自分の画像が、勝手に知らないサイトに使われていた! ……そんな声をよく聞きますが、そういう人たちはどうやって盗用を確認しているのでしょうか。今日は「画像の盗用から身を守る方法」第2回として、「画像検索」について語っていきたいと思います。
こんにちは。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫です。
「まとめサイト」や「キュレーションサイト」で相次ぐ文言や画像の盗用。中にはライターたちに転用を推奨していた運営会社もあるようです(「まとめサイト閉鎖、大手に飛び火 背景に収益優先の構図」朝日新聞DIGITAL 2016年12月06日)。
こうした記事を読んで、「もしかしたら私の画像も……」と不安に思われている方もいるはず。そんなときには「Google画像検索」をおすすめします。
「その仕方がわからないから困ってんだろう」と言われそうですが、じつはものすごく簡単です。
スポンサーリンク
ステップ1 画像検索のページを開く
まずGoogleの検索ページを開いてください。下記の写真はこの記事を書いた日のものなので、皆さんがご覧になるときは違っているかもしれませんが、とにかくGoogleの検索ページです。
画像の右上をご覧ください。赤い星印は私が加えました。そこに「画像」とありますよね? それをクリックしてみてください。すると……。
はい。おなじみの最もベーシックなグーグル検索のトップページが現れましたが、ちょっと違う点に気づかれたと思います。はい、私が加えた赤い矢印の先に「画像検索」という文字が書かれています。
この検索バーのところに文字を打ち込むとまさに「画像検索」ができますが……今日の使い方はちょっと違います。
ステップ2 調べたい画像をドラッグ&ドロップ
盗作されていないかチェックしたい画像を選び、この「グーグル画像検索画面」にドラッグ&ドロップします。つまり画像ファイルの上で、左ボタンを押し(クリックではなく押し続けます)、そのままマウスを移動させ、選択したファイルがなんだか幽体離脱みたいになっているものを「グーグル画像検索画面」の上まで動かします。下記のような状態ですね。
ここでドロップ、つまりマウスの左ボタンから手を放してください。すると「ファイルをアップロードしています」という文字が出て、数秒後には下記のような画面になります。「ような」というのは、いろいろなパターンがあるからです。
見ていただきたいのは画面やや左上、赤い楕円形で囲ったところです。
このように何も書かれていなかったら、ウェブ上でその画像は発見できないという意味。つまり画像は盗用されていないことになります。
ただ、下記のような表示が出ることもあります。
左上が「約2件」となっています。ここで「2件だけで、約ってなんだよ、約って? 1.82件とかあるのか?」とツッコミを入れたい気持ちはわかりますが、グッと我慢してください。ただのデフォルトですから。
うわっ、サイト上に2件、自分の画像が存在するのか! と驚かれるかもしれませんが、この場合は違います。グーグルが「これはmusical instrument(楽器)に違いない」と判断して、下のほうの赤い楕円形で囲んだ「ウィキペディア」と「Weblio辞書」の「musical instrument」の項が検索に引っかかってきたのです。
ステップ3 ヒットがたくさんあったら
一方、下記画像の赤丸楕円のように、ものすごい数のヒットする場合があります。こういうときは「その画像がウェブ上のあちこちで使われている」という意味になります。
画面では「約252億」となっていますから、「そんなに調べないといけないのか……」と途方に暮れるかもしれませんが、そういうことではないので安心してください。以前は本当にウェブ上に存在する「画像」の数が表示されたのですが、今は「言葉」も含めたヒット数が出たりするようです(この場合だと「国立公園」ですね)。
では、同じ画像は実際にはどれくらいウェブ上にあるのか。先ほどの画面を下のほうにスクロールしてください。すると……。
こんな画面になります。いちばん上、楕円形で囲まれたところに「一致した画像を含むページ」とあります。今、黄色いペンで塗りつぶしていますが、そこにはすべて同じ画像が表示されています。で、実際にはどれくらいのこの画像があるのかというと、上記のスクリーンショットの一番下に「1 2」とあるので「2ページ分」ということになります。たいした数ではないですね。これくらいなら一つ一つ確認できますよね。
そしてそれぞれのページを虱潰しにしていくと、「あっ、本当に使っていやがる」というのが見つかると思います(ただし見つからない場合もたまにあります)。
ちなみに今回試した画像(黄色いペンで塗りつぶしてあります)はクイーンズランド政府観光局のもので、条件付きで使わせているものです。今回ヒットしたサイトが盗用しているということではないと付け加えておきます。
ステップ4 盗用が見つかったら
これに関してはここで書くよりも、素晴らしいサイトを見つけたのでそこを紹介するにとどめます。「旅するフォトグラファー 有賀正博」さんの「キュレーションメディアに写真をパクられたら請求書を送ることにした」です。
その記事内にも「今回はそのメールの文章を全文公開するので、作品をパクられたクリエイターの方々は参考にして、ぜひ料金請求してください。載せてあるぼくのメールはコピペして自由に修正して使ってください。みんなでどんどん料金請求をすればパクリサイト撲滅につながります」とあるので、どんどん利用させてもらいましょう。
「旅するフォトグラファー 有賀正博」 「キュレーションメディアに写真をパクられたら請求書を送ることにした」
まじめにやっているライターやカメラマンにしたら、盗作・盗用は本当に許しがたいものです。そして上記の記事に有賀さんは「普通に使用料を支払ってくださっている他のクライアントに不公平になる」と書かれていますが、まさにその通りだと思います。
画像や文章の盗用・盗作は誰の責任か
最後にこの件に関して、私の意見を述べさせてください。
違法行為または脱法行為を教唆していたり、明らかにそういうことをやっていそうだと気づいていながら放置していた場合は、まずは企業の責任が問われるべきです(ライターの責任がなくなるわけではありません。「言われたとおりにやったから責任はない」というのであれば、オレオレ詐欺の受け子も罪はないことになります。「殺人教唆されたから殺した」では無罪にならないのとも同じです)。
ただ「違法行為または脱法行為を教唆も黙認もしていない」のであれば、私は企業に落ち度はなく、ライター本人が全責任を負うべきだと思います。盗用をした人はつまりは泥棒なわけですが、どんな企業でも雇用者が犯罪に手を染める可能性はあり、そこまでは責任は取れないからです。なんでもかんでも企業のせいにするというのは、間違っている気がします。
この場合、個々のライターの責任ですから、損害賠償を請求されたら彼ら一人ひとりが支払うべきです。一部のライターが勝手に泥棒をして、それによって記事を削除するくらいならまだしも、ひどい場合はサイト閉鎖につながるわけですから、企業も被害者ですよね。本当にいい迷惑ですよね。
あなたに重い責任がのしかかってくる話です。盗作・盗用には絶対に手を染めてはいけません! あなたは泥棒になりたいですか?
真面目にやっている人間と企業が、きちんと報われる世の中であることを祈りつつ。
※そもそも画像を盗用されないようにする手法を記した【画像の盗用予防にウォーターマーク(透かし)。4つの着目点】もぜひご覧ください。あと、このページの一番下に、真面目にやっているライターたちが書いた本の告知を載せたので、ぜひご覧ください。
【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
スポンサーリンク
スポンサーリンク