2017年6月28~30日に開催された第6回クリエイターEXPO。3年連続で出展してきた経験を踏まえて、そこで学んだこと・気づいたこと・やるべきことなどの情報を、来年以降の出展希望者や来場予定者の皆様とともに共有してみたいと思います。
こんにちは。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫です。
スポンサーリンク
まず「クリエイターEXPO」とは何かというところからご説明しましょう。
カンタンに言うと、700名のクリエイターたちが小さなブースを出して、そこに来た出版社や広告会社、ゲーム会社、その他いろいろな企業の方々とお話をする「商談会」です。700名。かなりの数ですね。
参加しているクリエイターの約半分は「イラストレーター」。その他、「漫画家」や「絵本作家」、「映像クリエイター」「サウンドクリエイター」「写真家」「書道家」もいて、私が属する「作家・ライター」は30名程度という少数派です。
この「クリエイターズEXPO」は東京ビッグサイト(国際展示場)で毎年開かれています。じつは2015年前までは「東京国際ブックフェア」と共催だったのですが、2016年からは「コンテンツEXPO」の中に吸収されました。「コンテンツEXPOって何?」という声も聞こえそうですが、そのあたりはまたのちほど説明します。
さて、どんな仕事でもそうですが、特にクリエイターにとって「飛び込み営業」はむずかしいもの。そういうわけで、「まだまだ仕事を増やしたい」と考えているクリエイターにとっては絶好の機会! ……にすることもできるし、お金をドブに捨てることにもなります。
そんな「クリエイターEXPO」に3年連続で出展した私が、「実際のところ」を本音で語ってみたいと思います。
1 出展料と見合う価値を得られるか?
知り合いの来場者に訊かれて答えるとみんな驚くのですが、クリエイターEXPOの出展料はそれなりの金額がします。私の場合、来年(2018年)の出展は今年の会期中に申し込んだので「早割」が適応されて、「通常出展料11万円」-「早割3万円」=「8万円」。これに「角小間(これのメリット・デメリットに関してはあとで説明します)料金1万5000円」が加算され、それらに税がかかって合計「10万2600円」。
ちなみに早割でなく、通常申し込みで角小間でないところを申し込むと「11万8800円」です。
一畳半ほどのスペースを3日借りる値段としたらかなりの値段。「うわっ、大金だなあ」と思われた方もいると思いますが、出費はそれだけではありません。
私の場合、オーストラリアからのこのこやってくる飛行機代が10万円強。とはいえ私は東京にある実家に宿泊できるのですが、たとえば地方から上京してホテルに宿泊する出展者だと、往復の交通費と宿泊代を考えるとこれに近い額がかかるでしょう。
この他にパンフレットやB0パネル(このあたりも後述します)の「印刷代」や、パンフレット立てなどの「備品代」がかかります。B0パネルや備品は3年くらい使いまわしできると考えると、「印刷代と備品代の合計」は1年につき2万円くらいでしょうか。
さらにB0パネルやパンフレット立て、その他の「備品や出展物の会場への往復送料」1万6323円(レンタカーを借りた年もあったのですが、2017年は駐車できる場所が遠かったので運送業者に頼んだのですが……搬入と搬出時に軽のトールワゴンのレンタカーを借りるのとだいたい同じくらいですね)。
つまり直接的な出費は約24万円! これ以外にパンフレットづくりなどに費やす時間もあるのですが、それを入れなくても約24万円です!
で、この「出展にかかる費用」を回収できるかどうかですが……微妙です。というか、人それぞれです。当日しっかり商談すれば、充分もとはとれます。逆にいえばきちんと準備も商談もしなかったら、お金をドブに捨てることになります。
2 そもそもクリエイターEXPOとは「商談会」だと理解する
まずこの大前提から勘違いされているんじゃないかないと感じられる出展者がかなり多いです。まるでコミケみたいな(私自身行ったことはないのですが)奇抜な恰好やコスプレをしているあなた。目立つことは大切ですが、「目立つが勝ち」ではありません。
大切なのは「誰にどう目立つか」ということです。周囲の出展者から目立っても意味がありません。来場した企業の方から単に物珍しがられても無意味です。
企業の方々から「商談したい」と思われなければ意味がないのです。
あなたがそれなりの額の商談しようと考えているとして、コスプレしていたり頭にかぶり物をつけていたりする人を相手にすると思いますか?
また「商談席」である机に座って真剣にパソコンのキーボードを叩いていたり、なぜか一心不乱な読書をしたりしている人もいます。本人にしたら「誰も話しかけてこないときは暇だから」ということなのかもしれませんが、来場者にしてみたら「話しかけるなオーラを漂わせている人」になります。「それでもこの人とどうしても話したい」という来場者もいるかもしれませんが、展示を見て「ちょっと話したかったんだけど……」程度に思った人は「話しかけられたくなさそうだからやっぱりやめておこう」となります。
どんな商談でも同じだと思うのですが、「相手がどう感じるかを想像すること」はとても重要だとおもいます。
3 さわやかで、きちんとした服装を心がける
ではコスプレやかぶりものではなく、どんな服装をしたらいいか?
来場者の中にはひやかしや物見雄山、来年以降の出展を検討しているクリエイターなどもいますが、少なくとも「商談」に来てくださっている方々は男性ならいわゆる「クールビス」、女性もそれに準じるような格好の方がほとんどです。基本的にはそれにあわせるのがいいと思います。つまり男ならワイシャツとスラックスですね。
ただしこちらはクリエイターですし、目立つこと(「悪目立ち」ではなく)も必要です。来場者と同じ「白ワイシャツ+紺色長ズボン」では埋もれてしまいます。
そこで私が選んでいるのは、「ピンクやブルーの半袖ワイシャツ」+「白いパンツ(長ズボン)」+「くるぶしの下までの靴下(フットカバー)」の組み合わせです。一応「ワイシャツ+長ズボン」の組み合わせを守りながら、さわやかに目立つことを心がけています(2018年は夏ではなく春の開催なので、半袖やフットカバーの靴下は無理でしょうが)。
あなたが若い美人やイケメンだとしたら、普通の「クールビズ」でも顔だけでさわやかに目立つことができますが、私同様の中年だとしたら「白ワイシャツに紺の長ズボン」は、クリエイターとしては「ジジくさい」印象を与えると思います。
やはり見た目や第一印象は大切です。
4 大きな取り引きをするためには、そのための展示が必要
第一印象とか見た目が大切なのは何も服装だけではありません。展示そのものもです。
あなたが提供するサービスが他では類を見ないような奇抜なもの(そういう出展者もいます。たとえば2017年にご近所だった出展者は「各種パズル作成者」でした)であれば、手書きとかA4の普通のコピー用紙にプリントアウトしただけのシンプルなものだけの展示でもいいのかもしれません。
でも通常は展示でも「見栄え」も重視したほうが、大きな取り引きにつながると思います。来場者の立場になればわかると思います。あなたはそれなりに大きな商談を、みすぼらしい展示のブースでしようと思いますか?
さて、では「大きな取り引きを得るための展示」のポイントをまとめてみましょう。
B0パネルなど「目立つ展示物」を用意する
「B0パネル」とは、展示ブースの幅ギリギリまでのパネルです。「パネルにしてしまうと持ち運びにくいので、くるくるとまとめられる布ポスターにする」という人もいます。ただ個人的にはきちっとした「パネル」のほうが「本格的」な感じが演出できると思います。
持ち運びにくいのは確かですが、事務局が用意する「宅配サービス」を利用すれば往復と空箱保管料も含めて5000円もかかりません。それだけで「本格感」が買えるのなら安いものです。
↑
(2019年3月08日改訂)2019年のクリエイターEXPOでは「宅配サービス(搬出入)」の担当会社が変わりました。2018年の会社は「重量ベース」での料金計算だったので大きくても軽いB0パネルは4000円強だったのですが、2019年の会社は「大きさ(縦×横×奥行き)ベース」で軽くてもスペースを取るB0パネルは空箱の保管料も含めて1万6000円強の見積もりでした。
ちなみにアルミ枠のついた「B0パネル」の作成代は、デザインを自分ですれば2万円強でした。2~3年は使えるので、まあ安いものだと思います。「家での保管に困る」のであればその都度壊す必要がありますが、それでも送料も含めて3万円で買える「本格感」は捨てがたいと思います。
著書などの「実績」を見せる
大きな取り引きを狙うには、やはり「大きな仕事を任せられる」と印象付けるのが大切です。ライターであれば、それは「著作」がいちばんだと思います。
その次が有力誌での「数ページの特集記事」や「連載」でしょう。
自分の反省を兼ねて書くと、「数ページの特集記事」や「連載」の有力誌がある場合は、当該ページだけを切ってファイルにはさんで「ポートフォリオ」にしてしまうのではなく、「雑誌そのものを持ってきて、当該ページに付箋をはさむ」ほうが、「すごい仕事をしている感」が出せて効果的だと思います。イラストレーターの場合だとパッパと見られるからポートフォリオは大切ですが、ライターの場合、商談相手はいちいち文章を読むことはほとんどありません。だから「こんな媒体で書いているから任せるに足る」と思っていただくことに主眼を置くべきで、だとしたら「自著や雑誌をそのまま展示」したほうが効果的です。
書籍や雑誌はかさばるのですが、そこは「宅配サービス」をうまく使えばいいと思います。
また書籍や雑誌を展示するには、私のように「パンフレット台」を持ち込むのもいいですし、事務局からパネルにつける陳列棚(一つ5000円)を借りるのも手だと思います。
5 しっかりしたパンフレットを用意する
私は今まで「一枚ペラのチラシ」も「6つ折りの【企業案内】に近い体裁のパンフレット」も用意してきました。頭の中では「ばらまき用には一枚ペラのチラシ、詳しく知りたい方向けに6つ折りの【企業案内】に近い体裁のパンフレット」と棲み分けを考えていたのですが……。じつは両者をパンフレット台にならべて置いておくと「6つ折りのパンフレット」を持って行かれる方が圧倒的に多かったのです!
というわけで途中から「一枚ペラのチラシも6つ折りのパンフレットに挟み込む」という頭脳作戦に出ました。……はい、策士です。
さきほどの「大きな取り引きを狙うならB0パネルを用意する」という話ではないですが、配布物もそれなりの体裁にしたほうがいいと思います。デザインする時間はかかりますが、印刷代なんて出展料に比べたら安いもの。そこはしっかり投資しましょう。ちなみに私は「プリントパック」という印刷会社を利用しています。
6 自分の「売り」は何なのか理解し、訴求ポイントは1つに絞る
私は今まで3回出展していますが、初回の出展のときは「3つのポイント」を展示していました。つまり……。
- a)オーストラリア在住のライターである
- b)「海外書き人クラブ」という海外在住ライターやカメラマンを集めた組織をしていて、各国事情を集めた書籍やリレー連載を一括受注できる
- c)別名義で、すでに新潮社などから小説を3冊出している
ただしこれだと訴求ポイントがあいまいです。来場者は一つひとつのブースをじっくり見るわけではありません。1~2秒、せいぜい5秒の「チラ見」で、そこの興味があるかないかを判断する人がほとんどです。
だから「主に訴求するポイントは一つに絞る」ほうが効果的です。
私の場合、一年の経験で、
- a)オーストラリア在住のライターを探しに来ている人なんていないし、
- c)文芸の編集者もまったくこない(ただし映像のプロデューサーは来ます)
ことを学んだので、2年目には
- b)「海外書き人クラブ」でできること
に絞ったB0パネルを作成しました。
ちなみにa)の部分は「へえーっ、オーストラリアからわざわざ来たんですか」と興味を持って話しかけてくださる方も多かったのですが、商談に来ている人でない一般の来場者がほとんどで、そこに時間をとられてむしろ逆効果だったと思います。
7 自分は「どんな種類の商談」をするべきなのか理解する
たとえばあなたがイラストレーターだとすると、「どれだけチラシやパンフレットを受け取ってもらったか」はあまり意味がないと思います。ただ渡しただけのチラシなら、何十枚の同類の中で埋もれてしまうでしょうから。だから「ブース内の椅子に座って、作品をじっくり見ていただき、印象づけ、できればその場で『このイラストレーターをあの媒体のあのページで使おう』と決めてもらう」くらいまで持ち込むことが大切になると思います。
一方私の場合は、「海外書き人クラブ」というのが「オンリーワン」のサービスですから、パンフレットを持って行っていただくだけでもいいのです。何年か後でも「ああ、そういえば海外のライターやカメラマンを一気に手配できる組織があったな」と思い出してもらえばいいのですから。実際、飲み会や交流会などで名刺交換をして5年後に連絡をいただいて取り引きが始まったなんてことはザラにあります。
もちろん椅子に座っていただいて商談できるのがベターですが。
↑
(2019年3月08日改訂)2018年のクリエイターEXPOではこの「チラシだけ持って行かれた方からあとで連絡をいだたく」というパターンが本当に多かったです。特に最終日である金曜日の午後3時以降はひっきりなしに商談になるので話せない方もたくさんいます。チラシやパンフレットは絶対に切らさないようにしましょう。
また来場をされるクライアントのみなさん。金曜日の午後3時以降は来場者も多く出展者も大忙しなので、できれば水曜日か木曜日、または金曜日でも午前中にお越し下さることをおすすめします!
8 「ゾーン」分類からはみ出す活動をしている人は「角小間」も効果的
「角小間」というのは通路の両端のことです。つまりは「角地」です。目の前の「通路」だけではなく、それと垂直に交わる「大通り」にも面した場所です。
先ほども書いたように、角小間の出展料は1万5000円余分にかかるのですが、展示を目の前だけでなく「直角」に交わる通路側に向けてもできるという利点があります。
ただ、すべての人に利点があるわけではありません。たとえばあなたが「健康事情や医療事情に強いライター」や「旅行作家」など、【作家・ライターゾーン】という区分けにきちんと当てはまる人であれば、角小間の利点はあまりないかもしれません。「作家やライターを探しに来た人」と出逢えればいいのですから。
でも「海外のライターやカメラマンを使った書籍やリレー連載、その他リサーチなどの仕事を一手に引き受けることができるんですよ」という私のように、ゾーン分類にどんぴしゃりとは当てはまらない人間は、「たまたま通りかがった人」と出逢うチャンスを増やすために角小間も有効だと思います。
9 「応援に来てくれる人たち」は宝物
クリエイターズEXPOの事務局は、「会いたい企業のみなさんに招待状を送りましょう」と盛んにPRしていますが……知り合いでもない人に送ってもたぶん反応はしてくれないでしょうから、あまり意味がない気がします。
それよりも重要なのは、知り合いであるクライアントの「もしクリエイターEXPOにいらっしゃるのなら、ぜひブースに立ち寄ってください」と声をかけることです!
というのは、ブースの椅子に誰かが座っておしゃべりしていると立ち聞きして、それまで話していた人が席を立ったあと「ちょっと話を伺っていいですか?」と話しかけてくる人が非常に多いのです。そんなふう商談までは至らなくても、ブースの椅子に座っている人と話しているときのほうが、パンフレットを持っていってくれる方が増えます。
「行列のできている店に並ぶ」というのと同じ心理でしょうね。
「既存のクライアントとなら直接会社訪問すればいい。クリエイターズEXPOは新規クライアントを獲得する場なのだから時間の無駄」と考える方もいるかもしれませんが、こんな感じで効果は抜群! それに既存のクライアントの方はたいてい、誰かが後ろであなたと話したそうに待っていれば、それを察して「じゃあ、私はこの辺で」で席を空けてくれるものです(よくわからない感じで居座ろうとするのは、商談ではなく冷やかしというか物見雄山的に来る人たちがほとんどです。そういう方には「ここは商談の場なので」とやんわりとお引き取りを願いますが)。
というわけでクリエイターEXPOにいらっしゃる方や、いらっしゃるかどうか迷っている方には、「ぜひブースに遊びに来てください」と声をかけておきましょう。
10 他の出展者と連携関係をつくっておく
これもかなり重要なポイントです! というのは連携することで、より多くの来場者と知り合えるようになるからです。
開場前の準備時間や、来場者があまりいない開場直後には、出展者同士、結構おしゃべりします。その際に、お互いの得意分野を把握しておき、「ブースに来た人たちを紹介し合いましょう」と約束しておくのです。
そうして「ビジネスが得意なライターを探しいている」という来場者が 来れば、該当する人を紹介する。そうすると今度は逆に「海外ものが得意なライターを探している」という来場者がその人のところにあったときに、紹介してもらえるようになります。つまり「持ちつ持たれつ」ですね。
この関係は、別のゾーンに出展している方々とつくるのも効果的です。私の場合一昨年近くに出展したイラストレーターと意気投合して、毎年ブースで新規や既存のクライアントと話すたびに「そういえばフットワークも頭もいいイラストレーターがいるので紹介させてください」と、彼のところに連れて行きます。逆に彼が私にも来場者を紹介してくれます。
ただ来年はそのイラストレーターは出展してないようなので、「持ちつ持たれつ」をしたい方、ぜひ声をかけてください。
11 問題点は「編集者の来場が減っていること」
ブースで話したり、パンフレットを持って行ったりしてくださる方は増えていますが、正直言うと少なくとも【作家・ライターゾーン】に出展している私たちが「会いたい」と思う方々との出会いは、年々に減っているように感じます。つまり「編集者」や「映像プロデューサー」などです。
逆に増えているのが「コンテンツマーケティング系」の方々。これは2016年度から「東京国際ブックフェア」とではなく「コンテンツEXPO」との共催というか、その中の一部になってしまったことが大きな原因と考えられます。「コンテンツEXPO」というのは「コンテンツマーケティングを提供する企業」のための商談会です。
ただ「コンテンツマーケティング系」の方々が持ってきてくださる話は、すべてではないにしても、ギャランティーの設定額が少なすぎて……。「1文字1円」どころか、それ未満の話もチラホラと……。そういう方々によると、今や「1文字0.1~0.5円くらいが相場」だとか。ということは、1000字の記事を書いて100~500円ってことです。
この「世界のコトから」でも、あれこれ調べることに要する時間も含めれば、3000字程度の記事を書くのに、私の場合少なくとも3~4時間くらいはかかります。でもコンテンツマーケティングの相場だと、その原稿料は300~1500円。がんばっても一日せいぜい3記事しか書けないでしょうから、900~4500円。かなり厳しいですね。
しかもそういった「コンテンツ」では署名記事にならないことも多いから、自分の宣伝にもならない。
「プロになるために書く経験を積む」という考え方はあります。というか、とことん書いて書いて書きまくる必要があります。そしてクライアントがいなくて自由書ける個人ブログや同人誌ではなく、商業的なメディアで書くことで「読者を満足させるためのライティングスキル」を身につけられるのも事実です。
ただ一日10時間前後働いて、日給900~4500円というのはやっぱりキツいですよね。「ブラック企業」すら、ホワイトに見えてきます(この「世界のコトから」は海外書き人クラブの会員に原稿料なしで書いてもらっていますが、それは「未来への投資」として割り切ってもらっています。これで新規クライアントが獲得できるんじゃないかと)。
ちなみに海外書き人クラブで回している仕事で、「1文字0.1円」はもちろん「1文字1円」なんていうものはありません。少なくともその数倍、場合によって何十倍といったギャランティー設定のものばかりです。そうじゃないと「ライターとして生活する」なんてできませんから。
ライターは素敵な仕事です。大儲けできないにしても、少なくとも「それで生活できる」という水準を保てるようにするのが、たくさんのライターが参加している組織のお世話係をしている私の使命の一つだと思っています。
すみません。少しアツくなってしまって。私の上空に松岡修造前線が停滞しているようです。
12 来年度に向けての考察
「1文字1円」の人たちではなく、きちんとした労働対価を払ってくださる編集者などと会いたいのに、「クリエイターズEXPO」は「東京国際ブックフェア」との共催でなくなったため、そういう人たちの来場が減っている。
じゃあ、どうすればいいのか。
今、私もいろいろと考えているところです。
一つの案として「編集者があまり来ないコンテンツEXPOではなく、東京国際ブックフェアそのものに出展する!」ということを思いつきました。これなら今よりもずっと編集者に会えるだろうと。
ただ不安な点もあります。「個人クリエイターではなく企業の出展が前提だから、料金は高いだろうなあ」ということです。で、調べてみたところ……なんと2017年は東京国際ブックフェアが休止! 出展社にしてみたら思ったほどの費用対効果が得られなくなっているんでしょうね。
ちなみに2016年はもっとも小さな「標準ブース」で出展料40万円だったようです。……うーん、個人で出すにはかなりの額ですね。この額で2018年に再開されても……ちょっと出展はむずかしそうです。
でも出版関係者と話したいと思っているクリエイターは多いので、ぜひ2018年以降に東京国際ブックフェアを再開された際は、小さくて料金の少ない「クリエイター用ブース」を設置していただきたいと、事務局側に要望を出していきたいと思います。
とはいえその「東京国際ブックフェアに出展する」という案は、とりあえず今年はもう実現不可能です。
もう一つ考えているのは、あまりいらっしゃらない「編集者」の出会いは諦めて、「コンテンツマーケティングを視察に来た一般企業のみなさま」と直接取り引きをできるような展示(アピール内容)に、思い切って方向転換するというもの。
ただ、そうすると今度は逆に、本当は会いたい編集者たちと出会いにくくするというのも本末転倒な感じもして……。
本当は東京国際ブックフェアが再開され、かつクリエイターズEXPOは再びそちらと共催になるといちばんなのですが……。事務局のみなさん、この願いを聞いていただけないですかねえ。
というわけで、今後どうするかはまだまだ試行錯誤の段階です。
≪追記≫
出展4年目で新たに気づいたことをまとめた姉妹記事、【クリエイターEXPO出展4年目で気づいた4のポイント】を発表しました。こちらもぜひご覧ください。
≪追記≫
2019年4月3~5日に開催される第8回クリエイターEXPOでの、私の出展ブースが決まりました。
E3-17というところです。
接客中以外はおしゃべりできますので、ぜひ遊びに来てください。例年午前中、特に午前10時の開場間際は来客は少ないです。
【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(この記事を書いている海外書き人クラブの紹介が、ページの一番下にあります。ご発注やご入会をお考えの方、ぜひご覧ください)
スポンサーリンク
スポンサーリンク