マニラの交通機関の利用方法。前編では「四輪の自動車」を4つ紹介しました。後編は数あるコミューターの中から後編は「三輪・二輪・四足編」です。
こんにちは。海外書き人クラブ会員、フィリピン在住のOkada M. A.です。
スポンサーリンク
その5 「トライシクル」(三輪タクシー)
マニラの中で主要幹線を比較的長距離行くのがバスで、中距離を受け持つのがジィプニーだとすると、サイドカー付バイク・タクシーのトライシクルは近距離専門。日本だったら自転車で買物や駅に行く距離を受け持ます。
トライシクルには「路線型」と「流し型」の二通りがあり、普通町内の市場(パレンケ或いはタリパパ(小型)という)からジィプニーが通る様な賑やかな場所まで行くのが路線型、家の近くから町内や隣町の目的地まで行くのが流し型です。路線型の停留所の目印は特に無く、ズラっとトライシクルが並んでいるのがその目印になります。なので目的地についてはヒマそうにしている運転手さんに聞くしかありませんが、ここはフィリピンのいい所で、皆日常会話レベルの英語はしゃべれるので、中二レベルの英語で大丈夫。「ウエア・アー・ユー・ゴーイング?」と半端なカタカナ英語で訊いてみましょう。タガログ語も母音の多い言葉なので、欧米と違って大概分かってくれます。
ここで問題はこのバイクとサイドカーに大人四人が乗り込むということで、料金はシェアですから8ペソ(約18円)と安いのは良いものの、全員が大阪のオバタリアンみたいにギュウギュウづめで座る事に何の疑問も感じないフィリピン人の皆さんとのシェアですから、ここは我慢が肝心。
流し型の方はジープニーと同じで自由乗降型。但し難しいのは料金で、四人でシェアするところ一人なので8 x 4で32ペソ、などという単純なものではありません。一人で独占していたつもりが、どんどん他の乗客が乗り込んで来て、いつのまにか路線型と同じになっていた、ということも普通にありますので、ともかく運賃は「要応談」ということになります。
さて、前編と後編ここまでいろいろ個性豊かなマニラの交通機関の傾向と対策を見てきましたが、ここまでは外国人でもまだなんとか頑張れば乗れて役に立つ、というレベルのものばかり。
一方、ここから先は、頑張って乗ってはみたものの、乗らない方が良かったか……と思うかも知れない「後悔先に立たず」カテゴリーともいうべき乗物について……。
その6 「べティキャブ」
べティキャブは地域によって「パジャック」「トライシカッド」とも呼ばれるトライシクルの自転車版。かなり下町の特殊なところにしかありません。エコでノンビリ走るにはいい思い出になるかも、と考えるかも知れませんが、忘れてはいけないのはこの運転手君たちは結構底辺に近いところで生活している人ばかり。あ、じゃ、やっぱりボラれるのかと思う方もおられるでしょう。確かに滅多に乗ってくる事のない外国人が乗って来たら、彼等もチャンスと思うのかボラれることもありますが、それはせいぜい何十ペソとか、百ペソとかの世界。
私が言いたいのはそういう事ではなくて、写真を見たらお分かりのとおり、自転車といっても子供用の様なサイズにトライシクルと同じように大人用二席と補助の一席がついています。しかし想像して見て下さい。日本の変速器のついた大きな車輪のものでも後に大人を一人乗せただけでも大変です。なのにこの貧弱な自転車に三人の客? 全く無理があるんです。ただでさえ着たきり雀で十分食事も摂っていない様子の運転手なのに、この熱帯の炎天下で汗かきながら……。一人で乗ってもなんだか可哀想になって来ること請け合いです。そこに橋などがあってちょっとした斜面にでもなろうものなら、必死の立ちこぎなど見ていられません。私はパジャックは何度も利用した事はありますが、いつも何だか切ない気分で……。
運賃は基本、事前の取り決めです。そんなに安いものでもなく、トライシクルとほとんど変わりません。マニラでブルースを感じたければ利用されるのもいいかもしれませんが。
その7 「カレッサ」
カレッサは小振りの可愛いお馬さんが引いてくれる馬車で、日本ならさしずめ遊園地か観光農園ぐらいでしか乗れないでしょうが、ここマニラでは普通の車道を蹄の音も軽やかに進んでいきます。観光には最適にみえますが……。
私はマニラに来て10年以上になりますが、まだカレッサには一回も乗ったことはありません。その理由は、私が会った日本人でカレッサを利用した人全員が「最後に運賃をボラれた!」と悔しそうに語ったからに他なりません……。タクシーなどでもボラれる事はありますが、それでもせいぜい何百ペソの世界。ところがカレッサの場合はケタが一桁変わってきます。
なにもカレッサの御者が全員悪意のある者とはいいません。これはあくまでも私個人の経験をお話しただけ、ですので……。
さて、前編と後編に分けてご紹介した、「面白うてやがて哀しき」マニラの庶民の乗物集はいかがでしたか?
いろいろ馴染みにくいところや不便なところはあるものの、毎日利用していると、意外にもその人間臭さに愛着も湧いてくるのはなぜでしょう。交通機関を有効に使いこなすという実利性と共に、機会があれば一度是非、毎日を必死で生きているフィリピンの人々の生活を垣間見る、というのはいかがですか?
【文:海外書き人クラブ Okada M. A.】
(国によって変なものが高かったり安かったり。そんなお値段からお国柄を紐解いた本の告知が一番下にあります。ぜひご覧ください)
スポンサーリンク
スポンサーリンク