以前、大雪で国際便が欠航したらどうなったかの記事が「世界のコトなら」に載りました。ではそうした「自然条件」や「災害」ではなく、機材などのトラブルだったら対応はどうなるのか? 海外書き人クラブ会員で、当時インドに在住していた溝内美菜がお伝えします。
これは2016年9月13日にインドの首都であるデリーから成田まで全日空(ANA)便で向かった際の欠航の体験記です。
出発予定時刻は深夜1:30頃。私はといえばまさかこの後、自分が乗る便が欠航になるなんて夢にも思わず、フェイスブックに「チェックインカウンターのイケメンのインド人男子が穏やかな感じで話す日本語に感動♪」と投稿したり、空港内のスタバでケーキとコーヒーをいただいている写真をアップしたりしていました。
はい、こんな感じです。
ところがその後、「みなさまを機内に案内する時間が、当初の予定時間より遅れます」といった感じのアナウンス。まあ、よくあることですので普通に待っていました。ところが……。
「欠航」のアナウンス!!
深夜1:00頃、つまり搭乗予定時刻の約30分前になって突然「テクニカルプロブレム(技術的な問題)により欠航します。」とのアナウンスが流れたのです!
「えーーーッ!」と声が出かかり、椅子から立ち上がろうとしたとき、席をひとつ置いたところに40代くらいのインド人女性が一人で腰掛けていて、彼女と私は話し始めました。
彼女はアメリカ在住で、日本経由でアメリカに帰るところだということでしたが、「困ったわ、困ったわ。」と焦る彼女。詳しく聞くとSIMカードも空港で親戚に返してしまったので通信手段がなく、アメリカで空港に出迎える旦那さんに電話したいとのことで、携帯電話を貸してあげたりしました。
ANAの職員による対応
その後ANAのインド人職員がやってきて、こんな説明を始めました。
「えーっと皆さん。もと来た道を戻って、税関の出国審査カウンターで『キャンセル』のスタンプを押してもらって、それから預けた荷物を受け取ってください。その後ホテルまでお送りするので、バスに乗っていただきます」
そこで私は、その職員に「私たちが勝手に出国審査カウンターへ戻って、キャンセルでスタンプ押してって言っても、受け入れてもらえなくてってこともあり得るじゃない? だからどなたか職員の方にエスコートしてもらいたい」と主張しました。
インドでは、そういう事態は想定しておいた方がいいと、いつもの感じで動く私。
そうしたら、他の年齢層が高いインド人の乗客も、私たちの後をついてきて7~8人のグループになり、職員に出国審査カウンターまで送ってもらい、無事に通過。なんだか、私はすっかりインド人グループのリーダー格になってしまっています。(笑)
高級ホテル「The Grand」に宿泊
その後、荷物を受け取りバスに乗り、到着したのは高級ホテルの「The Grand」。ホテル側のマネージメントの問題なのか、チェックインに少し時間はかかりましたが、無事に部屋をもらえました。
先ほどから40代のインド人女性は私にぴったりとくっついて離れようとしません。一人一室用意すると言っているのに、「同じ部屋に一緒に泊まろう」とか言っていましたがやんわりとお断りし、部屋はすぐ近くにしてもらったので、彼女はやっと安心しました。(笑)
朝食時間についてフロントで訊ねたところ、朝7:30からとのことでした。40代のインド人女性に「じゃ、7:30に一緒に朝食に行こう。私、あなたのお部屋ノックするから」と言って、もうベッドに倒れこみました。もう、この頃は朝方の4:00くらいになっていました。
空港での説明では「明日の出発時刻はお昼ごろにアナウンスします」とのことだったので、私はひとまず寝て、7:30に朝食をして、それからシャワーに入ろうと思い、そのまま寝たんです。ところが……。
突然出発決定!
朝7:20ころ、インド人女性が私の部屋をノックし、「8:00にバスが出ることになったので、荷物を持って朝食に行くようにだって」と言うではありませんか!
顔も洗わず、朝食をいただき、そしてバスに乗り込み、空港へ向かいました。顔を洗うよりも朝食が大事な私。(笑) 顔は空港でも洗えますしね!
ANAのカウンターでは、昨日のイケメンインド人男子が、爽やかな笑顔で対応してくれました。きっとほとんど寝ていないだろうに、笑顔での対応、素晴らしいです。
ところが一つ問題が。成田空港到着がどうやら夜の10:30ころの予定とのこと。
私は「成田に夜の10:30に到着だと私、自宅まで帰れないんですけど、ホテルは用意してもらえるのでしょうか?」と質問。イケメンインド人男子は、「マダム、もちろんでございます。」とは言ってくれたのですが、「ホテル滞在希望の人は名前とか言っておいたほうがいいんじゃないのかな?」と私が言うと「すべて日本サイドに連絡済ですから、ご心配なさらないでください。」と、爽やかな笑顔。
はい。安心して向かいます! ありがとうございます!
客室乗務員のホスピタリティーに感動♪
やっと飛行機に搭乗できて、ANAの日本人CAの方々の素晴らしい笑顔に癒され、あー、やっぱり日本人っていいなーなんて、ひたっていた私。(笑) その頃、私はインドの小さな町に住んでいて、何ヶ月も日本人と会わないことも普通にあったので、余計笑顔が心にしみます。
昨日、ちょこっと指に切り傷が出来ていたので、CAさんにバンドエイドがあったらいただきたい旨を話すと、すぐに2~3枚持って来てくださいました。このCAさんは「どうなさったんですか?」と聞いてくださり、「ちょっと指に切り傷が出来ちゃって」と申したところ、なんと「お貼りいたしましょうか?」と言ってくださったんです。
日本語の意味はわかったのですが、一瞬想定外の会話についていけず「大丈夫です」と返す私……。
そうなんです。その頃はインドの小さな町に住んでいて、「これが欲しい、こうして欲しい」と大声で3回、主張しても自分の思うとおりにならないことも多いところで生きていたので、このホスピタリティーにノックアウトされそうになって、辞退してしまったのです。
後で冷静になってみると、貼ってもらえば良かったなーーーと思いました。(笑)
機内のアナウンスと成田空港での対応
離陸ののち、日本人機長から欠航のお詫びと原因についての丁寧なアナウンスがありました。私たちが乗るはずだったデリーに到着した便に、鳥の衝突によるへこみがあり、ボーイング社にも問い合わせ、安全が確認できてからの飛行となりましたとのことでした。
また成田空港に到着後の案内として「ホテル宿泊希望の方は対応できます。自宅へ帰る方は電車やバスで行けるところまで行ってもらい、そこからのタクシー代金は15000円まで出します。成田空港にて書面など対応します」とのこと。本当に安心しました。
実際に成田空港に到着したのは夜の10:30ころ。カウンターではホテルの宿泊券もすぐにいただけて、「バスにて向かってください」と手配もバッチリでした。
面白かったのは、40代のインド人女性と同じホテルに向かうので、一緒に入国審査カウンターまで来たとき、イミグレの職員の方が「この方は日本の入国ビザを持っていますか?」と聞いてきたんですね。
彼女は日本はトランジットだけだったので、当然持っていなく、係員と2人で別室に向かいました。
ものすごく心細い表情をするので、「イミグレ抜けたところで私、待ってるからね!」と言ったら、すぐに彼女はやってきました。
「どんなビザもらったの?」と言って見たら、なんと3ヶ月のツーリストビザのスタンプが押してありました!「あらー、日本のビザ取るのけっこう書類とかいって大変なのよー。良かったわね!」と私。彼女もニコニコです。
そんなこんなでホテルに着いたのは12時すぎ。もちろん一人部屋でした。
翌日、そして……
次の日はホテルで朝食もいただき、インド人グループとお話したり、良い時間を過ごせ、お昼前に実家へと向かいました。
欠航で日本の実家への到着はほぼ丸一日遅れましたが、できうる最高の対応をANAはしてくれたと思っています。それですっかりファンになり、その後はできるだけANAを利用させていただいています。
何かが起きたときにどう対応すべきかなど、良い体験、勉強をさせていただいたと思っています。いつかこの体験を書こうと思っていたのですが、機会が巡ってきたことに感謝です。
大雪で欠航の記事では空港内で寝るための寝袋しか支給されなかったとのことですが……ある種の自然災害ということで大目に見てやってください。
【文・溝内美菜】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
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