いよいよ、バレンタインデー!
……と当日まではソワソワしてたのに、結局は「いつもの一日」で終わってしまう年がガキンチョのころから続いた海外書き人クラブお世話係、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
さて今回は世界6ヵ国のバレンタイン事情について、海外書き人クラブのメンバーが生情報を集めてくれました。そして判明しました。私のような「今年もチョコはゼロ」と悲嘆に暮れる男が生まれるのは、日本だけだということが!
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アメリカ
アメリカでは女子から男子に告白する日というよりは、男子が女子をエスコートしてカップルが愛を確かめ合う日。この日、花屋は大忙しで、たくさんの男性が女性に贈るための花束を買っていきます。なかでも、真っ赤なバラの花束はプレゼントの定番。昨年のバレンタインデー当日、筆者が旅先のホテルでエレベーターに乗ったところ、止まる階ごとにバラの花束を抱えたカップルが乗って来て、何とも微笑ましい光景でした(笑)。
花束以外には、日本のようにチョコレートもアリで、この季節にはハート形の箱に入った限定品が、店頭にずらりと並びます。ハートモチーフのジュエリーや雑貨なども人気。赤やピンク、ゴールドといったお約束カラーのディスプレイで気分が華やぎます。また、プレゼントの代わりにカップルでレストランでのロマンチックな食事を楽しむのも一般的です。そのため、バレンタインデーには各レストランでバレンタイン向け特別ディナーが提供されます。
幼稚園や小学校に通う子どもたちはクラスのアクティビティーでバレンタインカードを作って親に渡すのが恒例。また、クラスメート全員分のカードを持参して、みんなで交換します。カードは手作りでも良いですが、スーパーマーケットやドラッグストアなどで、キャラクターの絵柄が付いたカード、もしくはお菓子や文房具、シールなどおまけ重視のばら撒き用セットも売られています。
ちなみに、大人も子どももギフトやカード交換はバレンタインデーに済ませてしまうため、日本のホワイトデーは存在せず、お返し義務もありません。
(ハントシンガー典子)
ねっ? アメリカではチョコをもらえなくても、恥じ入ることはないんです! ……いや、でもやっぱり「カップルの日」なのか……。
オーストリア
オーストリアでは年が明けた頃からお店やカフェのショーウィンドーにバレンタイン商品が並び始めます。様々なお店で様々なバレンタイングッズが売られていますが、特に目にするのはチョコレート。ウィーンのカフェではそれぞれショーウィンドーがある所が多いのですが、どのカフェも華やか、そしてロマンティックなバレンタイン商品が並んでいます。
老舗カフェ「デーメル」は特に要チェック! 職人たちが手作業で作成したバレンタイン商品が数多く並び、それらはもう単なるスイーツではなく芸術作品!
食べ物以外に王道のプレゼントはやっぱり薔薇の花。
オーストリアではバレンタインは男性から女性に愛の気持ちを伝える日。恋人だけではなく、夫婦でも改めて愛の気持ちを伝えます。仕事が終わる夕方になると花束を求めて花屋さんに男性の行列が出来るほど。初めて見た時は驚きましたが、何年経っても素敵な花を持って来てくれたら、嬉しくない女性はいないでしょう。
その他に人気なのはコスメのセットやランジェリー、ジュエリーなどです。どのお店のショーウィンドーにも赤い薔薇の花で飾られ、たくさんのハートが飛んでいます。
またプレゼント以外に、キャンドルライトディナーへ出かけたり、コンサートに行ったり……と素敵なひと時を過ごすのも定番。レストランなどではバレンタインの特別メニューなども用意されています。子供がいる夫婦でも祖父母やベビーシッターに預け、子供なしで素敵な夜を楽しみます。
(バレンタ愛)
……そっかあ。「男から女性にチョコをあげる日」なんですね。もらうことばかり期待して、あげる気持ちが欠けていたのかもと反省。いや、もっと根本的なところに問題があったのかもしれませんが……。
グアテマラ
グアテマラではバレンタインデーはディア・デ・カリーニョ(Día de Cariño)と呼ばれています。バレンタインデー(Día de San Valentín)や恋人の日(Día de los enamorados)と呼ぶこともあるのですが、カリーニョは恋人はもちろん、家族、友人、職場の同僚からペットまで、ありとあらゆる人や動物に親愛の情を示すことのできる便利な言葉で、当然、この日はありとあらゆる人たちが愛情を示し合う日となっています。
学校でもこの日を祝う行事があったりします。息子がいた学校では全校集会から始まって、その後はクラスで一緒に軽食とプレゼント交換。プレゼントは金額が指定されていたのでチョコレートのような小さなものを持っていくことが多かったです。一般に、クリスマスよりは気の張らないプレゼントが多いようですが、もちろんプレゼントなしで家族で一緒にレストランで食事をしたり、職場の同僚とハグしたりとか、祝い方も様々です。
当然のごとく店先にはところ狭しとばかりにプレゼントグッズが並びます。代表的なものはやはりチョコレートなのですが、それ以外にもこんなものが。
お祝いごとに欠かせないのがこの風船。でもTe Amo(愛してる)とか書かれているものが多いところを見ると、これを使って愛の告白を……という人もいるのではないでしょうか。小さな可愛いぬいぐるみがついているのも可愛い。
こちらは男性へのプレゼント用のバリカンやシェイバー。ワインとかラム酒と言ったアルコール飲料もあり、恋人や夫婦間でのプレゼントならこういうものも良さそうです。上に並んでいる風船は男性へ贈る用なのでしょうね。
近年、何かお祝いごとのある日に店頭に並ぶのがこの等身大ぬいぐるみ。すみません、個人的に欲しいので写真に撮ってみました。プレゼントしてくれる人募集中。
(草野あずき)
そしてアジアの国々では……。
フィリピン
フィリピンのバレンタイン・デーは基本的には男性から女性への愛の告白と赤いバラやチョコレート、ぬいぐるみなどのブレゼントといったオーソドックスなものですが、この日一番ユニークなイベントは、各公立小学校・高校(フィリピンに中学はない)主催の「バレンタイン・スクール=キング&クイーン・コンテスト」があることでしょう。平たくいうと学校主催の美人/美男コンテストが開かれるということで、日本の教育関係者・PTAの方々が聞いたら唖然とされるかも知れません。
しかしもっとビックリされるだろう事は、この優勝者には専用のブースが用意されて、学校への寄付金として幾らか払えば、優勝者と写真撮影ができる、握手ができる、ダンスができる! さらになんと! ホッぺに軽くチュー!までもできるということでしょう。
私の友人のRさんは、ルソン島のバタンガス市にある高校のバレンタイン・キングになった時は、キッスのリクエストが多く、随分稼いで(一回50ペソ=約100円)学校に貢献したもんだ、と自慢していました……。つまり、校内のマガンダ(美人)やポギー(美男)をネタに、年間行事とバザーを一気にやっているような感覚なんでしょうか?
しかしこれ、一見節度のないイベントのようで、ダンスやキッスの時はフォーマルで非常に節度が保たれている、という不思議なフィリピンのバランス感覚もあるのでした。
また、成長してからもこのいい思い出や憧れがあるためか、バレンタインが近づくと街では一斉に以下の写真の様な「真っ赤なドレス」が売り出され、デートや各パーティで女性達が楽しげに着飾ります。中には妖しげな意図が感じられるものもあったりして……。
(Okada M.A.)
香港
香港ではバレンタインデーは男性が女性に尽くす日です。
エネルギッシュな香港では女子パワーが圧倒的に強く、バレンタインの日にオフィスに大きな花束を届けてくれない彼氏はすぐに別れを告げられます。
当日の花束の値段は通常の倍するところもありますが、彼女をキープしておきたかったらそんなことを言っている場合ではありません。同僚への自慢にもなるので、花束は大きくて高価な花であればなおさらよし。
ホテルレストランやお洒落なレストランではバレンタイン特別コースメニューが用意され、もちろんその手配から支払いまで全部男性がします。
2月14日、香港の街中では彼女に贈った花束と彼女のカバンを持ってあげている男性の姿を多く目にします。
(りんみゆき)
ひえーっ。香港の男は大変ですね~。
これを読んで、若かりしころの自分にひとこと言ってやりたくなりました。「チョコをもらえなかったくらいでウジウジするなっ!」
オーストラリア
最後は私が住むオーストラリア。人々は認識していることはしています。バレンタインデーの当日にはこんな新聞広告が出たりもします。
でもクリスマスやイースターのような事前のセールなどはなく、ほとんど「当日」か、せいぜい前日だけ。今年の直前の土日の新聞でも、バレンタインデーがらみの広告は一つずつしか見つけることができませんでした。
ショッピングセンターも一か所だけこんな感じでしたが、あとは全然セール感なし。
というわけでオーストラリアのバレンタインデーは「非モテ男フレンドリー」なんですね。ああ、よかった、この国に来て。
そして若かりしころの自分にひとこと。「だいじょうぶ、気にするな。世界に目を向ければチョコなんかもらえない男が大半なんだぞ」
以上、世界のバレンタインデーでした。
【構成:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(国によって事情は様々。変なものが高かったり安かったり。そんなお値段からお国柄を紐解いた本の告知が一番下にあります。ぜひご覧ください)
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