(『死語辞典』が1990年代に流行ったこの死語の意味を解説します)
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故・中尊寺ゆつこさんが、漫画『スイートスポット』で発表した言葉。「オヤジみたいな行動形態を取るギャル」の略だが、ここでいう「ギャル」は今の用法よりも少し年齢が上の20代OLを指す。つまり「オヤジみたいな行動形態を取るOL」の意味。
缶ビールやカップ酒をグラスに移さず口にしたり、最初の一口飲んだ直後、「ぷはーっ。たまんないねえ~」と叫んだり、おでんの屋台に一人で、または女性だけで立ち寄ったり、出勤途中に駅の売店で栄養ドリンクを買って飲み干したり、ホームで菓子パンをむしゃくしゃと食ったり、駅の立ち食いソバに一人で入ったり、赤鉛筆片手に競馬新聞を読みふけったり、歩きタバコをしたり、股をひろげて股間を掻いたり、こった肩や首をひと目もはばからずにボキボキ鳴らしたりといった、「友だちとしてなら最高にたのしいんだけどね……」的な行動をとる。もちろん、「……」の意味は、「カノジョにする気にはならないなあ、オレもモノ好きじゃないから」。
オヤジギャルのみなさんは、みな、「オヤジ道」を極めたと思われているかもしれない。だが私が5年間働いていた大阪ではカップ酒を片手にJR神戸線新快速列車に乗り込み、ジャムパンやクリームパンというシュールなおつまみを口にしながら、「のんびり日帰り一人旅」的な雰囲気で夕方帰宅の途につくサラリーマン・オヤジがうようよいた。その「最強レベル」に達したオヤジギャルに、私は今だかつて出会ったことがない。
まあ、それも無理はない。だってジャムパンやクリームパンつまみにワンカップだよ。「和食のあとにコーヒー」とか「どんな食べ物にも合うアイスティー」みたいなキャンペーンで、いわゆる「消費機会の拡大」を目指すというのが広告屋の常套手段の一つなんだけど、「ポン酒にジャムパン」は思いつかないよね。……あっ、「ポン酒」も死語か。
でもジャムパンは、駅の売店で売られているものの中で「安くていちばんボリュームがある」という選択理由なんだろうな。
オヤジギャルはたのしかったかもしれないが、本物のオヤジは大変だったんです!