東京に温泉があること、ご存知ですか? しかも「銭湯」料金で入れることを! さらにそのうちのいくつかは摩訶不思議な「黒湯」というにごり湯なんです!
こんにちは。海外書き人クラブ会員のユッキーです。先日まで6週間ほど日本に一時帰国してきました。普段外国に住む人間にとって、久しぶりの日本はまさにワンダーランド! そのときの体験の一つを【ニッポン見聞録】シリーズ第1弾としてつづっていきたいと思います。
今回は東京の東急電鉄沿線にある「銭湯」を紹介しましょう。いつもの方針通り、「きちんと体験したところ」のみを掲載しますので、どうぞご安心してご覧ください。
海外在住者が一時帰国の楽しみの一つにしているのが温泉。ただ結構遠くて短い滞在期間中になかなか行けないといった声も聞こえます。でもだいじょうぶ。少なくとも東京の品川区・大田区・目黒区の東急線沿線には、素晴らしい温泉が出ている銭湯がたくさんあるんです!
しかも温泉が出るにも関わらず、お値段は他の「銭湯」と同じ(原稿執筆時で460円)!
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さらにそうした銭湯はたいてい「タオル+使いきりのボディソープ+使いきりのリンスインシャンプー」という、いわゆる「手ぶらセット」を100円ほどで用意してくれています(浴室内に無料のボディソープとリンスインシャンプーを置いているところでは「タオルのみ50円」とか)。あと「貸しバスタオル100円」もあることがほとんどです。
施設の広さや「打たせ湯」や「寝湯」といった機能湯の数では健康ランドにかないませんが、温泉が「手ぶらセット」込みで合計560円でたのしめるんです! これを利用しないはありません。
では、いよいよ「東京南部の温泉のある銭湯ベスト4」を紹介したいところですが、その前に私の選択基準をずばりお伝えしましょう。
私の勝手な「ベスト銭湯」選択基準
1 「温泉」であること
どんなに素晴らしい施設でも温泉がないところは除外しました。
2 できれば「にごり湯」であること
温泉旅行先を選ぶ際の基準もついつい「にごり湯」を選んでいる私です。ツムラ「旅の宿」でも当然「にごり湯」を選びます。そして東京には……他ではちょっと見られないすごい「にごり湯」があるんです! はい、先ほど書いた「黒湯」です。
3 露天風呂があること
じつは「わが家にも露天風呂がほしいなあ」と真剣に思っているほど露天風呂フリークなんです。当然のことながら「高い塀で囲まれたところ」よりも「遠くまで見渡せるところ」の評価が高くなります。「おいおい、そんな展望風呂みたいなもん、東京23区内にあるわけないだろ」という声も聞こえてきますが……じつはあるんです!
以上の3点を基準に私がオススメする温泉銭湯、いよいよ発表です!
なお写真はすべてオリジナルですが、当然のごとく洗い場や脱衣所などは撮影禁止。各銭湯のウェブサイトにリンクを貼るので、そちらをご覧になってください。
その1 「黒湯」が最高! 「戸越銀座温泉」
「黒湯」っていうのは文字通り、「黒いお湯」です。コーヒーの色をイメージしてくれるといいかと思います。白とか茶色のにごり湯はよくあれど、黒いにごり湯なんて見たことも聞いたこともない方も多いと思います。それが東京23区内で楽しめるんです! (戸越銀座温泉だけではないですが……)
建物のつくりは1階が受付と休憩所(一応簡素なバーみたいなものが設置されていてお品書きもあります)。
2階が洗い場と内湯、そしてそこから続く階段を上がった先の3階が露天風呂です。
3階の露天が黒湯の「陽の湯」と、内湯が黒湯の「月の湯」があり、男女日替わりになります。「にごり湯フリーク」兼「露天風呂フリーク」の私にとって狙いは当然、「陽の湯」の日なのですが、原稿執筆時ではどちらが男湯なのか、ウェブサイトには載っておらず「電話確認」をしないとわかりません。質問が多いのか電話で「すみません。今日の男湯は……」と言いかけると「露天が黒湯です」とか即答してくれますが……。
ただ、ここの露天風呂。数年前までは結構景色も見えたのですが、周囲から覗かれないようにとの配慮からか、周りがすだれのようなもので囲まれてしまったのがちょっと残念。だから露天風呂というよりは「吹き抜け風呂」という風情です。それでも風が通るのは内湯では味わえない風情ですね。
あと、サービスのつもりなのか露天風呂に大型テレビが設置(黒湯の「陽の湯」のみ)されているのも、個人的にはちょっと残念。私、自宅では文庫本をもちこんでバスタブに浸かる派ですが、温泉はやはりボーっとしたり、いっしょになった人たちとおしゃべりをしたりしながらのんびりと楽しむのが大人の風情だと思うのです。「テレビが嫌なら見なけりゃいいだろ」という声も聞こえそうですが、その存在自体が風情を低めてしまっていると思うのです。目がちらちらするし。
とはいえ、私がいちばん多く通っている銭湯です。
- 都営浅草線「戸越駅」徒歩3分
- 東急池上線「戸越銀座駅」徒歩5分
- (つまり山手線の五反田駅から近いです)
↑ちょっとわかりにくいですが、トップページの「入場する」をクリックすると、営業時間などを見ることができます。とはいえページが一枚しかなくて、別途「トップページ」というか「トビラ」をつくっている意味がイマイチ不明ですが……。
その2 「黒湯」と「黄金の湯」のダブル露天風呂。「武蔵小山温泉 清水湯」
「戸越銀座温泉」と同様の「黒湯」だけでなく、薄い黄褐色(黄土色、ラクダ色)の「黄金の湯」という、なんと「にごり湯のダブルパンチ」が楽しめる温泉。
この「武蔵小山温泉 清水湯」は「戸越銀座温泉」とは正反対で、ウェブサイトでもかなり詳しい説明付き。それによると黒湯は「深さ200メートル。100~200万年前の地層から湧き出」て、「黄金の湯」は「500万年前の上総層群の地層の、深さ1500メートルから湧出。銭湯初の大深度温泉」とのこと。しかもいずれも露天風呂! というか、こちらも天井の一部がない「吹き抜け風呂」で、「眺望」はないです。まあ、東京の住宅街で眺望を求めるのは、完全にないものねだりですね。
とはいえ、風呂好きたちが2種類のにごり湯を楽しむ至福を見逃すはずはありません。人気が非常に高く、平日の開店は正午という早さにも関わらず、オープン早々に「一番乗りじゃ」と訪れても、かなりの数の「銭湯員」たちがすでに集結しています。おそらく退職した不良老人はいいにしても、20代・30代の客は何なんだと思いますが、風体からおそらく夜の水商売関係なんじゃないか? 「中年のおまえも、平日の昼間から銭湯員になってるじゃないか」というツッコミが聞こえてきそうですが……。
黒湯は1畳半ほど、黄金の湯は2畳ほどとあまり広くはありません。そんなわけで休日にもなれば、かなりの混雑です。まあ、今回紹介するところはどこもそんな感じなのですが……。
2段目の黄金の湯の横に150度くらいにリクライニングされたポンボンベッドが置いてあり、空いていれば湯上がりというか湯と湯の間の昼寝に最高です。2脚しかないので、空いていることはなかなかないのですが……。
昼寝といえば、2階に畳と板張りの「お休み処」があるので、ここで湯上がりに休むのもいいです。ただし男女兼用なので、女性はゴロリとしづらいかな。
二つの湯の効能などはサイトで詳しく説明されているので、そちらをご覧ください。
- 東急目黒線「武蔵小山駅」徒歩5分
- (つまり山手線の目黒駅から2つめ)
http://www.shimizuyu.com/
その3 「眺望」最高の露天風呂 「西品川温泉 宮城湯」
今まで紹介した2か所は「露天というよりも天井吹き抜け風呂」と書きました。が、しかし! 東京23区内にも「眺望」と呼べる風景を楽しめる露天風呂がある銭湯が存在するんです! それがこの「西品川温泉 宮城湯」です。
塀とか柵が他のところと比べてかなり低いんです。まわりに高い建物がないからでしょうね。
その眺望はというと……当然、浴室内や露天風呂は撮影禁止なので撮れませんが、最寄り駅の下神明(しもしんめい)のホームからの風景が、かなり実物に近かったです! 風呂に浸かってはさすがに無理ですが、露天から出て椅子代わりに置かれている丸太に腰掛ければ、下の写真と同じような景色が眺められると思ってください。
頭上にはかなり広い青空が広がっています。しかもまわりはきらびやかなネオンなどほとんどない住宅地。ということは、私は未経験ですが夜になって晴れていれば星空などが楽しめそうです。
岩風呂の露天が約4畳ほどと、銭湯としてはかなり広いのも特徴。「混雑で露天風呂は諦めた」なんてことになる可能性は、あまりないと思います。
ただこの銭湯、2階が受付で、1階と3階が風呂。週替わりで男湯と女湯が変わります。そして眺望があるのは当然のことながら3階。男湯と女湯のどちらが3階なのかは、ウェブサイトのトップページの右上に書かれています。このあたりはいちいち電話で確認しないといけない「戸越銀座温泉」よりも便利です。
露天風呂フリークとしては当然3階に入れるときを狙うと思いますが、カップルで行く際はどちらかが1階になってしまうというジレンマが……。「ラブラブの神田川カップル」よりも、私のような「孤高の銭湯員」向けと言えるかもしれません。
それと私は利用しないのですが、ここはサウナが100円と大変おトク。サウニスト、サウナーのみなさんはねらい目かもしれません。
肝心のお湯はというと、公式サイトによると「メタケイ酸を含む無色透明無味無臭」とのことですが、露天風呂のお湯はほんの少し茶色がかっているように感じられたのは気のせいでしょうか。他の温泉なら「黄金の湯」などと大騒ぎしそうなところを「無色透明無味無臭」と謙虚に貫くあたり、まさに無我の境地かもしれません。
- 東急大井町線「下神明駅」徒歩3分
- (京浜東北線やりんかい線などの大井町駅から1つめ)
駅からの道のりも、上記のようになかなか風情があっていいです。
その4 「露天」だけでなく「洞窟風呂」も楽しめる「新生湯」
ここも「太陽の湯」と「大地の湯」があり、週ごとに男女で入れ替わり。「露天岩風呂」はどちらにもありますが、一風変わった「洞窟風呂」や「流水歩行プール」があるのは「太陽の湯」。そして広めの「露天岩風呂」と、そこから続くウッドデッキがあるのが「大地の湯」です。男女週替わりです。
あれこれ愉快なのは「太陽の湯」かもしれません。ただし! 「流水歩行プール」は別の言い方をすれば「流れるプール」状態。週末の夕方などはガキンチョたちのワンダーランド。阿鼻叫喚が響く「ガキンチョの天国、大人の地獄」状態になることもしばしばですから、静かにお湯を楽しみたいという場合は、平日に行くといいかもしれません。
ちなみに「露天風呂」は「吹き抜け風呂」で眺望ゼロです。ただ、その奥にある「洞窟風呂」は本当に洞窟の中にあって、不思議な雰囲気が楽しめます。
一方、「流れるプール」がない分、静かに楽しめるのが「大地の湯」。露天風呂から2階部分まで上がらなければいけませんが、本当に心地よい空間です。
ただ、じつはこの「新生湯」でいちばん人気なのは、露天でも洞窟でもなく、内湯にあります。それが肌にバブルがまとわりつく「高濃度炭酸泉」。ぬるめの湯に何十分と居座りつづける人も多いです(というか私の場合、入っていると自然に寝落ちしている)。その他の湯は「プラスアルファ」程度に考えて、「高濃度炭酸泉」を中心に楽しむのもいいかもしれません。
※新生湯の記事は2018年5月19日に加筆訂正しました。
新生湯
- 東急大井町線・池上線「旗の台駅」徒歩5分
- 東急大井町線「荏原町」徒歩5分
http://www.shinseiyu.jp/index.html
以上、東急線沿線にある温泉銭湯・勝手にベスト4でした。それぞれ違った特徴のある4箇所を選べたと思います。
また3つめの「西品川温泉 宮城湯」以外は最寄駅周辺に昔ながらの商店街があり、湯上りのそぞろ歩きも魅力です。
じつは東急池上線と多摩川線の蒲田近辺にも黒湯が出る銭湯はいくつもあるのですが、まだ二ヵ所しか経験していません。それからもう少し東の京浜急行沿線にもたくさんあるようですが、そちらは未踏の地。いつかアツアツの情報をお届けしたいと思っています。
【文・ユッキー】
【ニッポン見聞録】シリーズ全記事はこちらです↓
- 東急線沿線の「黒湯」などおすすめ銭湯ベスト4【ニッポン見聞録1】
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