「トリック・オア・トリート」ってどう思いますか? そもそも妙な英語だと思いません?
こんにちは。海外書き人クラブ所属、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
あっ、もちろんこの画像は私ではありません。前回に引き続き、以前取材したゴールドコーストの「ドラキュラズ(Dracula’s)」というエンターテイメントレストランのみなさんに友情出演してもらいました。
内容も前回の【海外12ヵ国の「ハロウィン事情」。驚きの結果!】の続きです。
スポンサーリンク
「Trick or Treat!」(トリック・オア・トリート)の合言葉で繰り広げられるリトルお化けたちの集団家庭訪問。それが世界各国ではどれくらい行われているのかを、「世界のことなら。」をキャッチフレーズとする海外書き人クラブが調べてみました。
参加してくれたのは以下の国と地域の人たちです。
アメリカ合衆国・シアトル/アメリカ合衆国・グアム/グアテマラ(中米)/ブラジル(南米)/アイルランド(ヨーロッパ)/イギリス(ヨーロッパ)/スウェーデン(ヨーロッパ)/ルーマニア(ヨーロッパ)/香港(アジア)/台湾(アジア)/フィリピン(アジア)/オーストラリア(オセアニア)
12ヵ国から情報が集まりました。
ただその前に……。
そもそも「Trick or Treat!」って何?
お化けや骸骨などに扮装した子どもたちが近所の家を訪ねて「Trick or Treat!」と叫んでお菓子をもらう。映画『E.T.』でもハロウィンの夜、E.T.にシーツをかぶせてお化けの仮装のフリをして、大人に見つからないように移動させるというシーンがありました。
これが私たちの「正統的ハロウィン」のイメージではないでしょうか。
この「トリック・オア・トリート!」。日本語では「お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうぞ」みたいに訳されます。
でもこのフレーズ、じつは変なんです!
というのは「Trick」は「いたずらする」、「Treat」は「もてなしする/歓待する」(つまりお菓子をあげること)。で、省略しない文にするとは「Trick me or I will treat you!」。
これを日本語に訳すと「私にいたずらしなさい。さもないともてなすよ!」
……痴女? イメージ的には「痴女タイプの乙姫様」って感じですね。それはそれで会ってみたい気はしますが。
もちろんアメリカ人がみんな痴女またはM男というわけでなく、本来は「Treat me or I will trick you!」という順番なはずです。
もともとは「Trick」と「Treat」の位置が逆なんです。
でも「Treat or Trick!」よりも「Trick or Treat!」のほうが言いやすいということで、今の形に定着したようです。
「Trick or Treat!」は各国で行われる?
素朴な疑問なのですが、知り合いでもない近所の家に行くって、現代社会ではハードル高くない?
来られるほうも嫌じゃない?
飛び込みが得意な熱血営業マンとか、根っからのパーティーピープルじゃない私のようなシャイな人間にとっては、出かけるのは勇気がいることです。
あと押し売り系電話をうまく断れない私のような気弱な人間にとっては、原稿の締め切りの日にお化けたちにかわるがわる来られたら、もう地獄です。
そこで世界で実際にどれだけ「Trick or Treat!」が行われているのか、各国のライターに聞いてみました。
まずは平気で知り合いではない家を訪問する国々です。
「近所で、明かりがついていればすべてのドアをノックする」(アイルランド)
「タウンハウス(集合住宅)に住んでいるが、外部から親に連れられた大挙してやってくる。親からしてみれば、敷地内は交通量が少なく安全で、一度に何軒もの家でお菓子がもらえるグッドロケーションなんだと思う」(アメリカ・グアム)
さすがは本場アメリカと元祖アイルランド(【海外12ヵ国の「ハロウィン事情」。驚きの結果!】参照)! みんなが「知らない家も平気で訪問」……かと思いきや。
同じアメリカでも、
「マンション住まいだけど、マンション内の子が来ることもない」(シアトル)
という地域もあります。
これは隣近所との「地域コミュニティー」が薄れて、学校や習い事などが同じ人たちとの「人的つながりコミュニティー」を重視する傾向が世界的に強まっているからなんじゃないかと思います。
……たまには真面目な分析もします。
一部の家だけを訪問するという国々もあります。
「親同士があらかじめ相談して、訪問する家が決まっている」(イギリス)
「マンション内をめぐる。一軒家エリアでもハロウィンの飾りつけをしている家だけ行く」(香港)
飾りつけは「Trick or Treat!オーケー」「Trick or Treat!ウェルカム」、今風にいうと「Trick or Treat!フレンドリー」っていうサインってことですね。
あと、ちょっとおもしろかったのが、ハロウィン以外のときに家々を訪問する国々。
「イースターでは近所をまわってお菓子をもらうけどハロウィンではしない」(スウェーデン)
「クリスマスではするけどハロウィンではしない(ただしお菓子ではなく現金を渡す)」(フィリピン)
フィリピンは「ご近所さんからお年玉をもらう」状態ですね。うらやましい。
「Trick or Treat!」撃退法はあるのか?
香港の話にあった「Trick or Treat!フレンドリー」な家だけを訪問するということ、裏を返せば「Trick or Treat!フレンドリー」じゃない家もあるということ。
「なんで見ず知らずの子にお菓子をあげないといけないのか」
「なんでプライベートの時間を邪魔されなきゃいけないんだ」
そんな人たちはTrick or Treat攻撃をどう避けているのか、聞いてみました。
「避けたい人たちは電気を消して外出する」(アイルランド)
「旅行に出かける」(香港)
つまり「とにかく逃げる」パターンが多いみたいですね。
だけど「トリック・オア・トリートが来るのは嫌だけど、外出も旅行もしたくない」という人もいるはず。というか自宅で静かな時間を過ごすことを選ぶ権利もあるはずです。
なんてことを考えていたら、オーストラリアのわが家の郵便受けにすごいものが入っていました!
ウソです。もっと穏便なものです。
ジョークの2連発、すみません。すみません。
実際に入っていたのは……これです!
ひっくり返すと、これですよ、これっ!
……あっ、興奮されてもなんだかわからない?
では全貌……ってほどのものではないですけど、お見せしましょう。
まだわかりにくいでしょうか? では実際に使われている姿をお見せしましょう。
そうなんです。ホテルなんかのドアノブにひっかける「掃除してください(Please make up room.)」「起こさないでください(Please do not disturb.)」の札を応用したものです。
じつはこれ、Placeという不動産屋さんが配ったチラシなんです。札の下部にあるPの文字を丸で囲んだのがロゴです。
結構いいアイディアで、来年あたりカンヌライオンズ(旧名・カンヌ国際広告賞)をとるかも?
こういうのがあると、「トリック・オア・トリート」を楽しみたい人もそうでない人も、どちらも快適にその日を過ごせますよね。
じつは私、個人的には「トリック・オア・トリート」って大嫌いです。
いや、仮装はいいですよ。お菓子あげるのもやぶさかじゃないですよ。
けど「お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうぞ」って、どういう言い草なんだよって思いません?
子どものころからそんなこと言わせていると、将来「ひれ伏さなきゃ、爆撃するぞ!(Bow or bomb!)」みたいな発想になっちゃうと思うのです。
喝ーっ!
「おいおい、子ども相手に何、目くじら立ててるんだよ!」と言われそうですが、子どもにイチャモンつけてるわけではないんです。子どもに平気でそういうことを言わせているアメリカの親たち、大人たちに注意を促しているわけですよ。
あんまり言って、海外書き人クラブが「アメリカ出禁」になったら困るのでこのくらいでやめておきますが。
なお、これはあくまでも柳沢有紀夫個人の意見であり、海外書き人クラブの総意ではありません。もちろん。
※ちなみにここに記してきたことは個人たちが実際に体験したことです。同じ国や都市でも地域によって当然様子が違う可能性があることはご理解ください。
今回のまとめ
- 「Trick or treat!」は「Treat me or I will trick you!」から変化したもの。
- 「Trick or treat!」の家庭訪問が行われている国はあまりない。
- 「Trick or treat!」に来られるのが嫌な人は、「逃げる」のが現状。
今回協力してくれた海外書き人クラブの仲間たちは、下記のとおりです(敬称略)。
- アメリカ合衆国・シアトル Misako
- アメリカ合衆国・グアム 陣内真佐子
- グアテマラ 草野あずき
- ブラジル マンゲイラ靖子
- アイルランド 織田村恭子
- イギリス ボッティング大田 朋子
- スウェーデン 中妻美奈子
- ルーマニア 石川トモヒサ
- 香港(アジア) りんみゆき
- 台湾 Ishii Mikiko
- フィリピン Okada M.A.
- オーストラリア 柳沢有紀夫
【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
スポンサーリンク
スポンサーリンク
コメント