海外ライターになってお金を「稼ぎたい」というあなたへ。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫がそのノウハウをお知らせします。
とはいえ「海外書き人クラブって何?」という方もいらっしゃるでしょう。「そのお世話係という人間が偉そうに海外ライターに関して書く資格があるのか?」という方も。
偉そうに書く資格はないのです。でも謙虚にお知らせするくらいはできると思います。
カンタンに説明すると、海外書き人クラブは海外在住日本人ライターを中心に、カメラマン、コーディネーター、通訳・翻訳家、デザイナーなど、マスコミ業界に関わる人たちの集団。結成は2000年5月ですから、もう15年以上前のことになります。
会員が在籍している国と地域は80を超えました。会員数は270名以上。出版だけでなく、新聞社、広告会社でも、各業界をリードする大手企業との取り引きがあります。ここでは本題ではないですから、ご興味のある方は、ぜひ私たちのサイトの「主な取引先」をご覧ください。
活動内容としては協力しあって書籍をつくったり、リレー連載をしたりしています。
まあ、多くの海外ライターとともに歩んできた「長年の経験と実績」というものがあるわけですね。よってノウハウをお知らせする資格はあるのではないかと思います。
ではいよいよ、海外ライターとして稼ぐために必要なモノを挙げていきます。「モノ」と書きましたが、その中には「道具」だけでなく「心構え」的なものも含まれています。
まずは「道具編」からですが、ご興味がない場合は飛ばして「心構え編」を読まれてもいいと思います。
スポンサーリンク
道具編
1 パソコン
言うまでもないですね。原稿や画像を送るのに必要です。
それから現在では書籍一冊分の校正刷りなどもpdfファイルにして、メールまたは「データ送信サービス」(「データ便」や「宅ふぁいる便」など)でやりとりします。本当に便利な時代になりました。
2 マイクロソフトワード
これも言わずもがなだと、会社勤めをしている方などは思うかもしれません。
ただ主婦や学生の中には、マイクロソフトのofficeを持っていない方も結構います。どうしているのかというと廉価な互換ソフトを使っているという方もいますが、オンライン版(ワードだと「ワードオンライン」)を利用している人もかなりいます。
学校のレポートを書いたり、ブログの下書きをしたりするくらいであれば、それでも充分なんですね。
ただ「物書き」が仕事に使う場合、どうしても普通の(パソコンにインストールするタイプの)ワードが、いつかは必要になります。
というのは書籍の原稿は縦書きのことがほとんどですが、現時点でのワードオンラインには縦書きにする機能がついていないからです。 今のところ「書籍を書く予定はない「という方は、とりあえずはインストール版のワードはなくてもいいかもしれませんが……。
またワードオンラインには「文字数カウント」の機能がありません。クライアントから文字数を厳密に指定されている原稿の場合は不便です。
そう考えるとやはり物書きを仕事にするのであれば、「インストール版のワード」があったほうが絶対にいいです。
高いものではありません。2万円のギャランティーの仕事を受ければ、すぐにペイします。
必要な「投資」だと考えてください。
3 スマホか携帯電話
これもライターどうのこうのの以前にあたりまえの持ち物に見えるかもしれませんが、ここで私があえてここで挙げたのは「電話を書ける道具として」ではありません。「インタビューを録音するための道具」としてです。
逆にいうとこれらで充分なので、より高価な録音機材は不要です。音質にこだわる必要もないですし。
というのは、ほぼ一字一句言われたままを活字にするようなインタビューも中にはあるでしょうが、通常は話の内容を取捨選択して、まとめて、自分なりに昇華させて記事にします。そうした場合、インタビューをしながら「ああ、この話がおもしろいなあ」というポイントが見つかって、「じゃあ、こういう話の流れにしよう」というのが頭の中でできあがるものです。
だから録音したとしても聞き返するのは、せいぜい「念のためチェックする」ためです。それも慣れの問題ではあるのでしょうが。
4 一眼レフカメラ
出版社などのクライアントも予算が厳しくなってきているので、1〜2ページ程度の記事の記事であれば、ライターに撮影も依頼することがほとんどです。逆にカメラマンに「記事も書いて」という依頼もあります(一方、数ページに渡る特集の場合はライターとは別にカメラマンを立てることがほとんどです)。
で、特に料理の撮影などではやはり一眼レフカメラがあったほうが便利です。そうではないカメラでもかなり様々なことができるようになってきてはいますが。
当然のことながら「手ブレしない」とか初歩的なことだけでなく、最低限の写真技術は身につけておく必要があります。
料理撮影の際は明るい窓際で逆光気味に撮るとか、どういう構図や角度で撮ると料理がおいしく見えるかとか。たとえば「料理撮影 注意点」などのキーワードで検索すれば、ポイントをまとめたページが見つかるので、どんどん利用するといいでしょう。
さて、次からいよいよ「心構え編」です。
心構え編
5 現地の言語力または英語力
これがないと取材できません。通訳代なんて、クライアントは出してくれないですし。
とはいえ現地の言葉ができなくても、英語ができる人を探して取材するというライターもいます。
6 日本語力
じつは外国語の力よりも大切なのが、日本語力です。というのは私たちライターが日本の媒体で記事などを発表する場合、外国語は取材やインタビューなどの「準備段階」で使う言葉。一方、日本語は仕事を完成品にするための「仕上げ段階」で使う言葉だからです。
逆の場合を考えればよく分かるはずです。日本のことを英語で記事にする場合、日本語力はそれほどなくても、英語力はネイティブレベルが必要になりますよね。
とはいえ、「下手な日本語でも問題ない。必要な情報さえもらえればこっちで手直ししますから」という編集者がいるのもまた事実。とはいえ、あまりひどい文章だと次からの依頼がなくなるのも、これまた事実です。同じ仕事を依頼するのなら手がかからない、つまり自分がラクできるほうがいいですからね。
まあ、あまり思い悩む必要はありません。文章なんて書いていくうちにうまくなるものです(もちろん「文章読本」的なもので、直すべきポイントを確認する必要はありますが)。一般的に言って「ちゃんと受験勉強をしてきた」という方であれば、大きな問題はありません。文章力とはすなわち国語力ですから。
逆に「うまい文章を書いちゃおう」とする人のほうが、癖があって編集者としては困るものです。小説やエッセイなどでは癖も楽しまれることもありますが、「各国持ち回りのリレー連載の1つの回」とか「特集の中の1コーナー」の場合、癖は邪魔なだけです。
平易で読みやすい文章がいちばんです。
7 ネタを見つけるアンテナ
これも非常に重要な能力です。たぶん日本語力以上に大切です。
というのもさきほどの話ではないですが、「下手な日本語でも自分で直せばいい」と編集者は考えます。そして「ネタは日本にいる自分では見つけられない」とも。
「海外ライターに最も求めるのは、ネタを見つける力。文章力なんて不要。箇条書きでメモが書ければいい」とまで言い切る編集者もいます。
ネタの見つけ方はいろいろあります。
知り合いと話していて「あっ、その話、おもしろい」と思うことにあります。
新聞やニュースで見つけることもあります。新聞といえば全国紙や地方紙ではなく、無料のコミュニティー紙(各戸の玄関先に放り込まれるようなものです)で、意外と面白いネタが見つかったりします。というのは全国紙や地方紙は政治とか経済、はたまたスポーツにしても、それこそ日本の新聞記者が扱うような内容が主であるのに対して、コミュニティー紙はもっと身近な「生活」にまつわる話題を主に取り上げるからです。
8 ニーズを理解する力
これも非常に重要な能力です。
というのは取材している間に、クライアントの依頼内容を忘れてしまう人がいるんですね。
たとえば「○○というスポーツの問題点を取材してほしい」というリクエストなのに、「ある一人の選手の競技に対する思い」を延々と書いてしまったり。「ファッションのトレンドを調べてほしい」という話なのに、「あるデザイナーの作品づくりにかける思い」を描いてしまったり。
そういう人はもしかしたらものすごく真面目で、インタビュー相手と自分を同化させてしまうのかもしれません。だからこそ相手の言ったことや思い入れをそのまま伝えてしまうのでしょう。
でもライターには「情報を取捨選択する必要」があります。そうしないとクライアントが求める内容の記事が書けないからです。
9 社会人としての常識を持ち合わせていること
あれこれ書きましたが、本当にいちばん大切なのはこれかもしれません。
・締め切りは守る
・いわゆる「ホウレンソウ」(報告、連絡、相談)は怠らない
・ウソはつかない
などなどです。
会社という後ろ盾がなくフリーランスとして仕事をしているからこそ、社会人としての常識はより重要になります。それがない人は、結局この世界から消えていくことになります。
結局は「人間としてちゃんとている」ことがいちばん大切なんですね。
以上、【海外ライターとして「稼ぐ」のに必要なたった9つのモノ】でした。
あっ、そういえば海外書き人クラブでは常時新会員を募集していますので、ご興味のある方はウェブサイト経由でぜひご連絡ください。
【まとめ】
- パソコン
- マイクロソフトワード
- スマホか携帯電話
- デジタル一眼レフカメラ
- 現地の言語力または英語力
- 日本語力
- ネタを見つけるアンテナ
- ニーズを理解する力
- 社会人としての常識を持ち合わせていること
【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(海外20ヵ国のライターが力を合わせてできた本の告知が一番下にあります。ぜひご覧ください)
スポンサーリンク
スポンサーリンク