ハワイ島・マウナケア山での超大型望遠鏡「TMT」の建設をめぐる抗議デモが拡大進行中。何度も約束を反故にされ、「聖地」を踏みにじられてきたハワイ先住民たちの静かな怒りと悲しみの声が聞こえてきそうです。
先日記事の続報を海外書き人クラブ会員、ハワイ在住ライターの相原光がお伝えします。
スポンサーリンク
現場では何が起こっているのか?
マウナケアでの超大型望遠鏡の建設再開に対する抗議デモが始まってから1週間。デモはおさまるどころか拡大の一途をたどり、21日(日曜日)にはなんと2,500人以上が集まりました。
現場ではいったい何が起こっているのか? 実際に行ってみて、驚きました。とにかくものすごい人の数! 公式発表では2,500人と聞いていたけれど、少なくとも3,000人は超えていたのではないかと思います。
日曜日ということもあり、ハワイ島だけでなくオアフ島やマウイ島など他の島からも人が駆けつけてきた様子。毎日来ているという人によると、この日はとりわけ人が多いということでした。
ハイウェイの両側にはずらりと車が並び、もう見渡す限りの車の列。その長さは2kmに及ぶほど。マウナケア山へのアクセスロードの交差点まで歩いていると、そこらじゅうでハワイアンフラッグ(ハワイ州旗)がはためいています。
交差点がまた凄かったです。注意を促す電光掲示板が設置されているだけではなく、交通整理の担当者も常駐しており、人と車の流れを調整しています。
この日は数ヵ所で終日ワークショップが開催されていました。ハワイの文化や歴史に関するお話や、ハワイ語講座、フラ、ライブミュージックなどなど。有名なクムフラ(フラの先生)やミュージシャンが多数参加しています。
食べ物や飲み物を提供するブースや、医療ブース、トイレなども設置されており、ゴミのリサイクルまでしていました。もちろんすべて無料。飲食だけでなく、日焼け止めなども自由に使えます。
1週間前は、ここまで人が多くなかったし、こんなにいろんな設備は設置されていませんでした。たったの1週間でこんなに変わるとはびっくり。しかも、あらゆることがきちんとオーガナイズされています。しかも、すべてがボランティアと寄付で成り立っているとは!
デモというピリピリした雰囲気はなく、家族で楽しく過ごす場所という感じで、一般的なハワイのイベントと変わらず。もちろんドラッグやお酒、タバコは全面禁止。このへんは普通のイベントよりも厳しく徹底していました。
現場は危険な状況ではないし、混乱もない。少なくともこの日は極めて穏やかでした。
ワイキキでも抗議デモ
この日は、オアフ島でも大規模な抗議デモが行われ、約1000人がワイキキを行進しました。
また、アメリカ本土のラスベガスでも大規模な抗議運動が進行中です(ラスベガスにはハワイアンが多く住んでいます)。
デイヴィッド・イゲ州知事は非常事態宣言を発令したままですが、各機関や団体からは疑問や避難の声が挙がっています。
ジョシュ・グリーン副知事は、現場を訪れ「平和的な妥協案を得られないなら、TMTは別の案に移行するべき」とコメント。
ハワイ州選出タルシー・ギャバ―ド米下院議員は「法的には工事の再開が決定したけれど、スピリチュアルなことや文化のことついては解決していない」とコメントしています。
4年前、建設工事に反対してマウナケアに集まったのは200人くらいでした。あのときは、まさかこれほど大規模なムーブメントになるとは、誰も想像していなかったのではないかと思います。
ハワイ先住民団体は、望遠鏡が建設されるたびに「これが最後」と約束されてきました。その結果、現在マウナケア山頂には13基の天文台が並んでいます。今回で「これが最後」とは、もはや誰も信じていません。聖地マウナケアがこの先も改造され続けることを、何よりも懸念しています。
※前回の記事もぜひ合わせてご覧ください。
「【ハワイ在住ライター緊急レポート】ハワイで大規模デモ、34人逮捕! 巨大天体望遠鏡の建設に抗議」
(文・写真 相原光)
スポンサーリンク
スポンサーリンク
にほんブログ村