【ローマ在住ライター直伝】ローマのイルミネーション5選

イタリア国旗を模したローマのクリスマスイルミネーションの

12月8日から1月6日まではイタリアのクリスマス期間。クリスマスの飾り付けやイルミネーションが加わって、派手ではないけれどシンプルで荘厳な雰囲気を醸し出します。日本の華やかさとはひと味違うローマのクリスマスイルミネーション5選海外書き人クラブ新会員、ローマ在住の上野真弓がお伝えします。

冒頭の「12月8日から1月6日まではイタリアのクリスマス期間」というフレーズに、「どうしてそんなに長いの?」とか「25日で終わりじゃないの?」と疑問を持った方もいるでしょう。でもその説明はあとにして、まずは実際のイルミネーションをご覧いただきましょう!

 

1 「サン・ピエトロ広場」のクリスマスツリーとプレセーペ

1.	サン・ピエトロ広場のクリスマスツリーとプレセーペ

ローマっ子が毎年楽しみにしているのは、なんといってもヴァチカンの「サン・ピエトロ広場」です。2020年のツリーは、高さ28メートルのスロヴェニア産のモミの木。オベリスクを挟んだ隣にはイタリアの伝統的な「プレセーペ」もあります。プレセーペとは、キリスト降誕の様子を人形で表わしたものです。

サン・ピエトロ広場のプレセーペ

今年のサン・ピエトロ広場のプレセーペは、陶製の人形を使ったスーパーモダンなものなので、キリストの降誕を表現していることが少し分かりにくいかもしれません。

この「スペイン広場」に飾られたプレセーペなら、伝統なスタイルなので分かっていただけるでしょう。馬小屋の中に聖母と父ヨセフ、幼子イエスを置き、村人や東方から来訪した3博士の人形が置かれています。

 

2 ローマの中心「ヴェネツィア広場」のクリスマスツリー

ヴェネツィア広場のクリスマスツリー

「ヴェネツィア広場」はローマからの距離を測る際の基準点で、文字通りローマの中心地です。大きな広場はそのまま信号のないロータリーとなっていますが、中央部分に緑のスペースを作って大きなモミの木を飾ります。

後ろには、150年前にイタリアを統一したヴィットリオ・エマヌエレ2世の白亜の殿堂が見えます。

 

3 ローマっ子の愛する「コルソ通り」のイルミネーション

コルソ通りのイルミネーション

「コルソ通り」は一直線の長い道路で、ポポロ広場とヴェネツィア広場を結んでいます。この長さを活かして、毎年、頭上に流れる光の川を演出するのです。2020年のものは2019年に比べると、光の川がシンプルで暖かみのある色に変わっています。

コルソ通りのイルミネーション

ちなみに2019年は、上の写真のように複雑な渦を巻く冷たい光の川でした。皆がスマホを一斉に掲げて撮影する様子は、どこの国でも同じだと思わせます。

 

4 「ブランド街」のイルミネーション

その「コルソ通り」には、いわゆる高級ブランドがひしめき合うエリアがたくさんあります。ローマっ子は、たとえ高級ブランドが買えなくても、この辺りの散歩を楽しみます。

ローマの「フェンディ」本店のクリスマスイルミネーションまずは「フェンディ」の本店。イタリアのファッションブランドは日本でも人気がありますが、そのほとんどはミラノをベースにしています。そんな中で、フェンディはローマで生まれたブランド。この館が本店になります。上階は高級ブティックホテルとなっており、最上階のルーフテラスは高級和食店「ZUMA」が入っています。

シャネルやティファニーのあるバブイーノ通りのクリスマスイルミネーション

またコルソ通りからほど近い「バブイーノ通り」もシャネルやティファニーの店舗があるブランド街。ここも夢あふれるイルミネーションだと思いませんか?

 

5 ローマのシンボル「コロッセオ」のイルミネーション

古代ローマの闘技場「コロッセオ」の横のクリスマスツリー

古代ローマの闘技場「コロッセオ」の横に静かに光るクリスマスツリー。その間には、帝政ローマ時代のコンスタンティヌス帝(キリスト教を初めて公認した皇帝)の凱旋門が見えます。

何が起こっても、時は流れ、歴史は続いていく……。そんなことを実感させてくれる場所です。私の一番のお気に入りです。

 

さて、最後に冒頭でご紹介した「12月8日から1月6日まではイタリアのクリスマス期間」という話をご説明しましょう。

じつはこれ、カトリックの暦(こよみ)に沿っているのです。

まず、12月8日は聖母無原罪の祝日です。聖母マリアは処女懐胎でイエス・キリストの母となりましたが、彼女自身も精霊によって母親の胎内に宿ったとされる日です。つまり、普通の人間のように原罪を持たない汚れなき存在というわけです。

そして、12月25日はキリストの降誕祭。翌日の26日は聖ステファノの祝日で、彼はキリスト教における最初の殉教者でした。石打の刑を受けて亡くなり、その遺体が発見された記念日とされています。

最後に、1月6日の公現祭です。これは、救世主イエス・キリストの誕生を知って東方から三博士がお祝いに訪れた日、つまり、キリストが神の子として公にこの世に現れたことを記念する祭日です。

というわけで、この2週間がクリスマス期間となっているのです。

来年のクリスマスシーズンには、ローマが再び、多くの訪問者で賑わうことを願ってやみません。

(文・写真 上野真弓)

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