリエイト・ウィズ・ジェイミー」というシリーズです(一部の材料、たとえばオリーブオイルなどは含まれていないので、自分で料理する必要があります)。
1 Peri Peri CHICKEN THIGH SKEWERS(鶏もも肉の串焼き ペリペリ風味)
「ペリペリ」というはアフリカ原産の唐辛子の一種。この場合はそのペリペリを使った「ペリペリソース」で漬け込んだという意味です。この「ペリペリソース」は南アフリカ発祥でモザンビーク・ポルトガル料理を出すカジュアルダイニングレストランで、世界30ヵ国で展開している「Nando’s(ナンドーズ)」が広めたもので、今ではオーストラリアのスーパーの棚でも売られています。
ちなみに「漬け込む」は英語で「marinade」。日本で「マリネ」というとなんとなくお酢やオリーブオイル、レモン汁に漬け込むイメージがありますが、たとえばカルビ肉を焼き肉のたれに漬け込むのも「marinade」になります。
さて、その味です。ピリ辛ですが辛すぎることはない。そしてしょっぱすぎない。何より肉が塊のままなのでジューシー。日本の焼き鳥の正肉みたいな細切れの肉とはまた違った「むんぎゅ」という噛みごたえが絶品です。
バーベキューならそのまま、フライパンならオリーブオイルをテーブルスプーン2杯加えるだけ。「クリエイト・ウィズ・ジェイミー」シリーズの中でも、いちばん簡単な料理です。……っいうか、全然クリエイトしてないじゃん。
2 Ginger, Lime & Coriander SMASHIN’ CHICKEN FILLETS (鶏胸肉のステーキ しょうがライムコリアンダー風味)
これもまたすでに漬け込まれて味が染みている肉をフライパンで焼くだけです。一度ひっくり返す必要はありますが。
パッケージの裏に書いてあるレシピには、「最後に生のコリアンダー(パクチー)を少々振りかけてもよし。まさに神っている味」とあります。いや、意訳じゃなくて本当に「Just DIVINE!」と書いてあるんです。
だけど個人的にはそもそも調味料的に含まれているコリアンダーが、えぐみにも臭みにもならない絶妙な加減だと思います。しょうがとライムのさわやかコンビが、コリアンダーの短所を打ち消しながら風味をうまく引き出しています。
3 Asian-Style CHECKEN MEATBALLS (鶏肉のつくね アジア風)
鶏のひき肉に練りこまれたにんにく、タマネギ、唐辛子、コリアンダー、レモングラス、ターメリック、塩などなどが絶妙。まさに「素材の足し算がうまさの掛け算」というべき一品に仕上がっています。ここでもライムがコリアンダーの臭みを消して、いいところだけを引き出して……。ライムってコリアンダーにとって、「ほめて伸ばす」先生みたいな存在だなとつくづく感じました。もしもあの日ライムに会っていなかったら、コリアンダーは札付きの鼻つまみ者で終わっていたかみしれません。良かったね、コリアンダー。
写真のミートボールからところどころ飛び出して見えるのはビーフン。これがともすれば重くなりがちなミートボールの口あたりに、絶妙な軽快さを加えています。
パッケージ裏のレシピには「スウィートチリソースをディップとして添えて」とありますが、それをするとただの「スウィートチリソース味の肉団子」になりそう。このまま食べたほうがおいしい気がします。……ジェイミー・オリバー「先生」と書きながら結構逆らってますね、私。
4 Crispy Garlic CHICKEN FILLETS (鶏胸肉のサクサクカツ ガーリック風味)
いわゆる「チキンカツ」なのです。同梱の味付きパン粉の衣を鶏肉にまぶすというひと手間がかかるので、ようやく「調理」というか「クリエイト・ウィズ・ジェイミー」っぽくなってきました。
チキンカツですが、肉をガーリックと塩に漬け込んでひと手間かけるのがジェイミー風。さらにサラダ油に浸して揚げるのではなく、テーブルスプーン2杯の「オリーブオイル」で炒めるように仕上げるのもジェイミー風。揚げ物なのにさわやかで、外の衣がサクッ、中の鶏肉がじゅわっという歯ごたえです。
5 Beef Meatballs & Wagyu Chorizo (牛肉ミートボールと和牛のチョリソ)
牛肉ファンのみなさん、お待たせしました。いよいよビーフです。
そして今回はフライパンではなく、オーブンを使う料理。ミートボールなどが載っているアルミトレイがそのままパッケージになっていて、そこに同梱のトマトソースをかけてオーブンで焼き上げること25分で完成です。
「Beef Meatballs & Wagyu Chorizo」というメニュー名ですが、チョリソが別にあるわけでなく、正確には「ひき肉とチョリソのミートボール」といった感じです。肉の濃厚なうまみがトマトのさわやかな酸味と見事にマッチ。「フレッシュバジルとパルメジャンチーズをふりかけて」とありますが、それも一つの手だと思います。
6 Mexican-Style BEEF BURGERS (メキシコ風ビーフバーガー)
「バーガー」と書かれていますが、バンズがついているわけではなく、ハンバーグだけでの販売。健康に留意するジェイミーらしく、脂身の少ないハンバーガーですがチポトレ(乾燥されたハラペーニョ)、唐辛子、ピーマンなどでピリ辛のおいしさ。ああ、ハンバーグに必ずしも脂っこさは必要ないのだと感心しました。
以上です。どれか一つでいいので、ぜひ試してみてください。今回は肉料理を紹介しましたが、ジェイミープロデュースのものはほかにもあるので、それはまたいつか。
【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
スポンサーリンク
スポンサーリンク