【柳沢有紀夫の視点】修学旅行は海外に行くべき3つの理由

黒板の前の先生

中学や高校での修学旅行の行き先。みなさんは国内でしたか、海外でしたか。

中学生・高校生のみなさん。あなたの学校の修学旅行先は国内と海外、どちらですか?

今回は「絶対に海外にすべき理由」について述べたいと思います

こんにちは。海外書き人クラブお世話係、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。とはいえこの話は私の個人的意見で、海外書き人クラブ会員の総意というわけではないことを最初にお断りしておきます。

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1 若いうちの「異文化体験」はその後の人生を左右する

「若いうちの海外体験は買ってでもせよ」だと私は思います。なぜなら若いときの海外体験は、その後の人生に大きな、しかもプラスの影響を与えてくれるからです。

じつはこの話を書こうと思ったのは、2018年9月22日の読売新聞ウェブ版で「36校中35校が修学旅行でスキー、県議が苦言」という記事を見たからです。その記事によると……。

  • 佐賀県にある県立高校36校のうち35校が、北海道・関東甲信越・関西への修学旅行中にスキーを体験
  • 海外へ向かったのはたった1校。しかも「グローバルコース」に通う50人の学生のみで、他のコースの190人は北海道でスキーを経験
  • 佐賀県の県立高校で海外への修学旅行が実施されたのは6年ぶり

とのことでした。

もちろん私には佐賀県をあげつらうつもりはまったくありません。たまたま佐賀県の話が記事になっていたので取りあげてみただけです。

その読売新聞の記事によると「観光中心から体験重視に変化する中で、温暖な気候の県内では楽しむ機会の少ないスキーが選ばれるようになったとみられる」とのことです。

「観光中心から体験重視」という流れには賛成です。関係者には申し訳ないですが、「神社仏閣や旧跡を見るだけ」という修学旅行にはまったく意義を見出せません。そこに「体験」も「学び」もほとんどないからです。

と書くと「雪景色を見るだけでなく、スキーという体験ができるのはいいことではないか」と思われる方がいるかもしれません。

でも「スキー」は「修学旅行で体験するべきこと」ではありません。なぜならそれは「体験」ではあっても、その先の「学び」がないからです。その体験によって得られるものがない、今後の糧になるものがないからです。

雪がほとんど降らない地方の子がスキーを体験しても、「ああ、おもしろかった」とか「思ったよりも難しかった」といった感想を持って終わりです。「この体験を生かして何かをしよう」と考えることはないと思います。

一方、海外への修学旅行には「異文化体験」があります。そして「まわりが外国人ばかり」という体験もあります。「日本語が通じない」という体験もできます。

そこからまったく何も学ばない人もいるとは思います。でもかなり数の生徒たちが「よし、この体験を生かして……」と考えるはずです。海外体験から彼らは何かを、そして今後の人生で何をすべきかを学ぶのです。

 

2 「英語なんてろくに話せない」からこそ行く

海外で経験できるそうした「学び」の一つが、「英語が話せたら楽しいだろうな」という実感だと思います。そして「英語をもっと勉強しよう」というモチベーションのアップもあるでしょう。

「修学旅行は国内派」の人たちの中には、「普通の中学生・高校生レベルの英語力で海外に行ったってほとんど何も話せないじゃないか。だとしたらそれは『体験』ではなく、ただの『観光』じゃないか」と考える方もいるかもしれません。

でもそれは違います。

「英語がしゃべれないという経験」をすることが「英語がしゃべれるようになろう」と考える引き金になるのです。「英語がしゃべれなくて困る経験」をすることが大切なのです。

そういう意味ではその後のモチベーションアップにつながる「英語がしゃべれなくて困る経験」は、早めにしておいたほうがいいでしょう。高校ではなく中学の修学旅行でも、予算的に可能であれば海外に行くべきなのです。

いや、英語が教科化される今、小学校の修学旅行でもどんどん海外体験をすべきだと思います。

 

3 苦労するからこそ行く

「若いうちの苦労は買ってでもせよ」ということわざがあります。ただどんな苦労でもいいかというと、それは違うと思います。虐待とかいじめとかその後の人生に悪い影響を及ぼし続ける苦労も多くあります。

でも海外体験は「買ってでもするべき苦労」です。その後の人生の糧になるプラスの経験だからです。

それに修学旅行での苦労は、「みんなで共有」できます。いっしょに体験するから、乗り越えようと力をあわせてがんばることができます。

 

以上が「修学旅行先は海外にするべき」と私が考える理由です。

とはいえ海外ならどこでも、どんな内容でもいいというわけではありません。

韓国や中国へ謝罪行脚のような修学旅行を実施する学校もあるようです。人にはそれぞれ違う考え方もありますし、歴史に目を背けるべきではないのかもしれません。

ただ修学旅行は、もしかしたら生徒たちにとって初めての海外体験かもしれません。だからこそ「たのしかった」いうポジティブな想い出が持て、「また英語を勉強しよう」「海外に行けるようにがんばろう」とモチベーションを上げられる内容にしてほしいと思います。

そうでないともう二度と海外に行くのは嫌になるかもしれません。日本にひきこもるようになるかもしれません。

折角の海外経験がマイナスに働きかねません。

 

行き先に関していえば、やはり英語国がいいとは思いますが、予算などを考えれば必ずしもそうでなくてもいいのかもしれません。

英語国ではないにしても、生徒たちはたとえばおみやげを買おうとするとき英語を使うでしょう。それで「英語は世界共通語だ」と実感するのも大切です。

また英語ネイティブの人が相手だと一方的に話されるだけになることもままあるでしょうが、同等の英語力の相手ならカタコト同士でもきちんと「会話」もなりたち、それも「もっと英語を話せるようになろう」というモチベーションになります。

そして非英語圏でも「異文化体験」ができます。日本の別の地方に行くのとは体験のレベルが違います。

海外からの旅行者も増え、これからは日本にいても外国人と英語を話すのがあたりまえの時代が来ます。

若いうちに異文化と出会い、英語を話す体験をしておくことは、素晴らしいスタートダッシュにつながります。勝手知ったる国内への修学旅行は楽で楽しいのかもしれませんが、そのチャンスをみすみすふいにしているのです。

 

さて、ここから先は「修学旅行」とは関係ないですが、「早期からの海外体験によるモチベーションアップの重要性」という観点から一つ宣伝をさせてください。

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【文 柳沢有紀夫】

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