2021年7月23日の東京オリンピックの開幕まで、3ヵ月を切りました。
ただ日本政府や東京2020組織委員会からは、相変わらず「やります、やります」という掛け声ばかりで、「以下の措置を取って開催します」という方針が聞こえてきません。
ではどのような措置が必要なのか? 現在、毎日の新規市中感染がほぼゼロに抑えられているオーストラリアから、海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫が考察します。
最初に伝えておきますが、私はこの状況でのオリンピックの開催には「絶対に反対」です。医療崩壊が叫ばれているのに「オリンピックなどをしている場合ではないだろう」と思っています。オリンピックは「平和の祭典」とも称されますが、まさに「平和」なときに行うべきで、こんな大惨事にやっている場合ではないはずです。
それでもどうしてもやりたい(やらないと放映権料などで多額の賠償金の支払いが必要になる?)のなら、「絶対に医療崩壊を起こさない」ことを目的に下記の対策が必要だと思います。
1 入国前と入国後毎日のPCR検査を義務付ける
まずは「これ以上ウィルスを入れない」ことが大切。特に海外からの渡航者は、未知の「変異株」を持っている可能性もありますから。
そこで必要なのが「PCR検査」の徹底です。
「入国14日前、7日前、3日前、飛行機に乗る当日」のPCR検査を義務付けて、それですべて陰性だった人しか入国させない。こうすれば「日本入国後陽性になる人」の入国も、ほぼ防げるはずです。
また「入国後毎日のPCR検査」も念のため義務付けるべきです。
これらは選手と選手団スタッフたち、IOC関係者、スポンサー関係者、報道関係者などすべての入国者が対象です。
2 ワクチン接種者のみ入国可とする
これは説明不要でしょう。
3 入国後から帰国後まで強制的に選手村かホテルの部屋で隔離
「ロックダウン(地域封鎖)」に関しては賛成派や反対派がいますが、「海外からウィルスを持ち込まない」ということに関しては、「徹底した検疫と隔離」が有効であることに異論をはさむ人はいないでしょう。
感染拡大を抑えられているオーストラリアやニュージーランドは早くから、徹底して「入国者強制隔離対策」を取ってきました(逆に言うと、日本は「変異株」が出た段階でもかなりザルでした)。
具体的には入国者は
・日本滞在中、ホテルまたは選手村の「部屋」に強制隔離
・部屋から出られるのは、「ドア前に置かれた食事(ルームサービス)の受け取り」「ドア前へのクリーリングやゴミ出し」「あらかじめ決められた練習時間」「試合のとき」のみ
・各フロアに違反者を確保できる装備を持った警察官を配備し監視(個人的にはスタンガンや手錠なども必要だと思っています)
・違反者は禁固刑や罰金刑&国外追放(たとえ試合前の選手であっても)
が必要だと感じています。
厳しいと思われるかもしれません。ただ繰り返しになりますが感染拡大防止成功国ではどこもこのような「強制隔離措置」を取っています。
以下、私が「プレジデントウーマンオンライン」に書いた参考記事です。
「変異株が持ち込まれても当たり前」海外の入国隔離体験者が日本のザル対策に抱く危機感
https://president.jp/articles/-/43251
オリンピックでは毎回何十万個というコンドームが選手村で無料配布されるそうですが、今回は残念ながらそのような心と体の交流は避けてもらわないといけません。
いずれにせよ、単に「開催する」ではなく、「このような措置を取って開催するので準備をするください」とそろそろ伝えないと選手たちも関係者も困りますよね。もう3ヵ月を切っているのですから。
ほかにも「無観客にするのか」「ボランティアの検疫はどうするのか(個人的には選手などと直接対応する人は、一部の通訳者などを除き、防疫の知識がある自衛隊員飲みにしたほうがいい気がします)」など、考えることは他にもあれこれあると思いますが。
以上、「日本の医療崩壊を防ぎながら、東京五輪を開催するのに必要な措置」でした。最後にもう一度繰り返しますが、私は開催には反対です。今の日本は「平和の祭典」という余興をしている状況ではないと思います。
(文 柳沢有紀夫)