こんにちは。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫です。
先日の「馬肉」に続いて、今回は「犬肉」です。「犬食」については韓国がソウルオリンピックやサッカーの日韓ワールドカップを開催するたびに叩かれていますが……韓国・北朝鮮以外にも犬の肉を食べる国や地域はあるのでしょうか? 海外書き人クラブのメンバーに訊いてみました。
「あなたの住む(住んでいた国)で犬肉は食べますか?」
回答があったのは以下の国々のメンバーです(敬称略)。最初にお断りしておきますが、その国全土にわたって調査したわけでも、法律的な可否を調べたわけでもなく、あくまでも現地在住者が一生活者の視線で、身の回りの状況を伝えるものです。
また、今回「犬肉」の画像も入手したのですが、特に頭部などがちょっとグロテスクなので掲載せず、生きているワンちゃんたちだけにします。
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回答のあった国々と回答者
アジア10ヵ国
- アフガニスタン 瀧川貴世(元在住)
- インド パッハー眞理
- ウズベキスタン 川口穣(元在住)
- カンボジア 西村清志郎/青山直子
- タイ 鳥羽正子
- フィリピン Okada M. A./大沢義生
- ベトナム 古川悠紀
- マレーシア 森純
- ラオス 森卓
- 中国 yue
アフリカ3ヵ国
- エジプト アッブデルファッタ朋子
- モロッコ 大西久恵/和田麻弥
- 南アフリカ共和国 バンベニ桃
ヨーロッパ11ヵ国
- アイルランド 小島瑞生(元在住)
- イギリス 倉田直子(元在住)/倫敦塔子
- オーストリア バレンタ愛(元在住)
- スイス 小島瑞生
- スペイン ボッティング大田朋子(元在住)
- ドイツ 長藤かおり
- ハンガリー 鈴木文恵
- フィンランド セルボ貴子
- フランス 羽生のり子/兒玉ゆきこ
- ポーランド ソルネク流 由樹
- ルーマニア 石川寛久
北中南米3ヵ国
- アメリカ トゥルーテル美紗子/ハンソン容子
- カナダ バレンタ愛/カオリ
- ブラジル マンゲイラ靖子
オセアニア2ヵ国
- オーストラリア 柳沢有紀夫
- タヒチ(フランス領ポリネシア) 浜口幸喜
今回も合計ちょうど29(ニク)ヵ国から回答をもらいました。
ではまず食べる国と食べない国に分類してみましょう。
食べる国/食べない国
食べる国や地域
(「食べる人もいる」という場合はこちらに入れています。複数人から回答があって「食べる」「食べない」で別れた場合は「食べる」に入れています)
- カンボジア
- タイ
- タヒチ(フランス領ポリネシア)
- フィリピン
- ベトナム
- ラオス
- 中国
食べない国や地域
- アイルランド
- アフガニスタン
- アメリカ
- イギリス
- インド
- ウズベキスタン
- エジプト
- オーストラリア
- オーストリア
- カナダ
- スイス
- スペイン
- ドイツ
- ハンガリー
- フィンランド
- ブラジル
- フランス
- ポーランド
- マレーシア
- ルーマニア
- モロッコ
- 南アフリカ共和国
つまり……。
食べる国7ヵ国 /食べない国22ヵ国
という結果です! かなりの大差がつきましたが、これは「意外」なのかどうかむずかしいところですね。
「食べる国」は東南アジアがほとんどです。今回のアンケートでは回答が得られませんでしたが、韓国も当然「食べる国」なので、「犬の肉を食べる国々は東南アジア・東アジアに固まっている」と言えるかもしれませんね。
「食べる国からのコメント」
まずは食べる国からのコメントです。
『皮を剥いで、頭部も含む全身をバラバラにして、炭火焼きで』
(カンボジア 西村清志郎)
『「生粋のカンボジア人は犬は食さない」と街に住むカンボジア人は言いますが、田舎の方は食す人もいます。街で飼い犬がいなくなったと聞くと、最初に思い浮かぶ要因は、「犬食屋さんに売られたかも」です』
(カンボジア 青山直子)
『タイでも一部エリアで食べると聞いていますが、近隣の犬を食べるベトナムや中国への違法な犬肉のトレードが動物愛護団体の運動を通して、新聞やニュースでも取り上げられ、問題になっています。飼い犬もみんな見境なく捕まえて、檻にぎゅうぎゅう詰めで輸送している車をタイ警察も取締りしています。途中で死んでしまう犬もいて、とても残酷です。なので犬を食べる、というテーマになると、このドッグミートトレードの惨状が思い浮かびます』
(タイ 鳥羽正子)
『犬は地方では食べる習慣が残ってます。一応、法律か条例かで禁止はされているそうですが、田舎では構わず強壮の為に食べられています』
(フィリピン Okada M. A.)
『北部の山岳地帯(バギオなど)で食べます。その他のエリアでも、北部の地方出身の住人が出稼ぎできている建設現場周辺などで食べられることはあります。食べると体があたたまるのだと言っています。
どの犬でもそうなのかはわかりませんが、バギオの犬料理やで提供されていた料理は、匂いを消すためか、生姜と長ネギをたくさん使っていました』
(フィリピン 大沢義生)
『一部の男性の間で人気です。ウォッカと一緒に嗜む北部料理として認識されて、起源は中国と言われています』
(ベトナム 古川悠紀)
『中国人の中でも朝鮮族の人達は犬肉を食べる習慣があり、朝鮮族のレストランでは犬肉のメニューがあります』
(中国 yue)
『タヒチの文化(伝統)としては食べますが、フランス領ですので、フランスの法律としては、禁止されています。薬効があるとされ、性欲剤としてや、病気や手術前の体力作り、離島での結婚式等のお祭りでは振る舞われます』
(タヒチ(フランス領ポリネシア) 浜口幸喜)
「食べない国」からのコメント
食べない理由として「ペット(コンパニオンアニマル)」「放牧仲間」をあげる国々がやはり多いです。
『ペットや牧羊犬のイメージが強く、食されません』
(アイルランド(元) 小島瑞生)
『犬は大切なペット、というか家族の一員と捉えられています。ちなみに私の住むシアトルは「子どもより犬の数が多い」といわれていて、かなり犬にやさしい都市です。犬専用の広い公園があったり、介助犬でない普通のワンちゃんもバスや電車に乗れたり、カフェやブリュワリーに犬用の無料おやつが置いてあったり。犬を食べるなんて、皆さん考えたことすらないでしょう』
(アメリカ・トゥルーテル美紗子)
『馬と同じく「犬は友だち」感覚だと思います。「日本人は犬は食べない」と強調して、馬食で被った「野蛮度」を和らげます』
(アメリカ・ハンソン容子)
『犬はペットであり人間の友と言われていますので、食べるなんてもってのほか、なのでしょう!』
(イギリス 倫敦塔子)
『愛玩動物色が強いので、食べない人がほとんどですが、犬(や猫)を食するのは合法です』
(スイス 小島瑞生)
『食べません。犬好きも多く(この十年で犬を飼う人がさらに増えました)、絶対無理!という人が大多数ではないかと思います』
(フィンランド セルボ貴子)
それから「イスラム教徒」は宗教的な理由で食べませんね。とはいえインドで牛が「聖なる動物」だから食べられないのとは逆で、「犬は不浄の動物」とされているからですね。
『犬は、人口の過半数を占めるムスリム(イスラム教徒)にとっては触れるのも禁忌の「不浄の動物」のため』
(マレーシア 森純)
『食べません(イスラム教では、どちらかというと犬は嫌われものです)』
(アフガニスタン 瀧川貴世)
『アジア人は犬猫を食べるというイメージがあるようで、時々言われる事はあり、日本人としてはやや迷惑です(^_^;)。猫については、楽器の皮に使ったりするけどね?と、回答してはおりますが』
(モロッコ 和田麻弥)
その他のコメントもご紹介しておきましょう。
『絶対に食べません。「コリアーノ(韓国人)のシュハスコ(南米風串焼きバーベキュー)は野良犬を使うらしいぞ」と変な噂があり、怖いからコリアンタウンに行くのも躊躇します』
(ブラジル マンゲイラ靖子)
『動物はなんでも食べる南ア・コサ族の人たちですが、犬はもう例外のようです。夫に「犬食べる人いないの?」って質問しただけで嫌な顔をされるほどです(笑)。犬を食べてる人の話も聞かないようですね。しかも村の犬はドッグフードなどの犬用の餌などないので、残り物。結構ガリガリで、もし犬を食べる民族が見てもおいしくなさそうな犬ばかりです』
(南アフリカ共和国 バンベニ桃)
以上、犬肉を食べる国・食べない国とその理由でした。
★2017年4月3日補足
トルクメニスタン在住のギュルソユ慈さんから「馬は食べないようだ」との連絡がありました。
これにより
食べる国7ヵ国 /食べない国23ヵ国
になりました。
※以下の記事もぜひ!
- 世界29ヵ国で訊きました。「馬肉」を食べますか?
- 世界27ヵ国のゲテモノ料理ランキング
- 外国人がのけぞった日本の食べ物11選【ニッポン見聞録2】
- 外国人が感激した日本の食べ物10選【ニッポン見聞録3】
【構成:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。ぜひこのページのいちばん下をご覧ください)
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日本はどちらに属すのでしょうか?
コメントありがとうございます。
50年くらい前までは野良犬(これも今では見かけませんね)を罠などで捕まえて食べていたといった記述を時々見ます。
ただ現在ではそういうことはほとんどなく、日本で食される場所は韓国料理店などに限られると思われます。
よろしくお願いします。
アメリカで犬猫食禁止法案が可決されたのは2018年のことですね。
ムツゴロウさんは伝聞によるものながら「田舎のマーケットでは食用の犬が売られているそうだ」と書いている(週刊プレイボーイ・2021年13号)。
これは一例ですが、「当国では絶対に食べない」などという個人の意見に信ぴょう性はありません。
コメントありがとうございます。
確かに「絶対」と言えないことばかり、世の中知らないことばかりですね。
もっともっと世界を知りたいですし、多くの人たちに知っていただきたいと思っています。
これからも「世界のコトなら」をよろしくお願いします。