ミュンヘンで開かれるビールの祭典「オクトーバーフェスト」。じつはそこでは伝統ある醸造所である6社のみがビールの提供を許可されていること、ご存じですか?
今回は、その6社の醸造所とそれぞれの人気ビールを、海外書き人クラブ会員、ドイツ在住ライター鈴木杏奈がご紹介します。
でもまずその前に、ドイツビールの「種類」についておさらいしておきましょう!
代表的なドイツビール4種類
ドイツビールはその製作過程や発酵方法によって分類されています。そのため、それぞれの蒸留所が、そのブランドの名をつけた複数の種類のビールを販売しています。ここでは、特に南ドイツでみられる代表的な4種類をご紹介します。
【Pilsner(ピルスナー)】
ドイツで特に人気の種類です。多くのレストランで取り扱いがあります。世界で製造されているビールのほとんどはこのピルスナーであるといわれています。
【Weißbier(ヴァイスビア)】
ドイツ語で「白」を意味するヴァイス。フルーティーで軽い飲み心地が特徴です。
【Helles(ヘレス)】
ミュンヘンを擁するバイエルン地方で好んで飲まれる黄金色のビール。苦みとコクのバランスが取れた飲みやすさが特徴です。
【Dunkles(ドゥンケル)】
深いコクとポップの苦みが特徴の、褐色のビールです。ピルスナーが開発される前まで、ドイツのビールといえばこのドゥンケルビールが主流でした。
以上4種類が南ドイツでよく飲まれるビールです。ではいよいよ、「オクトーバーフェスト」で提供を許可されている6社と、各社の人気の銘柄をご紹介しましょう。
1 ポーラナー(Paulaner)
今や世界中に輸出をしている、有名なビール会社となったポーラナーですが、始まりはミュンヘンの修道院でした。当時の修道院は研究機関の役割も担っており、最先端の技術が集まる場所でした。その頃は生水を飲むことが困難であったことから、村人たちに安心安全な飲料を届けるべく、ビールの醸造が始まったといわれています。
特におすすめなのはMünchner Urtyp Hell(ミュンヘナー・ウァトプ・ヘル)です。麦芽の香りがしっかりとある、コクのあるビールです。
2 Löwenbräu(レーベンブロイ)
ミュンヘンに蒸留所があるレーベンブロイ。ダークビールなども製造していますが、おすすめはOriginal(オリジナル)。ヘレスビアに分類されます。
美しい黄金色をした同社のビールは、しっかりとしたポップ香りと、キレのある飲み口が特徴です。グラスに注いで、黄金色を堪能しながら飲むのも良いですね。
3 Hacker Pschorr(ハッカープショール)
ハッカープショール社も多くの種類のビールを製造していますが、Münchner Hell(ミュンヘナーヘル)という名のへレスビアが特に人気です。
ハッカープショール社のミュンヘナーヘルは、「これぞビール」という王道の飲み口であり、日本人にも親しみのある味わいといえます。ミュンヘンのランドマークが描かれたパッケージにも是非注目してみてください。
4 AUGUSTINER (アウグスティーナー)
南ドイツで最も親しまれているビールといっても過言ではないのが、アウグスティーナー社が製造するLagerbier Hell(ラガービア・ヘル)です。
このビールはヘレスビアに分類されます。日本で飲み慣れているビールと比べると、やや味に重みがあるように感じますが、それ故にビールのうまみを存分に味わえる1本です。
5 Franziskaner(フランチスカーナー)
フランチスカーナー社のなかでも特に人気が高いのは、Franziskaner Hefe Weißbier(フランチスカーナー・へフェ・ヴァイスビア)です。
明るいオレンジ色が特徴の、フルーティーで爽やかな飲み口が人気のビールです。苦みも比較的少ないので、普段ビールを飲まない人も試しやすいテイストです。
6 SPATEN(シュパーテン)
独特のロゴマークが目を引くSPATEN社のビール。特に人気が高いのは、へレスビールのSpaten Münchner Hell(シュパーテン・ミュンヘナー・ヘル)です。
洋ナシのような爽やかさと、ビールらしい香ばしさが感じられる、魅力のある1本です。
ビールの祭典「オクトーバーフェスト」の開会式では、このSPATEN社のビール樽に市長が飲み口を打ち込むことが定例イベントとなっています。
以上、ビールの祭典「オクトーバーフェスト」で提供を許されている6社とその代表的な銘柄を紹介しました。
ドイツには、気軽にビールを楽しめるビアガーデンがたくさんあります。ビアガーデンに足を運ぶのも良いですし、天気の良い日にスーパーで買ったビールをぐいっと飲むのも良いですね。
南ドイツには、魅力あふれるビールがたくさんあります。色々試してみて、是非お気に入りを見つけてくださいね。
(文・写真(トップ画像を除く) 鈴木 杏奈)