昔、各線の始発駅と終着駅の駅名のついた看板とともに撮った自分の写真を国鉄に送ってその路線に乗ったことを認定してもらい、「全線踏破を目指そう」みたいなキャンペーンがあったけど、その名前が思い出せないです。
こんにちは。海外在住ライター集団「海外書き人クラブ」お世話係の柳沢有紀夫です。「外国人に勧めたい日本の○○」シリーズ。第11弾は「鉄道」です。
「乗り鉄道」ってほどではないですが、どんな列車に乗るときも可能な限り先頭車両のいちばん前に乗って、「なんちゃって列車でGO!」気分を味わいます。日本の鉄道の車窓は、外を見ていて厭きないところが多いです。
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オーストラリア大陸を2泊3日で縦断する「ザ・ガン」という鉄道なんて1時間、外を眺めていてもいても、なーんにも変わらないこともありますから。とはいえそれはそれで「おおっ、大陸だなあ」と妙に感慨にふけったりするのですが……。
さて、今回もすべてライターたちが実際に訪れて、「ここは!」とお勧めしたくなった場所のみを、北の地方から順に紹介。というわけで「ベスト8」と書きましたが、順位をつけているわけではありません。「今回紹介するすべてがベスト」だと思います。
1 都電荒川線(東京さくらトラム)(東京都)
東京で唯一残る都電です(路面電車はこのほかに東京世田谷線があります)。
2017年4月に「東京さくらトラム」という愛称がつけられました。12.2キロの区間を53分ほどで走ります。停留場(「停車駅」という呼び方じゃないんですね)の数は30ですから、平均すると400メートルに一つくらいの感じですね。
オススメのエリアは、レトロ感あふれるというかわざとレトロな看板を集めて雰囲気を出している始点の「三ノ輪橋停留場」。こんな感じです。
途中の「王子駅前停留場周辺の路面電車区間」。
そして終点なのになぜか他の鉄道駅と接続していなくてポツンとある「早稲田停留場」。つまり全線乗るのがオススメですが、「早稲田停留場」から最寄りの東京メトロ東西線の早稲田駅までは600メートルもあります。
たぶん延伸計画はないと思います。
また「東京さくらトラム」の愛称通り、桜の季節には車内からも多くの桜が鑑賞できます。
- 柳沢有紀夫(オーストラリア在住)
2 ゆりかもめ
Big City東京を感じてもらえるのが大きなお勧めポイントですが、運転手のいない自動運転や線路のないタイヤでの走行など日本の技術も間近に見てもらえます。
高層ビルの中を抜け、レインボーブリッジを渡って、お台場で遊ぶコースもいいですね。
夜景もキレイなので楽しんでもらいたいと思います。
- バレンタ愛(カナダ在住)
3 東急池上線(東京都)
東京のほとんどの私鉄が相互乗り入れしている中、孤高を保つ数少ない路線です。まるで「栄光ある孤立」のイギリスみたいなやつです。……はい、要は時代遅れです。だけど、それが味があるんです!
相互乗り入れできない理由はおそらく「駅が短くて3両編成で走っている」「しかも駅間が短い(五反田-大崎広小路間はなんと0.3km!)から、もしも十両編成などにしたら、出発したと思ったらすぐに減速を始めることになる」「五反田駅が駅ビルの4階の高さにある」などの理由が考えられます。
まるで「天空の城」状態の五反田駅と大崎広小路駅があるかと思ったら、長原駅は環七と交差する関係で地下。3両編成で民家の軒先を走るのも「昭和」感たっぷりです。
長年連れ添った糟糠の妻ともいえるべき「多摩川-蒲田間(現多摩川線)」を無残にも切り捨てて、自分だけりオシャレな東横線にすり寄って「田園調布-日吉間」をランデブーしたかと思ったら、目黒では東京メトロ南北線と都営三田線、日吉では横浜市営地下鉄グリーンラインと相通じあうというゲスぶりを発揮している「目黒線」(旧「目蒲線」)のようなは、絶対になってほしくないっ! ……たぶん沿線住民にしたら待ち望んでいる展開でしょうが。
- 柳沢有紀夫(オーストラリア在住)
4 江ノ電(江ノ島電鉄)(神奈川県)
古都鎌倉観光に行ったら是非乗って欲しい江ノ電。住宅すれすれに走る様子や、窓からの景色を楽しんで、そして途中下車して海岸や江ノ島にも立ち寄って欲しい路線です。
- バレンタ愛(カナダ在住)
民家の軒先をすり抜けたかと思ったら、真っ暗なトンネルに突入。そして道路上を自動車とともに走る路面電車にも。
鎌倉発なので沿線には海、山、神社仏閣が。日本のあれこれが凝縮している路線です。
レトロ感あふれる車両や新型車両、イラストが描かれた車両などのバラエティも魅力ですね。
- 柳沢有紀夫(オーストラリア在住)
5 箱根登山電車(神奈川県)
小田原から強羅までを走る鉄道。だけど直通は一本もなく、必ず途中の箱根湯本で乗り換えなきゃいけないっていうのがなんとも味のある路線です。
登山鉄道の名に恥じず、標高14メートルから541メートルまで、高度差527メートルを一気に駆け上がります……なんてことは全然なくてタラタラ上がります。
でもそのタラタラがいいんです。スウィッチバック式で高度を稼いだり……。
あと「登山鉄道」ですが、登山客の姿はほとんど見かけません。
- 柳沢有紀夫(オーストラリア在住)
6 JR東海道本線 熱海-静岡間の海沿いの部分(静岡県)
外国人旅行者は、「ジャパンレールパス」を利用して新幹線に乗ることが多いと思います。移動時間の節約を考えると必然ですが、高速移動では、車窓からの景色を楽しむことは難しいでしょう。
以前、「青春18きっぷ」を使い、東京-名古屋間を7時間あまりかけて移動したことが何度かありますが、静岡-熱海の海沿いを走るところから見える海の景色は、長い移動時間を忘れさせてくれるほどです。晴天時がベストですが、曇天時でも海の荘厳さを感じる景色が拝めるのが魅力的です。
ネックは、電車の本数が少なく、乗車時間が長くなってしまうこと。時間に余裕があり、「インスタ映え」の風景撮影を考えている方にはオススメしたいところです。
- 小川聖市(台湾在住)
東海道本線(東海道本線の公式サイト的なものはないようです)
7 高山本線(岐阜県・富山県)
岐阜県岐阜駅と富山県富山駅を、山間部を通って結ぶルート。通常は名古屋駅からの直通の列車を乗る人が多いと思います。
「ワイトビューひだ」という特急もあるのですが、これが特急とは思えないほどスピードが遅い。でもそれも悪いことではないのです。
川沿いを走るので、次々に代わる景色や奇岩は、ずっと車窓の外を眺めていても飽きません。
途中、川がエメラルドグリーンに見える場所などもあります。
日本らしい風景を存分に堪能できる路線です。
- 柳沢有紀夫(オーストラリア在住)
高山本線(高山本線の公式サイト的なものはないようです)
8 JR山陰本線余部鉄橋「空の駅」(兵庫県)
兵庫県の日本海を臨むJR山陰本線にある、余部鉄橋「空の駅」は、その名の通り駅が40mの高さにあるため展望施設にもなっています。
明治45年に建設された、芸術的にも見える真っ赤な鉄橋は長らく地域住民の足として活躍していたのですが、昭和61年におきた突風による列車転落事故がきっかけとなり、新しい鉄橋がかけられました。
この駅にたどり着くまでの坂道でも、美しい日本海を楽しみつつ上ることができますが、毎日この駅から通勤・通学をされている住民の方たちの足腰はさぞかし強いことだろうな、とも思いました(笑)。
- 小島瑞生(スイス在住)
兵庫県美方郡香美町ホームページ内 余部鉄橋「空の駅」展望施設のご案内
9 新幹線
速さだけでなく安全性も誇る新幹線も、外国からの旅行者にぜひ乗ってほしい鉄道です。特に東海道新幹線の車窓から眺める富士山は人気がありますよね。
ただ……。
【「おもてなし」の国ニッポンの「不都合な真実」3つ】という記事にも書きましたが、新幹線に乗るのを楽しみに訪日している外国人がいちばん速い「のぞみ」に乗れないことがあるという状況は、なんとかしていただきたいと切に思います。
- 柳沢有紀夫(オーストラリア在住)
日本にどれだけの鉄道路線があるのかわからないのですが、まだまだおすすめのところがありそうです。特に風光明媚な海沿いや川沿い、山肌を縫うようにして走る路線は魅力的ですよね。
さて、「外国人に勧めたい日本の○○」も、とりあえず今回で第1シリーズが終了です。いつか第2シリーズをお届けしたいと思いますが、とりあえず第1シリーズのタイトルを、リンクを貼りながらまとめておきます。
【「外国人に勧めたい日本の○○」シリーズ】
- 発表! 外国人にも勧めたい日本の神社仏閣ベスト18
- 発表! 外国人にも勧めたい日本の庭園・公園ベスト8
- 発表! 外国人にも勧めたい日本の温泉ベスト8
- 発表! 外国人にも勧めたい日本の絶景ベスト8
- 発表! 外国人にも勧めたい日本の街並みベスト11
- 発表! 外国人にも勧めたい日本の美術館・博物館ベスト11
- 発表! 外国人にも勧めたい日本の動物園・水族館ベスト13
- 発表! 外国人にも勧めたい日本の伝統ベスト11
- 発表! 外国人にも勧めたい日本の城ベスト8
- 発表! 外国人にも勧めたい日本の島ベスト8
- 発表! 外国人にも勧めたい日本の鉄道ベスト9
【文・海外書き人クラブ】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
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