小さな子どもがいると、なかなか自由に行動できない。でも、子どもがいるからこそ楽しめることもありますよね。
こんにちは、海外書き人クラブ会員の大井美紗子です。今回は、私が住むアメリカ北西部の街シアトルの、子どもと行きたいおすすめスポットを5つご紹介します。
シアトルというとスターバックス・コーヒー創業の地、マリナーズやシーホークス(アメフトチーム)の本拠地、あるいはアマゾンやマイクロソフトが躍進するIT先進都市といった説明をされることが多いですが、案外子ども連れにやさしい都市でもあるのです。
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1 シアトルセンター
観光中、きっと一度は足を踏み入れるエリア――それがシアトルセンターです。
端的に言うと、1962年にシアトルで開催された万博の跡地です。万博に際して建設されたスペースニードル(シアトルのランドマーク的タワー)とモノレールの駅を取り囲むように、博物館やアリーナ、映画館などが集まっています。
中でも特に子どもと訪れたいのが、チルドレンズ・ミュージアム。その名の通り子ども向けに作られた博物館です。段ボールや布で秘密基地を作れたり、「キッザニア」のように簡単な職業体験ができたり。幼稚園くらいの子なら、大興奮して遊びまわるでしょう。
パシフィック・サイエンス・センターも面白い科学館です。天文学や地学、化学などさまざまな分野の展示物があり、自分の手で触って動かすことができます。マイクロソフトやアマゾンを生んだシアトルらしく、情報工学系の展示物が多いのも特徴。小学生くらいになると、より楽しめるかもしれません。
同じく小学生くらいの子が好きそうな博物館が、MoPop(Museum of Pop Cultureの略)。音楽、映画、ゲームなどポップカルチャーの産物を展示しており、特に「ファンタジー映画」や「ゲーム」コーナーには小学生くらいの子が群がっています。ニルヴァーナのカート・コバーンが使っていたギターなども見ることができ(シアトルはグランジ・ロック発祥の地)、カルチャー好きの大人にもたまらない博物館です。
博物館はまだ早いかな・・・というちびっ子たちには、MoPop の前にある公園がおすすめ。「音楽」をテーマにした公園なので、石ころを落として鳴らす鉄琴や、ハンドルをぐるぐる回して鳴らす楽器など、他では見ない仕掛けが多くとっても楽しい。シアトルのタウン誌に「ベスト公園」のひとつとして紹介されました。
シアトルセンター内には、子ども連れにうれしいフードコートもあるので、お昼を挟んで1日ゆっくり長居することができます。
2 ウッドランドパーク動物園
ダウンタウンからバスで20分くらい離れたところにあるのですが、一見の価値ありの動物園です。この園のすごいところは、できる限り自然に近い状態で動物を飼育していること。
まるでアフリカのサバンナのような広大な敷地に、キリン、シマウマ、ガゼル、オーストリッチが共存しています。みんな、なんだか楽しそう。天敵の肉食獣はいないし、エサはもらえるし。もし来世キリンになるなら、この動物園に生まれたいわ~と妄想してしまいます(キリンには「そんな気楽なもんじゃないぞ!」と叱られそうですが)。
昆虫館でゴキブリを飼っていたり、子どもの背丈ほどもあるミミズの模型があったりと、「どんな動物も等しく尊いのだ!」という動物園のスピリットを感じます。それから、絶滅危惧種を積極的に保護しているのも特徴。神戸の動物園から贈られたという、タンチョウヅルもいます。
園内は迷子になってしまいそうなくらい広く、すべての動物をつぶさに見ていると4~5時間はかかります。また、お昼前後に行くと寝ている動物が多いので(特にライオンとかオオカミなどの大物)、午前中か夕方に訪れるのがおすすめです。
Woodland Park Zoo [Official Site]
3 パイク・プレイス・マーケット(の展望デッキ)
シアトルが初めてなら是非とも立ち寄りたいのが、1907年創業の市場、パイク・プレイス・マーケット(Pike Place Market)です。アメリカの中でも特に新しい街であるシアトルでは110年もの歴史がある場所はなかなか珍しく、日々多くの観光客が訪れます。アメリカのガイドブックと日本のそれは紹介している観光スポットが微妙に違うことが多いのですが、このマーケットは日米どちらからもスター級の扱いを受けている印象です。
おいしいものいっぱい(大粒のチョコレート、濃厚ヨーグルト、とろとろのクラムチャウダー!)、かわいいものいっぱい(オーガニックのボディークリーム、色鮮やかな花束、ガラスのピアス!)で、歩いているだけで心が躍ります。
ただ、難点は通路が狭いこと。特に人でごった返す土日祝日は、すれ違うのも一苦労。階段も多く、ベビーカーを押して歩くのは至難の業です。
ベビーカーが必要な年齢の子を連れていきたいのが、今年(2017年)オープンしたばかりの展望デッキです(正式名称はMarket front)。広々としたスペースがあり、スロープがあるのでベビーカーの移動も楽ちん。そしてなんといっても魅力は、これです。
展望デッキ建設のために寄付をした人たちの名前がカギのようなモチーフに彫られてフェンスに飾られているのですが、これ、子どもが大好きなやつじゃありませんか。キラキラ光るからか、ガチャガチャ音が鳴るからかーー。我が家の1歳児は30分くらいここでキラキラガチャガチャと遊んでいました。
その間、大人は眼下に広がるピュージェット湾とその後ろにそびえる雄大なオリンピック連山を見て心を休めます。子守役以外の人はその間に買い物を済ませ、合流。遊び疲れた子どもがお昼寝を始めたら、近くのレストランで昼食! というのが理想のプランです(あくまで理想)。
すみません、これは「子どもと行きたい」というより「子どもとでも行ける」という感じのスポットでした。
Pike Place Market [Official Site]
4 ワシントン・パーク植物園
個人的に、シアトルのいちばんの魅力は大自然が身近にあるところだと思っています。車をちょっと走らせれば、おとぎ話に出てくるような深い森の中にもぐることができます。
中でもワシントン・パーク植物園(Washington Park Arboretum)は、ダウンタウンから近くバスでも行けるため、観光中でもアクセスしやすい公園。日本庭園もあります。
シアトルは北緯47度(北海道よりさらに北!)とかなり緯度が高いにも関わらず、海に面しているので冬でも凍えるような寒さにはなりません。さらに1年の半分以上しとしと雨が降っているので、常緑樹の森に熱帯性のシダが生えるという不思議な光景が形成されています。
またアメリカの中でも四季がはっきりしている土地で、1年を通じて様々な種類の草花が咲きます。日本では見かけない草花を探すのも楽しいですし、日本では小ぶりなアザミの花やサザンカの木が大人の背丈以上に伸びているのを見るのも面白いでしょう。
特に子どもと歩くと、大人の目線では気が付かない発見がたくさんあっていいですよね。ぜひ子どもの歩調で、ゆっくりじっくり自然探索をしてみてください。
5 ブルワリー
シアトルが位置するワシントン州には、281軒ものブルワリーがあります(2014年時点)。281軒というのはアメリカの中で特出して多く、おいしくてユニークなビールを味わうことができます。日本のビールはラガー一辺倒で「ビールといえば苦いもの」と私も思っていたのですが、こちらには「苦い」だけでは表現できない奥深い味のビールがたっぷりあります。パイナップルジュースのように爽やかなペールエール、カカオ90%のチョコレートのように濃厚なスタウト。特に人気があるのは、ぴりっとしたのどごしのIPA――。と、話がどんどん「子どもと行きたい」からずれていきますが、ともかくシアトルのビールはおいしい! そういうことです。
で、肝心の「子ども」ですけれども、シアトルには子ども連れで入店できるブルワリーがたくさんあるのです。
ハイチェア完備は当たり前。子ども向けにクレヨンやおもちゃが置いてあったり、遊ぶスペースがあったり。何より、子どもが泣きわめいても全然気にしない! という空気のおかげで気持ちよくビールが飲めるのです。子どもが泣くと、むしろ店員さんや周りのお客さんたちが一緒にあやしてくれます。
特別ファミリー・フレンドリーなブルワリーはここ、フリーモント・ブルーウィング(Fremont Brewing)。サイトによると、「子ども、犬、ネコ、フェレット、ウサギ、イグアナ、どなたも歓迎!」とのこと。かなり懐が大きいブルワリーです。
シアトルは本当に、子どもにやさしい街です。子ども向けの博物館や公園が充実しているから、というのも理由ですが、大人向けの場所へ行くとそのことをより強く実感できるかもしれません。
【文・大井美紗子】
(この記事を書いている海外書き人クラブの紹介が、ページの一番下にあります。ご発注やご入会をお考えの方、ぜひご覧ください)
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