【海外在住ライター直伝】世界5ヵ国のイースターはこんなに違う!

オーストリアのイースターデコレーション

「聖金曜日(グッドフライデー)」は、イエス・キリストが磔にされて死を迎えた日であることをコロッと忘れ、イースター当日やクリスマスの調子で「ハッピー・グッドフライデー!」と陽気に挨拶し、青い目の人たちから白い目で見られた経験はありませんか? 私はあります。しかも洗礼を受けたあとなのに。

こんにちは。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫です。

キリスト教が盛んな国では本日「聖金曜日(グッドフライデー)」からイースター明けの「イースターマンデー」まで4連休のことがほとんどだと思います。日本ではそれほど騒がれないでしょうが、キリスト教的にクリスマスと並ぶ、いや、それ以上に大切な日がイースターです。

 

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というわけで、世界各国のイースターの様子をお伝えしましょう。まずはカトリックの伝統行事が行われるという中米のこの国から。

 

グアテマラ「真夏のアルフォンブラとプロセッション」

グアテマラのセマタ・サンタ(イースター週間)は、国中どこへ行ってもプロセッション(イエスキリストの遺体を運ぶ様子を模した「神輿行列」)だらけと言っても過言ではありません。聖像を載せた御輿を担いで市内を練り歩くプロセッションはカトリック信者の多い国らしく、イースターの40日前、四旬節の期間中行われているのですが、これが本格的になるのはイースター前の一週間であるセマナ・サンタ。

特に世界遺産であるアンティグアは小さな町一杯に敷き詰められたアルフォンブラ(絨毯)の美しさとその上を通るプロセッションの荘厳さでも有名ですが、ここではグアテマラシティのアルフォンブラとプロセッションを紹介しましょう。

グアテマラのイースター

グアテマラシティでは聖木曜日に「世界一長いアルフォンブラ」作りが行われます。着色したおがくずや花などを使って道に敷き詰められるこのアルフォンブラ、アンティグアのもののような華麗さはありませんが、大勢の人の参加が必要で、参加者は3000人以上となるそうです。

グアテマラのイースター

2km以上にわたってぎっしり敷き詰められたアルフォンブラは、現在「おがくずで作られた世界最長の絨毯」としてギネスブックにも登録されています。もっとも、数時間かけて作り上げられたこのアルフォンブラも、一度プロセッションがその上を通ればもうお役御免。プロセッションの後ろからはお掃除隊がやってきて、さっさとアルフォンブラの残骸を「処分」してしまうのです。

グアテマラのイースター

一方、聖金曜日はプロセッション本番の日。早朝から深夜まで、いくつもの聖像が国中ありとあらゆるカトリック教会から担ぎ出されて市内を練り歩きます。教会ごとに担ぐ人たちの制服も決まっていますが、大きな御輿は100人以上の規模になります。

イースターはグアテマラが一番暑い時期でもあり、長いトガを着ているククルーチョは誰もが汗だらけ。途中で何度も何度も担ぎ手を交代しながらキリストの十字架の道のりを再現していきます。夜のプロセッションはともかく、日中のものは見ている方も汗ダラダラ。そんな真夏のプロセッションは、イースター当日の日曜日まで行われます。

(草野あずき)

 

次もカトリック国ですが、ヨーロッパに移動しましょう。

 

オーストリア「手作りの卵飾りとウサギ型のチョコ」

ウィーンではイースターの3週間ほど前からイースターマーケットが開催されます。たくさんのイースターの飾りを始め、食べ物・飲み物などが売られ、ライブ音楽や卵ペインティングなどのイベントが楽しめます。

イースターのモチーフと言えばウサギや卵。市内中心部のFreyungの広場には本物の卵をくり抜き、手作業で飾られた飾りが山のように積み重なって売られています。

オーストリアのイースターデコレーション

オーストリアのイースターデコレーション

オーストリアのイースターデコレーション

シェーンブルン宮殿でも大きなマーケットが開催され、地元の人もイースターの飾りを買ったり、飲み物や食べ物を片手に春の日差しを楽しんだりして楽しみます。また郊外の観光地やファームでもイースターイベントが開かれ、小動物などと触れ合ったり、馬車に乗ったりして楽しむことができます。

オーストリアのイースターマーケット

オーストリアのイースターマーケット

オーストリアのイースターデマーケット

オーストリアのイースターマーケット

家庭では家の中や庭にカラフルに色を付けた卵やチョコレートなどのお菓子、そしてプレゼントなどを隠したりして、子供たちは籠を片手に探して遊びます。

卵やウサギなどを象ったデコレーションをしたり、雪柳の枝を飾り、そこに卵やオーナメントをぶら下げたりします。籠にカラーリングした卵などを入れて飾ったりもする他、クロッカスや沈丁花などこの季節ならではの花かご、もしくは鉢などを飾ります。花かごや鉢にも卵やウサギなどのイースターならではの飾りが刺さっています。

オーストリアのイースターデコレーション

オーストリアのイースターデコレーション

オーストリアのイースターデコレーション

この時期、何と言っても良く見るのはウサギ型のチョコレート! 飾りにプレゼントにと何でも使えるウサギ型のチョコレートは一番人気。他にも卵型のチョコレートもたくさん販売されています。Pinze と呼ばれる柔らかいパンや、ブリオッシュ生地を丸く焼き卵を乗せたパンなどもこの時期ならではのものです。

オーストリアのイースター料理

オーストリアのイースター料理

カフェなどでもこの時期限定のウサギや卵をモチーフにしたスイーツなどが販売されます。

(バレンタ愛)

オーストリアでのイースターにおけるカフェのディスプレイ

オーストリアでのイースターにおけるカフェのディスプレイ

オーストリアでのイースターにおけるカフェのディスプレイ

 

ポーランド「椰子の代わりに柳の小枝で飾りつけ」

ポーランドマーのイースター

イースター前に多くの家でパルマ・ヴィェルカノツナと呼ばれる飾りが準備されます(直訳はイースターの椰子ですが、飾りには柳の小枝使用 )。ポーランドでは中世時代頃からイエス・キリストのエルサレム入場を記念してカトリック教会でイースターの1週間前の日曜日にこの飾りを教会で聖別します。昔はこの飾りの一部でも畑にさしておけば、干ばつや水害などの厄を払えると信じられていました。
(ソルネク流 由樹)

 

次は同じくカトリックの国……というか総本山のイタリアからです。

 

イタリア「ミサと特別料理」

イタリアでは、ローマ市内にあるカトリックの総本山ヴァチカン市国で、ローマ法王によるイースターのミサが行われ、大勢の信者や観光客で賑わいます。
定番のゆで卵や子羊のアバラ肉料理、コロンバという鳩をかたどったドライフルーツ入りのお菓子を食べながら、家族や親戚で賑やかに過ごします。

(ベンチヴェンガKasumiROMA)

 

オーストラリア「イースターはチョコレートの日」

多民族国家のオーストラリアですが、キリスト教徒は6割以上で、そのうち約8割がカトリックまたは聖公会(英国国教会。行事的にはカトリックにほぼ準じる)の信者です。つまり国民半数ほどがイースターに大きな意味を見出しているのですが、逆にいうと約半数がそうでもないわけで……教会内では荘厳な儀式が行われるのですが、街というかショッピングセンターはさながら「チョコレート記念日」の様相を呈しています。

オーストラリアのウサギ型チョコレート

オーストラリアのウサギ型チョコレート

やはりオーストラリアでもウサギ型とか卵型が多いですね。あとスイスやイタリアなどから輸入されるそこそこ高級なまん丸チョコ(Lindt社のLindorとか)が半額になるのはチョコ好きにとってはうれしい話です。

ちなみに郊外では聖金曜日とイースター当日に店を閉めるスーパーマーケットが多いようですが、都市部ではなぜか聖金曜日にだけ閉店だということをさきほど発見(買い物ができるか気になったので、調べてみたのです)。イースター当日こそしまっているものだとばかり思ったのでちょっとビックリしたのですが、キリストが亡くなった聖金曜日には「赤身の肉を食べない」とか「質素な食事で済ませる」とかいう人が多いからかもしれませんね。

 

以上、世界5ヵ国のイースターでした。今回は残念ながらプロテスタントの国々からの情報がなかったのですが、それはまた来年のお楽しみで……。

では、ハッピー・グッドフラ……じゃなくてハッピー・イースター!

【構成・海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】

(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)



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コメント

  1. Sara より:

    オーストリアとオーストラリア
    間違ってる。。。

    1. Yukio Yanagisawa より:

      ごもっともです。先ほど直しました。ご指摘、ありがとうございます。助かります。今後ともご愛読のほどよろしくお願いします。

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