「遺跡」と聞くと「訪れるのが大変な場所にある、遠い昔に滅びた古代文明」と思われがち。でもじつはメキシコシティには公共交通機関だけで気軽に訪れることのできる遺跡がたくさんあるのです!
こんにちは。海外書き人クラブ新会員でメキシコシティ在住9年目の長谷川律佳です。
今回は海外からの玄関口である首都・メキシコシティで、公共交通を使って気軽に訪ねることのできる遺跡4ヵ所をまとめて紹介します。
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1 テンプロ・マヨール(Templo Mayor)
現在メキシコシティと呼ばれるこの地域一帯は、アステカ文明の中心地・テノチティトランとして栄えていた場所でした。1519年スペイン人のエルナン・コルテスに征服されて以降、多くのピラミッドは破壊され、その上に現在のメキシコシティの基礎となる都市が建設されました。そのテノチティトランの中央神殿として栄えていたのが、この「テンプロ・マヨール」。1978年、地下鉄工事の最中に見つかった遺跡です。
こちらは大地をつかさどる女神、トラルテクトリのレリーフ。縦4m・横3.5mという巨大サイズを目の前で見ることができます。
このレリーフが展示されているのは併設の博物館ですが、他にも鷲の姿をしたアステカ戦士や、頭蓋骨を並べて造った壁・ツォンパントリの復元など多くの所蔵品があり見ごたえがあります。2時間以上の時間をかけてじっくり見学する価値アリのスポットです。
テンプロ・マヨールに行くには?
- メトロ2号線 ソカロ[Zócalo]駅から徒歩1分。
- 日本人観光客の宿泊先ホテルの多いレフォルマ地区からはメトロ1号線 インスルヘンテス[Insurgentes]駅からパンティトラン[Pantitlán]方面行に乗り、ピノ・スアレス[Pino Suárez]駅で2番線クアトロ・カミノス[Cuatro Caminos]方面行に乗り換えて1駅。20分程度。メキシコシティのメトロは、改札口をでない限りは何回乗り換えをしても一律5ペソ。
- https://www.templomayor.inah.gob.mx/(スペイン語・英語のみ)
2 トラテロルコ遺跡(Tlatelolco)
14世紀よりアステカ文明の重要な商業都市として栄えていたトラテロルコは、アステカ最後の皇帝がスペイン人に対して最後の抵抗を試みた場所です。アステカ滅亡後、遺跡の石材を利用して建てられたのが遺跡向かって左手奥にあるサンティアゴ教会。さらに1960年代、この付近には近代的な高層アパートが次々と建てられました。そのため「アステカ文化」「スペイン文化」そして「現代メキシコ文化」の3つが混在する「三文化広場」とも呼ばれます。
また、このトラテロルコは1968年10月2日に起こったメキシコ軍による学生デモ弾圧事件の舞台としても知られています。
更に、遺跡から奥の高層アパートを抜けたところにはメキシコ壁画運動の旗手、シケイロスの作品が保存されていたりと、意外な見どころのあるトラテロルコです。
トラテロルコに行くには?
- トロリーバス フローレス・マゴン[Flores Magón]駅徒歩1分。
- 日本人観光客の宿泊先ホテルの多いレフォルマ地区からは、メトロ1号線 インスルヘンテス[Insurgentes]駅からパンティトラン[Pantitlán]方面行に乗り、ピノ・スアレス[Pino Suárez]駅で2番線クアトロ・カミノス[Cuatro Caminos]方面行に乗り換えて3駅のベジャス・アルテス[Bellas Artes]駅で降車。ベジャス・アルテス宮殿前、ラテンアメリカタワー側にあるサンタ・ベラクルス[Santa Veracruz]駅からトロリーバス北方面行で3駅。
- トロリーバスの乗車料金は4ペソ。乗車時に運転手わきの料金ボックスにお金を入れるのですが、お釣りは出ないのでご注意を。
- https://www.tlatelolco.inah.gob.mx/(スペイン語のみ)
3 クイクイルコ遺跡(Cuicuilco)
こちらはずっと時代をさかのぼり、先古典期後期(紀元前800~紀元後250年)に造られたピラミッド。円形の珍しいフォルムをしています。直径110m、高さ25mのこのピラミッドは登ることもできます。保存の観点からも登れるピラミッドは減ってきていますので、ここは登っておきたいところです。
「クイクイルコ」とはメキシコの先住民ナワトルの言葉で「歌い、踊る場所」という意味なのだそうですが、ヒトレ火山の噴火によって滅亡したこの文明に生きた古の人々が、円いピラミッドの上で、神々へ歌や踊りを捧げていた……そんな古代ロマンに思いをはせながら訪ねてみてください。
クイクイルコに行くには?
- メトロバス1号線 ビジャ・オリンピカ[Villa Olímpica]駅徒歩5分。
- 日本人観光客の宿泊先ホテルの多いレフォルマ地区からは、メトロバス1号線インスルヘンテス[Insurgentes]駅から南方面ラ・ホヤ[La Joya]行きに乗って25駅。50分程度。
- メトロバスの乗車には専用のチャージ式カードの購入(16ペソ)が必要です。乗車料金は6ペソ。
4 テナユカ遺跡(Tenayuca)
後古典期と呼ばれる1224年、チチメカ族によって建てられたピラミッドです。縦横62m×50mと規模こそ大きくはないものの、この遺跡はなんといってもその蛇のモチーフが目を引きます。ピラミッドの土台四方のうち南北そして東側に合わせて138体、かなり綺麗な状態で残っています。
ピラミッドの建設は6期に分かれているといわれており、蛇の顔も各期によって少しずつ異なるんだとか。じっくり見比べてみてはいかがでしょう?
テナユカに行くには?
- メトロバス3号線テナユカ[Tenayuca]駅徒歩8分。
- 日本人観光客の宿泊先ホテルの多いレフォルマ地区からは、メトロバス1号線インスルヘンテス[Insurgentes]駅から北方面インディオス・ベルデス[Indios Verdes]もしくはブエナビスタ[Buena Vista]行きに乗って6駅。ブエナビスタ駅でメトロバス3番線に乗り終点テナユカまで。20駅。45分程度。
遺跡マニアや古代ロマン好きにはたまらないメキシコシティ。もちろん、他にもグルメを愛する方には、世界無形文化遺産にも登録されている「メキシコ料理」。
そしてちょっと変わったスポーツ観戦には覆面レスラーが華麗な技を繰り広げる「ルチャ・リブレ(プロレス)」などもおススメ。
様々な魅力のある街へ、ぜひ一度おこしください!
(文と写真 長谷川律佳)
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