ヴェネツィア(ベネチア。英語ではヴェニスまたはベニス)。訪れたことはなくても、「水の都」や「ゴンドラ」、「映画祭」など、誰もが一度は聞いたことのある有名な観光地ですよね。
お恥ずかしながらヴェネツィアについて特に下調べもなく、3ヵ月前に意気揚々とやって来た筆者でしたが、ヴェネツィアってこんな所だったのか!と驚くことがたくさんあったのです……。
こんにちは。海外書き人クラブ新人会員、イタリア在住のmarukoです。
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今回は私のように「なんとなく知ってる~」という方から「ヴェネツィアって何? 美味しいの?」という方まで、ヴェネツィア初心者ならではの視点から住んでみて驚いた5つのコトをご紹介します。
1 世界遺産ヴェネツィアは118もの「島々」からなる歴史深き街!
ヴェネツィアはイタリア北部のヴェネト州に属する都市で、5世紀にアドリア海のラグーナ(干潟)の上に杭を打ち込み、その上に建物が建てられ成り立った街です。
なんとこの街は118もの小島の集合体で、島と島との間には無数の運河が流れ、橋で繋がっています。
ドゥカーレ宮殿やサン・マルコ寺院など歴史的な建造物も多く、1987年にヴェネツィアの街全体と潟(かた)が世界遺産に登録されました。
中世の時代にはヴェネツィア共和国として貿易により財力を成し、アドリア海周辺の国々を支配した最強海軍国家だったのです! 1000年もの繁栄を続けたヴェネツィア共和国でしたが、ナポレオンの進出によってその栄光の時代に幕を下ろします。
こうした繁栄をもたらしたのは、海を自由に行き来する海運技術が優れていたからこそ。
さすが「水の都」、海を味方に栄えた街だったのです。
2 運河の街、生活の要はなんといっても船!
ヴェネツィアの街中は車や自転車での走行は禁止のため、島の玄関口であるローマ広場周辺までしか乗り入れが出来ません。そのため公共交通機関運営会社のACTVが運航する「ヴァポレット」と呼ばれる水上バスを利用し、島々を移動します。
もちろん観光に人気のゴンドラも街のあちこちで見かけることができます。
日常生活で必要となるタクシー、救急車、消防車、ゴミ収集車、霊柩車など車に代わるものはすべてが船!
運河にも道路と同じように速度制限や一方通行などの標識があちこちにあり、信号機はないものの、運河の角を曲がる際は口笛や大声を出して注意を呼びかけるという、地元ならではのルールもあるようです。
地元の若者は大人になるとマイカーならぬ、マイボートを買うことが夢なんだとか。
3 至るところで見かける“翼の生えたライオン”の正体
ヴェネツィアの街の中を歩くと至る所で目に付く“翼の生えたライオン”。サン・マルコ広場の円柱の上や、民家に掲げられたヴェネツィア共和国の国旗、石造など様々な姿で見ることができます。
このライオンの正体、実はヴェネツィアの守護聖人として信仰される聖マルコの象徴として「有翼の獅子」と呼ばれています。
この獅子の姿には何パターンかありますが、その中でもよく見かける姿のは獅子が前足で本を開いているもの。開いているページにはラテン語で、「聖マルコが受けた予言によって平和が保証されている」といった内容が記されているそうです。
ヴェネツィアのシンボルともいえる有翼の獅子を探しながら、街を散策するのも楽しいですよ。
4 古い建物を何百年も守る人々の愛!
ヴェネツィアは街自体が世界遺産となっており、中世の時代を彷彿させる古いレンガ造りの建物や赤瓦の街並みが魅力ですよね。その何百年も前に建てられた建物は、現在でも一般の人々の住居や施設として活用されています。
私の住む建物は築400年! 日本でいう戦国時代あたりに建てられたものですが、世代を超え大切に引き継がれ、今もなお人々が暮らしています。
さらにお向かいの建物はなんと築800年! 150年前くらいだと「新しいね」と言われるほど、築年数が数百年という建物だらけなのです。
世界遺産となっている街の景観を守るため、建物の修理にも許可が必要となり、家主でも勝手に手を加えることはできません。建物の内装は現代的に住みやすく改装されているものの、生活様式が当時からそれほど大きく変わってないからこそ、いまだに住み続けることができるのです。
潟の上に街を作った当時の人々の素晴らしい建築技術と、その街を何百年と守り続ける人々の愛が感じられます!
5 みんなが美味しそうに飲んでいる“赤いカクテル”
正午前や夕暮れ時のバール(立ち飲み屋)のテラス席を見ると、外の気持ちのいい風を受けながら地元の方から観光客まで、多くの人が美味しそうな“赤いカクテル”を手にしています。このカクテル、実はスプリッツ(Spritz)というもので、ヴェネト州発祥の食前酒なのです。
レシピは「プロセッコ」(イタリアのスパークリングワイン)、「カンパリやアペロールといった赤いリキュール」、それに「炭酸水」を1:1:1で割ったものに、飾りとしてオリーブの実やオレンジのスライスが入っていたりします。
地元の人は苦めにしたり甘めにしたりと、好みを伝えてオーダーをしているようです。シュワっとした爽快感とリキュールのほろ苦さがクセになる大人なカクテルで、添えられたオリーブの実をかじるとまた一味違ったアクセントにもなります。
スプリッツを片手に食事前のひと時を優雅に楽しむのが、ヴェネツィアンスタイルのようです。
いかがでしたでしょうか。知らずにやってきたヴェネツィアは思っていた以上に奥が深く、知れば知るほどに好きになる街でした。
その長い歴史や美しい景観だけでなく、街を愛する地元の人々も魅力のヴェネツィア。ぜひ一度は訪れてみてください。
(文・写真 maruko)
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