【死語辞典】(70年代「タ行」の死語まとめ)

海外書き人クラブがお届けする『死語辞典』。「1970年代」に流行った死語とは? そのうち「タ行」から始まるものの意味と用例・用法をまとめました。

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【死語辞典】は下記の単独サイトに移行しました。新たな死語も続々アップ中。ぜひご覧ください。

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タイマン

一対一のケンカのこと。動詞は「張る」。つまり「タイマン張る」と言う。

用法は「ダチを巻き込みたくねえから、タイマン張りにきた」とか。「みんな、手出しすんじゃねえぞ。今日はこいつとタイマンだ」とか。「サシ(で勝負)」と同じ意味。

語源には諸説あるようだが、私はタイマンの「タイ」は「対」、「マン」は「(a) man」だと思う。つまり、「vs 一人の男」だ。

ダサイタマ

「ダサい」+「埼玉」の造語。「ダサい埼玉」といった意味。

こんなこと言われたら、埼玉県民は「浦和レッズのサポーター軍団をおまえんちの家の前に大集合させて、延々二時間、チャント(応援歌)、歌わせるぞ~っ」みたいな気分になるよね。ならないか、右翼の街宣車じゃないんだから。

そう言えば、東京都の車のナンバープレートでも「品川」ナンバーはオシャレで、「練馬」はイマイチで、「足立」は絶望的みたいなところもあった。唯一の心の支えは、「でもオレたち、埼玉ナンバーじゃないから」

話は飛ぶけど、この少しあと、「♪僕の名前は目蒲線~(中略) あってもなくてもどうでいい目蒲線~」(『目蒲線物語』作詞/作曲/歌 おおくぼ良太。83年)というコミックソングで歌われた目蒲線も、今じゃあ立派な目黒線。東京メトロ南北線と都営地下鉄三田線にひっぱりだこの目黒線。一方、いまだに同じ地位にいる東急池上線。平家物語以上の栄枯盛衰だね。

ちなみに『目蒲線物語』は6分間以上にわたり、壮大なスケールで描かれる、波乱万丈の超大作。YouTubeか何かで聞くとジーンとくるので、ぜひ。個人的には「コミックソング界のボヘミアン・ラブソティー」と呼んでいる。

話はどんどん違う方向に行ったけど、現在、「ダサイタマ」を使うとしたら、「キミ、どこ出身?」「ん、埼玉」「ああ、昔、『ダサイタマ』って呼ばれてた埼玉県?」と、蒸し返すとかね。または、「あっ、埼玉出身? じゃあ、ちょっと教えてほしいんだけど、『ダサイタマ』の『ダ』って、いつ取れて、『サイタマ』になったんだっけ?」と何食わぬ顔で聞いてみるとかね。「でも、良かったね、『ダサイタマ』じゃなくなって」という励ましも効果的。

あっ、私のオヤジの生まれ故郷、埼玉で、私のもともとの本籍も埼玉県だった。さらによく考えたら、私、小学校三、四年生の二年間だけだけど、かつて埼玉県民だったことがあるんだよね。裏切ってゴメン、埼玉。

ダッシュで

「急いで」「すぐに」のこと。今でいう「ソッコー」に近いか。たとえば「ダッシュでゲットする」。

WC(ダブリュー・シー)

「ワールドカップ」ではなく「トイレ」のこと。「Water Closet」の略とのことで、主にイギリスで使われる英語らしい。同じ英語圏でも、オーストラリアではあまり見ない気がする。

主に書き言葉というか、トイレそのものや案内板にのみ用いられ、話し言葉で用いられることはめったにない。だからこそ今、勇気を出して口にしてみたい言葉。「WC」が市場でどう受け入れられるか、非常に興味がある。おそらく「バカウケ」か「ドッチラケ」で、単純に「スルー」されることはないだろう。だが、「バカウケ」だと思うのは、「篠沢教授に全部」くらいの一か八かの勝負だと思う。

タンマ

「タイム」からの転。つまり「ちょっとストップ!」という意味。バレーボールの監督が「タイム」を取るときに主審に向かって、タイムの頭文字である「T」の形を左手と右手でつくったことから、その格好をしながら「ちょっとタンマ!」と言うことも多かった。

80年代にゲージツ家の篠原勝之さんが「笑っていいとも!」で流行らそうとしていた「教育的指導」も、「オリンピックで見つけた不思議ネタ」という意味では、この「タンマ」の流れかもしれない。

チャンチャン

残念な結末だけど、あまり深刻にならずに終わらせたいとき、締めのひとこととして用いる。

用法としては「……ってことでカレとは結局、縁がなかったみたい。チャンチャン」とか。テレビのコントの終わりに使われる効果音を、言葉に転用したものだと思われる。

チーケッタ

「じゃんけん」のこと。「じゃん・けん・ぽん」のリズムで「チー・ケッ・ター」という。これは完全に方言で、でも幼稚園児のころ住んでいた石川県金沢なのか、小学校1~2年生の香川県高松市なのか、3~4年生の埼玉県富士見市なのか、5年生以降の東京都江戸川区葛西なのか、思い出せなかった。

ネットで検索したら、「千葉県」「北関東」あたりらしい。江戸川区は千葉県の隣で、江戸川を挟んでいるけど、東京都の隣の区である江東区とはもっと大きな荒川で断絶されているから、文化的には千葉圏内なのかもしれない。

長髪

今でいう「ロン毛」のこと。昔は、男は髪の毛はみじかくあるべしという風潮だった(でもサムライはみんなロン毛だったけどね、写真で見ると。あと原始人もみんなロン毛だったよね、実物見たことないけど)のだが、60年代にビートルズのマッシュルームカットなどが流行って、だんだん髪を伸ばすようになったのだね。髪を伸ばすのは反体制というか、反抗の象徴だったらしい。バンバンの『いちご白書をもう一度』(1975年。作詞作曲は荒井由実=現・松任谷由実)でも、そう言った内容が歌われている。

ちなみに1979年に高校に入学した私も、髪を伸ばしていた。当時の私の写真を見た娘(当時12歳)がひとこと。「パパって……キモロン毛だったんだね」。……なあ、「キモ」は余計だろ、「キモ」は?

チラリズム

元パラグアイ代表のゴールキーパーのこと、ではない(ちなみに、それは「チラベルト」ね、サッカーファンじゃないとツッコミにくいと思うけど)。

「エッチな部分をそのままズバリをあけっぴろげに見せられるよりも、隠されていて、瞬間的にチラリと垣間見えるか見えないかのほうがそそられる」といった意味。「チラリ」という言葉に、「主義」を意味する英語の「ism」をつけた言葉。

用法は「やっぱり、チラリズムのほうがそそられるわけですよ」とか。……なんだかオタク的。

「チラリ」を使った言葉では「パンチラ」はまだ生きているね。

チンする

あっ、これチンして!」というと、「電子レンジで温める」の意味。電子レンジのタイマーが「0秒」になったときに、「チン!」という音がすることから。これは完全に死語ではなく、まだ使われているかもしれない。

ただ若い女の子にとってはちょっと躊躇してしまう言い回しなので、死語となったのではないだろうか。でも勇気を出して使ってほしい言葉だね、「エレックさん」とともに。

【類義語】 エレックさんする

チンタラ/タラタラ

グズでノロマな様子。たとえば「チンタラやってんじゃねえよ!」「な~に、タラタラやってんだよ!」。そう言われたら、「ハ~イ。チンタラちゃんで~す」と、タラちゃんのモノマネで返すのが、目上の人への礼儀。歳は近くても、カツオ兄ちゃんもワカメお姉ちゃんも、おじさんとおばさんだからね。……執筆している本人も意味不明。

ツッパリ/つっぱる

中学生や高校生が「大人にたてつく/虚勢を張る/反抗的な態度をとる」ことを、「つっぱる」と言った。それをする人たちが「ツッパリ」だ。

用法は「田中さんちの孝雄君、あんなにかわいい子だったのに、今、ツッパリらしいわよ」とか、「お前、何、ツッパってんだよ」とか。

のちに、近い意味である「ヤンキー」に取って代わられた。元々、関西弁だった「ヤンキー」が全国制覇を遂げたことで、「関ヶ原のカタキは取った」と関西人が喜んだとか喜ばなかったとか。

【関連語】 ゾク

デカパイ

巨乳のこと。「デカいオッパイ」の略。類義語「ボイン」は肯定的に用いられたのに対して、「デカパイ」は否定的なニュアンスがこめられることが多かった。

たとえば「デカパイはバカばっかなんだよね~」とか、「あの子、ただのデカパイだからね~」とか。もちろん胸の大きさと知性が反比例するという説には何の科学的根拠もない。

「デカパイ」は死語になったが、その後生まれた「ちっぱい」(「ちっちゃいオッパイ」の略。「貧乳」のこと)は2018年現在も生き残っているから、まさに「奢れる者も久しからず」だね。

【類義語】 ボイン

テクシー

タクシーに乗るのではなく、「てくてく歩く」こと。こういうので、「うまいこと言うだろ、オレ」的な「したり顔」ができた時代があったんだね。

用法は「すぐそこだから、テクシーで行こう」とか。あとバブルのころなら「テクシーで行こうか、健康のために」といった見栄を張る必要があったが、今はこんなご時世だから「テクシーで行こうか、経費削減のためにも」でOK。本音で話せるっていう意味では、いい時代なのかも。

デコピン

利き手の中指を内側に曲げ、親指で押さえておき、誰かのおでこの前で親指を話して、中指のつめの部分を「ピン!」と当てること。「おでこにピン」で「デコピン」と思われる。罰ゲーム的要素が強い。

また利き手の中指を、反対の手の中指で外側に反らせておいて、誰かのおでこの前でパッと離すことも、「デコピン」と呼んだ。というよりも、東京都江戸川区の葛西地区では、当時「デコピン」と言えばこちらのほうを差したような……。打撃力は前者のほうが数十倍は高い。そう考えると、後者を多用していたあの頃のボクらって、さわやかな草食系男子だったんだね。

♪出っ歯、ご立派、ヨーロッパ

意味はまったくない「ガキンチョ語」。なんの脈略もなく使われたので、用例の書きようもない。

「だからなんだ?」臭がプンプン漂うフレーズ。「立派なほどの出っ歯」と「立派と言えばヨーロッパ」と、なんとなく三段論法的なつながりはあると分析しても、やっぱり「だからなんだ?」臭がプンプン。そう言えばこの頃、ソルティー・シュガーが歌った「ハナゲの歌」というのがあった。「ナンセンス」が流行った時代。あっ、「ナンセンス」もそろそろ死語か?

♪で~んきあんま~っ

漢字を用いて書くと「電気あんま」。「あんま」はマッサージのこと。

だとすると、「電気あんま」とは「マッサージチェア」とか「電動肩たたき器」みたいなものを想像されるかもしれない。またはある種のビデオの普及により、本来の用途とはまったく違う形で使われるほうが一般的になった電動マッサージ器(電マ)とか。

だがここで紹介する「♪で~んきあんま~っ」では、電気はまったく使われない。

まず友だちを向き合って、お互い脚を投げ出して座る。「電気あんま」をかけるほうは、左手で相手の右足首を、右手で左足首をつかみ、主に利き脚を延ばして、足の裏を相手の股間に当て、その足を振動させて、攻撃を加える。その際、「♪で~んきあんま~っ」と節をつけて叫ぶのが本式。

単にくすぐっただけの遊びだったが、これにハマった男の子たちは、将来、「女王様、ふんづけてください」という趣味に走ったとか走らないとか。あと「♪で~んきあんま~っ」を女の子からされたときならまだしも(普通されないけど)、男からされたときに間違って反応してしまったら気まずくてたまったもんじゃないよね、きっと。

ドッチラケ~っ

「ド」は「ドーナッツ」ではなく、「どでかい」「ど近眼」の「ど」と同じ。後に続く言葉の意味を強める接頭語。つまり「ドッチラケ~っ」は「すごくシラケているよ」の意味。なぜ、「ドッシラケ~っ」ではなく、「ドッチラケ~っ」になるのか不明。まあ、「シ」を「チ」にした方が勢いはある。

具体的な用法としては、以下のものが挙げられる。授業中……。

「先生!」

「ん? なんだ?」

「先生!」

「だからなんだ?」

「♪選手宣~誓~っ(森昌子さんの「せんせい」のフレーズで)」

このときクラスの誰かから「ドッチラケ~っ」が飛ぶ。

【類義語】 シ~ラケ~っ シ~ン シラ~っ

トッポい

意味は「派手、カッコイイ」。「イカす」同様、すでに死語硬直が始まっていたが、横浜銀蝿の「ツッパリHigh School Rock’n Roll 登校編」で用いられて、見事にゾンビ的復活を果たした。

【類義語】 イカす

ドビン、チャビン、ハゲチョビン / ドビン、チャビン、ハゲチャビン

じゃんけんゲームの一種(「軍艦、軍艦、ハワイ。ハワイ、ハワイ、沈没」とかね)。

ちなみにこの「ドビン、チャビン、ハゲチャビン」だけでなく、「あっち向いてホイ!」「フルーツバスケット」「古今東西」なども、萩本欽一さんが司会を務めたテレビのオーディション番組「スター誕生」の「欽ちゃんコーナー」で生まれたらしい。「あっち向いてホイ!」「フルーツバスケット」はもっと古くからあったボーイスカウト系のゲームだとばかり思っていた。

もう一つついでに書くと、「野球拳」はもともと愛媛県松山市の正統的(つまり「脱衣なし」の)宴会芸だったそうだが、お座敷芸として脱衣するようになり、コント55号のテレビ番組で一気に広がったとのこと。欽ちゃん、おそるべし! あとオレ、暇すぎだろ。

トンズラする

「ブタのカツラをかぶる」という意味……ではない。だとしたら、「トンズラ」じゃなくて、「トンヅラ」じゃないと、論理整合性がないからね。

ある場所から逃げること。どちらも「逃げる」という意味の「遁走」と「ずらかる」を合成した語らしい。

用例は「おまわりがきたらヤバいよ。早いとこトンズラしようぜ」。

【類義語】 フケる

ドンマイ、ドンマイ!

英語の「Don’t mind!」から。意味は同じく「気にするな」「だいじょうぶ、だいじょうぶ」

私が中学時代を過ごした70年代は、まだ「野球部」専門用語だったと思う(他のスポーツでもあまり使われなかったように記憶する)。味方の野手がエラーしたときや、ピッチャーが押し出しの四球を出してしまったときなど、「だいじょうぶ、だいじょうぶ。気にせず、がんばっていこう」という意味で、よく用いられた。ただし、サヨナラ逆転ホームランを打たれて夏の大会敗退が決まった瞬間には、あまり用いられなかったと思う。

その後、一般社会でも使われるようになった。私が80年代後半を過ごした広告業界は、不動産業界ほどではないが、体育会出身者が多く締めており、この表現を用いる人たちにときどき遭遇。だが「ドンマイ、ドンマイ!」と口にする人間は、「体育会出身」→「筋肉バカ」的な見方をされることに遅まきながら気づいた彼らは「ドンマイ」の使用を極力避けるようになり、それが理由で徐々に廃れていったのかもしれない。

あと成人指定の表現になるが、「あっ、ゴメン。出ちゃった!」と謝る年下の男の子に、年上のおねえさんが「ドンマイ、ドンマイ! もう一回、がんばってね❤」。……そんな用例もある。

ちなみに、「ドンマイ、ドンマイ!」と二度続けるのが基本。「ドンマイ!」と一回だけだと、「じつは結構気にしてるよ、オレ(ワタシ)!」と根に持つ感じ。「ドンマイ、ドンマイ、ドンマイ!」と三回だと、「あっ、ぜ~んぜん気にしてないから。ハナっから諦めてるから、オレ(ワタシ)!」という投げやりなニュアンスになる。……奥が深いぞ、「ドンマイ!」。

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3) 画面右側の「検索機能(虫眼鏡マーク)」に知りたい死語を打ち込むと、バッチグーな答えが得られます。

4) 世代が違う方とのコミュニケーションギャップも、パーペキに埋められます。飲み会が「どっちらけ~」になることも避けられます。

5) 死語の解説は、管理人の独断により行っています。偏りは重々承知の助。どうぞ許してチョンマゲ! (間違いのご指摘はお待ちしております)

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