European Dog Show Paris 2022
はじめまして。パリ在住11年の海外書き人クラブ会員・フォトグラファーで執筆も行う中山ミチルです。パリで行われたヨーロピアン・ドッグ・ショーに行ってきました。集結した犬の数、なんと1万8000頭! 東京ドームの最大キャパシティーが5万5000席なので、その約3分の1。日本武道館が最大1万4471席なので、それ以上のワンちゃんが集まる祭典です!
ヨーロピアン・ドッグ・ショー・パリとは?
小型犬、特にヨークシャーテリアや最近人気の豆柴が散歩する姿はパリの街でお馴染みの風景です。また、変わったところではマイクロブタをお散歩するパリジャンも見かけるようになりました。これはパリの住宅事情によるところが大きいのですが、アパルトマン暮らしに適した小型ペットが家族として、また一人暮らしの高齢者のパートナーとして迎えられています。
このドッグショーでは、こうしたお馴染みの犬種以外の世界を体験できる貴重な機会として、たくさんの人々で会場は賑わっていました。
パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場への行き方
会場となるのは、パリ郊外のシャルル・ド・ゴール空港近くに位置するパリ・ノール・ヴィルパント見本市会場(Parc des expositions Paris Nord Villepinte)です。115ヘクタール、8つのホールが集合しており24万6000m²のコンベンションスペースがあります。パリ中心部では大規模な施設を作るスペースが無いので、こうした郊外にまとめて会場があるわけです。
ヨーロピアン・ドッグ・ショー・パリ会場には、パリ市内からはRER B線に乗り約1時間で最寄駅Parc des exposition駅で下車します。悪名高い列車ですが、そこまで危険な雰囲気は朝方は感じませんでした。ただ、シャルル・ド・ゴール空港行き急行列車が割と多かったのでParc des expositionで降りるために各駅停車の列車を長く待たねばなりませんでしたので、時間に余裕を持って出発した方が良いです。
ショーは入場前から始まっている!?
通常の展示会では、会場へは徒歩で大きな正面入り口からロビーを通り、入場者は各ホールに流れて行きますが、ドッグショーは少し違いますので注意してください。
ドッグショーへは駅前から出ている無料シャトルバスに乗る必要があります。犬連れの方は、それとは別の無料シャトルバスに乗り入り口へ向かいます。実際、迷っている犬と飼い主ペアもおり、ドタバタ劇になっていました。ここからドッグショーははじまっています! BGMは運動会で流れる”天国と地獄”の曲がピッタリでしょう。
過去に別の展示会があった際に通った正面入り口は封鎖され、安全の為か出入り口を会場裏側に設定し、たくさんのボランティアらしき方々が誘導してくださっていました。入場の際は手首にスタンプを押してくれ、いよいよドッグショー内部に入る事が出来ました。
たくさんの犬たちがケージに乗せられて列をなして運ばれてくる様子も圧巻です。どの犬も躾がされていて暴れたり無駄吠えしたりすることもなく、お行儀の良い子ばかりです。
ドッグショーの舞台裏
会場はとにかく広く、たくさんの犬たちが飼い主さんとペアになり所狭しと陣取り出番を待っています。幼少期にテレビで見たムツゴロウさんの動物王国や旧二子玉川ワンニャンランドのような雰囲気を想像していたのですが、パリコレのランウェイ舞台裏に来てしまったような感じです。
美しい犬たちはサラサラの毛を整え、トリムしてもらい、凛とした佇まいです。彼らの貫禄と美しさに平伏したい妙な気持ちになっていると、私の左足の親指が冷たいので我にかえりました。見るとフラットコーテッドレトリバーが一心に靴の先を舐めていたのでした!
華やかなドッグショーの意味は?
ドッグショー初心者の私が理解したルールは、例えるならオリンピックのように国籍はありませんが犬種に分けられます。そして性別、年齢別にクラス分けされます。トーナメント式に、年齢別1位→犬種の1位→総合で犬種1位→更にオスとメスそれぞれの1位と選ばれます。何を基準に選ばれるのかは見栄えだけではないようです。
出場犬たちは、これだけ大勢の観客と犬たちに囲まれて緊張する場面でも、怖がらず、精神が安定していて、ハンドラーさんを信頼して楽しんでいるように見えました。実際に会場での犬たちはとてもリラックスしていました。きっと厳しい訓練も大好きな飼い主さんと一緒に乗り越えてきたのです。
試合に勝っても負けても、そこには誉めるハンドラーさんやオーナーさんの姿と、信頼して見つめる犬たちの幸せな表情しかありませんでした(これは人間界のオリンピックでも見たい光景です)。
実際のところ、このドッグショーで入賞して得られるものはお金ではなく、バッジやリボンのみです。
初心者でも楽しめるの?
とはいえ、難しい話を抜きにしてもドッグショーは初心者でも楽しめる要素が満載でした!
- ハンドラーさんと犬のペアが会場を優雅に走る様子とその前の練習風景のギャップ
- 犬同士が戯れあっている様子
- 世界中からやってきた方々との交流
コンテスト会場なので殺気立っていてもおかしくないはずなのに、紳士淑女のオーナーさんやハンドラーさんばかり。初心者でも敷居が高いといった雰囲気ではありません。
自分で工夫したのは、柴犬のキャラクターのリュックを担ぎ、”犬好きな日本人”アピールをしてみたこと。そのお陰かどうかは定かではありませんが、お声をかけてくださったり、迷ったとき、困ったときに気持ちよく対応してもらえました。
プロや上級の方々には、ここでしか購入できないグッズもあり初級者でも十分楽しめる魅力的な場だと思います。
(写真・文 中山ミチル)