東京の都心からもほど近い高尾山。新宿から最寄り駅の高尾山口まで京王線で50分前後のアクセスの良さも魅力ですね。しかもICカード利用で片道381円です。
その高尾山ですが、じつはいくつかの登山ルートがあって、それぞれ異なる雰囲気があります。そのうち4つを同日制覇してきたのでレポートしたいと思います。
こんにちは。海外書き人クラブ会員のユッキーです。
高尾山は最寄駅の京王線高尾山口から、登山口またはケーブルカーやリフトの乗り場まで、バスではなく徒歩数分で行けるのも魅力です。
スポンサーリンク
登山ルートは1号路、3号路、4号路、6号路、稲荷山コースなどがあります。「2号路と5号路はどこに行っちゃったんだ?」という声が聞こえてきそうですが、安心してください、ちゃんと存在しています。ただ2号路はケーブルカーの高尾山駅(麓ではなく山上側の駅)、5号路は山頂周辺の「周回路」で、「登山」のための道ではないんです。
これが山頂の「高尾山ビジターセンター」脇にあった地図。右下にケーブルカーの麓の駅で、左上がに山頂があります。
ちなみにこの地図、「高尾山 山内事故情報」という物騒なタイトルがついています。とはいえ「転落」はわかるにしても「転倒」は事故なんでしょうか? 山歩きしていれば一度や二度転ぶことらいあると思うのですが……。
登山道に話を戻すと、高尾山から城山、景信山を経由して陣馬山から里に下る縦断コースも存在し、私も一度歩いた経験がありますが(ガスで視界ゼロの、単なる「トレーニング」でした。涙)、一般的ではないので今回は紹介しません。霧だけしか写っていない画像ばかり見せられても困るでしょうし。一つだけ見せると……。
そのときはこんな感じでした。
さて、私が4ルートを制覇したのは2017年7月10日。梅雨のさなかなのに「快晴」の予報で意気揚々と出かけました。
実際に歩いたのは、「6号路」登り→「1号路」下り(ケーブルカー高尾山駅まで)→「4号路(から)」登り→「稲荷山コース」下りなのですが、わかりやすいようにすべて山麓から山頂方面に写真を載せていきます。また一部の写真は以前、冬の時期に撮影したものも含まれます。
その1 「1号路」
「薬王院」の凛とした雰囲気を楽しむコース
高尾山の山頂までのコースで真っ先に思い浮かぶのが、この薬王院を通るコースですね。ずっとアスファルト舗装されているので、登山道というよりも参道です。実際普通のスニーカーどころか革靴やサンダルで歩いている人もいます。
この1号路を通る人はほとんどがケーブルカーまたはリフトで途中まで来ますが、じつは京王線の高尾山口駅近くにあるケーブルカーの清滝駅付近から登山道はスタートします。
とはいえ、このあとず~~~~と山頂の茶屋などへの物資運搬用のトラックなんかが通る広い舗装道路で、しかも建造物などもないのであまり面白くないです。1号路を行くなら、とっととリフトなりケーブルカーを利用するほうがおすすめです。
ですが一つ落とし穴があります。ケーブルカーの始発は8時、リフトは9時とかなり遅くから動き出すので、早朝登山では使えません。かつて高尾山から陣馬山まで縦断したときに、片道だけケーブルカーを使えるお得な高尾山フリー切符を買ったのに結局乗れずに、その分だけ損をした哀れな男がいます。はい、私です。
さて、ここがケーブルカーの高尾山駅。つまり山頂側です。
ここからは公共交通機関がないのでひたすら徒歩です。
「よっしゃ行くぞー」と気合を入れたら、いきなりこんなものが立ちはだかります。
プレモルも含んだ豊富なビールメニューで思わず気持ちが砕かれるかもしれませんが、幸か不幸か開店は15時でした。後ろ髪をひかれながら突き進みましょう。
すぐに出てくるのが食堂を兼ねたお土産物屋さんです。
高尾山って観光客が多い割に、ケーブルカーを降りたあとは土産物屋が意外と少ないですね。同じように登山靴でも革靴でも楽しめる御岳山のほうがずっと土産物屋が多い印象です。
そのお土産物屋さんを過ぎると出てくるのが「かすみ台展望台」。東側、つまり東京都心方面がばっちり見えます。
次に出てくるのがこの「さる園」。
ですがここも開園は9時半とのんびりです。やはりこの1号路は登山客ではなく観光客相手なのでしょうね。
ただこの「さる園」、以前冬に来たときにはかなり癒されました。飼育係のおっちゃんも暇だったのか、あれこれ解説してくれて……。ぼけーっとくつろぐにはおすすめの場所です。
その次に現れる名所が「たこ杉(蛸杉)」。ご神木的巨木です。
根っこが蛸の脚みたいだから、蛸杉だそうです。「ネーミングの仕方がタコ過ぎ!」とかツッコミを入れず、あたたかく見守りましょう。というのもこの蛸杉、かなりお歳を召しているそうで、「枝が折れて落下することがあるから近くを歩かないこと」みたいな看板が、木のすぐ近くにありました(笑)
その後もまったく登山道感がない参道を行きます。これはこれで楽ですが……。道幅が広いので、朝はいいですけど正午頃には直射日光が悩まされそう。
そしていよいよ「薬王院」に到着。高尾山名物の天狗が出迎えてくれます。
「悪い子はおらんか~」。……それは「なまはげ」ですね。
その後も境内にはいろいろな建物があります。敬虔な気持ちになれます。あとお守りとかおみくじが好きな人にもいいかもしれません。
写真は撮っていないですが、階段もかなりなものです。
そしていよいよ山頂に到着。
この日は快晴。本来ならこんな景色を期待するところですが……。
あいにく西のほうは曇っていて、富士山や丹沢の山々はあまりよく見えませんでした。当日の実際の展望はこちら↓
ちなみに頂上には自動販売機が充実しています。いくつかある店のほうは9~10時ごろにぼちぼち開くみたいな感じですね。
それと、この「高尾ビジターセンター」。ついつい素通りしてしまいがちですが、楽しいスライドショーなどもしていることがあるので、時間があれば立ち寄ってみてください。開館は10~16時ですが……。
1号路
- 難易度 👟(舗装道。傾斜もゆるやか。高度は階段で一気に稼ぎます)
- 片道全長 3.3キロ
- 標準タイム 麓から登り1時間40分 下り1時間30分
- ケーブルカーの高尾山駅から登り55分 下り50分
その2 「4号路」から「いろはの森コース」
吊り橋と尾根筋が魅力!
次に紹介するのが「4号路」。ここは麓からではなくて、ケーブルカーの高尾山駅から1号路を300メートルほど進んだところを右に折れてスタートです。
この4号路は登山道らしい土の路面で、しかも傾斜も緩く、石などがゴロゴロしていないのでとても歩きやすいです。森林浴にはピッタリですね。
しばらくすると4号路のメインアトラクションである吊り橋「みやま橋」が見えてきます。
あまり長くもないのでほとんど揺れませんが、吊り橋というだけでテンションが上がりますね。
この「みやま橋」を超えると、階段など傾斜がかなり急なところが出てきて、がぜん山道らしくなります。
そして登っていくと突然分かれ道が……。「いろはの森コース」?
「いろはの森コース」というのは、たとえば高尾登山電鉄のウェブサイトの「登山コース」のページにも紹介されていなくて、どうしようか迷ったのですが、「高尾山頂」とも書かれているし、4号路は以前歩いたときには、この先あまり見どころはなかった記憶があります。「この晴れた日に高尾山で遭難することはないだろう」と考えて、「いろはの森コース」を進むことにしました。
これが正解でした。
「いろはの森コース」は左側です。
尾根筋を歩くコースで、斜面を行く4号路とはまた別の趣があります。とはいえ、低山の高尾山なので眺望は期待できませんが、尾根筋というだけで気持ちいいですよね。そしてしばらく行くと、ものすごく整備された階段が登場!
「この整備された階段、丹沢か!」と思わずツッコミを入れたくなりましたが、よくよく考えたら丹沢以上にお手軽登山客の多い高尾山でした。
とにかくこの階段が150段くらいあって、一気に高度を稼ぐ感じです。登りきったところから見ると、こんな感じ。
どこまでも延々と続いていますね。
そしてこの階段を登り切ったらすぐに1号路の舗装路と合流。山頂はほんのすぐそこです。
「4号路」から「いろはの森コース」
- 難易度 👟👟(歩きやすい登山道。高度は階段で一気に稼ぎます)
- 片道全長 1.5キロ
- 標準タイム ケーブルカーの高尾山駅から登り55分 下り50分
その3 「6号路(びわ滝コース)」
沢の脇を歩き、終盤の「飛び石」が楽しい
次に紹介するのは「6号路(びわ滝コース)」。ケーブルカーの清滝駅(麓の駅)の脇の「1号路」を進みますが、すぐに左に分かれます。ここです。
結構歩きやすい登山道が続きます。
「6号路(びわ滝コース)」の「びわ滝」というのは登り始めてすぐ、少し道を逸れて下っていくとありますが……。
こういう敷地の向こうにチラッと見えるだけで、滝自体もそれほど大きくはないので、スルーしてもいいと思います。
尾根筋ではないので眺望はまったく期待できませんが、沢の音を聴きながら進むのは気持ちいい森林浴ですね。
橋も二回渡ります。一つ目は「大山橋」という看板がありましたが、二つ目の名称はわからなかったです。
イノシシくんもいるみたいですね。このあたり、かなり関西を代表する身近な山・六甲山を意識しているみたいです。……違いますね。
ちなみにかつて六甲山で遭遇したイノシシくんが、これ。
野生のイノシシとの遭遇はかなりスリルのあるアトラクションです。かなりビビりますが、熊ほどのマジなヤバさはないし。
さて、しばらく進んでいきます。足元にあるこの小さな看板をお見逃しなく。
ここからが「6号路」のメインイベントともいうべき、沢の中の「飛び石」になります。
心の中で「うひょーっ」と叫びながら進むことになります。この日はあまり水が多くなかったですけど、やっぱり楽しいですね。
「飛び石」地帯を過ぎてしばらく行くと、こんな階段になります。たぶん150段くらい一気に登ります。
登りきったところから見るとこんな感じ。かなりきついですが……。
……ちょうどそこにベンチがいくつも置かれていました。さすがは高尾山。サービス精神旺盛です。
このあとすぐに1号路に合流します。十字路みたいになっているので、下の写真のような小さな看板をお見逃しなく。
「6号路(びわ滝コース)」
- 難易度 👟👟👟(沢の脇の登山道。「飛び石」にご注目)
- 片道全長 3.3キロ
- 標準タイム 麓から登り1時間30分 下り1時間10分
その4 「稲荷山コース(見晴らし尾根コース)」
「眺望有り」ってどこに?
ケーブルカーの清滝駅(麓側)から本当にすぐのところから橋を渡り、いきなり階段を上るコースです。登山口がちょっとわかりにくいので気をつけてください。その階段を上がったところから登山口を見ると、こんな感じです。
さて、この「稲荷山コース」、別名「見晴らし尾根コース」というらしく、「眺望あり」と紹介しているサイトもあるのですが……なかなか「見晴らし尾根」らしきものが出てきません。
登山道も先ほどのような階段のところもありますが、岩が露出しているようなところも多くて意外と歩きづらいです。
ところがしばらくすると、休憩所らしき場所に平日だというのに大勢の人々が……。
どうやらここが「稲荷山」らしいです。とはいえ、東側にほんの少し眺望があるくらいです。
「まあ、この先に眺望があるんだろう」と気を取り直して進みます。
確かに尾根筋ではあります。
でも両脇が木々に囲まれているので、「眺望」は……。
たぶん木が枯れた冬限定の話なんでしょうね。
この「稲荷山コース」も最後の最後に強烈な階段の連続です。
ここも150段やそこら、もしかしたらそれ以上あるかもしれません。
登りきったところがここ。この「稲荷山コース」は「4号路」や「6号路」、「いろはの森コース」と違って「1号路」とは合流せず、山頂に到着します。
「稲荷山コース(見晴らし尾根コース)」
- 難易度 👟👟👟(ときどきしたがゴツゴツ岩の登山道。濡れていると滑ることもあるらしいです)
- 片道全長 3.1キロ
- 標準タイム 麓から登り1時間40分 下り1時間20分
オススメのルート
あまり人気がないと言われる「3号路」以外の4ルートを同じ日に制覇してみた私のオススメルートを発表します。
登りは「飛び石」が楽しめて、せせらぎの音に安らぐ「6号路」がいちばんのオススメです。
そして下りですが、せっかくこれだけルートがあれこれあるのだから同じ道ではつまらない。で、沢沿いの「6号路」とはまったく違う「尾根筋」と「吊り橋」が楽しめる「4号路+いろはの森コース」(下りなので正確には「いろはの森コース+4号路」の順ですが)がいいでしょう。
とはいえ、「1号路」でのんびりと薬王院を参拝したり、さる園で癒されたりするのもいいと思います。
いずれにせよ、ケーブルカーの「高尾山駅」(山頂側)から先は、舗装された普通の坂道なので、歩いてもつまらないかな? で、ケーブルカーかリフト利用になりますが、初夏から初秋の寒くない時期はリフトのほうが気持ちいいと思います。
登りではなく下りにリフトを使うのが「通」ってもんです。
気持ちいいといえば、「京王高尾山温泉 極楽湯」というのができていました。降りてきたのが午前10時半で「さすがに今から風呂は……」と断念しましたが、露天風呂もあってなかなか良さそうなので、今度行ってみようかと思います。
以上、高尾山の4ルートを同日制覇したときの比較でした。
秋の紅葉とか、眺望が期待できる冬枯れとか、春の桜とか、また別の時期にもチャレンジしてみたいと思います。
【文・ユッキー】
【ニッポン見聞録】シリーズ全記事はこちらです↓
- 東急線沿線の「黒湯」などおすすめ銭湯ベスト4【ニッポン見聞録1】
- 外国人がのけぞった日本の食べ物11選【ニッポン見聞録2】
- 外国人が感激した日本の食べ物10選【ニッポン見聞録3】
- 超興奮! お台場と秋葉原。2ヵ所のVRアトラクション比較体験【ニッポン見聞録4】
- 高尾山。4つの登山ルートを徹底比較【ニッポン見聞録5】
- 夏の那須。「茶臼岳」と「朝日岳」の2峰登頂【ニッポン見聞録6】
- お台場の「メガウェブ」を満喫! 3大アクティビティー徹底紹介【ニッポン見聞録7】
- 大山(丹沢)。登山以外も山盛りの7つの楽しみ【ニッポン見聞録8】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
スポンサーリンク
スポンサーリンク