日本には美術館・博物館がどれくらいあると思いますか?
こんにちは。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫です。
しばらくお休みをいただいていた「外国人にも勧めたい日本の○○」シリーズが再スタートします。第6弾は「美術館・博物館」です。
最初に書いた美術館と博物館の数は後で発表するとして、まずは海外書き人クラブのライターたちが足で集めた「オススメ美術館・博物館」を発表しましょう。
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今回もすべてライターたちが実際に訪れて、「ここは!」とお勧めしたくなった場所のみを、東日本から順に紹介。というわけで「ベスト11」と書きましたが、順位をつけているわけではありません。
1 江戸東京たてもの園
「たてもの園」の名前の通り、ここは、江戸時代から近代までの建物が移築されて保存されている屋外型の博物館です。足を一歩踏み入れるだけで、一気に時代をさかのぼれるスポットです。
じつはすでに一部の外国人には大人気となっています。一部というのは、日本のトラディショナルな服が好きな人たち、つまり、コスプレイヤーの方々です。とはいえ、本格的な服装だと浮いてしまうのか、レンタルした浴衣を着て、園内で撮影している外国の方をよく見かけます。
- 近井朋人(江戸東京たてもの園友の会 会員)(特別寄稿)
- 東京都小金井市桜町3-7-1(都立小金井公園内)
- http://www.tatemonoen.jp/
2 江戸東京博物館(東京都・墨田区)
冬にウズベキスタンから来た客2人を連れて江戸東京博物館へ行って来ました。両国の駅から徒歩3分と、便利なところにあります。ゲストの方々は日本語を勉強しているのでとても興味を持ってくれました。また、館内にはボランティアで英語が喋れるスタッフの方がいて、丁寧に説明をしてくれたので感激されました。
一言で言うと、「江戸と東京の歴史と文化を紹介している博物館」ですが規模が半端ではありません。江戸・東京の2ゾーンに分かれていて回りやすくできています。江戸幕府から現代までの400年間を中心に詳しく解説されていました。
ミニチュアで見る江戸初期の日本橋の界隈とか、当時の家々の様子は大人も子どもも楽しめます。各時代に合わせて作れているジオラマが素晴らしくまるでタイムスリップしてしまったような錯覚に陥ります。明治時代の銀座煉瓦街など、実際に祖父母の時代はこうだったのかなと思いを寄せることができました。
復元された模型など実際に体験できる展示なので、江戸時代の民家の畳の部屋であたかもくつろいでいるような写真も撮れて、外国の方は興奮して喜んでいました。この博物館は浅草にも近いし、その後仲見世を散策できるし、一押しの場所です。
- パッハー眞理(元オーストリア・ウィーンおよびインド・ニューデリー在住)
- 東京都墨田区横綱1-4-1
- https://www.edo-tokyo-museum.or.jp
3 国立新美術館(東京都港区)
2007年にひときわめだった斬新な建物の美術館が六本木にできました。それが国立新美術館です。
この美術館はコレクションを一切持たないことで有名です。にもかかわらず日本国内最高のパワーを発揮しています。最近6月のチェコのムシャ展は「スラブ叙事詩」を全20点初めて国外に持ち出したことでテレビでもすごく取り上げられていました。ムシャが17年にも渡って完成させた力作。
何しろ縦が6メートル、横8メートルの圧倒される作品集。2回、見に行きましたが、真ん中で思わず立ちつくしてしまいます。こういう企画を平気でやってのける、度量の大きさは国内最大級という美術館ならではですね。
1万4千平方メートルの大規模な美術館は他に例を見ませんから。
そして日本全国で催された全て展覧会のカタログがこの図書室には所蔵されていて、誰でも閲覧可能です。
- パッハー眞理(元オーストリア・ウィーンおよびインド・ニューデリー在住)
- 東京都港区六本木7-22-2
- http://www.nact.jp
4 山種美術館(東京都・渋谷区)
山種証券の創立者、山崎種二氏の日本画コレクションが勢揃い。横山大観、川合玉堂、女性画家として初の文化勲章を受章した上村松園らとは直接の談判によって作品を蒐集しました。
2代目の山崎富治館長の時代では、「旧安宅コレクション」の速水御舟作品を一括購入したことで知られています。その数は浮世絵、洋画も含めると1800点を超えています。
新たな日本画家を支援するために「Seed 山種美術館 日本アワード2016」も企画しています。カフェ「椿」では展示物にちなんだ和菓子が出るなど趣向を凝らしています。
- パッハー眞理(元オーストリア・ウィーンおよびインド・ニューデリー在住)
- 東京都渋谷区広尾3-12-36
- http://www.yamatane-museum.jp
5 ポーラ美術館(神奈川県・箱根)
ルノワールやセザンヌ、モネ、ピカソ、シャガールなどの印象派やキュビスムの作品、しかも大作が豊富。しかも都心から離れているので館内はガラガラ、もとい空いていて、好きな絵とじっくり相対することができます。
温泉や箱根観光と組み合わせて、ぜひ!
- 柳沢有紀夫(オーストラリア・ブリスベン在住)
- 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山 1285
- http://www.polamuseum.or.jp/
6 ラリック美術館(神奈川県・箱根町)
フランスのジュエリー、ガラス職人ルネ・ラリックの収蔵されている作品は1500点以上。仙石原に素敵な小川が流れ、緑があふれんばかりのガーデンにラリック美術館があります。欧州からのゲストを連れてきましたが、これだけの大規模な展示は日本だけ。ゆっくり鑑賞をしていただけました。美術館には充実したカフェレストランもあり、作品と一体化したロマンチックなロケーションとともにとても喜ばれています。
さらにラリックのデザインしたガラスレリーフの150枚もちりばめられているオリエント急行の実物の車両が展示されていて、中でガイド付きのコーヒーブレイクが堪能できます。エレガントなラリックの世界に是非足を運んでみませんか?
- パッハー眞理(元オーストリア・ウィーンおよびインド・ニューデリー在住)
- 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186-1
- www.lalique-museum.com
7 平山郁夫シルクロード美術館(山梨県・北杜市)
シルクロードの風景の巨大な連作などを所蔵。西洋の誰とも違う作風が魅力です。「日本にもこんなに優れた芸術家がいたのか」と知らせたいです。
JR小海線の甲斐小泉駅から徒歩すぐ。高原電車と八ヶ岳の雄姿とともに楽しめます。
- 柳沢有紀夫(オーストラリア・ブリスベン在住)
平山郁夫シルクロード美術館
- 山梨県北杜市長坂町小荒間2000-6
- http://www.silkroad-museum.jp/
8 金沢21世紀美術館(石川県金沢市)
兼六園や金沢城にほど近い場所に2004年建設された通称「21美(にじゅういちび)」は直径112.5mの円形、総ガラス張りの建物です。
屋外にある恒久展示作品のカラー・アクティヴィティ・ハウスの中から美術館を眺めるとこんな風に。これはオラファー・エリアソン氏の作品ですが、時間と天候により異なって見えるのがユニークです。この作品のように、無料で見られるものも多くあります。
コンテンポラリーな美術館らしく、展示の仕方も様々です。何があるのか予測不可能なところが、現代美術のおもしろさ?
21美で一番知られている作品と言えば、こちらレアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」でしょうか。プールの上から見ると、水底にゆらゆらと人影が。
プールの底に入って見上げると、プールの外の人たちが水の向こうにゆらゆらと。鑑賞している自分もいつの間にか作品の一部となってしまっている、何とも不思議な空間です。
- 草野あずき(グアテマラ在住)
- 石川県金沢市広坂1-2-1
- https://www.kanazawa21.jp/
9 福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)
白山麓の中生代の地層からは多くの恐竜の化石や骨が見つかっていますが、その白山麓、勝山市に2000年に作られたのがこの恐竜博物館。世界三大恐竜博物館の一つです。
なにやらトコトコと駆け出しそうな、入り口の恐竜くんがかわいらしい。
駐車場や博物館前のスペースにも大小の恐竜くんがそこここに。発掘作業中だったり白衣を着たりとユニークな恐竜くんとは、ツーショットを撮らずにはいられません。
巨大なドーム型の館内に入ると、目の前には長い下りのエスカレーター。このエスカレーターに乗って、「恐竜の世界」へレッツゴー!
発掘された貴重な恐竜の化石。地元で発掘されたものだけではなく、他の地域や外国で見つかったものも展示・保存されています。
広大な恐竜ホールに所狭しと置かれた恐竜の骨格標本。もちろん復元模型やジオラマもあり、恐竜だけでなく、自然史に興味がある方も必見です。
また博物館から少し離れたところには野外恐竜博物館があります。ここでは化石の発掘が行われており、見学するだけではなく化石の発掘を体験することも可能です。博物館のホームページから事前に予約しておく方が良さそうです。
なお、冬季は降雪量の多い地域なので準備をお忘れなく。
- 草野あずき(グアテマラ在住)
- 福井県勝山市村岡町寺尾51-11かつやま恐竜の森内
- https://www.dinosaur.pref.fukui.jp/
10 大原美術館(岡山県・倉敷市)
岡山県倉敷市にある紡績業で財を成した地元の実業家・大原孫三郎が収集した作品を展示した美術館。モネ、ルノアール、ゴーギャン、マティスなど、特に印象派以降の所蔵品が充実しています。
開館したのは1930年。つまり戦前。上野の国立西洋美術館の開館が1959年だから、それより19年も前の開館です。財を成してすぐに美術品を収集し、それを一地方都市である倉敷で公開した昔の人はすごいなあと感動せずにはいられません。
入場者数もそれほど多くないので一つひとつの絵をじっくり見ることができるのもうれしいです。
倉敷駅から徒歩15分。古い建物なのが残る「倉敷美観地区」の中にあるので、そちらの散策とあわせて。
写真は建物の外にある彫刻で無料で見られますが、館内の絵画もお見逃しなく。
- 柳沢有紀夫(オーストラリア・ブリスベン在住)
- 岡山県倉敷市中央1-1-15
- http://www.ohara.or.jp/201001/jp/index.html
11 直島(香川県・香川郡)
アートに浸れる島、忙しない毎日から解放してくれる島、それが直島です。
アートが見られるのは美術館だけではありません(2020年東京オリンピック会場の新国立競技場のデザインコンペで審査員長も務めた建築家、安藤忠信が設計した地中美術館とベネッセアートミュージアムは必見ですが!)。島全体に作品が溢れています。
眠たそうな猫たちのお出迎えに、肩の力が抜けていきます。レトロな町並みに映えるモダンアート。なんか、とってもかっこいいです。瀬戸内リゾートを堪能あれ!
- Wahaha(パラグアイ在住)
- 香川県香川郡 瀬戸内海に浮かぶ島の1つ
- 直島観光旅サイト http://www.naoshima.net/
さて、では冒頭に書いた日本の美術館・博物館の数。博物館法という法律によると「博物館」「博物館相当施設」「博物館類似施設」にわけられ、しかもこれらには「動物園」「植物園」「動植物園」「水族館」が含まれるのですが、一般的な概念でいう「博物館」の総数は4310館(内訳は総合博物館450、科学博物館449、歴史博物館3302、野外博物館109)。歴史博物館が圧倒的に多いんですね。
一方、美術館は106館。合計で5374館となります(平成27年度。文部科学省のデータ)。
これらの中には今回紹介できなかったけれども素晴らしい美術館と博物館がたくさんあると思います。それらを発掘するのもたのしみですね。
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【文・海外書き人クラブ】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
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