オーストラリアでドライブしようとして思っているあなた。ハイウェイをふっとばすのも爽快ですが、カントリーサイドの田舎道もなかなか楽しいです。
とはいえ日本とは事情の違う外国。注意すべき点をまとめてみました。
こんにちは。海外書き人クラブ所属、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
オーストラリアのカントリードライブが楽しいのは、やはり自然が豊かだからです。ただ自然が豊かということは動物もたくさんいるということ。そこで最初の注意点は……。
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1 カンガルーなどが飛び出す。特に早朝と夕暮れ
いちばん遭遇する確率が高いのがカンガルーおよびその小型版のワラビーだと思います。「そんなの滅多にないだろう」と思われる方もいるかもしれませんが、いえいえ、かなりあります。私は17年間、オーストラリアの都市部に住んでいますが、それでも年に1、2回は急ブレーキで肝を冷やすことがあります。
実際に引いたのは一度きり。尻尾が当たっただけではありますが……。ちなみにそのときはバンパーがずれただけです。
また田舎道だけでなく、都市近郊でも新たに開発された住宅地などだと、残っている雑木林などに生息する彼らが、道に飛び出してくることがよくあるので注意が必要です。
なぜカンガルーを引く確率が高いかというと、彼らは本当に飛び出してくるからです。道路脇で止まって、右見て左見て……なんてことはしません。しかもあの敏捷性とスピード。道端の草むらから出てきたのを確認した直後にはもう車の前を通り過ぎたりしています。
カンガルーは前に走るのは速いのですが、後ろに下がることができないのも、厄介な点ですね。
そしてもう一つ厄介なのが、カンガルーはそれなりに巨体だということ。車もそれなりにダメージを受けます。場合によっては走行不能になることも。普通のバンパーではなくさらに強度のある「カンガルーバー」(省略して「ルーバー」)をつける人がいるのもそのためです。
カンガルーが飛び出すのは、特に早朝と夕暮れ。習性をよく知る人によると、水を飲むために活発に動く時間帯なのだそうです。
突然飛び出してくるのは注意のしようがないのも事実ですが、黄色いバックに黒色でカンガルーのイラストが描かれた「カンガルー飛び出し注意」の看板を見つけたら、「来るかもしれない」と心構えをしておくだけで実際に遭ったとき、より適切に反応できると思います。
他に飛び出し注意の看板が多いのはコアラです。ただ彼らは飛び出すというよりも道路をのんびり横断するのです。いや、本人たちはのんびりのつもりではなく、普通に歩いているだけですが……。
コアラが路上を移動するのはほとんどが夜です。基本的に夜行性なので。
また野生動物ではないですが、牧場の中を一般道が通っているような場所もあって、そういうときには牛が横断することもあります。彼らは飛び出してくるようなことはないですが、なにしろ巨体。ぶつかると車も無事ではすまないで気をつけてください。
他に「飛び出し注意」の看板があるのは、エミューという世界でダチョウについで背が高い鳥や、ワニ、そして野生化した馬およびラクダ、ウォンバットくらいですが、都市部からの日帰りとか1泊2日旅行圏内で遭遇することはほとんどないと思います。
2 未舗装道路では速度を出しすぎない
山間部の国立公園に行くときなど、途中で未舗装道路(砂利道)になることがあります。で、特に注意したいのが、わだちがあるようなでこぼこ道よりも、逆に平らに整備させている砂利道です。
というのはでこぼこ道なら、運転するときに自然に速度を落としますよね。でも平らだとついつい速度を上げてしまうからです。実際未舗装の平らな道を時速100キロくらいで突っ走る四輪駆動の車もよく見かけます。それを見て、普通の車に乗っている人もついつい同じ感覚でスピードを出してしまうんですね。
ただ四輪駆動ならいいのですが、駆動輪が2つのFF車またはFR車で急ハンドル、急ブレーキといった操作を行うと、制御不能になります。で、道路脇の木に横から衝突ということになりかねません。
田舎では未舗装道路でも制限速度100キロのことが多いのですが、スピードは極力控えて。また前方にカーブが見えたり、その標識があったらきちんと速度を落とすようにしましょう(とはいえ急ブレーキは危険ですが)。
3 冠水していたら要注意
日本だと「災害」レベルにならないと、道路が冠水することはないと思います。道路の一部が水没するという意味ですね。
ところがオーストラリアの田舎道では「大雨が来ると冠水する」という前提でつくられている道がかなりあります。その証拠に黄色い四角に黒い文字で「FLOODWAY」と書かれた看板をしょっちゅう見かけます。これは「この先冠水しているから通行止め」という意味ではなく、「この先の道は冠水することがあるから注意して通行せよ」という意味です。
しばらくの間、たいした量の雨が降っていない場合はあまり気にしなくてもいいですが、数日前から現在にかけてかなりの雨量があった場合は注意しましょう。
実際に冠水している場合、とりあえず手前で徐行または必要なら停車して、道路脇にある水深計(定規の巨大なの)がある場合はそれを見てみます。水深5センチくらいであって、その距離がせいぜい2~3メートルであれば、普通の乗用車でもまあ徐行すれば問題なさそうです。ただしそれ以上になると、通行は避けるほうが無難です。エンジンルームに水が入ってブレーキが利かなくなることもありますし、単なる冠水ではなく水が一方向に流れている場合、車も流される危険があります。
また記録的大雨の場合は都市部でも冠水することがあります。しかも「FLOODWAY」のように冠水を想定している場所ではなく、道路脇に水深計がないことも。そうした場合は絶対に突っ込んでいかないようにと言われています。
大自然相手に下手に戦うのではなく、水が引くのを待ちましょう。
4 坂道ではエンジンブレーキ使用
エアーズロックあたりの風景を見て、「オーストラリアは遥かなる悠久の大地」というイメージを持たれるかもしれません。
確かに内陸部はそうなのですが、沿岸部から100キロ前後内陸部に入ると、結構な山脈があります。グレート・ディヴァイディング山脈(Great dividing range)とか大分水嶺山脈という名前を思い出された方もいるのではないでしょうか。じつは世界で四番目に長い山脈なんですね。最高峰はコジアスコ山の2228メートルで、意外と低いのですが。
で、このグレート・ディヴァイディング山脈から沿岸部方向に向かう道はえげつないほどの下り坂です(逆にいうとグレート・ディヴァイディング山脈に向かう道はえげつないほどの上り坂で、時速20キロほどでようやく進むトラックやトレーラーをよく見かけます)。それでもできるだけ傾斜を急にしないように、カーブもたくさんあります。関東でいうと日光のいろは坂、関西だと芦有ドライブウェイレベルです。
そういう坂道では当然のことながらスピードの出しすぎは禁物。ただしずっとフットブレーキを使い続けると利きが悪くなります。
そこできちんとエンジンブレーキを使うようにしてください。マニュアルを運転している人はシフトチェンジに慣れているので、自然にセカンドギアに入れると思いますが、オートマの人も「S」マークのセカンドギアにするのがいいと思います。
それからグレート・ディヴァイディング山脈だけでなく、都市部も意外とアップダウンがあります。東京でいうと多摩丘陵よりもずっと急なアップダウンが多いです。普段からギアを下げて、エンジンブレーキを使うのに慣れておくといいと思います。
5 逆光に注意(朝は東向き、夕方は西向き)
日差しが強く、またさえぎる建物などが少ないので、逆光時のドライブにも注意が必要です。具体的には朝は東向き、夕方は西向きですね。旅行者用のドライブマップなどにも「3時から日没までの西向きの運転は避けるようにしてください」といった記述があることもあります。
逆光だとまず前方に車がいるのかわかりづらくなります。で、田舎道をドライブするのが慣れている人たちは、ヘッドライトまたはスモールランプを点けます。これとは前の車を確認するためではなく、後続の車に自分の存在を知らせるためです。前のライトをオンにすると後ろの赤いテールランプも点くからですね。でも慣れていなのかテールランプを点けずに運転している人もいます。
また夕方遅くの完全な逆光ではなく、少しだけ逆光の場合でも日差しがリアガラスに反射して非常にまぶしいことがあります。
普段からそうなのですが、特に郊外のドライブでは「サングラスは必需品」だと思ってください。
6 街灯がない
田舎に行くと集落以外はハイウェイ含めて街灯がないのが普通。慣れの問題ではありますが、特に曲がりくねった道では注意が必要です。
【まとめ】
- 動物の飛び出し、特に早朝と夕暮れのカンガルーには注意する
- 未舗装道路(砂利道)では急ハンドル、急ブレーキは禁物。速度を出しすぎない
- 冠水している道へは、絶対に安全な場合以外は入っていかない
- 坂道が意外と多いので、エンジンブレーキを使用する
- 逆光に注意(朝は東向き、夕方は西向き)。サングラスは必携
- 田舎道は街灯がないので特に曲がりくねった道では要注意
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【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
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