外資系の中でも、特に広告業界は妙なフレーズがまかり通る世界。「この人、何言ってるのかさっぱりわからない」という相手に出会ったときは、ぜひこちらをご覧ください。特に外資系の会社に就職または転職を狙っている方、今回の記事は必見です。
こんにちは。海外書き人クラブ所属の柳沢有紀夫です。今回は広告がらみの外資系用語を集めてみました。最後の「外資語到達度チェック」であなたの「外資語力」を確認してみてください。
スポンサーリンク
基礎編
1 トーン&マナー
「雰囲気」とか「継承している流れ」とか、非常にあいまいな意味でありながら、お題目のように良く使われる言葉。
「インターナショナルなキャンペーンの一環なんだから、トーン&マナーを崩すわけにはいかんだろう」。この言葉が出るたびに、暗に「クリエイティブなことはするな」「変わったアイディアはいらん」と言われているような気になって、若いころの私はしょっちゅうゴミ箱蹴ってたな。
最近では外資系以外でも「トンマナ」と使われる。ちょっとトンマな省略かなと思う。
2 ギミック
「仕掛け」のこと。
得意先 「このコピーのここの意味がわからないんですけど」
私 「いや、それがギミックなんじゃないですか!」
得意先 「ギミック……ねえ」
私 「そう、ギミックです!」
そう、またの名を「だまくらかし」と言う。
3 ビフォー・アフター
使用前使用後。「あの男、ビフォー・アフターで態度がまるっきり変わったのよねー」などとも言う。ウソ。
4 ホワット・トゥ・セイ/ハウ・トゥ・セイ
「ホワット・トゥ・セイ」は「何を伝えるか」で、「ハウ・トゥ・セイ」は「どう伝えるか」。
ダジャレみたいなコピー案ばかり出してきた新入社員のころの私は、先輩や上司にしょっちゅう、「あのな。ハウ・トゥ・セイだけじゃなく、ホワット・トゥ・セイも大切なんだよ」と耳にタコができるくらい言われて、正直言って、心の中で「ウ・ル・セイ!」叫んだこともある。
でもそのころ「ホワット・トゥ・セイ」の大切さを教えてもらったから、今でも物書きをしていられるのかもしれない。
5 コンセプチャルに
「コンセプトを立てながら」「筋道を追って」といった意味。別の言い方をすると、「あのさあ。単なる思いつきじゃなくて、ね?」ということ。
ただしコンセプチャルに考えれば考えるほど、アイディアはつまらなくなる傾向が高い。パッと思いついたものに、コンセプトを後付けして、さも順序立てて考えたようにプレゼンするのが、一つのテクニック。
6 インパクトがある
「目立つ」という意味。間違っても「パンチがある」と言ってはダメ。あとで「昭和かよっ!」と大笑いされるからね。
7 アテンションを引く
「注意を引く」。「インパクトがある」とほぼ同義。
8 エッジが立つ
これも「インパクトがある」と同義。職業病とは言え、目立つことばかり考えているのだね、広告屋は。
9 リーチする
この場合、麻雀とは無関係。そのまま「届く」という意味。「こんなコピーじゃ、ターゲットにリーチしないよ」とか、「売り上げ目標にリーチしない」とか。
10 ブレイクスルー
現状を打破する画期的なアイディアのこと。「今回も何かブレイクスルー、お願いするね!」
……そうしょっちゅう画期的なアイディアばかり出ないっす。 オレはブレイクスルーの自動販売機じゃないっす!
応用編
11 ネガティブ・チェック
揚げ足をとること。重箱の隅をつつくこと。こうなるといい広告になるはずもない。「あのー。ネガティブ・チェックばかりしてないで、全体見られませんか?」……はらわたが煮えくりかえっているが、表面上は冷静を装うのって、大変なんだよね。
12 クライアント・サービス
得意先へのサービス。営業が「もう少し商品パッケージ、ドーンと大きくしたレイアウト案もつくっといてよ。うん、わかるわかる。デザインのバランスが崩れちゃうことは、ボクだって、よーくわかる。クライアントだって、ひと目見たらあまりに商品がでかすぎるのは変だってわかるよ。でも、ほら。見てみないとわからないじゃない? だからクライアント・サービスとして、ね」。
こういう口車に乗って、「クライアント・サービス」のレイアウトをつくると、往々にしてそれに決まる傾向にある。
13 コンシューマー・オリエンティド
「消費者重視の」という意味。「もう少しコンシューマー・オリエンティドなアイディアも考えてみようか」などと使われるが、よくよく考えると、わかったようなわからないような言葉だ。
14 プライオリティー
「優先順位」または「優先事項」の意味。「商品は長いこと見せたい。社員も登場させたい。特に社長は五秒以上。タレントともからませたいし、オシャレにしたいねえ」
……すっ、すみません。プライオリティーはどこにあるんっすか? みたいなことはよく起こる。
15 ファースト・プライオリティー
「最優先事項」のこと。もちろん「最優先」だからただ一つのはず。
でもファースト・プライオリティーが箇条書きになっているブリーフィングシートをくれる営業も結構いた。
16 ダイレクション
「指示」「方向性」のこと。前者だと「じゃあ、具体的なダイレクションをください」とか、後者だと「じゃあ、こういうダイレクションで行こうか」とか。
一般的には「ディレクション」と言われているが、「アメリカ英語的な発音が美しい」とする「ガイシケイ語の第一法則」からすると、「ダイレクション」じゃないと、ダメなのね。
17 コンシューマー・プロファイル
これまた「ガイシケイ語の第一法則」で、「コンシューマー・プロフィール」ではなく、「コンシューマー・プロファイル」となる。「(想定される)消費者像」の意味。最近のサーチエンジンマーケティングでは「ペルソナ」という言い方をする。
18 ストラテジー
「戦略」。「次のキャンペーンはこういうストラテジーで行きましょう」とか。広告業界にはこんな好戦的な言葉が多い。
19 ソリューション
「解決策」のこと。「うーん、ソリューションが見えないなあ」とか。これまた「ゴール」でいいじゃねえか、「ゴール」で! と思われるかもしれないが、「一般社会で使われている外来語はダサいので極力避ける」という「ガイシケイ語の第二法則」に照らし合わせると、やっぱり「ソリューション」でないと、根本的なソリューションにならないわけだね。
20 コスト・コンシャス
「予算がない」または「ケチ」の、オブラートに包んだ言い方。
あなたはいくつわかりましたか? 「外資語到達度チェック」
- 18~20問正解 明日にでも外資系に入れます。入りたいかどうかは別にして
- 15~17問正解 すぐに外資系に溶け込めます
- 12~14問正解 外資系と取り引きしても途中でふきだしたりせずに過ごせます
- 8~11問正解 「外資系ごっこ」で遊ぶことができます
- 0~7問正解 もう少し努力が必要です。……何のために?
「外資系用語シリーズ」全4回。他もぜひお楽しみください。
【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
スポンサーリンク
スポンサーリンク