みなさんは「あの肉」を食べたことがありますか?
こんにちは。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫です。
今回は世界ではどんな変わった肉が食べられているのかを、海外書き人クラブの会員とともに調べてみました。
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料理に使う「肉類」といって私たちがパッと思い浮かべるのは「牛肉」「豚肉」「鶏肉」。他に日本において郷土料理などでよく用いられるものとして、「羊肉」「鹿肉」「猪肉」「熊肉」「鴨」あたりが挙げられるでしょうか。
でも「肉類」は当然それだけではありません。
そこで今回は世界各国で他にどんな肉が食べられているのかを調べてみました。いわゆる「ジビエ」(狩猟で捕獲された野生の鳥獣)が中心ですが、そうでなく飼育されているものも含まれます。
- ※以前、別の記事で取りあげた「馬」「犬」「ウサギ」「カエル」「ヘビ」「昆虫食」はここでは含みません。
- ※透かしのない写真は「pixabay」から借りたものです。
ものすごくたくさんの情報が集まったので、3回にわけて提供します! 第1弾の今回は北中南米大陸です。北から順に行きますね。
カナダ
バイソン、アメリカアカシカ(Elk)、ウズラを食べます。
(カナダ在住ライター バレンタ愛)
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いきなり大物の登場ですね。バイソンというのはこういう巨大なウシ科の動物。
アメリカアカシカは、下記のシカ科の動物です。いずれもウシやシカの仲間ですが……ワイルドさが違いますよね。
アメリカ(ルイジアナ州)
ルイジアナは狩猟が盛んなこともあり、独特です。一番当たり前なのは鹿で、肉屋に持ち込むとソーセージにしてくれます。何割かは肉屋の取り分になります。
ソーセージといえばワニもあります。
フロリダではワニのステーキもあるようですが、ルイジアナではソーセージしか見たことがありません。
鴨も一般的な狩猟の対象なので、普通に食べます。
ちょっと変わったところだとリス。
これは肉が少ないですが、ウサギ同様、シチューにするようです。
お次はヌートリア。
ビーバーに似た水性の害獣で、州政府が音頭を取って、定期的にマーケティングしています。鶏の胸肉に似ているらしいですが、ネズミの一種なので抵抗があり、どうも一般的にはなりません。
相当変わっているのはアルマジロ。
動きが鈍いので簡単に獲れ、開拓時代や不況の時期には重要なタンパク源になったようです。ただし、体温が低いことからハンセン氏病(らい病)の菌を持つものが多く、ルイジアナの田舎には患者の割合が多いです。しばらく前まで、「ハンセン氏病研究所」がありましたが、アルマジロを飼育して菌を培養していました。
やはり変わったところで、ハト。主にシチューだそうです。
他に田舎ではラクーン(アライグマ)、
ポッサム(小型の有袋類)、
スカンク
も食べられているようです。
またルイジアナと言えば、ザリガニも忘れてはいけません。
春から夏にかけては生きたやつをドバッとスパイスの効いた茹で汁にぶち込み、断末魔を味あわせた後でビールと一緒に。一人当たり2、3kgは食べますが、身は小さいので、実際には1kgに満たないかもです。会社や友人たちとのパーティでは定番です。春夏以外も、冷凍の身をガンボという名のスープやパスタの具にします。ロブスターと似た味で、臭みはまったくないです。
また、レストランで時々目にすると必ずと言っていいほど頼むのが「亀のスープ」です。独特の風味があり、美味しいです。テーブルでシェリー酒を「薬味」として加えることもあります。
(アメリカ在住ライター(ルイジアナ州) 賀茂美則)
↑
ルイジアナ州は凄すぎて、もう何をどうコメントしていいやら……。
ワニも強烈ですが、やっぱりアルマジロが最強でしょうか? あとスカンクの肉は臭くないのか気になりますね。
「アメリカザリガニ」は子どものころよく沼で釣りましたが、当時の日本では「食べちゃいけない」と言われていた気がします。
本で『ウミガメのスープ』というのがありますが、実際に食べるんですね。
アメリカ(カリフォルニア州)
羊(がジビエに当たるか分かりませんが)。シチュー等の煮込み料理やバーベキューなどで幅広く食べられていて、スーパーでも牛、豚と並んでふつうに売られています(ちょっとお高いですが)。中東系、地中海系のレシピに登場することが多いです。羊乳で作ったヨーグルトも売られています。栄養価がとても高いとか。
七面鳥。
感謝祭の定番料理は「七面鳥の丸焼き」ですが、スーパーには通年でターキーのひき肉やハムなどが売られています。鶏より脂が少なくてヘルシーということで好まれているらしく、鶏肉と同じような調理法で食べます。(山道を歩いていると、ときどき野良の七面鳥に出くわしてびっくりするのですが、牧場から逃げ出して野生化したもののようです)
バイソン。
ステーキ用肉やひき肉が時々スーパーで売られています。牛より低脂肪低コレステロールでヘルシーなのだそう。ただし、ひき肉は値段が高いわりに牛ひき肉よりパサつくので、あまり人気がないそうです。調理法は牛肉とだいたい同じです。バイソンのジャーキーもよく見かけます。味はほぼビーフジャーキーと区別がつきません。
(アメリカ在住ライター(カリフォルニア州) 前田えりか)
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同じアメリカ合衆国でもルイジアナと比べるとかなりおとなしい感じがしますが、やっぱり大物のバイソンがいますね。
グアテマラ
一般的なのはイグアナ。
地方へ行くと、お腹のところで開いて炭火焼きにしたものが市場で売られたりしています。
熱帯雨林の広がるペテン地方を中心に、テペスクイントレ(ネズミの一種)、カメ、タクアシン(小型の有袋類)、オポッサム(同。英語では「ポッサム」)、アルマジロその他、いろいろ食べる風習はあるのですが、個体の減少とともに食べる機会も減っているようです。
一昔前はグアテマラシティでも生のウミガメの卵を搾りたてのオレンジジュースに落として食べる(飲む?)風景も見られましたが、ウミガメのタマゴの乱獲が禁じられたため最近ではもうありません。
スペインのコンキスタドールが新大陸を制服した後もマヤ人が大切にしていた口承を書き留めた「ポポル・ブー」には、「話すことも創造主をあがめることもできない動物は人間の食料となる」と記されており、古来よりいろいろな動物を食べていたことが伺われます。
(グアテマラ在住ライター 草野あずき)
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グアテマラのチャンピオンはイグアナとアルマジロでしょうね。
ブラジル
ブラジルの湿地パンタナールやマットグロッソ ド スルという地方ではjacaré(ワニ)を食べます。一番ポピュラーなのがpastel(パステル)というブラジル風揚げ餃子にするパターンです。屋台でも売っています。
写真がそのワニの揚げ餃子です。
(ブラジル在住ライター)
↑
どこかで出されたら、中身がワニだとわからなくて食べてしまう人も多いかもしれませんね。
ペルー
ペルーには食のタブーがほとんどなく、いろんなものを食べます。ヤギ、ヒツジ、鴨、七面鳥のほか、アンデスではアルパカや
リャマ、
クイ(モルモット)などを。
モルモットにはちょっとショッキングもあります。本文最後にお知らせする「閲覧注意画像集」のページに格納しますので、ご興味がある方はそちらをご覧ください。
アマゾンではサル、カメ(卵も)、シカ、イノシシ、野鳥などの森の動物、パイチェ(ピラルクー)やピラニアといったアマゾンの川魚など幅広く食べます。
かつては人魚伝説の主人公であるマナティも食べたそうです。
最近はNGOによる保護活動や住民教育のおかげで、マナティを食べる人はだいぶ少なくなりました。
(ペルー在住 原田慶子)
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アルパカもリャマも偶蹄目ラクダ科なので、まあ普通に食べられる気がします。
パラグアイ
カピバラ(スペイン語でカルピンチョ)。
肉はかなり獣のにおいがきついらしいですが、大ファンもいます。
カピバラもカルピンチョもかわいらしい響きで動物園であ〜かわいいと見るイメージなのに食べちゃうなんて。カピバラ油は体にいいと言われています。
(パラグアイ在住ライター(元) かどまどか)
↑
私は「温泉に浸かっているカピバラの姿」を見てノックアウトされているので……ちょっとキツいなあ。
以上、「牛、豚、鶏など以外で食べられている肉」の「北中南米編」でした。みなさんの食指が動いたものはありましたか?
次回は「ヨーロッパ編」を予定しています。
(文 柳沢有紀夫)
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