登山初心者も日帰りで縦走が楽しめると大人気の「奥高尾縦走ルート」(高尾山・陣馬山縦走ルート)。前回の記事では「陣馬山から入るルート(東行き)」だったので、今回は「高尾山から入るルート(西行き)」を紹介します。
同じような条件の日に踏破した両ルート。さて、よりおもしろいのはどちらでしょうか。
こんにちは。海外書き人クラブ会員のユッキーです。
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1 高尾山→陣馬山ルートの説明
- 京王線高尾山口駅 → 高尾山(たかおさん) → 小仏城山(こぼとけしろやま。または単に「城山」) → 景信山(かげのぶやま) → 陣馬山(じんばさん) → 陣馬高原下バス停 → →京王線およびJRの高尾駅
最高地点の陣馬山でも857メートルと低山の部類に入るのですが、走行距離は17.3キロ。さらに途中で小仏城山や景信山などを登って降りてするので、合計のアップダウンはかなりのもの。
ちなみにヤマケイオンライン様の「コース計画」のサイトで調べてみると……。
- 陣馬高原下発(西から東へ)のルート 合計1355メートルの登りで6時間50分
- 高尾山口駅発(東から西へ)のルート 合計1503メートルの登りで7時間05分
- (いずれも標準タイムで休憩時間含まず)
鎖場とかハシゴはないですが、タフさは丹沢表尾根と匹敵するくらいなので、油断は禁物です。
2 「高尾山→陣馬山」ルートを実際に歩いてみた
ではいよいよ、実際に歩いたルートを紹介してみましょう。トライしたのは2018年1月07日の日曜日です。
08:44 京王線高尾山駅発
本当はもっと早くスタートしたかったのですが、正月遊び過ぎて疲れが残っていたのが、かなり寝坊。で、スタートはこんな時間に。
本当ももっと早くスタートするほうが絶対にいいです。理由はのちほど。
ケーブルカーの運航は8時、リフトは9時から。いつも早朝に来る関係で乗れない(というか待っている間に山頂に着く)ので、いいチャンスだから乗ってみようかという悪魔のささやきが聞こえましたが、久しぶりに6号路を歩きたかったので、徒歩ルートにしました。
しばらくすると6号路の見どころと紹介されることもある「琵琶滝」への分岐点が出てきます。
琵琶滝は上の写真の左奥のほうにチラッと見えるものですが……正直言うと見てもどうってことないと思います。修行する人以外は近くに寄れないし……。
というわけで分岐点を無視して進んでもいいと思います。まあ、往復100メートルもないですから、無駄足感はないですが……。
この日はご年配の方々の集団がいたりして妙に混んでいました。道が狭いところが多くて、前の人たちが抜かせてくれるつもりにならないと、なかなかすり抜けられない。それが6号路の難点といえば難点です。
09:24 飛び石
6号路のメインイベントである飛び石までは40分(標準コースタイムで歩く人なら1時間くらい)。立て看板のところをまっすぐ進みます。左側に小さな橋が架かっていて、そっちのほうが本筋に見えるのでご注意を。とはいえ、そっちに行っても稲荷山コース経由で山頂に到達できるのですが……。
ちなみに飛び石、この日は結構滑りやすかったです。
3分ほどで通りぬけるのですが、そのあと飛び石のほうから「入っちゃった」というオバサンの声と、「うわっ」とか「あらあら」というが聞こえてきました。いくら晴天とはいえ、冬にはまっちゃったらそのあと冷えて大変だろうなあ。
というわけで慎重に進んでください。
09:30 魔の階段
すぐに階段が連続する場所に到着します。数えてみると、最初96段あって、そのあと163段続きます(多少誤差はあると思います)。結構きついです。とはいえ木の根っこだらけの山道のような歩きにくさはなく、一気に高度を稼げるので、階段サマサマかもしれません。
休憩なしで5分ほどで登り終えたところに大量のベンチ群があり、ここで休む人たちもかなりいるのですが、頂上まではあと5分ほどなのでそのまま歩き続けたほうがいいと思います。
あと、このベンチの先に……。
こんな看板があるのですが、すごく紛らわしいです。
地図は気にせず、まっすぐ突き進んでください。
09:41高尾山山頂 09:48発
そしていよいよ高尾山山頂到着。今日も富士山がよく見えたので、記念に「富士山ポーズ」で写真を撮ってもらいました。はい、この手の形が富士山なんですね。
この写真を撮ってくれた女性二人組の写真を撮ったのですが、彼女たちもこの「富士山ポーズ」で決めてくれました。広まるといいです、富士山ポーズ。
3連休の中日で、翌日は曇りが予想されていたので、高尾山の山頂は相変わらず混んでいました。
けど富士山もバッチリです! 後ろにもやがかかっていますが……。
ただスタートも出遅れたし、これから少しずつ富士山に近づくので、休憩もそもそもに出発!
この高尾山から先が「奥高尾」と呼ばれるエリアです。これでは陣馬山まで約5時間の表示。ヤマケイオンラインよりも少し多いのは、休憩時間を見ているからかもしれませんね。
09:52紅葉台
ほんの4分くらいで紅葉谷到着。高尾山の展望台では右側に大きな木が茂り、下も梢が迫ってきているのですが、紅葉谷は結構開けているので富士山がグッと近く見える気がします(「さっきの写真のほうが近いじゃないか」と思われるかもしれませんが、あっちはズームしたものです)。
というわけで、奥高尾縦走ではなく高尾山単独登山の方もぜひ紅葉谷まで降りてみてください。ちなみに帰りはもう一度高尾山頂に登らなくても、山頂の少し下をぐるっと回っている「5号路」を通れば、1号路、4号路、3号路、6号路、稲荷山コースとすべての下山道に出ることができます。
そして紅葉谷からすぐにこんな階段。高尾山を出てすぐもそうなのですが、紅葉谷からもどんどん下っていきます。「ああ、この分また登るんだな」と嫌になるくらいに。地形に文句言うヤツが山に登っちゃいけないんですけどね。
10:22一丁平展望デッキ
ここで休憩というか早めの昼にしている人たちも毎回多いですね。この展望デッキの下も広いスペースがあり、そこで休憩している人もいますが、ここまで登ってきて休んだほうがいいです。
それから右側に巻き道もあるけど通らないほうがいいです。というのは……。
ここからも富士山がよく見えるからです!
一丁平を通り過ぎて、しばらくするとまたこんな風に右側に巻き道が出てきます。この巻き道もなかなか風情はあるのですが、やっぱり左側、「小仏城山」方面を目指してください。というのは……。
10:33小仏城山 10:40発
はい、小仏城山からの富士山も絶景だからです。
ちなみに東側の広場には、こんな彫刻が立っています。妙な味がありますね。
茶屋。
雲もなんか芸をしています。ちょっと抽象画みたいです。
小仏城山を出発するとかなりの登りになります。標高差的には高尾山の階段のほうが急なのでしょうが、こっちはずるずる滑りそうな足場なのできつく感じます。全行程の中でここがいちばん大変かな?
でもスクッと伸びた杉林が気持ちよくもあります。……花粉症持ちの私には、彼らは天敵ですが。
11:14景信山 11:20発
景信山の頂上に到着。北東側の景色です。
富士山もさらに近づいてきますが、陣馬山ではもっと近くに見えるので、ちょっとおやつを食べただけですぐに出発。そもそも出発時間から出遅れてますから……。
ここまでの行程は、山頂を除き左右が林のところが多かったのですが、結構開けたところも出てきて気持ちがいいです。
この景信山から先、何度か左側に巻き道が出てきます。結論から言うと、全部巻いてしまって問題ないです。この先の山とか峠はすべて、木々の間からしか景色が見られないので……。
特にこの堂所山は登りと下りが大変なだけで、頂上に行ってもなんのご褒美もないので、巻いていいです。
このあとも抜けのいい道が出てきます。真夏は暑くて大変ですけど、冬の晴れた日は最高です。ちょっと寝っ転がって昼寝でもしたくなりました。死体と間違われて発見者を驚かせそうなのでやめましたが。
12:37陣馬山到着 12:47発
そして高尾山から3時間弱で、陣馬山到着。いつも思うけど、なんで木が一本もないんだろ、ここ?
高尾山から陣馬山までのヤマケイオンラインの標準コースタイムが4時間15分(休憩入れず)。それを休憩を入れて3時間弱なので、かなり巻いた印象です。……はい、ぼっち登山の悲しさです。
冬晴れで風もなく、ポカポカ日和。そしてちょうどランチタイム。というわけでそれなりの人数がいますが、高尾山のような「混雑」という感じではないです。ベンチにも普通に座れますし。
そして富士山もバッチリ! この時間になると太陽は南にまわり、富士山を東からだと順光ではないので、あまり鮮やかじゃないかと想像していたのですが、意外とよく見えました。
さて、ここで大きな問題が……。
じつは陣馬高原下からのバスは1時間に1本。で、「速攻で下れば間に合うかな。けど、ここでのんびり富士山を眺めてようかな」と悩んだのですが、「早めに下って、明るいうちに温泉のある銭湯に行こう」というアイディアが浮かび上がり、下山開始することにしました。やっぱり山歩きのあとの広い風呂は最高ですからね。
ということで、滞在時間わずか10分というせわしなさで出発です。
下りは「和田峠経由」の古くからある登山道と「新登山道」という2つのルートがあるのですが、「早く降りたい」という目的があるので、標準コースタイムで10分短い後者を選択します。
で、この下り、最初はなかなか快適なのですが、10分すぎたころから木の根っこだらけの急坂になります。ちょっと注意が必要です(バスの時間も気になるし、足場は悪いしで、写真を撮る心の余裕がなかったです)。
気になったのは人の少なさ。高尾山から陣馬山まであれほどいた人たちはいったいどこへと不思議に思うくらいです。陣馬山頂から陣馬高原下までにすれちがった、つまり登ってきたのが2名と少ないのは昼過ぎなので納得ですが、追い越したのはたった5名で、追い越されたのは0名。標準コースタイムで1時間もある道のりなので、かなり少ない印象です。
そしてこのルートの前半は、両側はほとんど木に囲まれていて見晴らしはないのですが一応尾根筋。「心臓まひで転げ落ちたり、つまずいて滑落して頭を打って意識を失いでもしたら、誰にも発見されず凍死かもしけない」なんてことが頭をよぎりました。
追い越した人数が少ない「納得の理由」は、あとで判明します。
13:13登山道が沢と並行する
歩き始めて23分で、右側に沢が見えてきました。この6分ほど前から沢の音だけは聞こえてきたのですが、ようやく出会えました。
陽があたらない場所だと景色は本当に冬っぽいですね。
13:14「新登山道」入り口
そしてすぐに車も走る舗装道路と合流。
この舗装道路を歩く時間が16分となにげに長かったです。疲れた脚に舗装道路はこたえますが、川と並行しているので気分的に飽きることありません。
13:30陣馬高原バス停着
そして本日の登山のゴール地点である陣馬高原バス停に到着。「45分発のバスに余裕で間に合った」と思ったのですが、何か嫌な胸騒ぎ。というのはバス停に人っ子一人いないのです。とりあえずトイレに行ったりしたあと、恐るおそる時刻表を見てみると……。
なんとバスの発車時刻は毎時25分でした。みなさん、妙な思い込みで行動するのはやめましょう。特にバスが1時間に1本だけの山では。
ちなみに腕時計はみんながG-SHOCKと間違えてくれるダイソー製です。
「こんなことなら陣馬山で富士山をもっとじっくり眺めておくんだった」と思ったのですがあとの祭りですね。でーも!
この日は妙に暖かくて、陽射しも気持ちよくて、ベンチに座りながら「ああ、ひなたぼっこするのって何年ぶりだろうなあ。こういう時間もいいなあ」なんて考えていました。強がり半分ですが、心からの感想でもあります。
仮に天気が悪かったり寒かったりしたら、バス停横にあるお蕎麦屋さんに避難するのも手だと思います。
14:23陣馬高原下発(臨時便)
そうこうするうちに妙な時間にバスがやってきたと思ったら、終点の高尾駅北口を含めて3つの停留所しか停まらない「臨時便」だそうです。ラッキーと思ったら、すぐに別の1台もやってきて、こちらは「定期便」。
出発時間は「臨時便」が14:23とのこと。「定期便」は14:25分ですから2分しか変わりません。急行なので停留所も少ないのですが、定期便でも途中で乗り降りする人はほとんどいないようで、終点の高尾駅北口の到着もあまり変わりません。乗車時間は30分ほど。「臨時便」で座れなかったら「定期便」に乗るのがオススメです。
「そんな風に時間をおかない臨時便を走らせるんじゃなくて、たとえば55分発にして、1時間に1本のところを30分に1本にしてくれたらいいのに」と思ったりしますが、陣馬高原下付近の道路が狭くてバス同士はすれ違えないので固まって運行させなければならないとか「大人の事情」があるのかもしれません。
14:55高尾駅到着
バスは北口に到着します。
その北口から入ると「河口湖行き」とか「大月行き」とかの列車が停まっていて、なかなか風情があります。
「今度はもう少し遠出してみようかな」。そんな気分になります。
【今回のルートと所要時間】
- 08:44京王線高尾山口駅 → 09:41高尾山(たかおさん) → 10:33小仏城山(こぼとけしろやま。または単に「城山」) → 11:14景信山(かげのぶやま) → 12:37陣馬山(じんばさん) → 13:30陣馬高原下バス停 → 14:55京王線およびJRの高尾駅
全歩行行程4時間46分。休憩を差し引くと4時間16分。ちょうど標準コースタイムの60パーセントくらいですが、今回は後半かなり巻き道を利用したので……。
低山なので真夏はキツイですが、冬場でも雪の心配がほとんどない奥高尾縦走。みなさんもぜひ楽しんでください。
以上、「高尾山・陣馬山縦走(奥高尾縦走)登山② 東からルート徹底解説」でした。
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