成田空港に到着すると目に入ってくる「Yokoso Japan」という看板を見るたびに、「なんて日本っておもてなしの気持ちがないんだろう」とクラクラしています。
こんにちは。海外書き人クラブ会員、オーストラリア在住のユッキーです。
「どういうことだ? 『ようこそ』っておもてなしの言葉だろ?」。そんな声も聞こえてきます。でーも。
考えてみてください。普通の外国人は知らないですよね? 「ようこそ」という日本語。
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いや、私も外国に行くのであれば、その国の挨拶くらいは覚えていくのが礼儀だとは思うし、レストランなんかでも現地語で「こんにちは」とか「ありがとう」と挨拶するだけで和むのはよくわかっているのです。
だからこの「世界のコトなら」の中でも【旅行で役立つインドネシア語10の基本表現
】とか【旅行で役立つタイ語10の基本表現】は、非常にいい記事だと思うのです。
だーけーど。
「ようこそ」という言葉は、誰も覚えてこないと思うんですよね。だって、旅行者自身は使わない言葉だから。みなさんもたとえばタイとかベトナムに行くとき、現地語の「こんにちは」とか「ありがとう」とか「さようなら」とか「いくらですか?」は覚えたとしても、「ようこそ」は覚えないですよね?
それなのに平気で「Yokoso Japan」とか書いてしまうところに……相手の身になって考えるという視線が不足している気がしてならないのです。まさにお役所仕事というか。
そんなことを考えていたら、「そういえば日本って『おもてなしの国』とか言っているけど、なんかずれているなあ」と感じることが多々あって……。
そんな点をまとめてみたいと思います。
1 観光施設で英語や中国語を話すスタッフが少なすぎる
たぶん京都とか「ザ・観光地」にはたくさんいるのでしょうが、東京で外国人だたくさん来る場所なのに、英語や中国語を話すスタッフがほとんどいない場所が結構あります。
たとえば【超興奮! お台場と秋葉原。2ヵ所のVRアトラクション比較体験】の記事で紹介した「SEGA VR AREA AKIHABARA」。都合2回行って、いずれも数人の外国人観光客が来ていたのですが、5~6人いるスタッフの誰一人として英語が話せない様子でした。
そういうわけで不肖、ワタクシメが通訳をしました。しましたけど……5~6人のスタッフを入れるのなら、1人くらいは英語を話せる人を加えられるんじゃないかなと思いました。「いやー、今日は通訳してくれるお客さんがいて助かりました」とかニコニコしている場合じゃなく。
同じ秋葉原でも電気店は英語や中国語話すスタッフがいるのに……。
また【お台場の「メガウェブ」を満喫! 3大アクティビティー徹底紹介】の記事で紹介した「メガウェブ」は、英語を話すコンパニオンの方はいました。けどスタッフの方の話によると、中国語を話す人は全館でたった2人だとか(あくまでも雑談で聞いただけですが……)。
同じお台場でも「ダイバーシティ」のフードコートには結構中国語を話す方(というか中国人ですが)がそこらにいるのに……。
スタッフ募集の際に「英語か中国語を話せる方優遇」とするだけで解決するかもしれない問題なのに、なんとももったいないと思います。
2 ウェブサイトの外国語版が少なすぎる
スタッフが少ないとしたら、せめてウェブサイトだけでも各国語のものをつくってほしいものです。
もちろんそういう意味で優秀なウェブサイトもたくさんあります。
東京の観光公式サイトGO TOKYOホームページは「英語」「中国語(繁体字・台湾や香港の方向け)」「中国語(簡体字・中国本土の方向け)」「韓国語」「アラビア語」「ドイツ語」「イタリア語」「スペイン語」「フランス語」と、なんと9つの外国語で表示されます。
さらにすごいのが高山市公式観光サイト。上記の9つに「ポルトガル語」と「ロシア語」を加えた11言語です。高山市に外国人観光客が多いのも頷けます。ただ観光資源に恵まれているだけでなく、ちゃんとそこに人々を呼ぶように努力しているのですから。
「努力は報われる」(by高橋みなみ)というのは必ずしも正しいとは言い切れないですが、「努力しなければ報われることもない」(byユッキー)だと思います。
一方、さきほどとりあげたついでに書くと(いや、標的にしているのではない、愛するがゆえに指摘するのです)、メガウェブは「英語」「中国語(繁体字)」「中国語(簡体字)」「韓国語」の4言語。まあ、英語と中国語があるので合格と言えるでしょう。
ところが「SEGA VR AREA AKIHABARA」を調べてみると……「英語」のみ(ゲームセンター全体の説明は約100ヵ国語に自動翻訳機能で訳されるようです。ただこの自動翻訳、「日本語でどづぞ」の宝庫なんですよね……)。
さらに「もったいないなあ」と思ったのが、「柴又」のある葛飾区観光協会のサイト。ざっとみたところ日本語以外は見当たりませんでした。ホント、モッタイナイです。……「おもてなし」の話題のときに「モッタイナイ」が来ると無理矢理感がありますが……。
3 「ジャパンレースパス」で「のぞみ」や「みずほ」が乗れない
「ジャパンレースパス」の存在をご存知の方は、日本にはあまりいないかもしれません。というのはこれ、「外国人旅行者(または海外に10年以上住んでいる日本人など)のための乗り放題切符」だからです。
日本全国のJRの特急などに乗り放題で、指定席券も買えて、7日間でおとな普通席用は2万9110円(グリーン席も可のものだと3万8880円)。14日間で(4万6390円。グリーン席は6万2950円)、21日間で(5万9350円。グリーン席は8万1870円)。
「無茶苦茶おトクじゃないか。まさに日本のおもてなしじゃないか」という声も聞こえてきそうです。ところが……。
じつはこの「ジャパンレールパス」では「のぞみ」や「みずほ」には乗れないのです! 「日本に行ってBullet Train(弾丸列車)に乗るぞーっ!」と楽しみにしている外国人たちも、東海道新幹線でいちばん速い「のぞみ」には乗れないのです! 東京から京都に行く場合、「ひかり」に乗って、小田原駅とか岐阜羽島駅に停車して「のぞみ」に追い越されるのを指をくわえて見送らなければいけないのです。
かつて「のぞみ」が運行し始めたときのように「ひかりが中心で、のぞみは1時間に1本だけの超特別電車」であれば、話はわかります。「すみません。これは本当に特別な列車なので乗れないんです」と言われれば、まあ、利用者も納得も行くでしょう。
でも東海道山陽新幹線をよく利用している方ならよくご存じだと思いますが、今や「東京―大阪間」はのぞみが主流です。東京駅から新大阪方面に下る列車は臨時列車を除くと毎時8本ほど出ているようですが、そのうちのぞみが4本、ひかりが2本、こだまが2本。つまり半分がのぞみです。しかも臨時列車のほとんどものぞみです。
つまり「のぞみ」こそが、「東京―大阪間」でもっとも一般的な列車なのです。それなのに乗れないって、理不尽だと思いませんか?
利用者の利便性は超高速で無視して通過。これが「おもてなし」の国の実情です。
以上、今回は外国人観光客に不親切と思われるポイントを挙げてみました。今後も外からでないとなかなか見えてこない日本の課題を、こんな風にときどき掘り下げてみたいと思います。
【文・ユッキー】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
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