登山初心者も日帰りで縦走が楽しめると大人気の「奥高尾縦走ルート」(高尾山・陣馬山縦走ルート)。高尾山から入るルート(西行き)と、陣馬山から入るルート(東行き)の両方があるので、同じような条件の日に踏破して比べてみました。その結果は……。
こんにちは。海外書き人クラブ会員のユッキーです。
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一つの山を同じルートから登って降りるのって、結構退屈ですよね。下りって「目標を達成したあとの残務整理」感がありますし。
そんな風に感じ始めた登山好きにオススメなのが、そう、縦走ルート!
その中でも東京から気軽に行けると、丹沢表尾根と並んで人気なのが「高尾山・陣馬山ルート(奥高尾縦走ルート)」です。ライバルの丹沢表尾根のほうは「ヤビツ峠から入って大倉バス停に抜けるほうが絶対にいい」というのがすでに「定説」となっていますが、「高尾山・陣馬山ルート(奥高尾縦走ルート)」のほうはどちら向きがいいのか諸説紛々。
だったら両方トライして比べてみようというのが、今回の企画です。
で、今回は「陣馬山から入ってに高尾山抜けるルート」の紹介です。
1 陣馬山→高尾山ルートの説明
- 京王線およびJRの高尾駅 → 陣馬高原下バス停 → 陣馬山(じんばさん)→ 景信山(かげのぶやま) → 小仏城山(こぼとけしろやま。または単に「城山」) → 高尾山(たかおさん) → 京王線高尾山口駅
標高自体は高尾山が599メートルで、最高地点の陣馬山でも857メートルと低山の部類に入るのですが、途中で小仏城山や景信山などを登って降りてするので合計のアップダウンはかなりあり、走行距離は17.3キロになります。
ちなみにヤマケイオンライン様の「コース計画」のサイトで調べてみると……。
- 陣馬高原下発(西から東へ)のルート 合計1355メートルの登りで6時間50分
- 高尾山口駅発(東から西へ)のルート 合計1503メートルの登りで7時間05分
- (いずれも標準タイムで休憩時間含まず)
いずれもそれなりにタフな道のりです。ただデータ的には、ほんの少しだけ今回の「西から東ルート」のほうが楽ということになります。
丹沢表尾根縦走(ヤビツ峠バス停→塔ノ岳→大倉バス停)が走行距離14.0キロ、合計1385メートルの登りで、7時間22分(標準タイムで休憩時間含まず)なので、体力的な負担はほぼ同じですね。丹沢表尾根とは違い鎖場などはないし、冬でも雪が積もることはまずないので難易度は少し低いですが、なめてかかれる距離ではありません。
2 「陣馬山→高尾山」ルートを実際に歩いてみた
ではいよいよ、実際に歩いたルートを紹介してみましょう。2017年12月23日の記録です。
電車を降りるのはJR中央線または京王線の「高尾」駅。「高尾山口」駅ではないので、気をつけてください。
京王線で降りると南口のほうに出て、しかもバス乗り場もあるのでそこからだと勘違いしてしまいそうですが、「陣馬高原下」行きのバスが出るのは「北口」。というわけでそちらに回る必要があります。その際JRの構内を通りますが、乗り換え改札口の左側の2つ、黄色の「通り抜け専用改札」を使えば入場料を払わなくても済むようになっています。
JR太っ腹!
ところがもう一つトリッキーなのは、「通り抜け専用改札」に京王線の「高尾山きっぷ」を入れると、ゲートが閉まって行く手を阻まれるんです。というわけで、出口と乗り換え改札の間の詰め所にいる駅員さんに言って、「通り抜け専用の切符」と交換してもらう必要があります。
最初から行かなくてもいい迷宮に嵌まり込んだ感があります。
07:30 陣馬高原下バスが高尾駅発
そんなこんなで高尾駅北口のバス停に無事到着。ところがホッとしたのもつかの間、陣馬高原下行きのバスを待つ人たちのすんごい行列!
いや~乗れるのか? 乗り遅れたら次は確か1時間後だぞ。
なんてビビッていたのですが、定期便の前に「急行の臨時便」が来ました。ところが座席が埋まったので、車内はラッシュアワー並みの混雑。
「数十分立っていくより、時間がかかっても座ろうか」と思ったのですが、乗り降り口のところにいた係員さんに訊くと「途中2つの停留所しか停まらない急行なのでこっちのほうが早く着きます」とのこと。
その言葉を信じたのですが……。
上から降りてくるバスとのすれ違いのために待機している間に追いつかれ、陣馬高原下に着いたのはほぼ同時。よくよく考えたら、そもそも急行でない定期便でも途中の停留所で降りる人などいないし、電車と違って利用者がいなければどんどん素通りなので、到着時間が変わらないことは目に見えていましたね。
というわけで、臨時便で無理に立って行かず、後発の定期便で座るのが良いと思います。「お役立ちヒント」でした。
08:15陣馬高原下バス停着 08:20発
さて、バス停でストレッチなどをして、いよいよ登山開始。寒暖計を見ると、この日の気温はマイナス5度くらいです。ここまで来ると、歩き始めはかなり寒く感じますね。
最初は舗装道路を歩きます。
すくに左側を小川が沿うように流れ、せせらぎの音が心地よい……はずなのですが、氷点下の朝はどちらかというと寒々しく感じます。
しばらくすると左側に「新登山道」の入り口が……。
標識も小さくソロ登山だとちょっと見逃しそうなので、注意してください。
右の舗装道路を進んでも和田峠経由で陣馬山に到着します。ただ、個人的には舗装道路よりも山道が好きなのと、標準コースタイムで10分短いのと、以前梅雨の時期に和田峠経由のルートで下山したとき、陣馬山頂上近くの道がグチョグチョにぬかるんでいて閉口したという悪夢がよみがえり、「新登山道」をチョイスしました。
この「新登山道」、登り始めは沢の脇を通ります。
せせらぎの音が聞こえるのは気持ちいいですよね~。体が温まってきたので、同じせせらぎの音への感想も180度変わります。
しばらく行くと木の根っこが露出した急斜面に。
ツルツルの岩肌なども登りにくいですが、木の根っこ軍団も「いい加減にしろっ」って気になりますね。あっちからしたら「ふざけんな人間。オレたちのほうがずっと前からここにいるんだ」って感じかもしれませんが。
とにかくこれが結構延々と続きます。
この日は長袖シャツ2枚とウィンドブレーカーで出発したのですが、この斜面で暑くて長袖1枚になりました。
一気に登るので、今回の縦走ルートではここが一番肉体的には大変です。逆にいえばこれを過ぎてしまえばあとはラクです。
ポジティブに行きましょう、ポジティブに。
その斜面をぬけると歩きやすい山道になります。人が一人通れるだけのこんな獣道的なところもおそらく2~300メートルほどありますが、この時間に降りてくる人はまあ、いないので、すれ違うことはありません。
09:25陣馬山(じんばさん)頂着 09:45
そして陣馬山到着! 名物の馬の彫刻が出迎えてくれます。
上の写真は北東方面です。
富士見茶屋の屋根を除き、360度の視界!
しかも天気が良ければ富士山もクッキリ!
しかし、なんでこんな低山なのに木々が生えていないのか。来るたびに不思議に思う陣馬山。……この絶景なので心のつぶやきもつい五七五の俳句調になります。
正直言ってこのルートでいちばんの眺めはここなので、しばし堪能。いきなりメインイベントって感じですが……。素通りする人もほとんどいなくて、風景写真と馬の彫刻との記念写真を撮ったあと、食事にいそしむ人がほとんどです。
私の場合、ぼっち登山だし、調理器具とかを持ってきたわけではないので、風景を堪能したあとはサクッとおやつを食べて、景信山方面に向かって出発します。
この陣馬山から景信山に向かう道が、ちょっと見つかりにくいというか、JR中央線藤野駅のほうに向かう道と紛らわしいので気をつけてください。
最初は左側の視界が開けて、気持ちのいい道です。
朝、寒かったので霜柱もあちこちに。
そしてこの日はトレイルランの大会が行われていました。脇によって道を譲ってあげると、「ありがとうございます」と挨拶してくれる人がほとんどで、気持ちが良かったです。
ちなみに陣馬山から景信山は6.0キロ。距離的には全行程の約3分の1です。いくつか小高い山と峠があり、それらの昇り降りを避ける「巻き道」があるところもあります。
今回私は一応巻き道ではなくすべて上まで登ったのですが、明王峠(ここは巻き道なし)を除くと、どの山や峠も木々の幹の間からしか景色が見られません。
ということですべて巻き道を通っても全然問題ないと思います。特に堂所山からの下りは角度も急で、木の根っこだらけで怖いくらいなので、巻き道を利用したほうがいいです。
11:07景信山(かげのぶやま)着 11:17発
景信山に到着。山頂(というかあまり山頂らしくないのですが)には大きな「景信茶屋」があり、ベンチも多いのでいつも大勢の人で賑わっています。
陣馬山からついて最初に見えるのが、この北と東方面に約180度広がる景色。茶屋の裏手に回ると富士山が見えます。
どちらに陣取っても絶景です。
11:48小仏城山着 11:53発
次の目的地は小仏城山。単に「城山」というのが正式名称のようですが、他の城山と区別するためにこう呼ぶことが多いようです。
ここの山頂も広くて、大きな茶屋があり、多くの人で賑わっています。写真右は電波塔。
そして写真左側の赤い帽子が、その電波を受けた方々。……というのはもちろんウソで、クリスマス前なのでサンタ帽をかぶっているんですね。こういう他人を楽しませようという気持ち、好きです。一応、「メリークリスマス!」と挨拶しました。
これは小仏城山山頂の東側のスペースです。
裏手にまわると……。
富士山もバッチリ見ることができます。でも少し雲が出てきましたね。
あとこのあたりの名物はなめこ汁! どの茶屋でも絶賛発売中だした。
じつは小仏城山を出てすぐのところで道を間違え、大垂水峠方面に下ってしまい、25分ほどロスしました。というのは、この日行われていたトレイルラン大会のランナーたちについて行ってしまったというか、道しるべの前に大会運営の人たちがたむろしていいたので見えなかったというか……。
はい、きちんと確認しない私がいちばん悪いのですが、それでも大会運営の人たちはただでさえランナーたちが一般登山者を立ち止まらせたりして迷惑をかけているのだから、彼らだけでなくまわりの人たちのことも考えてくれたらなあと思いました(トレイルしている人たちはほとんどが、道をよけてあげると「ありがとうございます」と声をかけて通り越して行っただけに、運営側の無神経さが余計目立ったのかもしれません)。
けどまあ、私の不注意がいちばん悪いのですが……。
とにかく以下のコースタイムはその25分のロスを差し引いて表示しています。
たった往復1.2キロ余分に歩いただけですが、急坂なだけに答えます。
そしていよいよ高尾山への階段の連続。ここは全行程で2番目にきつく、思わず巻き道をしたくなりますが……さすがに高尾山素通りってわけにはいなかいですよね。
12:25 高尾山着 12:35発
そしていよいよ高尾山山頂に到着!
紅葉の時期に来ると平日でもあまりの人の多さと外国人比率の高さに、「原宿・竹下通りかよっ!」とツッコミを入れたくなる高尾山。そこまでではないにしても、天気のいい冬の日だつたので相変わらずすさまじく混んでいました(丹沢の塔ノ岳の予想最高気温が氷点下だったので、凍結を恐れた人たちがみんなこっちに回ったのかもしれません。じつは私もそのクチです。笑)。
相変わらず外国語率、高いです。
こんな快晴だと富士山もバッチリ……でもないですね。さきほどの小仏城山よりも雲が少なめですが、全体的に空がガスってきて白くなっているので、クッキリ見えなくなっているのがちょっと残念。
ちなみにこの縦走コースでは、ここで富士山は見納めです。
というわけで最後の富士山を眺めながら、おやつを除くと最後の食料であるコンビニドーナッツを2個、サクッと食べて出発です。ぼっち登山ですから……(さすがに4時間もぼっちだとさびしくなります。まあ、休憩中とかまわりの人とペラペラ話すんですけどね)
13:00 ケーブルカー乗車 13:06下車
山頂からは薬王院の境内をすり抜けて、20分ほどでケーブルカーの高尾山駅に到着です。
「がっつり縦走してきたヤツが、最後に観光客ご用達のケーブルカーかよっ!」とツッコミを入れられそうですね。だけど下りって達成感がなくて退屈じゃないですか? 残務整理みたいな感じで。さつきも書きましたが。
ということで私は高尾山ではよく「リフト」に乗って降りてきます。じつはこのリフト、高尾山にあるどの下山ルートよりも景色がいいですし。
で、いつもはリフトなので今回は「ケーブルカー」に乗ってみることにしました。でも開放感があってより爽快なのはリフトのほうだと思います。秋から冬にかけては、途中から「寒いぞ、コラッ」という気持ちになってきますし、妙に眠くなるのですが……。
あとで調べたところ、ケーブルカーの乗車時間は6分に対して、リフトは12分と2倍。ゆりかごのように微妙にゆらゆらとする感触とともに、その時間の長さもウトウトする原因かもしれません。
13:10 高尾山口駅到着
というわけで最後はケーブルカー乗車という「ズル」が入りましたが、全行程4時間50分。休憩を差し引くと4時間05分。ちょうど標準コースタイムの70パーセントくらいです。バーナーなどの調理用品や調理用の水なども持ってきていないので、かなり快適に進めました。
富士山が途中からガスってきたのは残念ですが、最後まで快晴で最高の山日和でした。
低山なので真夏はキツイですが、冬場でも雪の心配がほとんどない奥高尾縦走。みなさんもぜひ楽しんでください。
【今回のルートと所要時間】
- 07:30京王線およびJRの高尾駅 → 08:15陣馬高原下バス停 → 09:25陣馬山 → 11:07景信山 → 11:48小仏城山 → 12:25高尾山 → 13:10京王線高尾山口駅
以上、「高尾山・陣馬山縦走(奥高尾縦走)登山➀ 西からルート徹底解説」でした。
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【文・ユッキー】
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