海外書き人クラブがお届けする『死語辞典』。「1960年代」に流行った死語とは? そのうち「サ行」から始まるものの意味と用例・用法をまとめました。
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シェー!
赤塚不二夫さんの漫画・アニメ『おそ松くん』の登場人物である「イヤミ」の口癖。もともとは驚いたときに発した感嘆詞。
直立の姿勢から、右手は曲げて頭の上、左手も曲げてへその上あたり、左足も曲げてつま先が右足のひざ小僧当りの位置になるようなポーズをとりながら叫ぶ。かなり複雑なポーズであることから、「ツイスターゲーム」がここから生まれたとか、アイススケートの「イナバウワー」の前身であるというウワサもあるが、真偽のほどは明らかに偽である。
60年代に流行った国民的流行語兼流行ポーズ。どの家のアルバムにも60年代のページのどこかに、必ず「シェー!」のポーズをしているガキンチョの写真が貼ってあるはず。
シミーズ
女性の下着の一種。元はフランス語の”Chemise”で「シュミーズ」のほうが本来の発音に違いが、なぜか「シミーズ」という発音になった。
なぜこの言葉が死語になったかというと、1970年代初頭に全国の「清水」さんから、「女性の下着をシミーズと呼ばないでほしい」という抗議が寄せられたからである。……抗議が殺到すると困るので念のため書いておくと、これも「ウソ」です、もちろん。
でも、この言葉が死語と化して、ホッとしている清水くんたちの顔がまぶたに浮かぶようだ。みんな、つらかっただろうね。関西における馬場さんや、九州におけるボボ・ブラジルのように。
*注 関西では固形物の排泄物のことを、俗にババと呼ぶことがある。
*注 九州では女性の大切な部分のことを、俗にボボと呼ぶことがある。で、50年代後半から70年代初頭にかけてよく来日したボボ・ブラジルというなぜかアメリカ人のプロレスラーがいて、九州地区の興業ポスターでは彼の名前が「ポポ・ブラジル」と濁音から半濁音に変えられていたという話がまことしやかにささやかれていた。でもテレビ中継のアナウンサーの音声は変えられず、九州地区の良い子たちは目の、いや、耳のやり場に困ったという。「ボボ、出血です! ボボ、血だらけです!」と言われたって、赤飯炊いてあげるわけにはいかないしね。
スーダラ
あまり力んでがんばりすぎると疲れるから、いい加減に手を抜いて「ダラダラ」と、でも「スーイスイ」と調子良く行こう。……そんな「サラリーマンの理想の生き方」を表現した言葉だが、世にあまたある「生き方指南」と同様、「理想と現実の間のギャップ」は常につきもの。「モーレツ社員」にならざるをえない人のほうが多かった。
ただしこの「スーダラ」思想は、のちにモービル石油のCMソング「♪のーんびり行こうよ~」に継承されるから、やっぱりこの高度経済期の理想ではあったのだろう。似たような言葉で「グータラ(ぐうたら)」があるが、ただラクして怠けているだけでなく、「出世なんかはスイスイできたらいいなあ」という調子のいい気持ちが込められているあたりが、まさに「スーダラ」!
用法は「あいつの生き方はまさにスーダラだな」とか。
ドリフターズ登場前に一世を風靡したコミックバンド、ハナ肇とクレージーキャッツの歌った「スーダラ節」(1961年)から生まれた言葉。作詞は放送作家で元東京都知事で「青島だあ!」の青島幸男さんだが、「スーダラ」の顔と言えばこの曲を歌った植木等さん。ちなみに植木さん、「スーダラな無責任男」を演じていたがものすごく真面目な方だったらしい。筆者がかつて所属していた広告業界でも、「CMになかなか出演してくれない大物」として有名だった。
この植木さんの「スーダラ」な雰囲気を受け継いだのが、所ジョージさん。だが、最近の若手芸人でこのスーダラ感を漂わせている人がいないのが、ちょっと残念。
【関連語】 ♪わかっちゃいるけどやめられない~ モーレツ
スッカラカン
(主に財布の中身が)完全に空(から)のこと。転じて財産がまったくない、またはなくしてしまったこと。「もしもこのレースで、すっちまったら、おいらもスッカラカンだ」とか。
ズッコケ(る)
周囲の予想から外れた言動をすること、またはその人。「ズッコケる」という動詞もある。
たとえば「キミの行動にはいつもズッコケさせられるなあ」とか。単に「ズッコケー!」とだけ言うこともできる。
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