ハワイ島はいま、大変なことになっております!
ハワイ先住民の聖地であるマウナケア山での超大型望遠鏡「TMT」の建設をめぐり、現在抗議デモが進行中。7月17日には34人が逮捕されました。
海外書き人クラブ会員、ハワイ在住ライターの相原光です。
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騒動の背景
この工事は4年前に始まっている予定でしたが、ハワイ州最高裁の判決により建設許可が無効となったため、中断していました。
このまま中止となるのかと思っていたところ、昨秋、ハワイ州最高裁が工事を認める判決をくだし、建設が再開されることに。今月15日から工事再開の予定となっていました。
工事に反対する住民たちは前日14日から集まり始め、マウナケア山頂へのアクセスロードを封鎖しており、その人数は数百人から2000人と報道されています。
集まっているのはハワイの先住民を中心に、彼らに賛同する白人・日系人やその他の移民たちです。
建設反対抗議の理由
ではなぜこの人たちは、超大型望遠鏡「TMT」の建設に反対しているのでしょうか。
建設が予定されている「マウナケア山」は天体観測の条件を兼ね揃えているため、日本の「すばる望遠鏡」も含め13基もの天文台が林立する「天文台銀座」。また、山頂は星空観測ツアーで人気のスポットにもなっています。
ところがこの「マウナケア山」は、ハワイの先住民たちにとって「聖地」なのです。彼らは自分たちの「聖地」に天文台が建てられ、人々に踏みにじられ「汚されていく」のを苦々しく思っていました(オーストラリアの先住民アボリジニの聖地である「ウルル(旧名・エアーズロック)」が2019年10月に登攀禁止になるのも同じ理由です)。
そこに沸き起こったのが、今までの天文台よりも遥かに大きな超大型望遠鏡「TMT」の建設騒動なのです。
前述のように、ハワイ最高裁判所が一度は「建設無効」の判断を下しながら、一転して「建設承認」としたこともまた人々の気持ちを逆撫でしました。
さらに近年は星空観測ツアーのアクセス向上を目指し、道路が整備。山頂に人々が殺到しており、自然保護の面でも懸念の声があがっていました。
ついに逮捕者が
デモ3日目に逮捕されたのは、最前線に並んでいたクプナ(ハワイ語で年長者を指す。ハワイは年長者を敬う社会)たち33名と介護者1名の計34名。
最前列にはタープが設置され、クプナたちはその下ににずらりと並んで座っている状態でした。高齢者が多かったため、中には車いすの人や、付き添いがないと歩くのが困難な人も。そのため、逮捕といっても、機動隊が突入するような物騒なものではなく、個人の安全が最優先されました。
集まっている人たちも武装しているわけではなく、「非暴力」を最優先としているため、今後も暴動に発展する可能性はほとんどないと思います。
なお、マウナケア・アクセスロードは現在通行禁止となっており、ツアーなども行われておりません。ダニエル・K・イノウエ・ハイウェイ(サドルロード)も通行が規制される可能性がありますので、ハワイ島旅行の際はご注意を!
(この情報は日本時間の2019年7月20日現在のものです)
参考:
https://www.hawaiitribune-herald.com
(文・写真(キャプションがあるものを除く)相原光)
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