先日ふと気になって「日本企業の売上高ランキング」を調べていたところ、ちょっと驚く事実を発見しました。その事実とは……。
こんにちは。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫です。
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参考にしたのは日本経済新聞の売上高ランキングです。
- 順位 会社名 売上高(百万円) 業種 設立年(前進・合併前会社等の設立年)
- 1 トヨタ 28,403,118 自動車 1937年
- 2 ホンダ 14,601,151 自動車 1948年
- 3 日本郵政 14,257,541 サービス 2006年(元国営事業の五現業の一つ)
- 4 日産自動車 12,189,519 自動車 1933年
- 5 NTT 11,540,997 通信 1985年(元電電公社)
- 6 日立 10,034,305 電気機器 1920年
- 7 ソフトバンク 9,153,549 通信 1986年
- 8 JXTG 8,737,818 石油 2010年(1888年)
- 9 イオン 8,176,732 小売業 1758年
- 10 豊田通商 8,170,237 商社 1948年
- 11 ソニー 8,105,712 電気機器 1946年
- 12 パナソニック 7,553,717 電気機器 1935年
- 13 丸紅 7,300,299 商社 1949年
- 14 三菱商事 6,925,582 商社 1950年
- 15 東電HD 6,069,928 電力 1951年
- 16 セブン&アイ 6,045,704 小売業 2005年(1973年)
- 17 伊藤忠 5,083,536 商社 1949年
- 18 新日鉄住金 4,907,429 鉄鋼 1950年
- 19 三井物産 4,759,694 商社 1947年
- 20 富士通 4,739,294 電気機器 1935年
- 21 NTTドコモ 4,527,084 通信 1991年(元電電公社)
- 22 デンソー 4,524,522 電気機器 1949年
- 23 KDDI 4,466,135 通信 1984年(1925年)
- 24 三菱電機 4,394,353 電気機器 1921年
- 25 三菱重工業 4,046,810 機械 1950年
- 26 住友商事 4,010,808 商社 1919年
- 27 三菱ケミHD 3,823,098 化学 2005年(1950年)
- 28 キヤノン 3,800,271 電気機器 1937年
- 29 ブリヂストン 3,790,251 ゴム 1931年
- 30 出光興産 3,570,202 石油 1940年
- 31 JFE 3,431,740 鉄鋼 2002年(1912年)
- 32 マツダ 3,406,603 自動車 1920年
- 33 関西電力 3,245,906 電力 1951年
- 34 アイシン精機 3,243,178 自動車 1949年
- 35 SUBARU 3,232,258 自動車 1945年
- 36 ハウス食品 3,192,900 建設 2013年(1947年)
- 37 スズキ 3,180,659 自動車 1920年
- 38 メディパル 3,028,187 商社 1923年
- 39 住友電工 2,933,089 非鉄金属製品 1920年
- 40 JR東日本 2,867,199 鉄道・バス1987年
- 41 中部電力 2,854,044 電力 1951年
- 42 NEC 2,821,181 電気機器 1899年
- 43 アルフレッサ 2,576,405 商社 1949年
- 44 富士フイルム 2,491,624 化学 2006年(1934年)
- 45 シャープ 2,461,589 電気機器 1935年
- 46 三菱食品 2,383,064 商社 1925年
- 47 オリックス 2,369,202 その他金融 1950年
- 48 日本郵船 2,272,315 海運 1885年
- 49 三菱自動車 2,267,849 自動車 1970年(1950年)
- 50 JT 2,252,884 食品 1985年(旧専売公社)
(出典 日本経済新聞 日本企業の「売上高ランキング」
https://www.nikkei.com/markets/ranking/page/?bd=uriage
決算期はだいたい2016年の3月。ただし創業年のデータは筆者が追加)
このデータをご覧になって、驚くべき事実を発見できると思います。
「ああ、日産よりもホンダが上なんだ!」
いや、そこは私も驚いたのですが、今回のポイントはそこではなく……。
「電気機器ではパナソニックが3位なんだ!」
ええ、そこも改めてビックリした点ではあるのですが……。
なぜ私のごとき小者が大の日経様のデータにわざわざ「創業年」を足したかお考えください。
私が最も驚愕したのは……。
「50位以内に若い企業がほとんどない」
ということです。
何をもって「若い企業」と呼ぶのかはむずかしいところです。とはいえ、私の個人的な感覚なのですが、「若い企業の中でいちばん老舗」というイメージがある会社が存在します。それはマイクロソフトとアップル。デジタルネイティブ世代ならいざ知らず、30代以降の方ならなんとなくわかってくれるのではないでしょうか。
そのマイクロソフトとアップルの創業年が、それぞれ1975年と1976年。で、それよりも創業年が最近の会社を「若い企業」と呼ぶことにしてみましょう。すると……。
はい、そうなんです。
合併や持株会社化などで名称変更した企業で2000年代生まれのところもありますが、それらを除く「純粋な若い企業」で50位以内にランクインしてるのは、ソフトバンクのたった1社だけなんです!
この事実は、いったい何を示しているのか。
「やっぱり大きな企業は強いね」とか「寄らば大樹の陰」? いや、それもそうかもしれないのですが、ここで注目したいのは「日本では新しい産業が大きく育っていない」ということです。
どういうことか説明します。
既存の業種であれば、すでに大きくなっている企業のほうが通常は有利です。すでに設備投資などもしていますし、ノウハウもある。新興企業がユニークな製品を出してきたら似たものをより安く売る体力もあるし、勢いのあるスタートアップ企業を買収することだってできる。
つまり、すでにもう長いこと存在する業種で新興企業がトップに立つのは至難の業なのです。
一方で、新たな業種であれば、新興企業でもトップに立つことが可能です。巨大な壁がないわけですから。
海外に目を向けても「若い企業」で大きく成長しているのは、新たな分野または既存の分野にまったく新しい風を吹き込んだところばかりです。
たとえば先ほど例に挙げたマイクロソフトとアップル以外に、フェイスブック、グーグル、アマゾン。このうちアマゾンは「ネット通販」という革命を起こしたといえなく従来の流通業をベースにしていると言えなくもないですが、その他の企業のすべてが「今まではなかったモノやサービス」を売っていることにお気づきになるでしょう。
つまり、です。
海外、特にアメリカでは「新たな巨大産業」がどんどん生み出されているのに対して、日本ではそれがないのです。
私は「モノマネ大国ニッポン」と揶揄されると、「いやいや、改良大国ニッポンだよ」と反論してきました。自動車にせよ、鉄道にせよ、AV機器にせよ、他の何かにせよ、日本の「改良力」がなければここまで進化はしていなかったでしょう。それは事実だと思います。
でも、ここまで「新たな巨大産業をつくり出していない」という事実を突きつけられると、「改良大国」などとうそぶいている場合ではないかもしれないと思えてきました。
あたなはどう思われますか?
姉妹記事として
グローバル企業のブランドランキング100発表。でも嘆くのはそこじゃない!?
もぜひご覧ください。
※今回の記事は私、柳沢有紀夫の個人的な解釈で、海外書き人クラブの公式見解ではありません。
【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
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