ヨーロッパ各地から、スペイン北部に位置する「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」まで繋がる道、通称「スペイン巡礼」です。今回は写真とともに、スペイン巡礼の道の魅力を紹介したいと思います。
海外書き人クラブ会員の照井悦子です。
①スペイン巡礼って何?
初めに「スペイン巡礼」を知らない人のために解説していきます。ローマ・エルサレムと並ぶ3代キリスト教徒の道とも言われています。
ひと言で「スペイン巡礼」と言っても何通りも道があります。その中でも一番人気があるのは、「フランス人の道」と呼ばれている場所です。
陸続きのヨーロッパは、自宅から巡礼を始める人もいます。巡礼を歩くための決まりはなく、どこから歩くことも、どこでやめてもいいのです。
巡礼を歩く人は年々増えていて、世界中から年間30万人がこの地を訪れます。ただ手続きをしない人もいるため、実際のところもっと多いとも言われています。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの「サンティアゴ」とは、「聖ヤコブ」のスペイン語。ヤコブはキリストの12使徒のひとりで、遺体が埋葬された場所がサンティアゴ・デ・コンポステーラと言われています。
今ほど道が整備されていない時代には、祈りを捧げるために歩いた人、罪を償うために歩いた人がいたと言われています。しかし現代では、スペインに来る目的が「巡礼を歩くため」という人もいるほどです。
スペインでは、授業の一環で巡礼を歩く学校もあるほど身近なものです。
②巡礼路で必要なホタテ貝
巡礼を歩くときに欠かせないものがホタテ貝です。ホタテ貝は巡礼を歩き始めた時代から「巡礼者のシンボル」として重要な役割があります。この貝をぶら下げているだけで、巡礼者と認識してもらえて、声をかけてくれることもあります。
このホタテ貝は現地で調達できるし、思い出にもなる大切なものなのです。
③人との交流
言葉は国境を越えます。国籍は違えど、歩く目的で来てるため、何度も歩いているうちに顔なじみになり、自然と交流が生まれます。同じ宿で寝泊まりして、一緒に歩いて、同じ食堂でご飯を食べるのですから。
小学生の子供から、既に退職した方まで、年齢や職業も、国籍もさまざまです。
巡礼へ行った人に話を聞くと、一番は「人との交流がよかった」と言う人が多く、多数の人はまた行きたいと言います。それは、一度に世界中の人と関わる機会が持てるからかもしれません。
④自分と向き合う大切な時間
毎日、ひたすら歩くだけの日々。そして食べて、寝るのシンプルな日々。ただたいしたことをしていない分、巡礼はただ歩くだけでなく、自分と向き合う時間でもあります。不要な感情がなくなっていく感覚を観察できるのは、巡礼ならではかもしれません。
【ある日の予定表】
朝5:00起床
6:00出発
9:00朝食
12:00〜13:00目的地着
14:00ランチ・洗濯
〜16:00昼寝
18:00〜食事準備
19:00食事
22:00就寝
⑤留学するなら、スペイン巡礼へ
巡礼中は1ヶ月間ほとんど日本語を使いません。語学留学をしたかな?と勘違いするほどです。
スペイン国内の言語はもちろんスペイン語ですが、巡礼では多くの言語が飛びかっています。ヨーロッパの人が多く、フランス語、イタリア語、英語、スペイン語、ドイツ語、さらには韓国語などを使う人たちから、生きた言語が学べます。
通常の留学であれば、それぞれの国へ行かなければなりませんが、多くの言語を一度に使える場所も他にはないでしょう。
難しい表現はできなくとも、会話を楽しみたいと言う人にもおすすめです。
みんな言語が違うってわかってるから、意思を伝えようとするし、理解しようとする。1ヶ月間、ほぼ日本語に触れる機会がなかったら、自然と語学留学した気分になれます。
学生さんも大人でも、留学へ行くならスペイン巡礼はもってこいの場所ですよ。
(文・写真 照井悦子)