皆さん「ごはんのおとも」って、何が好きですか?ふりかけもいいし、味海苔もいいし、お漬物も……。あー、お米が主食の生活ってなんてバラエティ豊かなんだろう!と思います。
しかし、いやいや。パンが主食の国だって「おとも」がたくさんあるんですよ。というわけで、今回はオランダ在住の海外書き人クラブ会員・福成海央が、スーパーに並ぶ「オランダ的・主食のおとも」をご紹介します!
オランダの主食はじゃがいもとも言われますが、一般的に朝食や昼食はパンを食べることが多いので、ここはひとまずパンを主食としましょう。日本でもパンに塗るもの、つけるもの、挟むもの、いろいろありますね。オランダではどうでしょうか? まずは冷蔵コーナーから行ってみましょう。
■チーズ
さすがオランダ!という光景。いわゆる「でっかくて丸いチーズの固まり」を薄切りや小分けにしただけのもので、めちゃくちゃおいしいです。
似たパッケージで多くの種類がありますが、主に熟成度の違い。「Jonge(若い)」が4週間熟成で最も柔らかく、「Oude(古い)」は10カ月以上熟成され、うまみも香りも濃厚。一般的に熟成度が進んだ方が値段が高くなります。また「+30」や「+48」という数字が書いてあるものは、脂肪分の多さを表しています。
黄色ではなく白っぽいのは、ヤギミルクから作られたヤギのチーズ。そしてどこのスーパーにもあるのが「クミンシード入り」。スパイシーな香りがアクセントになっておいしいですよ。
オランダは町ごとに小規模のショッピングモールがあって、そこにスーパーや専門店が集まっているというスタイルが多いですが、大抵スーパーとは別に「チーズ専門店」もあります。そちらに行くと、さらに唐辛子入りやガーリック入り、バジル入りなど、種類豊富なチーズが並んでいます。
■ハムなどの加工肉
こちらも、さすがヨーロッパという品揃え! ポークハムだけでなくチキンハムやターキーハム、ローストビーフやサラミ、生ハム、ソーセージ的なものの薄切りなど、様々な種類が並んでいます。住み始めた当初はいろいろ試してみましたが、最近では普通のハムやサラミに落ち着いてきました。
■生肉の加工肉
ハムコーナーの一画には生肉のコーナーも。見慣れない赤い絞りだしクリームっぽい物体は、生の牛肉を香辛料と一緒にペーストにした「フィレ・アメリカン」。最初はびっくりしたけど、慣れると濃厚なうまみとスパイス加減がくせになっておいしいです。たまに食べたくなる味。
あとオランダで「カルパッチョ」というと、生の牛肉の薄切り。初めてお店でメニューを見て頼んだ時、てっきり魚介類が出てくると思っていたので、すごくショックでした。おいしかったけど。
■肉のペースト
レバーペーストは日本でもなじみがありますね。他にも直訳すると「塗るソーセージ」というペーストがあります。これ、子どもが託児所のランチで食べていて、家でも食べたいと言われたのですが「塗るソーセージ買ってきて」と言われて、完全に頭の中が「?」になりました。
■チーズのペースト
「塗るソーセージ」同様の「塗るチーズ」という名前がついているもの。子どもにも人気です。いわゆるクリームチーズもこのあたり。にんにくやハーブ入りもおいしいです。
■サラダ(という名の、マヨネーズ和えあれこれ)
これは日本にはない! 私の中では日本の漬物コーナー的なイメージで、パンに合ういろんな種類のマヨネーズ和えがパックでずらっと並んでいます。これさえあれば、挟むだけで具沢山のサンドイッチが出来上がり、というもの。
ツナサラダや卵サラダあたりは日本人にも食べやすい味ですが、チキンマンゴー味とかチキンサテ味とかもありました。ただしオランダのマヨネーズは日本の製品に比べて少し甘めなので、個人的には塩コショウをプラスして食べるのが好みです。
またサラダと同じコーナーに、フムス(ひよこ豆のペースト)や、ババガヌーシュ(焼きナスのペースト)など、主に中東で食べられているディップ類も多く並んでいます。
■魚介類
スモークサーモンのサンドイッチなんて、ちょっと優雅ですよねー。サンドイッチ用に四角に加工されたスモークサーモンもありました。
そしてこれもオランダならでは! ニシンの塩漬け「ハーリング」です。少し柔らかい丸パンにはさんで食べる、立派なパンのおとも。日本人的にはごはんと食べてもおいしいのですが、パンと食べるハーリングもこれまた格別なんですよ。オランダに来る機会があったら、ぜひ試してみてください。
他にも、サバやウナギの燻製があり、これらも脂ののった身がパンにとってもよく合います。
……なんかもう、冷蔵コーナーだけでいっぱいいっぱいだけど、まだまだ続きますよー!
お次は、その名も「朝食コーナー」。シリアルや、常温で売られているパンのおともたちがこちらに並んでいます。
■ジャム・ピーナッツバター・はちみつ
これはまぁ、日本でもおなじみですね。いろんな果物のジャム、ピーナツバター。ピーナツ以外のナッツからできている商品もありました。だいたい無糖なのでジャムと一緒に塗ることも多いです。
そしてオランダ独特の商品がアップルストロープ。主にリンゴと甜菜の果汁を煮詰めただけのもので、見た目は黒いどろっとした水あめのよう。甘酸っぱくて私は好きなのですが、オランダの子どもたちには「おばあちゃんの食べ物」というイメージもあるみたい。栄養たっぷりだそうで、おばあちゃんに「健康にいいから食べなさい」って言われてるのかな。それか、おばあちゃんちに行くと絶対あるっていうやつかな。(なんだろ、日本だとみすゞ飴的な……)そういえば託児所のランチでは、ジャムは出されなかったけど、このアップルストロープはありましたねぇ。
■甘いペーストいろいろ
ヌテラや類似商品のチョコレート系のペーストはもちろん、スペキュラースと呼ばれるシナモンがきいたスパイスクッキー味のペーストがめちゃくちゃ美味しいです。常備しておきたいけど、完全におデブ中年まっしぐらになるので、安売りのときだけに我慢しています。
ちなみにペーストのことをオランダ語ではPasta(パスタ)というので、ヌテラ関係はチョコパスタというくくりになります。つまり「チョコパスタのサンドイッチ」という、聞いただけで太りそうなパワーワードが生まれます。
■チョコふりかけ(ハーフルスラッハ)
これはオランダならではの一品。チョコふりかけという言い方はあれですが、パンにマーガリンを塗ったあと、パラパラとふりかけて食べるんです。
日本の製菓コーナーにあるチョコスプレーに似たものですが、粒状やカールしているもの、フルーツ味やダークチョコレート味なども。類似の商品で、小さいクッキーの粒なんかもあります。ペーストと違ってカリカリした食感が特に子どもに人気なんだろうなと思います。アイスのトッピングにしてもおいしいやつです。
さぁ、みなさん付いてきてますか! あともう少し! 最後はバター・マーガリンコーナーへ行きます!
■バター・マーガリン
日本では有塩バターが主流ですが、こちらでは有塩と無塩、どちらも同じくらい売られています。そして意外にもバターよりもマーガリンの方が健康に良いと思われていることも。それはビタミンA、ビタミンDなどの栄養素を添加しているからです。
オランダは雨や曇りの日が多く日照量が少ないため、日光に当たることで体内で作られるビタミンDが不足しがち。このマーガリン志向は、普段の食事でビタミンDを摂取できる、いわゆる機能性表示食品的な扱いなのかなと勝手に思っています。
ちなみに「マーガリンには、体に悪いトランス脂肪酸が多いのでは?」と思う方もいると思いますが、EUの規制によって現在市販されているマーガリンにはトランス脂肪酸はほとんど含まれていません。
どうでもいいですが、別のスーパーではバター・マーガリン類を常温で売っててびっくりしました。
はい、おつかれさまでした!!
他にも缶詰のレバーペーストや、瓶詰の野菜ペーストとかもあったんですが、これくらいにしておきましょう。
ちなみに、今うちにあるパンとおともたちを並べてみたらこんな感じでした。思ってたより多いな。
(文・写真 福成海央)