「世界最果ての地」は奇跡のパラダイスだった!

初めまして。海外書き人クラブ会員の中村裕子です。仏領ポリネシアのボラボラ島に住んでいます。

今回、「世界最果ての地」と言われるマルケサス諸島の一つウアポウ島に行ってきました。

ん? 「世界最果ての地」? そう呼ばれるワケは?

ウアポウ島は仏領ポリネシアの首都があるタヒチ島から約1,370km北東にあるマルケサス諸島の一つです。マルケサス諸島と聞くとゴーギャンが晩年を過ごした地としてご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

タヒチといえばビーチリゾートのイメージですが、ここは切り立った山や深い渓谷、断崖の海岸線が続く野性味あふれる島々で、熱帯の割に乾燥し、海には珊瑚礁もありません。

さて、そろそろこのマルケサス諸島が「世界最果ての地」と呼ばれるワケをお知らせしましょう。

それはここが「世界のどの大陸からも最も遠い場所にあるから」です!

ちなみに仏領ポリネシアの首都があるタヒチからも1,370km離れていることもあり、30分の時差があります。

 

「神の家の屋根」と呼ばれる島へ

今回訪れたマルケサス諸島の一つウアポウ島は、地元の人たちから「神の家の門柱」と呼ばれています。それはその独特の形からです。

タヒチ島からウアポウ島へ行くには、まず国内線の飛行機で3時間半、まずマルケサス諸島中心の島ヌクヒバ島に向かいます。ヌクヒバ島は118あるポリネシアの島々の中でタヒチ島についで2番目に大きな島です。

このヌクヒバ島、高い山々が連なっているので、名前の意味は「神の家の屋根」だそうです。まず「神の家の屋根」に着陸して、それから「門」に行くわけですね。

そしてウアポウ島へはヌクヒバ島からヘリコプターか船になります。今回、行きはヘリ、帰りは船(ほぼ漁船)を使いました。

ヌクヒバ島

ヌクヒバ島のヘリポートのあるタイオハエという村は空港とは島の反対側にあり、車で約1時間、大きな入江に面しています。村はずれにあるヘリポートに行き、パイロットの簡単な説明を聞いていざ離陸。たくさんのヨットが浮かぶ青い湾を後にして海の上を飛ぶこと約15分、「神の家の門柱」、ウアポウが見えてきました!

 

そしていよいよ「神の家の門柱」へ

ところが、むむ、島の上が雲で覆われていて肝心の「柱」らしきものが見えない……。しかし海側は晴れていて、紺碧の海と海岸線の奥に広がる乾燥した茶色い土地のコントラストが美しい。綺麗なビーチも見えます。

うねうねと伸びる一本の道が人の存在を感じさせますが、それがなければ翼竜でも飛んできそうな原始の雰囲気です。

上半分が雲で隠れていましたが、パイロットが少し大回りして、一番大きな「柱」のそばを飛んでいってくれたので、その胴体部を大迫力で見ることができました。

ウアポウ島

「神の家の門柱」の正体、それは島の中央部に聳える巨大な岩山です。島全体はなだらかな山が広がっているのですが、その中央部にたけのこがニョキニョキっと生えてきたかのように、玄武岩の岩山が4本突き立っているのです。最も高くて大きいのがマルケサス最高峰オアヴ山で標高1,230m。で、その周りにも3つの岩山がニョキ! なるほど、これは「柱」だ。

 

年に数回の奇跡

ところでウアポウ島の空港の滑走路は山なりに大きく歪んでいます。かつては飛行機が来ていたのですが、この滑走路が危なすぎるというので、今はヘリだけになったとのこと。一体どういう設計……?

ウアポウ島は綺麗なダイヤ形をしているのですが、空港と港がある島中心の村ハカハウ村は島の北側にあります。村へは空港からペンションの迎えの車で約15分、絵に描いたようなジグザグ道を下りていきます。

ウアポウ島

空港付近の乾燥した土地と違って緑深い谷に村があります。

今回泊まった宿からは柱群が一望できる最高の立地にあるのですが、残念ながら短い滞在では全貌を拝むことは叶いませんでした。

じつは山の上が完全に晴れ渡ることは年に数日しかないそうです。すべて見えることの方が奇跡とは、まさに「神の家の門柱」!

それでも夕刻、オレンジ色に輝く雲の切れ目から少しだけ見える山の姿のなんと幻想的だったことか。

ウアポウ島

 

「門柱」そばへのハイキング

翌日この岩山の近くまで行ける半日ほどの簡単なハイキングツアーに参加しました。同じグループになったベルギー人の親子はウアポウ島が気に入ってなんともう5回目という常連さんでした。

行きはパンダナスの木が生い茂る上り道。何本ものまっすぐな支柱根が特徴的です。パンダナスの葉はタヒチの伝統的な家の屋根や壁、今では高級リゾートのバンガローの屋根にも使われる素材で、ココナッツの葉よりも丈夫で長持ちするそうです。

コースの一番高いところに来ると、すべての柱が一望できる……はずですが、その日も雲がかかっていて半分くらいしか見えません。でも緑の山からすっとそそり立つ岩山の胴体部分だけで奇岩感満載で、すぐ目の前にも小さな岩柱もすごい迫力です。麓には村がある谷が、後ろを振り返れば南太平洋が一望できます。

最高の景色を前にガイドさんが出してくれた干しバナナが最高に美味しかったです。

ウアポウ島

山の反対側に向かって降りて行く途中、空が晴れてきて、岩柱が頂まで姿を見せ始めました。が、一番高いオアブ山はずっと隠れたままです。……残念。さらに下ると小さな滝があり、その滝壺で水浴びを楽しむこともできました。

 

「チョコ男」に遭遇!

ところで、ウアポウ島には「チョコ男」と呼ばれる人がいます。島で採れるカカオと他の原料を使ったチョコを手作りしているそうです。心惹かれるではありませんか。予定の道から少し外れたところにそのチョコ男の自宅兼工房があるというので、ガイドさんにお願いして連れて行ってもらいました。

チョコ男はドイツ人のおじいさんで、マルケサス人の奥さんとジャングルを切り開き、家を建て、花を植え庭を作り、現在の素敵なすみかを作ったそうです。

ウアポウ島の「チョコ男」

世捨て人のような人を予想していましたが、とても陽気で、時々訪ねてくる客との会話が楽しくて仕方がないらしく、話が止まりません。かつて空手を習っていたとかで、日本人だというだけでとても喜んでくれました。

ようやく工房に案内してもらい、手作りのチョコを試食。庭でとれたナッツやパッションフルーツを使ったチョコレートは素朴な味わい。ここでしか食べられないとなるとより美味しく感じるものです。

翌日の早朝、行きのヘリコプターとは違い、今度は船でヌクヒバ島へ帰還(船酔い注意!)。今回は滞在がとても短く村の散策すらできなかったので、次回はもっとゆっくり時間をとってこの神秘的で異形の島を楽しみ尽くしたいものです。

「神の家の門柱」もまだすべて拝めていませんしね。

(文・写真 中村裕子)

海外書き人クラブにお任せください!

「海外書き人クラブ」は2000年に設立された海外在住日本人ライター・カメラマン・コーディネーター・翻訳者の集団です。2020年現在100ヵ国300名以上の会員が在籍中。日本国内のライターやカメラマンの手配も可能です。

【新聞社・出版社】では、朝日新聞社様・時事通信社・KADOKAWA様・小学館様・集英社様など

【広告会社・マーケティング会社】では、博報堂様・電通パブリックリレーションズ様・ぐるなび様など

業界の最大手や有名企業の皆様とも直接取引。経験と実績があります。

また新規会員も随時募集しています(入会金・年会費無料)。

海外情報をお求めの方、ぜひこちらをご覧ください。

海外書き人クラブの詳細はこちら!

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*