「アウトドアの聖地」とも言われるユタ州。世界的に有名なアーチーズ国立公園など、「マイティ5」と呼ばれる5つの国立公園があります。
でも今回紹介するのは州都のソルトレイクシティから日帰りのロードトリップでも行ける歴史的な穴場の街「マウントプレザント」。海外書き人クラブ新会員、ユタ州在住ライターのトロリオ牧がお伝えします。
「マウントプレザント」は夫婦でRV(キャンピングトレーラー)にオフロード車をのせてロードトリップするのが大好きな私のお気に入りの街。
私たち夫婦にとっては隠れ家的な場所なので、本当はあまり教えたくないのですが……(笑)。みなさんへは特別にこっそり(?)教えちゃいますね。この記事を見つけたみなさんは超ラッキーですよー!
居心地のいいカフェでのくつろぎの時間
マウントプレザントはユタ州の州都ソルトレイクシティから、車で南へ約2時間。私の出身地沖縄で、もし「片道2時間のドライブに行こうか?」って誘われたら、「長すぎるから嫌だー!」っと思わず即答しそうですが、アメリカの2時間は短いほうに入ります。
「隣の州のアイダホのレストランまで、週末は朝ごはんを食べに行ってきたよ!」なんて話もよく聞くほどです。
上の2枚の写真は、街の観光案内所にもなってるコーヒーショップの外観と店内です。レトロな建物がいっぱいのステキな街ですよ!
こんな空間で可愛いマグカップに注がれたコーヒーといっしょに、甘いバナナクレープを食べながら、旅の地図を眺める時間って最高だと思いませんか?
この日は平日の夕方前だったこともあり、人通りが少ない街がさらにシーンっと静まり返ってました。子供の頃から大好きだった洋画に出てきそうな、レトロな雰囲気がたまりません。
この後夫婦で向かった先は酒屋さん。ユタ州はお酒の規則が他州に比べると厳しいので、スーパーではビールしか売っていません。ワインやウイスキーなどのハードリカー(アルコール度が高いお酒)は、州が運営している酒屋さんへ行かないと買えないんです。
ディナーといっしょに赤ワインを! とふと料理中に思ったとしても、近くのコンビニやスーパーでお酒が買えないユタ州。どうにかしてくれーっと、叫びたくなることも(笑)
ポジティブに捉えれば、お酒の好きな私の飲みすぎが防げる(かな?)。
残念ながら酒屋さんの店内の写真はありませんが、腕にたくさんの入れ墨がはいった一見怖そうな酒屋のおばちゃんが、無表情でジョークを連発していました。ついつい見た目で人を判断してしまった先に、えっと驚く旅先でのステキな出会い。
可愛い子には旅をさせろ!という言葉が、大人になって色々な意味で心に響きます。
上の写真はこの街の博物館です。オフロード車で街を走りながら、マウントプレザントの歴史的建造物を楽しみました。もちろん普通乗用車でロードトリップ中に立ち寄る場合も、路上駐車のスペースが十分あるので、ぜひ車から降りてお散歩したり博物館へ寄ったりしながら、ユタ州の田舎街を5感で味わうことをおすすめします。
田舎道で絶品ストリートタコスはいかが?
街のメインストリートをお散歩中、もし小腹が空いたらぜひ立ち寄って欲しいのがここ! ストリートタコスのお店です。
接客担当の若い男の子は英語がペラペラ、そしてフードトラックの店内ではお母さんらしき女性と娘らしき若い女の子がスペイン語で会話をしていました。あがっている店の旗もスペイン語。
実はここ、以前は街のどこに出没するか分からない、移動式のフードトラックのお店でした。チェーンレストランが好きではない私たち夫婦は、旅先で穴場のレストランに出会うと、まるで宝物をみつけた子供のように嬉しくなります。
そんな子供のような夫婦がおすすめする、絶品ストリートタコスを食べてみたくなりませんか?
数年前に初めて食べたときから大ファンになったこのお店。今では道路沿いではなく、ちゃんと駐車場も完備されて、火傷するようなユタ州の暑さから身を守ってくれる屋根付きの飲食スペースまでありました。
トラックの中で忙しそうに動く家族(多分……)を眺めながら、成長したんだなぁ~っと、子供を見守る親のような気持ちになった夫婦でしたよ(笑)
ただ……ごめんなさい、お店の名前が分からないんです。でもネット検索しても出てこない穴場なんでって言ったら、もっとワクワクしませんか?
小さな街なのでメインストリートを走っていたらすぐ見つかります。ぜひ機会があれば立ち寄ってみて下さいね。冷たいビールと相性がバッチリですよ。もちろん運転手はジュースかお水でお願いします。
ちなみに、人混みを避けて木陰でのんびり食べたい方には、この公園がおすすめです!メインストリートのすぐ裏手にあって、大きな駐車場もあります。
念のため付け加えておく事がひとつ。写真は撮っていませんが、裏手は大きな墓地です。夜来るのはおすすめしません。
一泊するならキャンプ場や宿泊施設もおすすめ
今回私たち夫婦はキャンプ場を利用しましたが、マウントプレザントにはキャビンやAirbnb(バケーションレンタル施設)もあります。
余談ですがアーチーズ国立公園で有名なモアブ市も10年くらい前まではマウントプレザントのような静かな街でした。
リゾート化が進むユタ州に点在する小さな街は、ここ数年の間にいっきに都市開発が進み、今では世界中から観光客が押し寄せて人と車であふれかえっています。
その中でマウントプレザントは、今なお静かな田舎街を体験できる場所です。
キャンピングカーではなく、普通乗用車でのロードトリップなら、この記事の上で書いたコーヒーショップと隣接して、列車の車両を利用したユニークな宿泊施設もあるので、興味のある方はぜひサイトをチェックしてみて下さいね!
サイトの写真を見るだけでも、旅行気分になれてワクワクしますよ! 私は思い切りしました(笑)
地元の人たちにとっては、世界中から旅行者が訪れることで経済が潤うので、良いことももちろんありますが、キャンプ場が次々と取り壊されて、ホテルや高級リゾート住宅がどんどん建てられていく様子をみると、正直寂しい気持ちもあります。
地元のオフロード愛好者が作りあげたといっても過言ではない、ユタ州の小さな街の観光業のあり方が変わってきてるのも事実です。
人の数だけ真実があるので、これを良いと捉えるか悪いと捉えるかも意見が分かれるところですが……。
キャンプ場で野生の鹿たちが遊びにくる光景も、少しずつ減って行くのかもしれません。この話はまた次回にでも……。
最後に、記事の冒頭で書いたマイティ5とは、アーチーズ国立公園、ブライスキャニオン国立公園、キャニオンランズ国立公園、キャピトルリーフ国立公園、ザイオン国立公園の5つです。
マイティとは英語で、「すばらしい」とか「力強い」という意味があります。まさにユタ州の壮大な大自然を目の前にすると力強さを感じずにはいられません。
大きな国立公園であれ、マウントプレザントのような小さな街であれ、どれが1番とは決められない、それぞれの良さが光る大自然の宝庫・ユタ州。
機会があればぜひ、ロードトリップ計画の中に、マウントプレザントの街を取り入れてみてくださいね。普通の観光地では味わえない、癒しのアメリカを感じられること間違いなしです!
(文・写真 トロリオ牧)