日本では2020年3月上旬、安倍首相から全国の小中高等学校に向けて休校の「要請」をすることが発表されました。
そのニュースを聞いて、私はすぐにあることが始まるのかと思っていましたが……1ヵ月経ってもなかなか発表がない。しかも授業再開はゴールデンウィーク明けだとか、もっとずれこむとは騒がれている。
というわけで今回は「web授業」について書いてみたいと思います。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫です。
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1 なぜ日本では「web授業」が始まらないのか
じつは世界国々では「web授業」の用意がされているとか、もう始まっているという話は海外書き人クラブの会員たちから受けとっています。
それなのに日本ではなぜ「web授業」が始まらないのか。IT系では世界に後れをとることが大好きだからでしょうか(笑)。
これは憶測でしかないのですが、おそらく「web授業を受けられる環境にない子もいるので」という理由なのだと思います。家にwifiとパソコンやタブレット、さらにはスマホがない子もいます。そういう子が授業を受けられないのは差別になる、と。
まあ確かにそこはわからないのではないですが、だからと言って勉強したいし、できる環境にある子の勉強する権利を奪っていいわけではないです。
というのは日本国憲法でも「教育を受ける権利」が保証されています。「教育を受けること」は「基本的人権」の一つなのです。
パソコンやスマホとアクセスできない子には、たとえば学校にあるパソコンを貸し出すとか、図書館の閲覧は禁止したままにしながらも「web授業」を受ける子のみ限定にパソコンルームを開放するとか……あれこれ考えましょうよ、役人のみなさまも。
市町村がタブレットをレンタルして、それを無償で貸し出すという案もありますよね。こんなご時世だから喜んで協力して、子どもたちの「教育を受ける権利」をサポートしてくれるパソコンメーカーもあるでしょう。そういうメーカーを私たち消費者もサポートしますし。
……パソコンメーカーのみなさん、いかがですか? (別のプレッシャーをかけているわけではありません)
もう一度言います。「教育を受ける権利」は日本国憲法で国が保証している「基本的人権」です!
よく「義務教育」と言いますが、あれは「保護する子女に普通教育を受けさせる義務」。つまり保護者の義務です。「勤労」「納税」とともに「国民の三大義務」の一つです。
現状でかなりは多くの保護者がこの「教育の義務」をおろそかにしてしまっているのです、国主導のもと。
2 「web授業」は誰がするか?
「web授業をするにしても、担任の先生の負担が増えて大変だろう」
「もしも担任の先生が病気になったらどうするんだ?」
そんな声も聞こえてきそうですが……いやいや、担任の先生が授業する必要はないのです。それは時間の無駄です。
話すのがすごくうまくて授業がわかりやすいある先生が、カメラの前に立って、ときには板書を撮影しながら「web授業」をして、全国の子がそれを見ればいいのです。
たとえば小学3年生の国語の授業が年間50時限だとしたら、各社の「教科書」に沿った授業を50回分撮っておけばいいのです。そしてそれらを好きな時間に視聴できるようしておけば。
そうすれば担任の先生が一人ひとり全教科の授業を録画する必要なんてなくなります。その空いた時間を担任の先生は、「児童・生徒からのメールでの質問への回答」などの個別対応に使えばいいのです。
これができるのは日本には立派な「教科書」があるからです。
と書くと「ああ、最貧国とかにはないところもありそうだね」という声が聞こえてきそうですが……じつは私が住むオーストラリアでも小学生向けのちゃんとした教科書はみたことがありません。授業の都度、プリントが配られて、それをノートに貼る。そうしたノートが「一人ひとりの教科書」になるのです。
その教育方法の是非を問うのがここでのテーマではありません。
今話しているのは「せっかく文部省の検定が通った教科書というものがあって、それを見ながらweb授業を受ける形にすることが可能なのだから、そうしましょう」ということです。
もちろん検定を通った各社の教科書ごとの「web授業」を用意する必要はありますが、そんなものにかかる費用は一学年につき100万人程度の児童・生徒の「教育を受ける権利」が保証されることに比べたら、まったくたいした額ではありません。
そのくらいの追加予算を文部省は取るべきです。もしも文部省ができないとしたら……教科書会社が自主的に用意すれば、その教科書を採択する自治体は増えるんじゃないですかね?
今回のコロナウイルスのような疫病の蔓延以外にも、地震その他の災害により、学校で授業ができないことはありますし、特に日本はそういう天変地異が起こりやすい国ですし。
そんなときで「web授業」で対応できる教科書。危機管理能力に優れた自治体の長なら、そういうものを採用したくなると思います。
3 「web授業」で不登校の子の「教育を受ける権利」も保証
天変地異以外にも、学校に行けない子がいます。「不登校」の子たちです。
文部科学省のデータによると平成30年度の不登校の児童・生徒の割合は、小学校で0.7パーセント、中学で3.65パーセント。しかも年々増え続けています。
別の言い方をすれば小学校で150人に一人以上ですから3~4クラスある学年に一人、小学校では30人に一人以上ですからクラスに一人いるという感じですね。
そして不登校はいつ「ウチの子」の身にふりかかってくるかわからない問題です。不登校の大きな原因の一つである「いじめ」も、ご存知のようにいつ被害者になるかわからないからです。
不登校の子を学校に行けるようにすることが、いつも正しい選択なのかはわかりません。「もう集団生活は苦痛だ」という子もいるでしょう。
でも一つ確かなのは「不登校の子も他の子と同様に教育を受ける権利はある」ということです。
そういう子のためにも「web授業」を用意しておくのは、大人たちの義務だと私は思います。
それから「不登校」ではなく、風邪やインフルエンザなどで1日から1週間程度休むこともありますよね。ケガや病気で数週間から数ヵ月入院することあります。
そんなときにも「web授業」があって、それを活用できるようになっていれば、登校できるようになってからも「授業についていけない」ということにはなりにくいと思います。
「web授業」を用意しておくのは「いいことづくめ」ではないでしょうか。
前に進みましょう!
(文・柳沢有紀夫)
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