「ドナウの真珠」と呼ばれる、ハンガリーの首都・ブダペスト。川の両岸に並ぶ歴史的な建物や観光船でのクルーズなど、楽しみ方は沢山ありますが、街がコンパクトなため、訪れた方の中には数日で飽きてしまう、という方もおられるかもしれません。
今回は、海外書き人クラブ新会員の、ハンガリー・ブダペスト在住の藪内達也が、ブダペストから日帰りで行くことができるオススメのスポット5箇所を紹介致します。
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1 芸術が栄えたセンテンドレ(Szentendre)
ブダペストから日帰りで行ける、最も近くの観光地が、ドナウ川沿いにあるセンテンドレ。ブダペストから郊外列車に揺られて約1時間で到着します。
センテンドレはかつて、南からやってきたセルビア人が定住し、キリスト教会はセルビア正教のものとなっているなど、ハンガリーの中にあっても異国情緒を感じることができる場所となっています。
街そのものは、教会を中心としたこぢんまりとしたもので、1時間もあれば回れてしまいます。夏場はオープンテラスのカフェや、お土産物屋さんが多くオープンしているので、気に入ったお店に入って優雅な時間を過ごしてみるのはいかがでしょうか。
また、ここセンテンドレには美術館も多くあります。散策しながら気になった美術館に入ってみるのもオススメです。
- アクセス方法:ブダペストの地下鉄2号線、バッチャーニ広場(Batthyány tér)駅から、郊外列車(HEV)5号線に乗り、片道約1時間。チケットは片道700フォリント(約230円)
2 ドナウベンドを間近に見られるヴィシェグラード(Visegrad)
センテンドレから、更にドナウ川の上流(北側)に行ったところにある、もう1つのスポットがヴィシェグラード。ドナウ川は、この街の周辺で、それまで東に流れていた進路を大きく南に変えて、ブダペストに向かっていきます。この場所を、「ドナウ川の曲がり角」という意味で「ドナウベンド」というのですが、その絶景を眺められる場所が、このヴィシェグラードなのです。
ヴィシェグラードの街は大きくはないのですが、ここで必ず訪れたいのが、街から少し外れた場所にある古城。
徒歩で行くことはほぼ不可能ですが、街から出ている乗り合いタクシー(要配車)を使えば、麓の道路沿いから約15分で簡単にアクセス。古城から麓までの往復で配車をすると、帰りが50%オフになるのでとてもお得です。
お城の中には、展望台と各種資料館が。展望台から、眼下を横切るドナウ川を見ながら時間を過ごすもよし、中の資料館を散策するもよし。展望台にいるときは、風が強いので帽子などを飛ばされないように注意してくださいね。
- アクセス方法:ブダペスト西(Nyugati)駅から、ハンガリー国鉄(MÁV)に乗って約50分。Nagymaros-Visegrad駅で下車し、渡し船でドナウ川の反対側に移動。川を渡ってから、乗り合いタクシーで古城までは約15分。
- 料金:電車チケット・1120フォリント(約370円)。渡し船・450フォリント(約150円)。乗り合いタクシー・往復で4500フォリント(約1500円)。
3 キリスト教の総本山があるエステルゴム(Esztergom)
ヴィシェグラードから、ドナウ川を更に上流(西側。ウィーン方面)に行ったところにあるのが、ハンガリーのキリスト教総本山があるエステルゴムです。今から約1000年前に、ハンガリーの初代国王がこの場所で戴冠をすることで、ハンガリーの歴史は始まりました。
エステルゴムの一番の見所は、なんといってもエステルゴム大聖堂。遠くから見ても堂々とした存在感を示している大聖堂は、中に入って頂上から街を一望してみるのがマスト。この街もドナウ川が横を流れているため、大聖堂の一番上から見下ろす、赤い屋根が詰まった街並みとドナウ川のコラボレーションには、息を呑んでしまうこと間違いなしです。
実はここ、エステルゴムを訪れるなら合わせて挑戦してみていただきたいことがあります。それは、「ドナウ川を徒歩で渡って、隣の国のスロバキアに行く」ことです。
ドナウ川は、2で解説したドナウベンドから上流に遡っていくと、川の一方がハンガリー、もう一方がスロバキア、という、国境沿いに流れるようになっています。そんな中、エステルゴムには橋が架かっているため、なんと徒歩で、隣の国まで行けてしまうんです! さらにハンガリーとスロバキアは共にシェンゲン協定に加盟しているため、国境審査を受ける必要もありません。橋の上に付けられた標識だけが目印となっています。
なお、ハンガリーは独自通貨のフォリントを採用していますが、スロバキアはユーロを導入しているため、スロバキア側のドナウ川沿いで、カフェやレストランで買い物をする予定がある場合は、いくらかユーロを現金で用意されておくことをオススメします。
- アクセス方法:ブダペスト西(Nyugati)駅から、ハンガリー国鉄(MÁV)で約1時間10分。運賃は片道1120フォリント(約370円)。
4 バカンスで楽しめるバラトン湖
ハンガリーは内陸国ですが、中央ヨーロッパ最大の面積を誇るバラトン湖が、国の西側にあります。このバラトン湖はハンガリー人や周辺国の人にとっての避暑地・バカンスの場所となっており、夏場は忙しさから逃れてきた人がたくさん集まる場所となっています。
バラトン湖は琵琶湖の約90%という大きさのため、湖沿いの街はいくつもあり、1日ですべて訪れることはできません。ブダペストから日帰りで行く場合、湖の北側であればバラトンフレド(Balatonfüred)、南であれば、シオーフォク(Siófok)などが行きやすい場所。また、湖の最も西側、ブダペストとは正反対の場所にはなってしまいますが、湖がそのまま温泉となっているヘーヴィーズ湖も、行ってみる価値がある場所です。
ある程度時間に余裕を持って回るのであれば、ブダペストからバラトンフレドかシオーフォクまで鉄道で行き、街を散策してから、湖岸の主要都市を結ぶ船に乗って反対側の岸まで行き、その街を回ってブダペストに戻る、というのがオススメです。
- アクセス方法:バラトンフレドまでは、ブダペスト東(Keleti)駅から約2時間30分。シオーフォクまでは、ブダペスト東(Keleti)駅から約1時間40分。バラトンフレド~シオーフォクは、船が1日5往復程度運行。
- 料金:ブダペスト~バラトンフレド・シオーフォクで片道約3000フォリント(約1000円)。
5 ワイン好きには絶対おすすめのトカイ
ハンガリーは、知る人ぞ知るワイン国。国内に20箇所を超えるワイン産地があるため、旅行の際は、普通の観光に合わせて、是非ともワインの産地を訪れてみたいものです。
産地の中では、一番有名なのはトカイではないでしょうか。世界三大貴腐ワインの1つである「トカイワイン」という名前を、耳にしたことがある方も多いはず。
そんなトカイは、ハンガリーの北東部にある村。ブドウ畑が世界遺産になっていて、ワイナリーもいくつかあり訪れやすくなっています。
ブダペストからは、ハンガリー国鉄の急行列車に乗って片道約2時間。運転本数が限られているため、朝早くに出発をして夕方以降にブダペストに戻ってくるスケジュールになってしまいますが、トカイにあるワイナリーをいくつか回り、試飲を重ねるには、これでもやや時間足らずに感じてしまうかもしれません。
トカイワインと言えば、蜂蜜のような甘さが特徴の貴腐ワイン(デザートワイン)が有名ですが、これ以外にも普通の白ワインも飲むことがもちろんできます。ワイナリーを訪問すると、たいていは5種類、あるいは7種類のテイスティングができるようなプランが用意されているので、お酒への強さと相談して、いろいろなワインを味わってみましょう。もしお財布に余裕があるなら、プレミアムの「エッセンシア」という貴腐ワインも一口賞味されてみることをオススメします。
- アクセス方法:ブダペスト東(Keleti)駅からトカイ駅まで、片道約2時間30分(最速)。料金は約4500フォリント(約1500円)。トカイ駅から街の中心部まで、徒歩で片道約15分。
ハンガリー・ブダペストから日帰りで訪れることができるスポット5箇所を紹介させていただきました。スケジュールと相談をして、興味がある場所を1つでも訪れるきっかけとなれば幸いです。
- ※掲載情報は2020年4月現在のものです。
- ※アクセス情報や運賃・料金は、予告なく変更となる可能性があります。ご旅行前に、念のため最新情報をチェックされることをオススメします。
- ※1000フォリント=330円で計算をしていますが、端数になる場合はキリのいい数字になるように、適宜切り上げ、切り捨てを行っています。
(文・写真 藪内達也)
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